あれ以来、忍は血を吸い過ぎるようになってしまった。
そして吸血の際、僕は忍を膝に乗せて抱き締めるような体勢であり、忍も忍で僕に腕を回していることが多い。
ついでに言えば、忍はキャミソールというかサマードレスというか、薄手のワンピース一枚しか身に着けてはいないわけで。
それで18歳ヴァージョンになった場合どうなるか。
――ベッドの上でモデルの如きスタイルの金髪美少女と薄布一枚隔てて抱き合っている男子高校生がそこにはいた。
信じがたい事に、僕だった。
なんていう状況の出来上がりである。
「……また大きくなっておるのう。我があるじ様よ」
忍がにやりと笑って僕を見下ろした。
「しょうがないだろ。大体さ、お前が吸い過ぎなければこんな事にはならないんだよ」
僕は、視線を逸らせて憮然と言い返す。
すると、忍はさらに身を寄せて、体を擦りつけるようにしながら僕に囁く。
「そう拗ねるな。なに、なってしまったものは仕様が無い。儂が責任を持って鎮めてやろう」
耳元でくつくつと笑う忍の声が、くすぐったかった。
抱き合ったそのままの体制で自然と口づけを交わす。
そして、吸血の為にはだけていた僕のパジャマを、忍が丁寧に脱がせてくれる。
忍の方はといえば、いつもの服のまま成長したわけで、胸が入りきらずにパツパツになったり、丈が足りなくなって腰までしか隠れなくなっていたりしている。ユニクロのブラトップを少し長くしたような感じだ。
その下に手を入れて腰から背中にかけて撫で回せば、肌はさらりとしていながら手に吸い付くような質感で、ずっと触れていたくなる。
「お前様よ、そろそろ下も脱がせたいんじゃが」
「ん、ああ」
促された僕はベッドに体を横たえて、腰を上げる。
パジャマのズボンを引き下ろす忍は前屈みで、重力に引かれたおっぱいがボリュームを増したようにたゆんと揺れる。
僕は我慢できず、そこへと手を伸ばした。
下から布越しに支え、両脇からぽよぽよと寄せ、ワンピースから溢れた部分をつついたり撫でたりして感触を楽しむ。
「これ、邪魔をするでない」
「だって、目の前にあるし……」
「目の前にあったら揉むのか、お前様は」
「お前相手だしな」
僕の欲求なんて忍にはどうせばれてしまうのだし、我慢してもしょうがない。
ていうか、文句言う割には逃げたり手を払ったりはしないのな。
「……まあよい。準備をするぞ」
剥ぎ取ったパジャマを放り投げて、忍が身を翻す。
こちらに尻を向けて僕を跨ぎ、膝をついた。
忍はその下半身に何も身に着けておらず、ぷるぷると震える弾力に富んだ太股と白桃のように繊細な臀部、その中心の窄まりも、さらに下にある肉のあわいをも僕の目の前に晒す。
――かに見えた。
けれど実際に目に飛び込んできたのは、忍の足の付け根に貼られた、一枚の絆創膏。
「……なにこれ」
「締め付けられるのは嫌いじゃ」
「いや、だとしてもこれは無いだろ」
「しつこいのう。詳しくはアニメ版の15話を見るがよい」
