しのぶソリチュード  
 
儂は独りじっとしとった。  
廃墟の地べたで丸くなり膝を抱えておった。  
朝からずっとそうしておったのじゃ。  
別に楽しいからそうしておるわけではない。  
出歩けば余計なエネルギーを使ってしまうからじゃ。  
だから朝から夜になるまでただじっとしておる。  
何もせずに座っておるのはしんどいように思えるかもしれぬ。  
だがここは前にいた塾跡にも似ておって、儂からすれば慣れたものじゃった。  
 
ただ何も考えず、夜が来るのを待つ。  
儂が前いた廃塾の……なんという塾じゃったか忘れたが  
そこであるじ様を待っておった時も、このような気分だったかもしれぬ。  
あ、いやいや……別に待ってはおらんかった。  
あの時のあるじ様は血を吸われに来ておっただけじゃし。  
どうしてもと言うから血を吸ってやってるだけじゃ。  
あっちからお招きいただきありがとうございますと言うべきじゃ。  
 
……っていうか儂、結構色々考えておったの。  
前言撤回じゃ。  
何か考えたりしながら夜が来るのを待っておった。  
そうして太陽の奴が沈んで月が顔を出す頃、儂の耳に物音が届いた。  
足音じゃ。入り口から迷いなく儂の所へと向かっておる。  
ほどなくして現れたのは特にどうともしない  
そこらに幾らでも転がっておるような男じゃった。  
見目がよいとも悪いともつかぬ平凡な奴じゃ。  
もう一週間ほど顔を合わせておるというのに、つい顔を忘れてしまいそうになるわ。  
名前はなんじゃったかのう。聞いた気もするが忘れた。  
歳もよくわからぬが……三十路前後と言ったとこじゃろう。  
あるじ様が高校生なので大体一回りぐらいは上じゃと思う。  
儂からすれば五十回りは下の小童じゃがな。  
此奴は走ってきて息を荒げながら話しかけてきた。  
 
「ごめん遅れた。待ってたでしょ」  
別に待っておらんわい。  
「お詫びってわけじゃないけどこれ」  
スポーツバッグからコンビニのおにぎりやらペットボトルを取り出しおる。  
儂は無表情のまま顔を背けた。  
愛想なぞ振舞ってやる必要なぞない。  
儂は吸血鬼じゃから、こんなものはエネルギーにならぬ。  
人間の栄養なぞ必要ないのじゃ。  
「食べないか……」  
しょんぼりとする。儂は拾った犬じゃないのじゃぞ。  
 
そうしてバッグに食べ物を入れながら、儂のほうをチラチラと見ておる。  
不躾じゃが、それぐらいは許してやろう。  
儂はそりゃあ可愛いからのう。  
今は少女というか幼女の姿じゃが我ながらたいしたものじゃ。  
太陽なぞにも負けないほど輝いて、ふわふわと柔らかい金髪。  
千の画家にも描けない美貌。万の彫刻でも敵わない完璧なスタイル。  
……八歳相応じゃがの。  
だが完全体の儂だったらならば超綺麗で超美人じゃし。  
もしも儂がモデル界におれば世界一、いや宇宙一になっておるのは間違いない。  
つまり今の儂でも世界一は楽勝なぐらい可愛いというわけじゃ。  
 
「味はわかるんだよね?」  
むぅ、しつこい奴じゃ。いらぬと言っておるのに。  
喋ってはおらんけど態度でわかりそうなものじゃ。  
毎度袖にしておるのに、此奴はしつこいのう。  
とりあえずくわぁっと歯を剥き出しにして威嚇しておく。  
「ひぃっ……」  
ふん、ビビリおって。  
まあ食い物を食べるのは構わん。味だってわかる。  
じゃが、今は食いたくないのじゃ。  
 
儂は催促するため、じぃっと睨みつけた。  
「あ、うん。わかってる」  
奴はズボンのベルトを緩め始める。  
ズボンを下ろして下着を脱いで、一物をさらけだす。  
そこは幼女の姿である儂を前にしておるというのに、張り詰めておった。  
儂は屈んでそれを手で握り顔を近づける。  
舌で触れて先端を咥え込んだ。  
「ぅわっ熱っ……」  
気持ちよさそうに呻き声をあげおる。  
この行為が儂が今、生き延びるために必要なことじゃった。  
 
 
儂がこのような所におって、そうするようになったのは短い話じゃ。  
色々あったとも言えるが、要するにあるじ様と過ごせなくなった。  
それだけじゃ。  
このまま一緒にいれば共倒れしてしまいかねない。  
いや絶対にしてしまうだろう状態じゃった。  
二人まとめて死んでしまう。  
だが儂さえいなくなればあるじ様に害は及ばぬじゃろう。  
そう判断し、我があるじ様の力が残っておるうちに黙って飛び出した。  
 
文字通りの意味じゃ。  
そこから離れるつもりでひとっ飛びでジャンプして幾つかの山と森を越えた。  
そうして辿り着いたのはここじゃ。  
同じ日本であるのは間違いないのじゃが、地名なぞ知らんのでどこかわからぬ。  
そもそも前いた場所も知らんしの。  
そうしてあるじ様と別れ儂は死ぬつもりじゃった。  
後顧の憂いを断つにはそれが手っ取り早い。  
あるじ様の傍におれぬのならわざわざ生きる意味もない。  
何週間もそこでじっとしておった。  
あるじ様とのリンクがほとんど消えておる状態じゃのに長かった。  
エネルギーは確実に減り続けて、いよいよ危ないじゃろう時。  
儂の悪癖が出てしまいおった。  
 
死にたくなくなったのじゃ。  
何百年も生きておるのに死ぬのが怖くなったのじゃ。  
エネルギーが減っていき少しずつ儂の何かが消えていく。  
そんな感覚が怖くなってしまったのじゃ。  
儂はズルズル地面を這い進んだ。  
ワンピースが黒く汚れ、尖りで破れておったようじゃが気にならんかった。  
気にできんかった。  
たいした距離は進めんかったはずじゃ。  
廃墟は出ておらんかったし。  
泣きそうじゃった。  
ぶっちゃけ泣いておった。  
声をあげて死にたくないとかあるじ様とかなんとか…………  
ふん、そんな事はどうでもいいのじゃい。  
儂は死に掛けておった。  
 
そこへ男が現れおったのだ。  
昼間とはいえ、廃墟で泣いてる儂は酷く怪しい存在だと思うのじゃが寄ってきた。  
「ど、ど、どうしたんだい?」  
と、どもりながらも聞いてきおった。  
今思えば儂は泣けるぐらいの余裕はあったのじゃろう。  
ただ最大容量が大きすぎて、少なくなったエネルギーが怖かったのじゃ。  
すぐに儂はエネルギーの供給法を思いついた。  
 
