「君は本当は腐女子なんじゃないのかな?」  
ある日、秋葉原のドンキホーテ五階にある喫茶店に呼び出された。  
そこに居た知人は、ボクが目の前に座ると間髪をおかずにそう尋ねてきた。  
「ボクは男ですし、夢見る乙女をやっていませんよ」  
「そりゃ夢見る乙女に対する差別発言かい?」  
「…それでこんなところに呼び出して一体何のようなんですか?」  
「あぁ悪い、どうも君の作る文章を見ていると一つ気になる事があって、その真偽を問いただしたかったのだよ」  
彼は近くに居た店員に「いつものを2つ」と頼むと程なくして「メロンソーダ」を店員は持ってきた。  
「なに、俺は心のそこからメロンソーダが好きなだけで、《害悪細菌/GrennGreenGreen》に掛けているわけではない」  
そう、一人で笑いながら答えていた。  
「さて君のターンだ、何か質問は有るかな?」  
「じゃあ──」  
と、ボクは言葉を繋ぐ。そしてぐるりと、この何の秩序もない部屋を見回した。  
「──よくここに来るんですか?」  
「おっと。一旦矛先を矛先を変えてきたな?成程、俺の油断を狙う─(略)─答えはシンプルだよ、単なる趣味だ。  
いや、この場合は俺の趣味ではない、《一群》メンバーのMの家賊がこういった萌えというのに大変興味を持っていてね、彼とは親しくしたものだ。  
なんならこの店のオーナーに君の事を紹介しようか?本来なら許されないが、特別扱いしてもらえるぞ」  
「えんりょしますよ」  
ボクは彼の申し出を断る。  
「そうか、残念だ。」  
彼は本当に残念そうだった。  
「さて俺の番」  
「お手柔らかにお願いしますよ」  
「質問、異性に対してどのくらい興味が有る?」  
「人並みに、ですね」ぼくは相変わらずのセクシャルハラスメントに耐えつつ、答える。  
「当然でしょう?そんなこと」  
「ふふ。そういう意味ではないよ。」彼はそんなボクの心中を知ってなのか知らずなのか、更に時代掛かった感じで言う。  
「ここでかつての《作品》キャラクター、《大野加奈子》の言葉を引用する─略─」  
「どんな言葉を引用するんですか?」  
「ホモの嫌いな女子なんていません」そう、彼は店内で、満席状態の店内で両手を天にかかげて叫んだ。  
店内は静寂に包まれ、しばらく時が止まった。  
「冗談は置いといて、君は百合は読むし薔薇も読む、だけれどだからと言って男に尻の穴を掘られたいとは思わない」  
「……」  
「それをふまえて聞こう」  
彼は直ぐには言わず、いくらか間を置いて、それから言った。  
「君は──」  
僕に向かって訊いた。  
「────きみは──」  
ぼくの脳内をじっくりと、えぐった。  
「きみは西東天のことが本当は好きなんじゃないのかな?」  
 
 
 
朝日、何時の時代も、何処の国も、魔を払うとされている聖なる光。  
ただし、いかなることにも例外ということは存在する。  
例えばこの世界には麻雀ルーチンが組み込まれていない脱衣麻雀ゲームが存在すると言う。  
そんな物は麻雀ゲームとは呼べるはずがない、だけれどもそれはれっきとした麻雀ゲームなのだ。  
その関係者はこうも言っている。「『フリテンにしかならない?』ふん、そんなことは大した問題ではない」  
 
さて、今回における例外というのは朝日によって消滅せずに、露呈する魔の存在だ。  
自分が服を着ていないこと?そんなのは問題ではない。  
見覚えの無いクローゼットがあること?それも問題ではない。  
ちがう、今この状況で、現れる魔というのは──  
隣にいる狐が、狐面を被った誰かが──同じ布団に入っていると言うことだ。  
「……」  
《話術師/Spell Master》として2階に住む《抱き枕/Servant》の《暗殺者/Assassin》を呼び出すべきか考えるが、とばっちり、否、攻撃が全て自分へと向けられることが既に何度と無く体験しているのでやめる。  
だとしたらやるべきことはタダ一つ、気がつかれぬ様に布団から抜け出し、台所から包丁をとりだす。  
事後処理は玖渚に任せれば良い、一人死んだと言うことはあの時の半分の半分に過ぎない。それにこいつは既に死んでいるはずの人間、亡霊だ。  
包丁を振り上げたところで一つの可能性に思い至る。  
「もしも別人だったら、ただ狐面を被って、人の布団にもぐりこむ。ただそれだけで判断できない訳が──あるあるwwwねーよwww」  
最短の軌道を、最少の動きで、最大の力をこめて、最速の速さで振り下ろす。が、そこに居るはずの狐面の男は居ない。  
「もし別人でしたらどうするおつもりで?」  
さっきまで誰もいなかったはずの方向から女性の声が聞こえた。  
「これで七度目です、そんな可能性を考えるだけムダでしょう、木の実さん?」  
「何だ、何があったんだ?」  
ガタガタと暴れるクローゼット(恐らく彼女が寝てる間に仕掛けた)の方へ歩き、クローゼットを蹴る。蹴る。蹴る。そして前に倒す。  
「おい、ちょっとまて俺の敵。出れねぇじゃないか。木の実、そこに居るんだろ。ちょいと起こして──」  
ゲシゲシ、と更に蹴り続ける。  
やばいな、今の騒ぎでアサシンが目覚めてしまうかもしれない。慌てて服を探すが見当たらない、何故?  
「いーちゃんの服なら離そうとしなかったから、一緒にそこの中ですよ」  
そう、彼女の指差す先はやはりあの箱。  
「それと今この部屋には誰も入ってこれません、もちろん二階に居た少女も」  
空間製作─狐面の男をクローゼットに保護した時に一緒に入ったらしい、だがここに崩子ちゃんが入ってこれないのは助かった。  
「もっとも、気が付かれないように竹取山へ運ぶのは難儀しましたが」  
空間移動だった。  
「とにかく、毎回毎回布団に入ってくるのをやめてもらえませんか?」  
「『やめてもらえませんか?』ふん、そんなことは──」  
「一、二─」と箱を蹴る。  
「三、四、五──っと、一旦ストップ」  
「・・・…」  
もう、反論も制止の言葉も、聞こえない。…あれ、既視感?  
 