おい、メタ発言はやめろ。
「それはともかく、じゃ」
言いながら、忍が僕自身に触れる。ふわりと優しく、指が絡み付く。
「っく、なんだよ」
「ほれ」
強調するように忍が尻を持ち上げる。同時に僕の先端が、ぬめる何かに覆われた。
頭を動かしているからか、誘うように尻が揺れる。
僕の下腹部で、胸がリズミカルに潰れる。
ぴちゃぴちゃ、くぽくぽと、水音が聞こえだす。
視覚に、聴覚に、触覚に、淫靡な刺激が突き刺さる。
けれど不思議なもので、既に十分な刺激があるにも関わらず、更なる刺激が欲しくなる。
さしあたっては、五感の残り二つ。それを、埋めたい。
目の前の真っ白な、いや、微妙に赤く色づいた尻肉にかぶりつく。
柔らかい肉を舐め上げ、窄まりに舌をねじ込む。
あちこちに歯を立て、舌を這わせ、忍の尻を味わう。
散々に舐り回した後、次の目的地へ。
絆創膏の中心へ、鼻の頭を突き立てる。
ぐじゅっと卑猥な音がした。
漏れ出ようとする水滴を促すように、絆創膏の縁に沿って舌を這わせる。
口を大きく開けて吸い付き、唇全体で甘噛みして揉み解す。
そして、唾液と愛液でよれよれになった絆創膏を、口に咥えて引き剥がした。
途端、むわん、と匂いが立ち込める。
湯気のように湿度の高い、甘いような、酸っぱいような。
その匂いに誘われ、僕は再び舌を伸ばす。
垂れ出る粘液を舐めては飲み込み、飲み込んでは舐める。
湧水の水源を探して、洞穴の奥まで舌を挿し入れる。
限界まで舌を伸ばし、引き抜きながら啜り上げ、どろりと出てくる甘露を味わう。
さらに、たたみかけるように両手も使って攻め立てはじめたところで、忍から制止の声が掛かった。
「待たぬ、かっ!」
さっきまでは対抗するようにじゅぽじゅぽと音を立てていたくせに。理不尽だ。
「怒るなよ」
「お前様は加減というものを知らぬのか。儂は二人分なのじゃぞ」
「あ、そうだった」
忍には僕の分の快感も伝わるんだった。
ということは、こうやってお互いにしてる状態だと忍はすぐに限界がくるのか。
なんというか、一方通行だからあんまり実感がないんだよなあ。
「……これ以上、むやみに動くでないぞ」
忍は呆れたように溜息ひとつ。
そしてくるりと振り返り、立膝で跨って、くちゅりと僕を入口に宛がった。
忍は僕の胸板に手をついて、少しずつ腰を下ろしていく。
大儀そうに息を吐き、綺麗な眉を歪めて、時々止まりながら。
どろどろに溶けた膣内にどうにか僕を受け入れきって、忍はくぐもった声を漏らした。
「……ふ、ぐぅ」
「どうした?」
「……すまぬ、持ちそうもない」
眉根を寄せてそう告げた忍は、瞳が潤み、頬が赤く染まり、口元が歪んでいる。
奥まで受け入れただけだというのに、恐らく正常な思考も失っているのだろう。さっきまで僕を糾弾していたのに、今は何故か謝っている。
「ええと、どうしようか、一旦抜くか?」
「それは、駄目じゃ。お前様が儂の中からいなくなるのは、寂しい」
おい。
お前何言ってるかわかってんのか?