儂は吸血鬼じゃから血を栄養にするが、あるじ様以外からは吸えぬようなっておる。  
そのように縛られており、人を襲う事もできん。  
なので人がいても栄養にはできぬ。  
だから儂が思いついたのは血の代わりに男の精をエネルギーにする方法じゃった。  
実際できるかはわからんかったが結果は成功じゃ。  
流石儂じゃ。ウルトラCじゃった。  
精をよこせと脅しつけてやると奴め、腰を抜かしてされるがままじゃ。  
とはいえ精液は超マズかった。苦い、生臭い。  
まるで生暖かい鼻水でも飲んでるかのようじゃ。  
まあ儂は吸血鬼じゃから鼻水出らんので想像じゃがのう。  
儂は人間の生理現象なぞには囚われん。  
吸血鬼はおならもウンコもしないんじゃい。  
 
む、そのような話ではなかったの。  
話を戻そう。  
マズいとはいえ子種と言うだけはある。  
あるじ様の血とは比べるべくもないエネルギーじゃが0.1%以下の回復はできた。  
少なく見えるかもしれんが、儂の容量ならそれだけでも大したものじゃ。  
干上がった湖にバケツで水を注ぐようなもんじゃし。  
ここで海と比喩しないのが儂の奥ゆかしいとこじゃな。  
ともかく此奴にここへ来るよう脅しつけて、精液を絞っておるのじゃった。  
………………ただ儂、キスした事もないんじゃよね。  
あるじ様ともしておらんし。  
初キスが此奴のチンコというのはわりと、ちょっとばかし辛いものが…………  
 
ま、まあそれは置いといてじゃ。  
説明してるうちに此奴は出るとか言いながら口の中で達しおった。  
始めは無我夢中じゃったが、数をこなして儂も慣れたもの。  
溜めた唾液で汁を包みこみ味わぬようにする。  
それでも味がちょっと残るので顔を顰めてしまうんじゃがな。  
他の男はどうなのか知らぬが、此奴の精液は糊みたいじゃ。  
しかも結構な量じゃ。  
一週間ほど儂が吸い取っておるのに一行に衰えぬ。  
玉袋はポテっと膨らんでおるし、一物も大きくて口をいっぱいに開けないと咥えきれんし。  
唾液で包み込めてるうちに儂は必死で飲み込んだ。  
 
んぅっ、はぁっ わりときつかったのじゃ。  
ただエネルギーはそのぶん多めに回復したのう。  
「気持ちよかったよ忍ちゃん」  
ちゃんはやめい。ちゃんは。  
幼女の儂にこれだけ出しおってこのロリコンめ。  
儂は無視して、涎とか精液でグチャグチャになっておる一物を握った。  
む……匂いがきついぞ。  
此奴め走ってきておって汗だくだったのじゃ。  
先ほどはエネルギーの心配もあったから気にならんかったのじゃが。  
ちょっと儂が躊躇しておったら  
「拭くから」  
と、濡れティッシュで吹き始めたのじゃ。  
先にやっておれよ。ふん。  
 
少しばかり萎えておるようじゃが、此奴はまだ余裕があるはずじゃ。  
ちょいと刺激すれば復活するじゃろう。  
「俺、忍ちゃんの声聞きたいな。興奮してすぐ大きくなるかも」  
だというのに条件なんぞつけおった。  
うぬなぞに儂の声を聞かせてやる義理なぞないのじゃ。  
ぷいっと儂は横を向く。  
「初めて会った時みたいに、お願いちょうだいとか言ってくれると……」  
儂はパンチした。吸血鬼パンチじゃ。連打じゃ。  
これぐらいの攻撃はできるわい。  
「ご、ごめん。すぐ勃たせるから」  
ぬう、制限付きのパンチでは腹パンしてもダメージも与えられぬ。  
なにがお願いちょうだいじゃよ。まったく出鱈目を言いおって。  
 
……………………その……なんじゃ。  
あの時はちょっと死にそうで心が弱っておった。  
だから少しぐらい儚げで可愛げな感じだったのも致し方ないのじゃい。  
此奴に吸血鬼である事と名前を教えたら、いきなり忍ちゃん呼ばわりだしのう。  
大体それを聞いてすぐ  
「吸血鬼!?もしかして血が怖いから代わりに精液じゃないとダメだとか!」  
などと、興奮して的外れな事を言うのはどうかと思うのじゃ。  
身も知らぬ幼女相手にノリノリ過ぎるのじゃ。  
全くもってゆとりじゃ。ゲーム脳じゃ。エロ漫画の見過ぎじゃ。  
儂の思いつきも、あんまり変わらん気がするのが悲しいんじゃが。  
 
と、まあそのような流れで儂が吸血鬼というのにも疑問を持たなかったようじゃった。  
牙あるし、爪伸ばしたり縮めたりと証拠はあるしの。  
儂はその後黙っておったが、此奴が色々と聞いてくるので  
頷いたり首を振ったりしとった。  
安堵は人を素直にさせるのじゃな。儂は鬼じゃが。  
ちなみに此奴がなんでここに来たかというと、廃墟が好きだから巡っているとか。  
わかるようなわからんような趣味じゃが、死にそうじゃった儂なので何も言えん。  
そうこうしてる内に一物を拭き終えたようじゃ。  
楽しいとは思わぬがエネルギーの補給は必要なので儂はスタンバる。  
「忍ちゃん、精液まずいよね?」  
言うまでもない。何でもいいから出すのじゃ。  
「これでちょっとはマシになると思うんだけど」  
バッグからなんか取り出しおった。……蜂蜜じゃと。  
太い瓶に入っておるそれの蓋を開けおって  
「これを塗ってやってみたらどうかな?」  
儂に差し出した。  
 
むぅ、確かに舐めやすくはなるかもしれんのう。  
これも最初からやっておれよ。  
蜂蜜の瓶を奪い取った。  
何を嬉しそうな顔をしておるのじゃ。ふん。  
すくって舐めてみると…………ってなんじゃこれー  
やべー 超うまいのじゃ!  
甘く濃厚な味わいじゃのに、しつこくなく幾らでも食べれそうじゃ。  
舐めておれば、口の中でシャッキリポンと踊ったりは……  
うん、流石にせぬけど甘露甘露と笑いたくなる気分じゃ。  
 