「耳が聞こえなくなったらどうするんだ!おい木の実」  
ガン!  
「木の実さんも、こんな人についていくのをやめたらどうですか?」  
「耳が聞こえなくなったらどうするんだ!おい木の実」  
ガン!  
「木の実さんも、こんな人についていくのをやめたらどうですか?」  
「それは心揺さぶられるお誘いですが、わたくしは狐さん以外に仕えるつもりは有りませんから」  
それ以前に、諦めが肝心じゃなかったのかよ。  
「狐さんを助けるのに手伝って頂けないでしょうか、戯言遣いさん」  
「いやです、何でぼくが助けないといけないんですか!」  
「仕方ないですね、力仕事は好きじゃありませんが」  
と、言って倒れていたクローゼットをヒョイと片手で起こしてしまった。  
そうして中からヨロヨロと出てくる狐面の男、まるでハサミ男の如く。  
「最悪な目覚めだぜ、まったく。俺の敵」  
「それはこっちのセリフですよ、狐さん」  
「『狐さん』。ふん、もう名前で呼んでくれないんだな」  
「…じゃぁ西東さん」  
「俺の事を苗字で呼ぶのは敵だけだ」  
「思いっきり敵じゃないですか!」  
それにそれは哀川さんのセリフだし。  
「さて、今日のところはコレくらいにして引き下がるとして、後の事は任せたぞ、木の実」  
「はい、分かりました」と彼女が頭を下げているのに一瞥もせず、かつん!と、狐面の男は踵を鳴らして──  
ぼくの脇を通り過ぎた。立ち去るつもり、らしかった。  
見送る気など、更々無い──振り向く気すら、ぼくにはなかったが、しかし──  
「そうそう──」  
扉を開けて出る際に、狐面の男は言った。  
「ベッドの下の──」  
ことのついでを告げるように、気の抜けた声で。  
「エロ本のことなら──」  
昨日の晩飯でも報告するかのような、適当さで。  
「──俺が、貰った」  
「………………てめえっ!」  
振り向いて、走った。狐面の男の後を追って、扉の外へ出るが、しかしもう真っ白なポルシェに乗り込んでいた。  
「縁が合ったら、また会おう」  
そう言って逃げるように、逃げて行った。  
「…………」残されて呆然と立ち尽くすぼくと、  
「♪」何事も無かったかのように後始末をする木の実さん。  
もう、見慣れた光景だった。これで7度目だ、嫌でも慣れる。  
自分の名誉のために言っておくなら、ベッドの下に有ったのは魔女が貸してきた春画だ。  
魔女に返そうにも旅行にいっているらしく、その間崩子ちゃんの目に入らないように安直だがベッドのしたに隠していた。  
ちなみにそれは歴史的にも学術的にも価値が有るらしく、「無くしたら片手じゃすまないから」と言われている。  
片手…5万、じゃないだろうなぁ。  
 
「さてと」  
彼女はぼくが意識を外している間にクローゼットを分解してしまっていた。  
クローゼットが今まで在った場所には不自然な空間がポッカリと空いていた。  
「それでは失礼したいと思いますが、何かご用件はありますか?」  
「狐さんに、もう止める様木の実さんからも言ってもらえませんか?」  
「それは、狐さんの行為にわたしくしが口出しできることは出来ませんので。  
ただわたくしから見ればあなたの立場が羨ましくて溜まりません、代わってあげたいくらいです」  
「ぼくも代わってほしいですよ」  
ジェイルオルタナティブ…、ぼくの代用品は木の実さんではなく、人間失格の零崎人識以外は存在しないらしい。  
だから、小唄さんに頼んで探してもらおうとしているが、連絡が取れない。  
「それでは失礼いたします」と、書き置きが机の上に置いてあった。  
気が付けば既に木の実さんは居なかった。  
部屋には何も残っていない、まるで何事も起きていなかったかの様に、昨日までと変わらない風景。  
「ガシャン!」と窓が割れ、何かが部屋に入ってくる。  
「お兄ちゃんどいて、そいつ殺せない!」  
息を切らせ、擦り傷を創り、誰も居ない虚空に向かってナイフを構えているのはボクのサーヴァントだった。  
「あれ?お兄ちゃん魔女は一体何処へ」  
「奈波ならまだ旅行から帰ってないけど?」  
「違います!私を山奥に隔離した魔女です!!」  
「……木の実さんならもう帰ったよ」  
そうですか、と背負っていた筍を数本足元に置いて  
「それではお兄ちゃん図書館へ行ってきます、息災と、友愛と、再会を」そう言って、先ほど入ってきた窓から何処かへと飛び去っていった。  
そこで一回思案する、思考する、思索する。  
一体ボクは何処へ向かおうとしているのか、誰の元へ行こうとしているのか、何をしに何をされようとしているのか。  
主たる登場人物は殆んど登場している、残っているのと言えば玖渚機関で目下検査中の友、小唄さんに付きっ切りの真心、そして─  
「らいらーい、暇だから遊びに来てやったぞ〜」  
そんな言葉に続けて、玄関前で爆発でも起こったかのような勢いで、青年のいる部屋の扉が一つ、内側に向いて吹っ飛んできた。  
そのドアはそのまま先ほどぶち抜かれたままの窓へと衝突し、更にそのまま向こうへと抜けてしまった。  
そして。  
扉が吹っ飛びぽっかり開いたそこから──  
一人の人間が、部屋の中に乗り込んできた。  
威風堂々、それが当たり前のようにして。彼女は─『彼女』は、すらりとした─略─  
『彼女』は──『彼女』は、『紅き正妻』、違う『紅き制裁』と呼ばれる。  
 
