阿良々木姉妹の誤算  
 
昼間から夕方に差し掛かろうとする時間。  
在る駅前にて長い黒髪を持つ二人の少女が立っていた。  
「というわけで!あたしらファイヤーシスターズはっ!  
 最近女子中高生を悩ませているという痴漢を捕まえにきたのだった!」  
「火憐ちゃん、恥ずかしいし迷惑だから声は小さくしようよ」  
二人は普段着のジャージと浴衣ではなく栂の木二中の制服を着ていて  
目立ってはいるが何の変哲もない女子中学生だ。  
 
姉妹は人助けの依頼を別の中学校に通う女生徒から受けていた。  
そうして痴漢退治の解決法として自らをおとりにしようと考えて駅に赴いたのだった。  
普通警察に頼るべきというのは間違いない。  
しかし火憐の内にある無軌道極まりない正義感は直接の行動で表されていた。  
その無鉄砲さが人を助けているというのも確かなのだが。  
 
「それにおとりだから、痴漢に聞かれてたら意味ないよ」  
「おう!」  
わかったのかわかってないのか火燐の声はまだ大きいまま。  
使命感に燃える火燐を置いて月火は切符を二枚買う。  
火燐に一枚手渡して人がまばらな車両へと入っていった。  
作戦は簡単なもので姉妹が数メートルほど離れた所からそれとなく観察しあい  
ひっかかった痴漢を捕まえるといったものだ。  
このような作戦とも言えないものでも、痴漢程度を相手するのならば  
数々の修羅場をくぐり抜けたファイヤーシスターズにとって  
簡単なミッションだと言えよう。  
 
少なくとも火燐と月火はそう考えていた。  
だが次の駅に到着すると状況は一変する。  
数人の乗客が降りた後、姉妹のいる車両へとそれこそ吸い込まれるよう  
多数の人間が乗り込んできて二人は人の壁で隔たられてしまった。  
人口密度が増えた車両は都会の満員電車というほどではないが掻き分けて動くには難しい。  
上背がある火燐はまだしも、150cm半ばの月火では完全に埋もれてしまい  
火燐からは見えなくなってしまうほど。  
それはつまり周りの人間はみな平均程度の身長を持つ男性ばかりだということだ。  
 
(うう、こんなに狭いの)  
満員電車の経験がない月火はぎゅうっと人に挟まれ押し潰されそうだ。  
それでも数分以上耐えているとガタンと電車が揺れて突然お尻に嫌な感触が走った。  
(!?)  
慌てて首を曲げ後ろを見ると、背を向けたスーツが見えるだけ。  
(むむ、偶然かな?)  
電車が揺れた拍子に何かが触れただけでこうも早くおとりに  
ひっかかるはずがないかと月火は考えた。  
だがそんな風に思った瞬間、正面にいた男がコンビニでペットボトルでも  
手に取るかのよう、リボンで飾られた制服の胸を掴んだ。  
 
(……!)  
悪寒が胸から広がって驚きに声も出ない。  
無遠慮に触ってくる男を見上げると薄ら笑いを浮かべている。  
(このっ……!)  
一瞬の驚きから覚め、各種ポケットに入った千枚通しその他の暗器を取り出そうとする。  
だがあっさりと両腕を掴まれ止められた。  
それも左右にいた男二人にだ。  
こんどこそ月火は驚愕で固まった。  
痴漢を捕まえようとしたら、周り全部が痴漢の仲間だったのだ。  
 
「へへへ、来るのわかってたぜ」  
前にいる男がいやらしく笑いながら胸をまさぐってきて  
月火は気持ち悪さとおとり捜査を知られていた事で唇を噛んだ。  
「なんで知って……!」  
「色々知ってるぜ。ファイヤーシスターズって名乗ってるのも、人助けをしてるのもな」  
そう言って笑う男の言葉を聞けば、誰だってカラクリがわかる。  
(痴漢退治の依頼そのものが罠―――!)  
 