ついつい儂はクマのプーさんのように手首まで瓶に入れてすくっておった。  
しばし食べた後、儂はハッと気づいて奴を見るとニヤニヤしておる。  
むぅ、儂は上目遣いに睨みつけるが笑っておるだけじゃ。  
「ごめんごめん。でも美味しいでしょ?」  
……まあよいわ。  
儂は瓶を傾け一物へ、でろーっと金色の蜜をかけた。  
「んひゃっ」  
蜂蜜を指で扱くように広げると変な声をあげおる。  
当然じゃがネチャネチャしおって滑りがよい。  
 
口いっぱいに咥えてたっぷりと吸い上げる。  
うむ、甘くておいしいぞ。  
普段は雄臭いのじゃが蜂蜜のおかげで匂いも甘い。  
儂は蜂蜜と一物を同時に吸ってやる。  
「うわ……さっきより気持ちいいよ……」  
情けない声を出しおって。  
儂が恥を忍んでやっておるのじゃ。気持ちよいに決まっておるわ。  
 
儂は顔を傾けたり、口を離して横から舐めたりしとった。  
味が無くなってくれば奴が垂らしてくる。  
まあまあのコンビネーションじゃな。  
今度は玉袋まで垂れたのを袋ごとしゃぶってやるとまた変な声をあげよる。  
汗だか塩味を感じるのも蜂蜜の甘さにはちょうどよいかもしれぬ。  
ただ、なんじゃろうか?  
いつもはまずいばっかりなのじゃけど、蜂蜜のせいかちと変な気分じゃ。  
 
吸血鬼にとって吸血というのは、アレじゃ。  
エロい事と似ておるというか、それに順ずるものがあったりするんじゃ。  
別に儂は生きるためこれをやっておるだけなのじゃが、一物を吸っておるのは  
なんだか吸血とちっとだけ似ておる気がするのう。  
味は全然違うのじゃが、甘く体が潤ってくるような気分じゃ…………  
此奴も息を吐き出して気持ちよさそうで。  
あるじ様の首から血を吸っていた時もこんな風に吐息が耳に当たって。  
「忍ちゃん……凄い気持ちいい……」  
呼ばれ見上げると此奴と目があった。  
何故かわからぬが、儂は顔がかぁっと熱くなる。  
 
…………今の儂、もしかしてとってもエロいんじゃなかろうか。  
 
ええいっ……!  
儂は頭がかっかしてくるのを無視し行為に没頭した。  
強く吸うとぶっぼっとかぐっじゅっとか響くのが恥ずかしいぞ。  
ただ此奴のほうも気持ちがよいのじゃろう、掴んだ足が震えておる。  
儂は唇をきゅっと締め付けたまま早く激しく顔をふった。  
そうすると一物が口の中で変な風に動いておるのがわかる。  
出す合図じゃ。  
儂は咥えたまま蜂蜜で受け止める準備をした。  
 
「出るよっ……!」  
宣言と同時に蜂蜜に負けない量の子種。  
苦味と甘みが混ざり合うようじゃ。  
だが不快ではない。  
苦くてまずいはずじゃのに、不思議とそうは感じなかったのじゃ。  
トロトロとドロドロを口の中で混ぜて味わうと  
精気が蜂蜜と一緒に舌の上で踊っておるのわかる。  
飲み下すと、内からエネルギーに変わっていくのが実感すらできたのじゃ。  
塊が肺腑に染みこんできて熱い。  
エネルギーは全然足らぬのに、何でもできそうな気がして儂は笑いたくなる。  
 
「いちど、は……なれてっ!」  
達した後の一物から口を離さず、ずずずずっと音がするぐらい吸っておった。  
汁を一滴足りとも零さないようにでもするかのように。  
蜂蜜の甘みはもう舌に残っておらぬのにじゃ。  
此奴の制止を無視して、いや聞かずに穴を舌でほじくりかえした。  
「あっ、あっあっ……!」  
そうすると此奴は悲鳴を上げて、またドバッと出しおった。  
今度はドロドロだけなのに苦いとは思わずに儂は吸い尽くした。  
飲み干してエネルギーもまた溜まっておる。けれど足らぬ。  
興に乗ってふにゃふにゃになった一物を舌で弄んでやった。  
腰が引けている此奴の尻を抑え逃げれないようにしてやる。  
 
そうしようとした所で、儂の髪に此奴の手が当てられた。  
儂を引き剥がそうとしたのか、それとももっとして欲しいと思ったのか。  
どちらにしても撫でるとも言えないその行為に、儂は此奴から飛び離れた。  
 
「し、忍ちゃんっ……?」  
頭はまだ熱い。胸に手を当てるとなんじゃろう。  
酷く鼓動が高鳴っておって、まるで子種に酔ってしまったかのようじゃ。  
儂は我を無くしておったのにたった今気づいた。  
吸精はエネルギー確保のためだけなのに  
それ以外の何かを儂が求めていたのに気づいた。  
むぅ、これでは儂がエロいこと大好きみたいではないか……  
吸血鬼にサキュバスのような面があるのも否定できぬが。  
 
「やばい……死にそうなぐらい気持ちよすぎた……」  
此奴を見ると儂から連続で吸い出されたせいじゃろう。  
座り込んで息を荒らげておった。  
儂が途中で吸精を止めた理由も気づいてないようじゃった。  
自分でも不思議じゃ。  
たったあれだけであるじ様を思い出すなぞ…………  
儂はヘルメットを具現化して被った。  
ゴーグルが付いたハーフヘルメットじゃ。  
ダサいが、たいしたエネルギーを使うものでもない。  
「おおっ」  
此奴は突然出てきたヘルメットに驚いて何故か拍手をしおった。  
手品ではないのじゃぞ。種も仕掛けもないし。  
 
「……もしかして髪触られたくなかった?」  
すぐに離れた理由に気づいたようじゃった。  
目の前で被ったのだから当然かもしれぬが。  
儂はそっぽを向く。  
ふん、うぬには関係ないのじゃい。  
「ごめん、さっきはあんまり気持ちがよくて」  
などと謝ってくるが、儂は無視した。  
言い訳をする此奴を無視し続けてておると時間が経っておったのじゃろう。  
時間を気にしてか此奴は帰るようじゃった。  
 
「前も聞いたけど俺の家に来ない?空いてるからさ」  
それでも諦めないのか聞いてきおる。  
伺うかのような問いかけも当然無視した。シカトじゃシカト。  
此奴は困ったように頭を掻く。  
全くクドい奴じゃよ。  
強く睨みつけるとビクッと竦み上がりよる。  
「じゃ、じゃあさ、明日も来るからせめてこれを使って。  
 ここ寝るとこがないのに俺気づかなくって」  
バッグから大きくて白いフカフカのクッションを取り出しおった。  
四次元ポケットみたいじゃのう、そのバッグ。  
どう折りたたまれていたのか、儂が寝れそうなサイズを横に置く。  
 