「遊びに来たぜ──いーたん」  
 
火炎のように紅く紅蓮の如くに赤い。  
地獄そのままに緋く流血さながらに赤い。  
鞭で打たれた後の如く痛々しいほどに美しく赤い。  
 
請負人が皮肉な笑みを浮かべて。  
ただ単純に、存在していた。  
 
 
「おうおう、相変わらず暇そうだな、いーたん」  
突然の来訪者は玄関口に立って、笑顔でつまらない挨拶をする。  
「実はさ、ここに来る前に事故に出くわしてさ。駅前の交差点でさ、白いスポーツカーにのった中年が交通事故。  
多いって聞いてたけど実物に遭遇するとは思わなかったな。────ほいこれ、冷蔵庫」  
玄関でブーツの紐をほどきながら、手に持ったコンビニのビニール袋を投げてよこす。中にはハーゲンダッツのストロベリーが二つ。解ける前に冷蔵庫に封入しろ、という事らしい。  
冷蔵庫……三日前に誰かの手によって分解と言う分解を分解され、破壊と言う破壊を破壊されてその機能を完全に停止させられていた。  
「あぁ、また嫌がらせをされたのか。いやー、いーたんモテルね。羨ましいよー」  
全く持って羨ましそうに見えないのは気のせいだろう──いや、羨ましいと思う奴の顔が見てみたい。  
「それで今度は何のようです?また何か問題でも起きたんですか」  
「はん、クソ親父がここら辺に居るって斑鳩から情報が入ってさ、一発殴ろうかと思ってそのついでにいーたんの所に寄ったわけ。  
それでだ、よかったら大好きなお姉さんに何か知っていることがあれば、教えてくれないかな?」  
猫撫で声を出しつつ、ぼくの顔に指を這わそうとする哀川さん。  
「多分、駅前で事故ってるのが哀川さんの──」  
「潤だ!」  
「潤さんの探してる人だと、思いますよ」  
大方、読むのに熱中して事故ッたんだろう。江戸時代において、禁忌の存在で、禁忌の伝説で、禁忌の神話で、禁忌の奇跡なヤオイ春画。……製作者の罪口ぎくるって何者だよ、おい。  
「あぁ?そういや事故ってた奴見覚えのある仮面をしてると思ったら、あのクソ親父、性懲りも無く変装してたのか!」  
だから、アレの何処が変装なのか小一時間(ry  
そう言ってかつん!と、請負人は踵を鳴らして──  
ぼくの脇を通り過ぎた。立ち去るつもり、らしかった。  
止める気は無い、止まるつもりも無いだろう。ぼくは彼女を黙って見送り、彼女は黙って見送られる。  
これでもうだれも残っていない。  
白き人類最悪、紅き人類最強、橙なる人類最終、蒼き聖少女、主たる登場人物は居ない。  
だが、何か足りない、狐さんの言うところの、運命という名の物語りに記載されている登場人物には、決定的な何かが───  
そこで、思考を変える、…………寒い。  
取りあえず服を着るかな。確か押入れに服が有ったはずなのに、おかしいな、何処に入れたっけな?  
「…………」この前、即売会で一括購入したばかりなんだけどな。  
「───   。」おっかしいな、まさか狐さんが全部持っていったことは無いだろうし。  
「─────です。」ん?何か聞こえた気がするんだけど、耳がオカシクなったかな。  
「オカシイのは、あなたです」  
 
狐さんの言う、運命という名の物語の作者が何を望むのか、その読者が何を望むのかをぼくは知らない。  
知らないはずなのに、この再会はぼくにとって5年前から予想がついていたかのように明確で、十年前から知っていたかのごとく、そして生まれる前から知っていた──  
 
確認するまでもなくとも──この目で確認したい。  
腰まで届く──整った黒い髪。ダークネスの半袖、胸元をしめるようなスカーフ。ブリーツスカートに──いや、そんな、そんな図抜けた馬鹿な説明なんて要らないだろう。  
けれど、  
けれど、彼女は、  
けれど、彼女は、死んだのだ。  
このぼくの──目の前で。  
最小の糸に巻かれて。かんぷなきまでに──死んだのだ。  
だけど、だけど、だけど、彼女は、生前と変わらぬ黒髪をたなびかせ、あの時と同じような鋭い目つきでぼくを睨んでいる。  
 
