"赤ちゃんの通り道"を愛おしそうに舐めているお兄ちゃんを見つめる私は
蝋燭沢君の名前を出した時のお兄ちゃんの拗ねた様子を思い出し、
ついニヤニヤしてしまいそうになるのをこらえてすらいた。
――恐らく、火憐ちゃんの"赤ちゃんの通り道"を、犬のように愛おしそうに舐めているお兄ちゃんを見つめていると
目の前でなされる慈しみと優しさに満ちた前戯に、ヤキモチを妬いてしまうからかもしれない。
「『私が縛った後ろ手はそのまま、私の目の前で火憐ちゃんをイカせたら不問にしてあげる』と言っておいてなんだけど、
文字通り悦ばせちゃったら、今度は火憐ちゃんの方の罰ゲームにならないじゃない……」
お兄ちゃんが厭らしく音を立てる度に火憐ちゃんが悶え、悦んでいるようにしか見えない私としては
そんな火憐ちゃんの姿にゾクゾクしながらも、お兄ちゃんに不満をぶつけざるを得ないのだ。
必死で声を出してしまいそうになるのをこらえて、快楽の波に抗おうとする火憐ちゃんの姿に
何重もの意味で昏い情欲を覚えながら。
「で、赤ちゃんの通り道をそんな姿で舐める気分はどう、変態お兄ちゃん?」
お兄ちゃんの優しさを独占したくないと言えば嘘になる。
お兄ちゃんに彼のことをなんとなく好きになったからだと言ったのも
正直に言うのが癪だから、お兄ちゃんにヤキモチを妬いて欲しかったからなのだと
再確認せざるを得なくなったことが悔しかった私は
羞恥プレイさせることを選んだお兄ちゃんに矛先を向ける。
悦楽の余韻に浸っているようにしか見えない火憐ちゃんを横目に、
ふとよぎっただけなのに脳裏に焼き付いてしまった疑問を反芻しながら。
――火憐ちゃんに私やお兄ちゃんの眼前で絶頂に達せさせられるという羞恥プレイを選ばせたのは
果たして何だったのだろう?
――今回は私が勝ったけど、もし負けてたらナニをされていたのだろう?
ともあれ、今も昔も私は変わらない。
なんだかんだでお兄ちゃんのことが大好きだと言うこと、
癪だから素直になれずにいるだけという2つのことだけは。