「蜂蜜もまた持ってくるから残りあげるし」  
さっきのこともあるので複雑な気分なのじゃが――   
貰っておいてやろう。まだ半分ぐらいはあるようじゃし。  
「さっきはホントごめん」  
そう言って何度も謝りながらも出ていった。  
儂が無視したり睨みつけるのにいたたまれない様子じゃった。  
しばしの時間が経ち足音が聞こえなくなる。  
 
儂は溜息をついた。  
我があるじ様のことはいつも考えておる。  
離れてから一月ほどしか経っておらんしの。  
じゃが儂の口の中にあやつが出しおった時。  
儂はそれに夢中じゃった。  
精気を味わい飲み下す愉悦に溺れておった。  
髪に触れられる瞬間まで、あるじ様の事を忘れてしまうほどに。  
 
意識を集中すればあるじ様との繋がりは微かに感じられる。  
儂とあるじ様は淡くも繋がっておる。  
だが遠すぎるのか方角しかわからんかった。  
何をしているのか、何を考えているのか  
伝わっていたはずの共感覚は今の儂には何もわからんかった。  
代わりに感じるのは胸の内にまだ残っておるあやつの――――  
 
――ふん、あやつなどただの餌のようなもんじゃ。  
儂は途切れた集中を振り捨て、クッションに寝転び顔を押し付けた。  
柔らかくて膝を抱えておるよりは楽じゃ。  
これだけはあやつに感謝してやろうぞ。  
前の塾にいたときはこんなものなかったしのう。  
そんな事を考えながらも、瞬きの間に儂は眠ったのじゃった。  
 
 
瞬間的に儂は起き上がった。  
眠気はすっかりと無くなり外を見れば夜。  
反対を向けば儂の横で手を上げ驚いておる姿があった。  
「……あ、起きた?」  
帰ったはずなのに何故うぬがおる。  
と、思ったのじゃが、もしかして儂は一日中寝ておったのか。  
夜が明けてまた夜になるまで。  
思ったより疲れておったのじゃろうか。  
まあすることがあるわけでもないので、別にいいんじゃが。  
吸血鬼にゃ学校も仕事もないしのう。  
 
しかし此奴、何をバンザイしたまま固まっておるか。  
なんじゃかビクビクとしおって。  
……もしや寝てる儂に悪戯でもしようとしたのではないか?  
軽く睨みつけてやると、あーとかうーとか唸りだして  
「ごめん……ほっぺた触ろうとした。その、忍ちゃんの寝顔が可愛くて、つい」  
そう言った。  
ほほぉ……ま、まぁしょうがないかのう。  
うんうん儂は可愛いしの。それくらいは大目に見てやろう。  
だが二度は許さぬぞ。不躾に触れていいほど儂は安くないのじゃ。  
そんな風な意思を込めて睨みつける。  
「うう、そんなに睨まないで」  
意思は伝わっておらぬようじゃった。  
全盛期の儂なら視線だけで意志どころか、此奴もろとも壁を破壊できたものじゃが。  
 
「そうだっ!忍ちゃん甘いもの好きなんだよね。いい物もってきたよ」  
誤魔化す様に大きな声をあげた。  
よい心がけじゃが、全然誤魔化せておらぬぞうぬ。  
大体こそっと触ろうとするのがいかん。  
我があるじ様ならば思いのまま触ってくるぞ。あばらとかを。  
まあうぬが堂々とした所で触らせなどせんがの。  
そのような事を儂は考えておったが、此奴がバッグを開いた途端  
思わず臨戦態勢を取らざるを得なかった。  
 
嗅いだ事ある匂いと絵本っぽいイラストが描かれた紙の箱。  
ミ、ミ、ミスタードーナツではないか!?  
「買ったの久しぶり……ひぇ……!」  
軽口が止まりおった。  
儂を見る目に脅えが浮かび箱を取り出そうとした動きも止まる。  
儂はギラリと此奴を睨みつけ、次いで箱へと視線を移す。  
それを二度繰り返した。  
すると今度は伝わったようじゃ。  
そろそろと箱を儂の手前に置いて、ゆっくりと蓋を開く。  
「ど、どうぞ……」  
その怯えよう、まるで儂が餓えた猛獣のようではないか。  
まあ飛び掛ろうとする四足獣のごときポーズはしておるが。  
 
箱を覗き込むと中にはキラキラと黄金に光っておるドーナツの数々!  
数えきれないほどぎっしりと詰まっておった。  
儂は素早一つを手に取り齧り付く!  
ふっ、この速さ、うぬでは見えまいて。  
つーかそんなのはどうでもいいのじゃ。  
やっぱまいうー 甘いの大好き!  
フレンチクルーラーの美味いこと!  
それにフロッキーシュー!?これ時期限定品ではなかったの!  
わーい、アップルパイもあるではないか!  
パイはすぐ売り切れおるからなかなか買えんのじゃ!  
あるじ様も高いと言って買いたがらないしの!  
 
「あのう……」  
今忙しいのじゃい、後にせい。  
うぬが献上した物を無駄にするのも勿体ないしのう。  
「蜂蜜かけて食べてみたらどうかな?」  
なんと、そういうのもあるのか!うぬ天才ではないか!?  
儂は早速かけてから食べてみると……おおおっ!  
ぱないの!これは美味い!甘味の宝石箱じゃー。  
 
と、まあそんな感じで儂は二つ三つと蜂蜜をかけなから食べておった途中  
「んぐっ……!」  
喉が詰まったのじゃ。  
まとめてオールドファッション、チョコオールド、抹茶オールドを  
食べたのはやりすぎだったかもしれんかった。  
こいつらは特にどっしりとした生地だからのう。  
「うわっ、ほら紅茶……!」  
バッグから水筒を取り出して儂に差し出すのを受け取り飲み下す。  
……ほぼ熱湯じゃった。  
 
「熱いわい!バカたれ!」  
思わず儂は怒鳴ってしまった。  
テンション上がり過ぎてつい喋ってしもうた。  
「おおおお……忍ちゃんが喋った……!」  
嬉しそうにするでない。  
うぬのせいで火傷したではないか。すぐ治ったんじゃが。  
 
「話は後じゃ。儂はドーナツ食べたいのじゃ」  
「あ……でも口の中大丈夫?魔法瓶は熱いの忘れてて」  
心配するのが遅いぞ。  
「もう治った。ほれ」  
口をあーんと開いて見せた。  
「う、うん。ごめんね」  
……待て、うぬ何故に顔を赤らめて座り方を変える。  
儂が恥ずかしい事をしておるみたいではないか。  
全く……こんな奴は、ほっといて食べるのじゃ。  
紅茶も冷ましながら飲めば平気じゃし。  
儂はコーヒー派なんじゃが、これはこれでよい。  
 