「私の名前は萩原子荻。私の前では悪魔だって全席指定、正々堂々手段は選ばず 真っ向から不意討ってご覧に入れましょう」  
 
 
「あはは、少年。あはははははははは。あーはははは」  
会うなりいきなり彼女は、ぼくに向かって大爆笑した。今更もう、それを失礼だとは思わない。季節の変わり目の一風景みたいなものだ。  
「あはは。少年。メイドにやり込められたみたいだねぇ。あー、もう。おかしい。やーい。やーい。ざまーみろ」  
「……どうして生きているんですか」  
「今更それをあたしに訊くのかい?中々面白い番組だったよ、素直な嘘吐きくん。退屈しない人生だね、きみは。羨ましいよ」  
居た、羨ましいと思う奴がここに。  
「言ったろ、私が死ぬのは二年後の三月二十一日、午後三時二十三分。それが私の命日と死亡時刻ってさ。  
それともその自慢の記憶力とやらで忘れたのかい?」  
「…………」沈黙するしかなかった。  
「変な奴が奇妙な奴がいたから身代わりをね、影武者って奴だよ、少年」  
納得。あの時ひかり(またはてる子)さんが死んだと言って来たのは狐さんに生きている事が露見しないようにか。  
「それでそこにいるレイヤーさんは」  
「れ、レイヤーとは失礼ですね、私の名前は―――」  
子荻ちゃんの口調で。  
子荻ちゃんの態度で。  
子荻ちゃんの物腰で。  
喋る彼女は、まるっきり、萩原子荻だ。ただし、背は阿呆みたいに背が高くて、阿呆みたいに足が長くて、そして阿呆みたいに似ている。  
「呼びにくいなら赤音さんで構わないよ、きみの驚いた顔が見たいからこの格好をしているだけで、今はまだ、そう名乗っている」  
「それで、一体何の用ですか?隠れているならこんな所にいちゃ駄目でしょうが」  
すると名もなき彼女は何かに気が付いたらしく「少年」と言って土足で部屋に入ってきた。  
「ハーゲンダッツのアイスは中々おいしいから一つの私にくれ」  
さっき哀川が持ってきた袋をあさって中からアイスを取り出してそんなことを言った。  
ぼくは黙って首肯した。赤音さんは嬉しそうに取り出した一つ、袋に入れて袋ごと持って行ってしまった。  
どうせそんな所だろうとは思っていたし。  
それからして、二人は予定調和の如くアイスを食べ終えると  
「それじゃ私達はこれで失礼させてもらうよ、いやいやめずらしいものをみせていただいて。眼福眼福」と名もなき彼女は意味不明な言葉を残し、  
「中の上、あはははははははは。また来週会おう、息子」  
と、人類最低な占い師はやはり理解不能な不吉な予言を残していなくなった。  
「…………」なんだか、ねむたくなってきた。  
 
 
そこに、五条大橋の下に居た。人識と真心がいた。二人とも、式服だった。  
「………………」  
ここは何の式場だ?ぼくはしばし、愕然とした。  
「こいつ、想影真心だ  
「知ってる」  
「これ、零崎人識だぞ」  
「知ってるよ」  
気ィ合ってるんじゃねえよ。どうして意気投合しているんだ。小唄さんを介して何があった。  
そんなぼくの心の叫びに真心と零崎は、声を揃えて、答えた。  
「「今度結婚するんだ、10月に」」  
「……えっと」  
ぼくは――混乱する。その言葉の意味を考える。  
落ち着け。  
都合のいい勘違いをしないよう気をつけろ。  
注意深く理解するんだ。  
誤解だけは絶対にするな、大事なところだ。  
結婚?この二人が?  
戯言だ。そんなものに、一体何の意味があるのだろう。明らかに――  
「そうなんだよね、僕様ちゃんも最初聞いたときに驚いちゃってさ」  
「と、友」  
「事態が事態だから玖渚機関と四神一鏡、それと殺し名に呪い名、全部のパワーバランスがしっちゃかめっちゃかになるから極秘中の極秘なんだよ。  
砂漠の狐はこれこそ世界の終りに相応しい。って来る気満々だってなっちゃんから聞いたし」  
「……」  
「おい、どうかしたのか欠陥製品」  
「いーちゃん、顔色悪いぞ」  
「いーちゃん?」  
「零崎でも、真心でも、友でもない、?」  
……あ。ばれた。じゃあ、誰だと思う?  
「さあ。ぼくには分からないよ」  
好きに決めていいんだよ。これは×××××、きみの夢なんだから。  
「じゃあ、アレクサンド・アンデルセン。あの人はきっと石凪家に関係があるんじゃないかと常々思ってるんだ」  
『この私の眼前で死人が歩き、不死者が軍団を成し、戦列を組み前進をする。  
唯一の理法を外れ、外道の法理をもって通過を企てるものを、  
教皇庁が、第13課が、この私が許しておけるものか』そう言って哀川さんや西東さんに、十三階段に攻撃しかけちゃうよ。  
「それがいいんじゃないか……あ、いや。まあいいじゃない。本人いないし」  
君は良くても僕は良くないよ?でも残念、もう時間切れみたいだよ。あーあ、君の名前を呼んじゃったから死なないといけないしね。  
「それも今更、って感があるけどね。ぼくの事を名前で呼んだのは3人いて、3人死んで、2人生き残った。だから4人目のきみが死ぬのは1/3だね」  
ちがうよ、いーちゃん。  
「……」  
一人は生きているんだけど死んだみたいで、一人は死んだはずなのに生きていて、じゃあ残りの一人も死んでいるのに生きていたっていいと思わない?例えば心の中とかでさ。  
「……じゃあお前は──」  
いいえ。わたしは貴方の、お姉ちゃん。  
 
「誠心誠意戯言ここに極まりだな……」そう思った。  
ここは……どこだろうか。  
後頭部に伝わるほんのりと暖かく、心地よい柔らかく、自然と心の温まる──そんな感触。  
その正体を確かめようと、目を開けて飛び込んできたその光景にぼくは目を奪われた。  
いや……奪われたのは心なのかも知れない。  
その美しさ、素晴らしさ──このスレッドはそれを書くには狭すぎる。  
そう表記したくなるほどの、まるで…・・・神話の中から抜け出してきた神秘がそこには在った。  
それは戯言を持ってしても表しきれない、  
ぼくは、触れれば崩れてしまうようなそれを壊したくない。そう思いながらも、思わず「綺麗だ……」そう、つぶやいていた。  
客観的に判断するのであれば、ここはぼろアパートではなく何処となく見覚えのある立派な建物の一室、  
ぼくの頭はその存在の膝の上に位置し、そして彼女はぼくを見おろすような姿勢で眠っていた。  
もう少しの間だけ、この時を過ごして居たい──そう思ったところで彼女は、少女は目を覚ます。  
「お目覚めですか、ご主人様」なんて打ち震わせない。  
「いっそのこと病院に住んだらどう、いーいー?」なんて誘わない。  
「えへへ、いっくんの寝顔可愛いね。あ、ご、ごめんなさいごめ(ry」なんて謝らない。  
「君は今、酷くすばらしい寝顔だった。まるで天使のようだ」なんて問題発言もしない。  
彼女は、まるで悪戯が見つかったあどけない子供のような笑顔で、「…………あは」と笑った。  
その笑顔は誰の代わりにもなる人類最強の彼女にも、  
なんでも、すぐにできてしまう人類最終の彼女にも、  
誰にでもなろうとして誰にでもなる彼女にも、  
決して真似することはできない、彼女だけの笑顔だった。  
ようやくの事で言葉を発することを思い出したぼくは、一番気になっていたことを尋ねた。  
「どこで覚えたんだい、こんな介抱の仕方を」  
彼女は、まるで年頃の女子高生のように笑ったまま、「禁則事項です」と答えた。  
どうやら、谷川 流もたしなんでいるらしい。  
 