「ほらよ」  
男達に引っ張られていくと、火燐も捕まっていた。  
悔しそうな表情をして、手を後ろに回されている。  
月火からは見えないが用意周到にも手錠で繋がれているのだった。  
得意の足技も密集した男に囲まれ、左右の男が後ろから脚を押さえていては発揮できない。  
腕力だって数人以上の男に打ち勝てるほどは強くはない。  
「火燐ちゃん!」  
「すまねえ月火ちゃんしくじった……」  
「私もごめん……」  
あやまる二人だがまさか予想できるはずもなかっただろう。依頼人に騙されるだなんて。  
 
そこへ依頼人である別中学の制服を着た少女が男の群れから押し出された。  
その姿には姉妹は驚き目を見開く。  
あろうことか、痴漢達に身体をまさぐられているにも関わらず楽しそうに笑っているのだ。  
「悪いね、阿良々木さん」  
ろくに気持ちの篭ってない謝罪には嘲りが込められていて。  
「どうしてこんな事を!?」  
月火の糾弾もどこ吹く風に軽薄な答えを返してくる。  
「この人達さー凄い上手いのに、誰か痴漢させてくれるコ連れてこないと  
 触ってくれないって言うんだよね。  
 あんた達可愛いし、頼めば色々聞いてくれるっていうからさ」  
 
罠にかけたのに全く悪びれていない様子に月火は開いた口が閉じれなかった。  
「ほんと上手いからさ、楽しんでいってよ」  
少女は引っ張られて男達の間に埋もれていく。  
「へへっー 久しぶり。あん……わかってるって最初はしごけばいいんでしょ」  
聞こえてくる嬉しそうな声に月火は顔を赤らめて、火燐は身をぎゅっと固める。  
 
「じゃあお楽しみの時間だ」  
取り囲む男達が好色に目をぎらつかせ姉妹を見ている。  
電車の一車両を埋め尽くそうとする男達全員が痴漢なのだ。  
ファイヤーシスターズに痴漢をするため集まったのだ。  
「待てっ、あたしは好きにしていいから月火ちゃんには手を出すな」  
「へー、妹の身代わりってか。泣かせるじゃねえか」  
痴漢もノリノリだ。  
 
「火燐ちゃん、そんなのダメ!」  
姉のほうへ近づこうとする月火は痴漢に拘束されて動けない。  
「悔しいけど、今のあたしにゃ手が残ってねー。  
 だったら頑丈なあたしが引き受けるまでさ。  
 …………それに、兄ちゃんがいたら同じ事言ってるに違いねえ」  
痴漢被害の代わりは兄も痴漢も御免だろうが、気分の問題なのだろう。  
火憐も月火も真剣だ。  
「……それは、でも、そんな事言われても納得できないよ!」  
電車の揺れにも負けないぐらい暴れようとするが痴漢の手は緩まない。だがしかし  
 
「わかった、わかった。俺達も痴漢はするけど鬼や悪魔じゃないんだ。聞いてやるよ」  
火燐の後ろにいた痴漢の一人が告げると、周りの痴漢達は何を言うのかと色めき立つ。  
多種多様な格好と年齢の痴漢達は今日のために綿密な計画とスケジュールを立てている。  
新しい中学生女子の、しかも可愛い姉妹に痴漢できるかと思うと  
夜も眠れず、朝早く起きてしまい、大学はさぼり、会社は有給。  
触る順番とポジ決めで喧嘩したりしながらも、迎えた今日という日なのだ。  
姉だけではなく妹も触りたい。そう痴漢フリーク達が思うのは無理もないだろう。  
 
ちなみに一番の人気ポジションは正統派ながら女の子の背後。  
顔は相手から見られにくくも、さりげなく尻を触れて  
少し手を伸ばせば股間に届き、揺れに合わせて背後から抱きつくのも  
密着しながら胸を揉みしだくのも可能の好位置だ。  
 
「ただし条件がある。火燐が俺達に触られて  
 一回もイカなかったら、月火には手を出さないでやる」  
「そんなんでいいのか?」  
火燐は拍子抜けしたようだ。  
ただ周りの痴漢達は自信があるのかそれを聞いて安心している。  
「どうせ我慢できないから諦めたほうがいいぜ」  
火燐の背後にいた男は胸にいやらしく手を這わせながら囁いた。  
「へんっ!お前らになんかされたからって感じるわけねーだろ!」  
「そう言って俺達を独り占めしたいのか」  
「どういう意味だよ」  
意味がわからない火燐は眉を顰めた。  
「お前ノーブラじゃん。触れって言ってるようなもんだろ」  
男の手で歪む火燐の胸は薄い制服以外になんの遮蔽物がないのが見てとれた。  
 