「あの、返事はしなくていいんだけど……そのありがとう」  
意味がわからんよ。  
食べながらも見ると何やら微笑んでおった。  
「いつも俺、忍ちゃんにしてもらってばかりでさ。  
 ずっと不機嫌そうだったから、喋ってくれたのが嬉しくて……」  
そりゃ不機嫌なのはしょうがあるまいて。  
精液はマズ……いんじゃし。  
「だから、ありがとう」  
うぬが礼を言うところじゃないわい。  
「気にするでない」  
儂はそれだけ言って残るドーナツを平らげ続ける。  
此奴はそんな儂を嬉しそうに見ておったようじゃ。  
「所で忍ちゃんの喋り方って年寄りっぽいけど吸血鬼だし見た目より老けてるの?」  
うぬ、存外に失礼な奴じゃのう。  
 
「まさか全部食べるとは……」  
当然じゃ。ドーナツ美味しいもん。  
箱にぎっしりと詰まったドーナツは全て儂が食った。  
全部じゃ。一個たりとも此奴には食わせんかったよ。  
「次はもうちょっと少なめでもいいかな?」  
儂が露骨に舌打ちすると笑顔が固まりおる。  
あるじ様よりは金があるようじゃが、そうでもないんじゃな。  
「考えておこうぞ。それよりもじゃ、ズボンを脱ぐがよい」  
残念ながらドーナツじゃエネルギーは増えん。  
吸血の代わりにドーナツで増えたらいいんじゃがのー  
 
と、儂が言っておるのに何故だか脱ごうとせんかった。  
「……あ、えーと」  
まごまごとして動かん。  
何かを言いたそうに口をパクパク開いておる。  
一応二秒ほど待ってやっても喋らんかったので儂から言ってやった。  
「なんじゃ、はっきりせい」  
「その、お願いがあって……」  
お願いじゃと。  
ふむ……ドーナツくれたから聞いてやらんでもないが。  
 
「変な意味じゃないんだけど」  
そういって逡巡しておる。  
「はよ言わぬと捻り潰すぞ」  
「ご、ごめん。忍ちゃ、忍さんのほうがいいかな?」  
「どちらでもよいから、はよせい」  
忍さまが正解じゃがそこまでは言わん。  
うぬが儂を助けておるのもまた正しいのじゃし。  
「じゃあ忍ちゃんで。あの……言葉通りの意味なんだけど  
 忍ちゃんを抱きしめたい。抱きしめてもらいたい」  
 
「はっ?」  
思いもせんかったので変な声を出してもうた。  
「だから、忍ちゃんをぎゅっとしたい」  
なんじゃ、ぎゅって。子供か。  
「……忍ちゃんに口ではしてもらってるけど  
 女の子をぎゅっとしたことが今まで全然なくて」  
なにやら重苦しく俯きおった。  
「女と抱き合ったことが全然ないのか」  
「うん全くっ」  
なんで自信ありげなんじゃよ。  
我があるじ様とは大違いじゃのう。  
儂が吸血する時に抱いているのは置いとくとして。  
彼女おるし、元委員長とはちちくりあっておったし。  
小学生を抱きしめて……はおらんな。あれは襲い掛かるというべきじゃ。  
妹御二人には抱きしめるどころか、キスして胸まで揉んでおる。  
……………………なんでそんなのが儂のあるじ様なんじゃろね。  
色々あったからじゃけど。  
 
「ぎゅっとしたいけどダメかな?」  
儂が別の事を考えていたら体を縮めおって、聞いてきおった。  
うーむ、んー、まあ、断ってこなくなるというのも困るしのう。  
なんか此奴泣きそうじゃし。  
「……別によいぞ」  
滅茶苦茶嬉しそうじゃった。というか泣いておった。  
そこまで喜ばれると引くわい。  
 
「……じゃあ、ぎゅっとします」  
此奴は屈んでから近寄ってくる。  
儂は肩を引かれるよう、此奴の腕の中に収まった。  
んっ……  
儂のすぐ横に此奴の顔があって儂ともあるじ様とも違う匂いがした。  
あるじ様より背があるためか、少しだけ胸板が広い気もするのじゃ。  
締められて息がつまる。  
「んあっ……」  
「あ、ごめん」  
強く抱きつきすぎじゃ。  
「凄く嬉しくてつい……」  
本当なんじゃろう。  
此奴の鼓動が儂に伝わってきて、血潮の息吹が感じ取れた。  
 
しばし抱きつかれたままそうしておった。  
そうしておると何故じゃろうか。  
儂までドキドキが移ってきておるような。  
あるじ様に吸血している時をほんの少しだけ思い出す。  
「忍ちゃんちっちゃくて可愛くて、抱きしめてると気持ちいい……」  
このロリコンめ。  
……むぅ、背中を撫でられるとちょっと。  
此奴の手が腰付近に触れて、まさぐるように動く。  
腹には硬く張り詰めたものがあるのを感じる。  
ワンピースが薄いから、此奴の体温や動きがじかに伝わってくるのじゃ。  
 
「それにいい匂いがする」  
「んにゃっ……息吹きかけるんじゃないわ!」  
「こ、ごめん」  
首筋弱いんじゃい。  
「いい匂いとは言うがな、儂は一ヶ月ぐらい体を清めておらんのだぞ」  
わざと言ってやった。嫌がるがよいわ。  
「言われてみればお風呂もシャワーもないよね。  
 でもいい匂いだし、忍ちゃんを抱いていられるなら平気だよ」  
効かないようじゃった。  
「ふん、ならば教えといてやるのじゃ。  
 吸血鬼は綺麗な自分をイメージしていれば身体が汚れたりなどはせんのじゃ。  
 大体うぬは何度も儂の口に射精しておいて、気にならなかったのかよ」  
「深く考えてませんでした」  
汚れっぱなしと思われるのも癪なので一応訂正しておいてやる。  
 
そんな事を話しながらも此奴の腕は緩まずにいて、儂を決して離さなかった。  
まるで抱きしめるという行為に飢えているようじゃ。  
幼女の姿の儂で飢えを満たそうとするのはどうかとは思う。  
じゃが吸血しておる儂があるじ様へ抱きついている時とは違い  
抱きつかれて求められているというのはなんだか新鮮な感覚じゃった。  
儂のほうからも手を回すと、より強く抱きしめられる。  
「んあぁっ……」  
「あっ、ご、ごめん」  
「いや……問題ないぞ」  
窮屈は窮屈なのじゃが、悪い気分ではない。  
包まれておると、暖かくて熱が儂の中に篭ってきておるようで。  
なんじゃろうな。儂まで渇いてくるのう……  
 