とにかく、人類最弱の詐欺師と、人類最知の策師の再会だった。  
 
 
 
少し、というかカナリ時間は巻き戻り、場所も全く違う森の中、そしてこの物語とは関係の無いところに彼は居た。  
「兄さん──僕達に出番はあるんでしょうかね?」「…………」  
「兄さん?」「…………」  
「兄さーーーん」「…………」  
「……これでよし」  
その男は、鏡の前を離れ、仕込み刀の薙刀を手に地獄の元へ向かった。  
 
子荻ちゃん、髪の毛が綺麗だよね、と言おうとして、すんでのところで思い留まる。  
子荻ちゃんの事だ、その程度の賛辞、今までに散々、うんざりするほど受けていることだろう。  
そうだったとしたら聞き流される可能性が大だし、  
ぼくのことを凡百の下らない男だと判断されてしまう危険もある。  
となると別の視点からの意見が必要だ。  
ぼくは少し頭を動かし、新たな光景を目にする。  
「どうかしましたか?」  
「子荻ちゃん、てっきり煽情の黒かと思ったら純情の白なんだね」  
彼女は一瞬間疑問符を飛ばしたかと思うと、  
すぐに理解したのか顔を真っ紅にしてぼくの顔に、  
躊躇いはなく躊躇も無く、  
惑いもなく迷いもなく、  
遠慮も謙虚もせずに拳を振り下ろした。  
それこそ、最短の軌道を、最速の動きで、最大の力を込めて──  
 
 
「……目を瞑らないんですね、あなたは」  
彼女の拳は当たる直前で止められていた。  
その手をぼくの首に添える。  
ぼくの命は今現在を持って彼女に委ねられていたが、  
まったくと言っていいほどに危機感を感じない。  
何処かこの世界の外側に位置する存在に対する背徳感や背任感といった感覚が、むしろ心地よかった。  
「はぁ……」と嘆息してからをついて「相変わらずですね、貴方は」  
とニッコリと不敵な笑みを浮かべてWWEヨロシク、首を絞められた。  
ついでに言うとふくよか胸が頭頂部に押し付けられる形になっている。  
うん、この新技はシオギンスリーパーと名づけよう、  
それともミココスリーパーの方が良いだろうか。だがさすがは子荻ちゃん、  
無駄なく正確に綺麗にぼくの頚動脈が……  
そこで、ぼくの、意識、が遠の、い、、、──く。  
 
「あ……なぁんた──」  
ぼくは──  
朦朧とした、最早意識さえ宿っていない瞳で。天井を、見上げながら。  
「今会いに行くよ──秋春くん」  
 
 
 
何て、戯言を言わなかった。  
 
 
 
「一時間もしないで戻ってくるとは何事じゃ!とっとと帰れ」  
 
そんな訳で、今回の夢は最短記録、わずか1行で回想終了──  
「どうかしたんですか?」  
「いにゃ、誠心誠意──」  
「戯言ですか?」  
「傑作だよ」  
目覚めてから程なくして届いたルームサービスの食事をぼく達は食べていた。  
しばらくの間不毛な会話を交わしたところで、ぼくは気になっていたことを尋ねた。  
「どうしてぼくはここに?というより、ここは何処?」  
子荻ちゃんの話によればここは、赤神財団下に有るホテル─、つまりは以前ひかり(てる子?)さんと利用したホテルであった為に、見覚えがあった。  
それについては面倒になるから言わなかった。  
で、何故ここにいるかと言えば、  
「あの部屋は無用心すぎます。窓やドアが無い家は初めて見ました」  
本当に呆れているようだった。  
「アナタに用があったので、邪魔の入らないところに来ていただきました」  
はて、何のようだろうか。  
「それとあんな部屋で裸で寝るのは感心しませんよ。部屋にあった適当な服を着せましたが、問題は有りましたか?」  
「……」  
あぁ、ようやくあの二人の意味不明な言葉の意味が分かった。  
ついでに今ぼくが着ているこの白い着物。本当の事を言えば問題が大有りだった。  
 
「いーちゃんに、忠誠の証とお詫びの品を持ってきた」「いーちゃんに、忠誠の証とお詫びの品を持ってきた」  
「私たちの一番大切な品だ」「私たちの一番大切な品だ」  
「さあ」「さあ」  
そんな澪標姉妹に押し切られて、女の子らしい可愛いラッピングのされた袋を受け取ってしまった。  
「中身は狐さんのお古だ」「中身は狐さんのお古だ」  
「しかも使用済みだ」「しかも使用済みだ」  
そう言って何処かへ消えていった。  
捨てようかとも思ったが、何かあったときに使えるだろうと思って取っておいたわけではなく、ただ単純にゴミの日に捨てるのを忘れていただけだった。  
 
