「空気王(エアマスター)の二つ名を持つ阿良々木君の出番ね」
「そんな二つ名は持ちあわせてねえよ! ……ってか、どういう能力設定なんだ、その二つ名?」
「どんな状況、どんな場所であろうと、女性とふたりきりになるとエロい展開に持ち込んでしまう
程度の能力よ。もちろん、BGMは艶乱舞踏」
「空気をHな雰囲気にする能力とか嫌すぎだろ!? ガンパレネタとか微妙に古くてわかりづらいし!」
「でも、不思議と私と二人の時はその能力が発揮されないのはどうしてなのかしら?」
「お前と以外では常時発動してるような言い方をするな。ってか、僕にそんな能力は無い!」
「あら残念。これから発動してもらって、あんなことやこんなことをしようと思っていたのに」
「どんなことだよ……」
「まあでも、能力が無くて発動できないなら……発情してもらえば問題ないわよね」
「戦場ヶ原。ドヤ顔の所悪いんだが、あんまり上手いこと言えてないぞ」
「あらそう。ま、別にそれはどうでもいいのだけれど……阿良々木君?」
「なんだよ」
「手を繋ぎましょう」
「え?」
「……違うわね。手を、繋いでください……手を繋いでいただけませんか……」
「……やれやれ」
「手を、繋ぎなさい、阿良々木君」
「ま、結局そこに落ち着くわけだよな」
――その日は二人で手を繋いで帰った――