「えっ、火燐ちゃんどうして……」  
暴れていた月火だが、ノーブラと聞いて動きを止める。  
「いや、だって、その、月火ちゃんがおとり捜査だから  
 隙を作っといたほうがいいよって言うから………………  
 とりあえずブラジャー脱いできた」  
「……!?」  
「あとパンツも一応。流石に履いてないのは恥ずかしいし、  
 逆立ちもできないしさ、気になって集中できなかったぜ。  
 でも、涼しくてちょっとだけ気持ちよくなってきたかもなー」  
「隙ってそういう意味じゃないわよ!馬鹿ー!!!」  
 
笑う火燐に思わずどなってしまう月火。周りの痴漢達も  
「胸しか触ってないから気づかなかった……」  
「おい栂の木中ってわりと頭いいとこだよな」  
「なんで、こいつ入れたんだ?」  
「こやつめハハハ」  
などと囁き合っていた。  
「痴女か」「痴女だな」「痴女はちょっと……」  
幾人かが火燐から月火のほうに寄ってくる。  
服や下着越しに身体を見たり触ったりしたい。  
最初から脱いでたり受け入れてほしくない。  
そんな趣味嗜好が痴漢達にあるのは当然の事だ。  
 
「なんか微妙に萎えるが始めるぞ」  
火燐の背後の男が両手で火燐に触れはじめる。  
「来るならこい!あたしは痴漢なんかに負けたりしない!」  
「火燐ちゃん!フラグっぽいからもう言わないでっ!」  
「安心しろ月火ちゃん。あたし最大の弱点である両乳首を後ろから同時こねくり  
 されたりしない限り絶対にイカないぜ!」  
「だから喋るなって言っとるんじゃー!!!」  
キレた怒鳴り声が車両内に虚しく響き渡った。  
 
「らめえぇぇえぇえっぇぇっっっ?」  
「私の姉がこんなに馬鹿なわけがない……私の姉がこんなに馬鹿なわけがない……」  
レイプ目で呟く月火はすでにいっぱいいっぱいだ。  
当の火憐もきゅきゅきゅきゅっと制服越しに乳首をこねくりまわされて  
数行でイカされてしまっていた。  
指の腹に乳首が潰されるたび、がくがくと脚が生まれ立ての  
小鹿のように震えていて、顔も湯気が出そうなぐらいトロトロのポヤポヤになっていて  
痴漢には勝てなかったよ……と言わんばかりの即堕ちっぷりだ。  
「じゃあ月火ちゃんの番だ」  
「うう……火憐ちゃんに庇われるだけなのもやだけど、なんだか納得いかない……」  
 
 
「気持ちよくしてやっからよ」  
「うるさい!触るんじゃない!」  
拒絶も痴漢達に囲まれている状況では喜ばせるだけだ。  
「やっ……!」  
ぴとりとスカート越しに背後から男の手の平がお尻へと触れる。  
唇を噛み締めて耐える月火へと左右の痴漢が太ももに手を這わせた。  
脚をまさぐられるとスカートが腕の動きで捲り上げられて  
痴漢達の視線が集中するのを感じる。  
電車内の、衆人環視内で触られてしまうと、月火は被害者にも関わらず  
自分が悪い事をしているような気になるほど恥ずかしかった。  
 
「その表情萌えるねー」  
不安げな月火の胸を揉みしだきながら、前の痴漢が軽薄そうに呟く。  
「髪綺麗だなー」  
そうして月火の髪に顔を近づけて匂いを嗅ごうとした瞬間  
どごっと頭突きが鼻へと突き刺さる。  
「んごっ」  
鼻を抑えて痛みに悶える痴漢。  
「調子にのるな!」  
唯一動かせる頭で逆襲する月火。  
悪戯をされながらも諦めてはいないし、ちょっとやそっとじゃへこたれないのだ。  
痴漢の手によって姉が即堕ちしたのはちょっとやそっとじゃない出来事だけれど。  
 