「どうかしましたか?」  
「いにゃ、ご馳走様です」  
「ご馳走様です」  
そこで何気なくテレビをつけてみた。  
「路上で動物らしきものを無断で販売していたコートの男を警官が職務質問しようとしたところ、物凄い速さで逃亡したとのこと。現在も追跡中です」  
「連続路地裏殺人事件は──」「連続ガス漏れ事故は──」「…隠しが起きた町の小学校に立てこもった少女は──」  
 
「物騒な世の中ですね」  
「そうなのかな」  
どうにも、身の回りがもっと物騒なせいなのか、全然物騒には思えなかった。  
 
 
 
「子荻ちゃんはどうして生きているのかな?」  
それはどうして今まで聞かなかったのか、自分でも呆れるほどに当たり前の質問だった。  
「いくらでも方法が有りますよ。やろうとおもって出来ないことなんて、極々わずかです。  
その程度の方法なら、あなたなら、瞬時に40は思いつくと思いますけど?」  
双子説に影武者説、分身に変わり身、死者再生に呪い名による夢の中、こんな感じか。  
……40は流石に無理かな。  
「実際のところ、あなたは驚いている様子が見られなかったのですが、どうしてでしょうか?」  
「もう死人が蘇っても不思議な状況じゃないからね。大方、狐さんの中では生きてたからかな」  
「…狐さん?」  
「あぁ、こっちの話。その人が言うには『心の中で生きているか、どうか』らしくて、その人は子荻ちゃんの事を偉く渇望してるからかな、って」  
ぼくの中では、と言えば当然の如く死んでいた。  
彼女が死ぬ瞬間を、彼女がばらばらのジグザグにされた、その瞬間をぼく自身が視認している。  
それに、人類最強のあの人もそれを確認しているから、彼女は死んだのだ。  
だけど狐さんはそれを知らない、だから──  
「ぼくは子荻ちゃんが生きて会えて嬉しいよ」  
その言葉に子荻ちゃんは「そうですか」と何故か少し寂しそうに答えた。  
それから先は互いに思っていること思いついたことを色々と話した。  
ぼくらにしか関係のない話。  
多分、二時間ほど。  
人生に置いて何の役にも立たない下らないこと、世界において毒にも薬にもならないことを、  
ときに彼女から話し、  
ときにぼくから話した。  
まるで仲の良い──  
 
時計の針が零を指したときぼくが最後の質問をした。  
「子荻ちゃんはデートとかしたことはあるの?」  
「デートですか?それに近いものなら何度か。どれも情報収集の目的でしたが、」  
触れちゃいけないことに触れたのか一瞬、眉をひそめた。  
「それがどうかしましたか?」  
「なら、明日しよっか。デート」  
「ッ!!!!!!」  
子荻ちゃんがむせた。  
げほげほと、思い切り咳き込んでいる。  
……予想通りの反応だった。  
ていうか、どうも、水を飲んでいたらしい。  
ぶるぶると俯いて、口元を押さえている。  
うーん……。  
気管に水が入ると苦しいんだよな。  
ていうか凄い睨まれてるし、ぼく。  
「あ、あなたは」  
「それで楽しい事を一杯しよう、面白い物を見て、美味しいものを食べて、悲しいことで泣いてさ」  
「──そんなことに何の意味があるというのですか」  
「深い意味なんて無いよ、前にも言ったと思うけどぼくはきみみたいな娘は好みなんだ」  
「……はぁ」  
ぼくの台詞に、なぜか子荻ちゃんは呆れたように嘆息した。  
「それはつまり」  
子荻ちゃんはらしくもない戸惑ったように一拍置いてから、  
「あなたがこの萩原子荻に個人的な愛情を向けた上で、デートに誘っているという意味ですか?」  
といった。  
「………………」  
何か違う、いや違わないのかな。まあいいや。  
「そういう事にしておいて、お誘いを受けていただけますか?姫」  
そんな問いに子荻ちゃんはクスリと笑った。  
 
「それに答える前に、私の最後の質問に答えていただけますか?」  
彼女は、不安そうな顔つきだった。  
「あ、構わないよ。それで質問って何かな?」  
彼女は珍しく思いつめたような、行き詰ったような表情をしていた。  
「不確定なことがこれ以上続くと今後の私に支障が出ます」  
そういうと子荻ちゃんはぼくのそばに近づいてきて  
「あなたと一緒にいると調子が狂います」  
「それは≪無為式≫のせいで…」  
「私もはじめのうちはそう思っていました。ですが貴方と距離をとるようになってから感じるようになったこの胸を締め付ける様な痛み」  
「えっと…」  
シオギサン、ソレハツマリイワユル  
「それらを統合して導き出された答えは唯一つでした」  
 
「どうやら私は、荻原子荻はあなたのことを好きになってしまったみたいです」  
・・・ぐはっ  
「そ、それで貴方は私のことをどう思っていますか?」  
 どう、と聞かれてもぼくにはそれに答えることはできるのだろうか・・・  
 気が付けば彼女の顔は耳まで真赤になっており、視線はぼくの顔に向けられていた。  
「それは・・・」  
「嫌いではない、又はそれに近い否定で返すのは止めてくださいね。私のことが好きか嫌いか、その二点だけで答えてください」  
「ぼくは子荻ちゃんが、ぼくのことを好きなくらいには」  
「そうやって戯言で受け流すのは、好きじゃ有りません」  
迷う。嘘を吐くべきか。  
「あの、……私の──」  
殆んど息も絶え絶えに、子荻ちゃんはぼくに問いかけた。  
「私の質問に──」  
ずいっ、とさらに一歩近づくと子荻ちゃんの鼓動が聞こえる気がした。  
「……」  
与えるか、奪うか。  
ぼくは3秒ほど悩んだ挙句何も言わずに態度で示した。  
「──ッ!」  
ドンッ、っと僕を突き放すと  
「な、何を考えているんです!誰かに見られたらどうするつもりですか!」  
「ぼくは見られても構わない、それくらい子荻ちゃんのことが好きだ。っていう事を表現しただけだよ」  
そもそも、ココに呼び出したのは子荻ちゃんだから誰かが来ることなどまず無いだろうしね。  
「それとも子荻ちゃんは僕の事はそこまで好きじゃ無かったってことかな?」  
「……バカ」  
ぼくは何時もとは違う弱気な彼女をやさしく抱きしめた…  
 