そんな泣きそうな顔で言われたら抱き締めたくなるだろうが。
僕は半吸血鬼化した筋力で一息に身を起こして対面座位に移行し、実際に忍を抱き締める。
忍は、はふう、とか言いながら僕に身を預ける。
くそう、可愛い。忍の癖に。
しかも今は、どちらかと言えばクールな感じの外見なのに。
「……で、どうするんだよ」
「儂の血を吸え」
「え?」
予想外の答えが返って来た。
どういう事だよ。
「そうすれば、中が狭くなる。お前様も満足しやすかろう」
そう言って、忍は僕にぎゅっと抱き着く。
僕との間で柔らかな塊がふにゅりと潰れた。
忍の首筋に牙を立て、少しずつ血を吸っていく。
いや、『血を戻していく』と言わせてほしい。
そして、その合間にゆるゆると腰を動かす。少し吸っては前後に揺すり、少し吸っては突き上げる。
その度、忍が『ふぁあ』だとか『ひゃうっ』だとか声を上げるので自重するのが大変だったりする。
本当に、いっそのこときつく抱き締めて、気絶するまでイかせてやりたい。
けれど、そう言うと本人がぶんぶんと首を振って甘えるように『お前様と一緒が良い』なんていうもんだから、僕も激しく動くのを奥歯を噛んで我慢する羽目になる。
僕より高い身長から始まり、まずは僕と同程度の身長で、やや年下に見えるくらいまで。
次は神原くらいの身長に。このあたりだと、胸も多少慎ましく。というかそっちも神原と同じくらいか。
さらに千石と同程度まで。
このあたりで、もう僕も我慢できなくなって血を吸いながら腰を動かし始めた。
耳元で甘い鳴き声を上げる忍を抱き締めながら揺すり上げる。
どんどん忍の背は縮み、血を吸う為に僕の背中が丸くなる。
八九寺程度のサイズになったあたりで忍の中が一気にきつくなった。
濡れ過ぎなほど濡れているから動かすのに支障はないけれど、恐らくこのあたりが体格差の限界なのだろう。もしくは、幼さの限界か。
けれど。
それでも、忍は僕に抱き着いたまま、甘い声を上げ続ける。
もはや切れ目なく、ずっと鳴き続けている。
いいのか、これ以上。
この先は進んでもいい場所なのか。
判断が付かないまま、忍の嬌声に導かれるように、血を吸い続け、腰を動かし続ける。
ついに普段の忍の姿になって、僕はようやく牙を引き抜いた。
だというのに、勝手に腰が動く。
両手で中空に忍を固定し、そこに向かってぶつけるように。
動かすだけで一苦労なほどきつい忍の中を、強引に往復する。
その度に忍は、切なそうな甘え声と、動物のような叫び声を交互に上げる。
「ふぅん、ひぐっ、あぅ、があっ、んぅ、あぐぅ」
目を見開いて涙を零し、悲鳴を上げて涎を垂らし、僕に縋り付いてくる。
一突きで何かが背中を駆け上がり、一度腰を引くだけで何かが腰の奥にわだかまる。
性交の限界を超えた幼さを持つ筈の忍の乱れる姿に、背徳的な興奮を感じる。
それらがぐるぐると渦を巻き、ぐつぐつと煮凝る。
そんな、濃縮された何かを吐き出すように、僕は忍の奥底で射精した。
口を開け、涎を垂らしながら白目をむいた忍が回復するには、結構な時間がかかった。
その間、僕は忍を抱き締めて頭やら背中を撫でていたのだけれど、その度に忍の中がびくびくと反応するのでいつまでたっても完全には萎えないままだった。
そんなわけで、忍が目を覚ました時にも僕は半勃ちの状態で、忍の中にいたのだった。
「…………我があるじ様よ」
「ん? 起きたの――」
ごん、という音と共に、顔面に衝撃。
皆まで言わせてもらえずに、忍の頭突きを喰らったのだった。
「――っつー…………その状態だと鼻に入るだろが!」
見ると、当の忍は立ち上がり、腕を組んでそっぽを向いていた。
素っ裸で内股に白い液体が垂れていて、全く様になっていない。むしろアンバランスで妙にエロい。
「うるさいわ、終わったのならさっさと離れんか!」
「え、一人でベッドの上に放置とかしたほうがいいのか」
「……そうは言ってはおらんが、限度があるじゃろうが」
「あんまりべたべたすんなって事か? してる時はかなり甘えてきたからそういう気分なのかと――」
ごん、と。
またも頭突き。今度は立っている状態からだったので、ちゃんと額に命中した。
「……忘れろ」
「痛いってば……何?」
「忘れろと言うておる」
今度は顔を近づけてきた。顔が赤い。しかもかなり。
「何をだよ」
「うるさい。いいから忘れるんじゃ」
そう言って頬を膨らます忍を引き寄せて、頭を撫でながら軽くキスしてやった。
するとまた怒られたのだけれど、僕は多分間違ってないと思う。