「んぐぐっ……」  
痴漢は頭突きを食らって月火への怒りで瞳をギラつかせた。  
「……やっべ中二女子に頭突きしてもらった……もっとしてくれよー」  
否、喜びで瞳を光らせたのだ。  
周りの痴漢も幾人かが羨ましそうに頭突きされた痴漢を見ている。  
「えっ、えっ……?」  
「もっと触るからさー強烈なの頼むわー。いやお願いします!!」  
痴漢が弱すぎず強すぎない力で月火の胸に手を当てた。  
手のひらに収まるサイズの胸がブラごと歪められる月火。  
気持ちよくなんてなる訳がないが痛くもない刺激に襲われる。  
嫌悪感は変わらないのだが、痴漢の反応に混乱していた。  
 
「うわ、へ、変態……」  
そういう知識はないでもないが、頭突きをされて喜ぶ人間がいるだなんて  
想像ができたはずもない。  
まさか痴漢側に抵抗される事込みで、むしろ抵抗してほしい痴漢っていうか  
別系統の変態がいただなんて。  
そのため前ポジションを確保していただなんて思いつくはずもない。  
「ああ、もっと言って……」  
変態と呼ばれてきゅんっとときめく頭突かれた変態。羨ましがる周りのM系変態。  
痴漢が髪に顔を近づけた所で、月火は嫌悪感を上乗せた頭突きをぶち当てる。  
 
「ふごぅっ……!」  
今度はぷしゅっと鼻血を噴出しのけぞる。  
「近寄るな!この……!」「変態!!」「変態!!」「変態!!」「変態!!」  
痴漢に頼まれたからというわけでもないが  
激情と共に一言一言区切って強調して目の前の変態を罵倒する月火。  
「ありがとうございます……!」  
頭突かれた変態は恍惚の表情でビクンビクンと身体を震わせてノックダウン。  
中学生少女に罵倒され頭突きをされる事で絶頂を迎えてしまった。  
とりあえず変態はそのまま端っこのほうに引きずられ放置される。  
「はあ、はあ、はあ、はあ……」  
「やるじゃねえか。一人目をこんなにも早くイカせるとはな。では次だ」  
混乱と罵倒で荒く息を吐く月火に後ろの痴漢が二人目を促した。  
「金玉握りつぶしてください!」  
「ううう……もういやあ……」  
まだまだ変態はいるようだった。  
 
 
月火から離れた距離にいる火憐は後ろ手に手錠をかけられた状態で立ったまま  
周りの痴漢に好きなよう身体を弄ばれていた。  
いきなり陥落してしまった身体はあまりにも早く痴漢の愛撫に順応してしまい  
愛撫によって紅潮した乳房が捲り上げられた制服から大きく露出している。  
そうして背後から右胸の乳首をこねくりまわされ  
前からは左胸を鷲掴みにされてじっとり時間をかけてほぐされていた。  
横の痴漢はスカートの中へ大胆に手をつっこみ  
秘裂の入り口をぐちゃぐちゃとかき混ぜている。  
「あぁあぁっ……ちくしょっ……!んっ、あふぅっ……」  
(ごめん月火ちゃん……あたしがうっかりミスったばかりに……!)  
そもそもうっかりどころではないミスだが、そんな思考も快楽に溶かされて  
漏れる言葉は喘ぎへと変換される。  
 
「中学生のくせ、こんなに感じやがって」  
笑いながら前の男が喘ぐ火憐の顔を引き寄せて無理矢理キスをした。  
「んむぅぅっっ……!」  
首を振ろうとするが、しっかり抑えられて動かせない。  
全身を襲う快感で息苦しいぐらいなのに  
厚い唇で口を完全に塞がれて肺の中まで吸い出される。  
じゅぽっと唇が離れる頃には流石の火憐も酸欠になりそうだ。  
(うあっ……兄ちゃんとしかちゅーしたことないのに…………!)  
それはそれで普通じゃない経験とはいえ、キスという行為を大切に思っていたのだろう  
火憐は襲い来る痴漢の口付けに涙を流す。  
 