子荻ちゃんはベッドに仰向けのまま倒れこみ、ぼくはその上に覆いかぶさる様な形で、再びキスをする。  
ぼくはブラを外すとその弾力を楽しむように揉みしだき、堅さや柔らかさを一通り堪能しながら右手を下腹部へと滑らせていく。  
「あっ」  
と、声を上げてその手を阻止しようとする手に捕まるよりも先に下着の中へと潜り込むことに成功した。  
秘所はうっすらと湿っているが、指を一本いれるのがやっとなぐらいキツイ。  
流石に恥ずかしいのか、耳まで真っ赤にして、ぼくの顔をじっと睨んでいた。  
そこには何時もの気丈さや冷静さといったものは微塵も感じられず、ただ一人の女の子としての、萩原子荻がそこに居た。  
最後の砦を直ぐには取らないで、ゆっくりと焦らすように、恥らう様子を鑑賞しつつ剥ぎ取った。  
殆んどぬれていない秘所を指で開いて、先端をグッと押し込むと  
「!!!!!!」  
彼女は声にならない声を上げ、痛みからかシーツをギュッと掴んでいた。  
ぼくはそんな反応を楽しむように、ゆっくりと、少しずつ、膣内へと侵入させていくのだが、子荻ちゃん自身が後ろへとずり下がっていくため思うように侵入できない。  
「……くぅぅぅ……はぁ」  
声を殺そうと息を止めているが、次第それが出来なくなってきている。  
ぼくは「大丈夫?」と声をかけて腰の動きを止めると「だ、大、丈夫、です」と辛そうに答えた。  
意を決して、ぼくは彼女の肩に手を当て、身体を動かないように固定して、一思いに一息に、貫いた。  
「く……はあっ!…………っっ!!!!」  
シーツを力の限り握り締めている少女の口を塞ぐ。  
最初こそ少しずつゆっくりと動かすのがやっとだったが、何度か抜き差しする間に僅かにだがすべりが良くなってきた。  
ただ、時折愛撫をするのだが苦悶の表情は一向に消えない。  
「ん……はぁ……くぅう」  
いや、違う。コレは。  
徐々にだが媚声が、恍惚の表情が混じり始めていた。  
「と───」  
そこでぼくは一回目の精を吐き出す。  
「……あ……は……熱い…………」  
ぼくは、ベッドに倒れている彼女を繋がったまま抱き起こしてから、今度はぼくが下になる形でベッドに倒れる。騎乗位と呼ばれたりする姿勢だ。  
ぼくはそのまま動こうとせずにいると、子荻ちゃんはぼくの意図が分かったのか、忌々しく睨みつけてから、ゆっくりと上下に動き始めた。  
最初こそ羞恥によるものか、ぎこちなく、小さな動きではあったが、時間と共にそれは大胆かつ淫靡なものへと変化していき、  
「か…ふ──ふあーーーー」  
と、子荻ちゃんの肢体が、感極まったようにブルブルと振るえ、絶頂に達したことを知らせた。  
子荻ちゃんは、恍惚とした表情で失神してしまっている。  
 
「おーい、子荻ちゃん」  
「………………」  
「策師さん?」  
「………………」  
「淫乱女子高生?」  
「………………」  
聞こえちゃいない。死体に話しかけているが如き有様だった。寂しくなってくる。しかし、返事すらしていないが、全身がピクピクと痙攣していた。  
ぼくは、ぐったりとしたお人形さのようになった彼女の膣から一旦引き抜くと、一度出しているというのに今だ硬度を保っているソレを再びあてがった。  
ただし、今度は──  
「そ、そこ……うっ!」  
ぼくの狙いに気がついたのか、急に意識を取り戻した子荻ちゃんが抗議をするが、それを無視して一気に捻じ込んだ。  
「いいいいいいい!!!」  
少女の肢体は大きく弓反りになり、部屋中に悲鳴が響き渡った。  
防音とはいえ、廊下にまで声が聞こえているんじゃないかと思えるほどの絶叫。  
セマイ──というよりキツイ。  
キツイ──というよりイタイ。  
ツライ。あまりにもツライ。  
その感覚を堪えながら──ぼくはそんな声を聞きながら抽送を繰り返す。  
子荻ちゃんからは、苦悶の表情と苦痛の声しか聞こえてこない。  
ぼくの「止めて欲しいなら止めるけど?」という問いかけにも、彼女の耳には届いていないようだ。拡張もほぐしても無いから当然と言えば当然なのかな。  
などと思いつつ、一旦膣の方へと挿入すると一転して「……く……はぁぁぁん」と甘美な媚声を上げる。  
何度かピストン運動を繰り返してからもう一度菊座へと押し込んだ。  
「……あぁぁぁん……あふぅ」  
と、先ほどに比べれば抵抗は少ないが、それでもキツイ。  
抜いては差し替え、時には同じ場所へと差し込む、そんなピストン運動を不規則に繰り返すうちに、次第に苦痛の声が聞こえなくなってきた。  
「……ひあぁ……ううっ……あくぅっ……ああぁぁああぁああっ!!」  
ぼくは彼女が達したのを確認してから、それに合わせて2度目の精を後ろに吐き出した。  
さすがに連続で二発をしたぼくは、ベッドに倒れこむと子荻ちゃんが「くす」っと悪戯っぽく笑った。  
そしてイキナリ、前触れもなく、突然、急に、不意に、「パクリ」と音が聞こえた様な気がしたかと思え彼女はぼくのハイパー兵器を咥え込んだ。  
「く、くぅ──」  
多分、その瞬間ぼくは、かなりな避けない顔をしていたと思う。  
ネットリとした粘膜に包まれ、硬度を失いかけていたモノが再び堅くなり始めていた。  
子荻ちゃんは、ぼくの反応を確かめるように、ぼくの顔をチラチラと窺いながら、舌や口の動きを変化させていた。  
そんな彼女が愛しくて、髪を優しく愛撫する。  
「くっ……」  
時折、彼女の髪や、彼女の吐息が触れるたびに、背中にゾクゾクと何かが走った。  
「んむ……あむ……れろ……んむ……ぷはぁ」  
ブルブルと震えそうな腰を抑えながら、彼女の頭を押さえつけようとすると、彼女は  
「ああ、なるほど、やっぱりですね──」  
息継ぎをするように、ソレから口を離して彼女は言う。  
うっすらと、恍惚の笑みすら浮かべて。  
「おもったより気分の良いものですね──『人を弄ぶ』っていうのは」  
「……」  
それからぼくと子荻ちゃんは、何度も身体を合わせ、絶頂に達する、そんな淫靡な夜は夜明け直前まで続いた。  
 