「首を見せてみよ」  
「あっ、うん」  
首筋には浮き出た血管が見えよる。  
儂は腹の奥から浮き上がってくるような飢えを感じた。  
なんとも美味しそうに思えたのじゃ。  
唇を開いて舌を付ける。  
「うあっ……!」  
舐めると微かな塩味。甘噛みしてやれば肉の味がするようじゃ。  
ちゅうっと吸ってやると変な声をあげおる。  
「邪魔じゃな」  
ヘルメットが投げ捨ててから首筋を味わった。  
牙は突き立てれぬが吸うだけで酷く興奮するのじゃ。  
……血は吸えぬから精が欲しいのう。  
儂は首筋を啄ばみながら、手を下げるとズボン越しから擦ってやる。  
 
一物をたっぷりと搾り取ってやろう。  
渇きを満たしたくて儂がそう言おうとした直前  
「忍ちゃん、ごめんっ……」  
儂は頬を掴まれて唇を唇で塞がれた。  
キスをされた。  
「んんぅっ……!?」  
驚いて少しも動けんかった。  
先ほど儂がしたかのように吸われると肩が大きく震えてしまった。  
吸ってやると思っていたのに、此奴が儂の唇を吸ってきおった。  
たっぷり十秒近くもキスされて儂はようやく動けるようになる。  
うっ、んぅぁ、んぬぬ、ちょ、調子に乗るんじゃないわい!  
うぬなぞ儂の餌にしか過ぎんのじゃ!  
キスなんぞ許しておらぬ!  
儂は顔を振って引き離すと怒鳴りつけてやった。  
 
「ゃ、ゃめるのじゃぁ…………」  
……って、なんちゅう声だしとるの儂!?  
あまりにか細い声で情けないものじゃった。  
それどころか脚に力は入らぬし、背中の腕にもたれかかってしまって動けんかった。  
無力な儂の様子に、此奴の瞳が獣のように光りまたキスをされた。  
今度は舌が入ってきて口内をねぶられる。  
儂はどうすればいいかわからず、されるがままじゃった。  
ただ口の中を舐められるのは、その……心地よかったのじゃ。  
乱暴に舌で掻き回されておるのに気持ちがよい。  
 
ほんのりと甘い味がして、儂に献ずる前にドーナツを食べておったのがわかる。  
全部儂のものなのにぃ……  
「うっ、はぁはぁ……忍ちゃん……」  
ようやく離れた時には儂は息が絶え絶えじゃった。  
初めてのキスじゃし、息苦しいし、でも気持ちがよくて、訳がわからんかった。  
だと言うのに、此奴は混乱している儂に付け込んでくるのじゃ。  
クッションへ押し倒し圧し掛かってきた。  
 
「ぅ、んぁっ!」  
ワンピース越しに胸を撫でられ思わず声が出てしまう。  
不思議なほど敏感で指から電流でも流されておるようじゃった。  
昔、雷を受けた事もあるがそんなものよりもずっと強烈じゃった。  
「感じてるの可愛い……」  
此奴は気をよくしたのか両手で儂を弄り始める。  
「んあっ……!や、やめるのじゃ……!あ、んんっ!」  
どこを触られても気持ちがよかった。  
腕を握られるだけで酷く熱い。  
脇腹を撫でられると声が出てしまう。  
胸を指で押すように擦られると膨らんでもおらぬそこが溶けていくようじゃ。  
 
特に此奴は乳首に執心しておるようじゃった。  
ワンピースの肩紐を下ろし脱がせてから弄ってきおる。  
「ふぅ、んんっ……!ああぁあぁっっ!」  
摘んでから引っ張られ、指で挟んで擦り合わせてくる。  
弄られるだけで声が抑え切れんのじゃ。  
「ちっちゃいのに、柔らかくて……」  
呟きながら口で吸い付いてきおった。  
「……んああぁっ!!」  
弄られ、じんじんと痺れておる乳首をぬめる舌で舐められる。  
幼女の姿の胸など、膨らみもないというのに此奴はずっと吸い付いてきおった。  
そうしているとまるで快楽が湧き出てくるようじゃった。  
爪の先ほどもない大きさのそこを吸われると、こんなにも気持ちいいと儂は初めて知った。  
 
気が済んだのか、ようやく此奴は口を離す。  
熱くなっていたそこが空気に触れただけでぞくっとした快感があった。  
ほんのひとときで儂の胸が別の何かに変わってしまったようじゃった。  
「忍ちゃん……」  
此奴は儂の身体を軽く持ち上げるとワンピースを下ろし脱がしていく。  
「ん、あっ!」  
脱がされた後、衝撃に声が出た。  
此奴の指が儂のあそこに触れたのじゃ。  
「……絆創膏?」  
儂の股間を覗き込み、訝しげに呟きおった。  
それは……儂のキャラ設定という奴で……!  
「なんかエロいね……」  
「んあっ!」  
此奴はむしろ興奮したらしく、剥がしてから儂に触れてきた。  
 
指をゆっくりと動かすとぬちゃっとした音がした。  
「凄いじっとりしてる……」  
「な、ぜじゃ……あ、んんっ……」  
幼女の儂だというのに触れられて悦んでしまっていた。  
幼いはずのそこは太い指を飲み込んでおった。  
儂は自分が信じられんかった。  
でも此奴に触れられると否が応にも身体が応えてしまう。  
 
「やぁっ……!ああぁっ、ぅんああっ!!」  
「柔らかいのにきつくて暖かくて……忍ちゃんの中気持ちいいよ……」  
悔しいことに儂も気持ちがよい。  
浅く抜き差しされ、入り口を擦られる。儂だって触れていないそこを弄られる。  
それだけで気持よく、涙で前が見えなくなるのじゃ。  
またもキスをされて口内を舐られる。  
ぬぅ……好き放題にしおって  
 
「っふあっ……んんっ……」  
そう思ったのじゃが、あそこを弄られた拍子に喘いでしまった。  
不意に動いた舌が此奴のに絡みあってしまう。  
そうするとただ舐められるよりも気持ちがよいと知った。  
舌を触れ合わせると、胸やあそこを弄られるのと同じくらい気持ちがよかったのじゃ。  
まるで舌が性器にでもなったようじゃ。  
つい儂からも舌を動かし絡めあい、吸い付いてみるとなんだか満たされる。  
吸血と似ている心地よさがあって、キスが終わると儂はなんだか物足りなくすらあった。  
 