「俺にもやらせろよ」  
今度は横にいる痴漢が火憐を振り向かせると口内に舌を忍ばせてくる。  
「…………!!」  
そこは反撃しようと顎に力を入れようとした瞬間  
「んあぅっ……!」  
くぐもった甲高い喘ぎが零れた。  
 
タイミングを計ったかのよう、別の痴漢が剥き出しになっている秘部へと  
指を突き入れたのだ。  
「あふっ……!んんんっぅ……!!!」  
腹の内を弄られると力が入らずに口内を舌で言いように犯される。  
侵入してくるものから舌を縮めて逃げようとするが、痴漢の舌は長く  
簡単に捕まって絡み取られてしまう。  
 
「んっ……んぶっ、やぁっ……んじゅるっ……!」  
ぐじゅぐじゅと濡れた音を響かせ思う存分  
火憐の口内をねぶってからようやく痴漢が離れたかと思えば  
「いやらしい顔しやがって」  
次から次へと男達が群がってきて、甘酸っぱい柑橘の果実を  
齧り付き吸い出して、好き放題にしゃぶられてしまう。  
 
(こんな奴らに……!くやしい……!)  
火憐が何を思っていても、キスは止まらず何人としたかもわからないまま続けられる。  
下手なキス、乱暴なキス、上手いキス、優しいキスと望まぬ接吻を強要された。  
抵抗しようとしても、その度に全身を数えられないほどの手でまさぐられて  
力も意思もどこかへと抜けていってしまう。  
   
それが何人目の痴漢になった頃だろうか。  
唾液を飲まれ飲み込まされて交換して、脇腹を愛撫されなからも胸を強く揉みしだかれ  
幾つもの責めを受けているさなか、火憐の反応が変わってきている事に痴漢が気づいた。  
目を瞑って耐えている火憐が、時折堪えきれないのか喘いた拍子に  
痴漢の舌に応えるかのよう触れ合っている事を。  
男がキスを止めて火憐をじっと見つめ軽薄に聞いた。  
 
「火憐ちゃんさー、口の中弱いでしょ」  
「なっ……!あたしはそんなの……!」  
否定する火憐だが紅潮した頬は説得力に欠けていて  
「無理しなくていいって」  
「あっ、んあっ、んぶっぶっ……!」  
野太い指が無遠慮に唇を割り開き、口内に侵入する。  
「ちょっと弄ってやれば…………ほらトロトロじゃん」  
「んーんんぅ……んふうううんっ……」  
健康的なピンク色の舌を摘まれイジられると、何人もの男に貪られたためか  
あっという間に口内から甘く粘っこい涎が湧き出てしまう。  
 
(兄ちゃんに、歯磨き……され、てる時みたい……!)  
「あぅ、んんぅっ……!は、あっ、んんっ……!」  
そんな事はあるはずないと否定したいのに、疼きは止められず顎には力が入らない。  
口の中に指が入ってると思うだけで、胸が高鳴り歓迎するように涎を分泌してしまう。  
それこそ暦にされているとでも、身体が勘違いしているかのように。  
 
「んんっ!んー、んぁー……!」  
弾力ある舌が指で引っ張り出された。  
箸に摘まれた上質の肉が痴漢達に晒された。  
大きく開かされた口は、舌の根元が浸かるほどに透明の涎が溜まっているのがわかった。  
(あ、いや、やだ……)  
裸を誰に見られてもあまり気にしない火憐なのに  
腔内を男たちに覗き込まれて強い羞恥を覚えた。  
脳裏には暦の顔がよぎって、兄以外の手で気持ちよくされるという  
後ろめたい感情を覚えてしまう。  
 
「歯が綺麗だ」  
「泣いちゃって可愛いねー」  
「お前ばっかり火憐ちゃんの口触ってんなよ。俺にもやらせろよ」  
「俺も入れたい」  
「俺も俺も」  
男達が軽口を叩きながらも、火憐の口元へ魔手を伸ばす。  
「んーっ!?んふううぅぅんっっ……!」  
親指が、小指が、人差し指が、痴漢達の幾つもの指が、トロトロに濡れている舌へと  
口蓋垂を覗かせる腔内へとゆっくりと侵入していく。  
火憐は目を見開いたまま、文字通り指を咥えて見つめることしかできなかった。  
 
 
終了  

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