「…………」  
何か長い夢を見ていた気がする。  
ただ、それは夢にしてやけに現実感があった。  
「学校の先生ね……」  
それも今は亡き澄百合学園、そしてそれに見覚えの在る故人達、(有)十三階段。  
「まさしく誠心誠意──」  
「戯言ですか?」  
「傑作だよ」  
はて、ぼくは今誰に突っ込みを入れたのだろうか?  
志人くんじゃあるまいし、誰も見てないところでの一人突っ込みは痛いものがある。  
改めて部屋を見回すが、ここはぼくの部屋で隣には誰もいない。  
狐も抱き枕も今は無い。  
そこでぼくは額にうっすらと残るほのかな暖かさに気が付いた。  
その感触に心当たりがあるのだが、中々思い出せない。  
まぁ、そのうち思い出せるだろうと割り切りぼくはクツを履いてドアを開けようとした所で、ドアは哀川さんが壊したままで、あける必要が無い事に気が付く。  
そのまま外へ一歩出ると、朝日がぼくの目に突き刺さる。  
朝陽、何時の時代も、何処の国も、魔を払うとされている聖なる光。  
そしてもう一つ、生命の象徴。  
上を見上げれば雲ひとつ無い晴天の青空が空一面に広がっている。  
今日も世界はこんなに平和なのだ。  
気分がいいので────  
 
無駄で目を見張るほどの脚の多いテーブル。  
目の前には全てがチタンで作られているナイフやフォーク。  
そして、背もたれが必要以上に壁へと伸びている無駄なイス。  
全てが無駄≠アれ以上の単語が見当たらない程、無駄であった。  
「──ああ。ぼくの質問からでしたっけ。  
赤音さんが登場したのはただ単に思いつきの問題でしたか?」  
彼は──黙って、首肯した。微笑むように、頷いた。  
それは実にあっさりした答えだった。  
「考えてみれば──赤音さんのことを《萩原子荻》と見間違えるのは無理が有りましたよね──背格好も顔も、そもそもそんな面白くなかった」  
やーい。やーい。ざまーみろ  
554は──きっと最初から全てを思いつきで書いていた。  
萩原子荻が幽体だということも。  
ことの真実も、真相も。  
そしてこの結果も。  
その上で書き込んでいた。  
思いつきで、書き込んでいた。  
いいだろう、それは悪いことじゃない。  
それは裏切りじゃない。  
萌えのないところに需要はない。  
供給のあるところに需要はない。  
ぼくだって──  
書き込むことを、覚えたのだから。  
それでは皆様。  
もうしばしの間だけ、お付き合い願います。  
こんな寂しい独り言─やめられません。  
始めの終わりに、戻りましょう。  
 
「きみも、西東天のことが本当は好きなんじゃないのかな?」  
554は、554 ◆/HshIoGij2は、いきなり、何の前触れもなく何の前置きもなく、ごく自然のようにごく必然のように、  
一つの迷いもなく一つの澱みもなく、刹那の躊躇もなく微塵の遠慮もなく、  
しかし別に高圧な風にでも特に倣岸な風にでもなく、見上げるように見下すように、  
すらりとさらりとまるで当たり前であるかのようにそう言ってのけた。  
ぼくは答える。  

: 120%">  
   ∧_∧  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  
  ( ´∀`)< オマエモナー  
  (    )  \_____  
  | | |  
  (__)_)  
 

《paroparo parospecial of GreenGreenGreen》is very very standard end.  
 
「で、俺が何でこんなチビと結婚しなきゃいけないんだよ」振り向けばそこには人類最速の殺人鬼が。  
「俺様はいーちゃんと以外は結婚する気は無いんだぞ」振り返ればそこには人類最終の橙なる種が。  
「うにぃ、僕様チャン、出番なさすぎ〜」「おい兄ちゃん、俺たちなんて出番すらないじゃねえか」そこには蒼き聖少女が、双子の人食いが──  
ER3に玖渚機関、四神一鏡、殺し名に呪い名、そして十三階段にチーム、世界の殆んどが初めて共同戦線をはってそこにいた。  
そこにいないのは人類最弱の戯言使いと人類最知の策師のみ。  
そして554氏はそんな彼らに向かってこう呟いた。  
「ハーレムエンド?」  
3方向からの6個の手による暴飲暴食《一食い》の爆音が戦争の開始の合図となった。  
 

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