「ひゃぅっ……!?」  
いつの間に脱いだのか、儂のあそこに此奴のモノが押し当てられた。  
うにゅ、なんじゃとぉ……!  
儂が口でしていた時よりも大きいではないか!  
「こ、こんなの……入らぬよぉ……!」  
腕を突っ張って此奴を止めようとしたが、無駄じゃった。  
「忍ちゃんが好きなんだ……!我慢できない……!」  
胸の奥がキュゥっとなった。  
でも儂がその言葉を実感するよりも早く、熱すぎる肉で貫かれたのじゃ。  
 
「ああっあああぁっっっ…………!!!」  
身体の中から押し広げられる。  
あっ、はあぁっ……  
大きすぎて、息がしづらくて苦しいのに、擦れる所が気持ちよい。  
「忍ちゃんの中、気持よすぎ……」  
此奴はずんっと音がしそうなほど激しく突き入れてきた。  
「ひぃあぁっっ!」  
太くなってるとこが儂を削り掘ってくる。  
なのに此奴のが儂に絡み付くと甘く声を上げてしまう。  
太いモノでゴリゴリと掘削されるのが不思議なほどよかった。  
 
「か……はぁっ、あ、うぅ……んっ、んんっ!」  
儂とはサイズが違いすぎるのじゃ。  
押し潰されるように奥まで突かれて、息が止まる。  
抜かれる時は中が引っ張られて気持ちよくて息を吐き出した。  
儂はその一回だけで精一杯なのじゃ。  
「ごめん!腰止まらないっ!」  
でも此奴は速度を増していき儂への責めが激しくなるばかりじゃった。  
「む、むりじゃぁ……壊れて……しま、う……」  
息も絶え絶えで苦しい。  
腹の奥を突かれる度、快感が何度も何度も爆発しているようじゃ。  
身体の中どころか頭の中まで快楽でぼやけてしまいそうじゃ。  
事実、今の儂は濡れているどころか汗も止まらずろくに自身を制御できぬ。  
けれど汗をかいたまま裸で抱き合ってるのが気持ちよいとも思ってしまう。  
儂は快楽でどうにかなってしまいそうじゃった。  
 
「あっ……出るっ!」  
「うっあんっああああぁぁっ……!!」  
一物が震えると同時に、幾度とも知れないほど精液が撃ちだされて奥に広がっていく。  
それに合わせて腹が動いて子宮で飲み込んでいるのが儂にはわかった。  
儂が望んでやっているのか、身体が勝手に動いておるのかはわからぬ。  
ただ飲み込む度に気持ちよいだけではなく、美味しいと思ったのじゃ。  
身体の芯までもが満ちていくようじゃった。  
「んっ、ふぁっ……んんっ」  
舌で味わっているかのように儂の中が一物に絡み付いて、啜っていて  
美味しくて、気持ちよくて、思わず腕を伸ばして身体を掻き抱いたのじゃ。  
「忍ちゃん全部出たよ……」  
何度目かのキス。  
中に出されながら舌を絡ませあうと気持ちがよくて、儂らはずっと繋がっておった。  
ようやくキスが終われば眼前には此奴の顔。  
瞳に儂が映っておるのが、はっきりと見て取れた。  
……くぅっ、なんて顔をしてるのじゃ。  
唇を半開きにして息を荒げ、涙を流して上目遣いの儂。  
こんなにもだらしなくて、しまりのない顔をした儂を儂自身知らんかった。  
此奴の瞳にはずっと儂だけが映っておった。  
 
「まだ、いいかな?」  
繋がったままの一物がまた儂の中で大きくなっていて、おさまりそうにないのじゃ。  
「好きに、するがよい…………」  
そう言い切るまえに抱き上げられた。  
「ふっう、んあぁっ……」  
ぐりっと奥をえぐられると、頭の中まで貫かれそうな感覚があった。  
胡坐をかいた此奴の上に儂がいるので体重がかかってしまうのじゃ。  
触れた肌が心地よく、尻を持ち上げてる手も気持ちよい。  
「んはっ!ああっ、んぅぅ!あっ!あっ!」  
残ってる精液をぐちゃぐちゃと混ぜるように、腰を使われると声を抑え切れんかった。  
儂の中に入りきれん一物が、何度も深く突き上げてくるのじゃ。  
突き破られそうじゃ。  
再生はできると思うのじゃが、そうなっても気持ちよいかもしれん。  
そんな想像をできるぐらいよかったのじゃ。  
 
儂も脚を胴に巻きつけて身体を揺する。  
「うっあ、それいい……」  
ふんっ、うぬばかり責めさせんわい。  
脚に力を入れて小刻みに動いてやると、儂の中がきゅっと締まってより密着する。  
大きく腰を上げてから、太くなっている亀頭の部分だけを扱いてやる。  
そうすると情けない声をあげおった。  
……んぁ、これ儂も気持ちよいのう。  
浅い所だけを擦るのも違った良さがあるのじゃ。  
「ん……ふっ、ひゃぅっ……!こら、胸に、はっ、うぅっ、吸い付くな……!」  
儂が責めているというのに、痕が残りそうなほど強く胸に吸い付かれた。  
かと思えばぺちゃぺちゃと犬のごとく舐められる。  
痛いほど吸われた後は敏感なのかより感じてしまうのじゃ。  
 
「これも気持ちいいけど、やっぱり全部入れたい……」  
「んっ!か、勝手な、ことしおって……ああっあぅっ……!」  
押し下げられる力に抵抗できるはずもなく、また貫かれた。  
腕だけで背中を抱かれてぶらぶらと揺らされるように腰を使われるのじゃ。  
あっ、それなんかち、が……う、の……。  
「そこ、よいぞ……へその所が擦れて、ひぁっぅ……!」  
ごりっとした堅い感じが臍の裏側に当たる。  
腹を覗き込めば、小さく盛り上がっているのがわかるぐらいじゃ。  
破れてしまいそうなのに、気持ちよくて儂は身体を仰け反らせた。  
そうして揺らされていると、息苦しくて瞳の中でチカチカと星が瞬いているようじゃった。  
 
「はぁっ、ぁはぁっ……ふっ、んっ……」  
「忍ちゃん、そろそろ……!」  
儂は脚を持ち上げられ強く抱きしめられた。  
脚が真上を向いて身体を折りたたまれるようなぐらい窮屈にじゃ。  
「っあぅ……!んっくっ、はっ、んぁっ……!あっあっ!」  
そして物のよう無茶苦茶に扱われて腰を振りたくられた。  
奥に叩きつけられる堅い肉棒。  
一突きされる度、衝撃で子宮が押し上げられそうになるのじゃ。  
なのに気持ちが良くて堪らぬ。  
身体の奥から手足の先までピリピリしたものを広がっていって  
それが段々と強くなってくる。  
「出るっ!」  
宣言と共に折れそうなほど強く抱きしめられながら、中へ出されたのじゃ。  
 
「っぅぁ〜〜〜!あっああぁつああっ!!!」  
二回目なのに此奴の勢いは変わらぬ。むしろ強くなっているよう。  
きっと子宮の中まで此奴のでいっぱいになっているに違いない。  
儂が受け入れて飲み込んで味わっているのに、長く射精し続けていて  
溢れ出ているほどなんじゃ。  
濃くて熱いモノが止まらぬ。此奴の脈動と儂の脈動が一緒になっておる。  
普通に精液を飲むよりもずっとずっと満たされて力が沸いてくるようじゃ。  
堪らなく気持ちがよくて、子宮で精液を味わい飲み干すのが幸せじゃった。  
ゆっくりと儂の中から出し切った一物が引き抜かれる。  
そうして此奴は儂を抱いたままクッションに背中から倒れこんだのじゃった。  
 
長い時間、此奴の胸板の上で身を横たえていた。  
「起きてる?」  
気怠いのじゃ。全身ピリピリしてるし、まだこうしてたいっていうか。  
「…………なんじゃ」  
おっくうじゃが一応は顔を上げてやる。なんだか真剣な声じゃったからだ。  
深呼吸でもしているのか、下で胸板が動く。  
「忍ちゃん……俺、忍ちゃんが好きなんだ。ずっと一緒に居たいんだ。  
 やっちゃった責任を取りたい。だから、俺の家にきてほしい」  
突然にプロポーズ染みた、いやそのものを言ってきおった。  
……うぅっ、何度聞いても、なんというか、胸に残る響きじゃのう。  
真剣な顔をしておって何やら自信がありげじゃった。  
さっきの儂のせいじゃな。ならば今度こそビシっと言ってやろう。  
「うぬ、一度ヤッたぐらいで儂を自分の物とでも思っているんじゃなかろうな。  
 儂がロリロリだからといって初めてと思っておるのではないか?」  
「…え゙っ!?」  
 
図星なのじゃろう、慄きおった。  
「ふん、これだから童貞はのう。幼い儂は仮の姿。  
 本当はナイスバディの超美人なんじゃい。  
 何百年と生きておる儂は男なんぞとっかえひっかえじゃ。  
 一度抱いたくらいでモノにできると思うなよ」  
「あっう、あぁっううっ……そうだよね。吸血鬼だしね……」  
途端に泣きそうにしょぼんとしておった。そう見えたのじゃが  
「……それでも一緒に居たいから、お願いします」  
儂を降ろすと立ち上がってから手を差し出してきおった。なんかそれ古くない?  
 
「…………行ってやるわい」  
儂は立ち上がり手を取ってやろうとしたが、足がもつれた。  
「危な……うわっ、ホントに!すげぇ嬉しい……!」  
此奴は笑い、倒れそうな儂を引っ張り上げて抱き上げる。  
「疲れてるんならこのほうがいいよ」  
抱っこされた。  
まだ裸じゃし、それはちょっとアレなんじゃい。  
「かかっ、外に出て儂が悲鳴でもあげたならば、うぬはどうなるんじゃろうな」  
「それはホントにしないでください」  
うぬが愛くるしい儂を抱いておる姿は女児誘拐そのものじゃ。  
「くふふっ、面白そうなんじゃがのう……む、そのクッションを置いていくではない」  
ベッド代わりのクッションを忘れそうになっておった。  
「そうだね。俺と忍ちゃんの思い出のクッショ――いてっ」  
やはり此奴、図に乗っておるわ。  
儂はパンチした後、降りてから準備と後片付けが終わる間服を着た。  
全裸のままじゃったら間違いなくうぬは捕まるな。  
 
「それじゃ荷物あるし、おんぶするね」  
そう言われるとなんか恥ずいのう。  
じゃが少しばかり、ほんの少しばかりフラフラしておるので背に乗った。  
「車に乗ったら横になれるから」  
儂は返事をせず、肩に頭を置いた。  
揺れる広い背中に身を預けて儂は考えていた。  
悲鳴の話じゃ。  
同じ事をあるじ様に言ったことを思い出した。  
今の今まで、あるじ様の事を全然考えていない事に気づいたのじゃ。  
 
…………強いて理由を上げるとしたならば、此奴にあるじ様の事は言えんせいじゃな。  
杞憂かもしれぬが、言ってしまって此奴が離れてしまうのは嫌じゃった。  
先程の様子では平気かもしれぬが、余計な軋轢を生む必要はあるまい。  
我があるじ様のように命をかけて、いや……命を捨てまでして儂を救った訳ではないが  
此奴が命を助けてくれたのは確かじゃ。  
嫌いではない。好きと言われるのも悪くはない。  
だから、儂を望むというのならば叶えてやろう。  
…………………………そこまで考えてから、儂は大きくため息をついた。  
 
「どうかした?」  
「なんでもないのじゃ」  
……駄目じゃな。我ながら浅ましい考えじゃ。  
あれだけ貪られ貪っていたのに関わらず、心まではやらぬと言い訳をしておる。  
あるじ様をダシにしてまでじゃ。  
本当は死にたくないだけなのに。  
本当は快楽で我を忘れていただけなのに。  
儂は自分が信用できんかった。  
…………もしかしてじゃが、此奴が襲ってきたのも能力のせいかもわからぬ。  
儂を好いてはおったかもしれんが、まるで魅了されたかのようじゃった。  
幼い身の儂もそれを望んでいるかのよう、簡単に此奴を受け入れた。  
そうあったほうが都合が良いとでも、言わんばかりにじゃ。  
此奴が儂を好きというのも、無意識に魅了してしまったと言われれば否定はできぬ。  
 
「なあ…………んっ、そうじゃな。うぬの名前はなんだったかの?」  
「覚えてなかったんだ……俺は―――――だよ」  
思った事とは別の事を聞いた。まあこれも大事な事じゃろう。  
儂は胸中で名を呟く。  
見た目の通りとでもいうのか、平凡な名前じゃった。  
「覚えておくよ」  
「うん」  
頷きに合わせて儂の身体も揺れる。首にかけた腕に力を込める。  
結局、儂は自身で思っているより嘘つきで臆病で寂しがりなんじゃろう。  
全く生き汚く浅ましい事じゃ………………  
「寝る」  
儂は一言告げ、返事を待つ前に目を瞑った。  
返事はなく揺れだけが返ってきて、揺り篭のように心地がよかった。  
 

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