※キャラ崩壊注意  
 
「そろそろ寝るか」  
 僕は勉強をキリのいいところでやめ、伸びをする。  
 今日のノルマは終えたし忍に血も飲ませたし後は寝るだけだ。  
「あ、そういや誰もいないんだっけ」  
 今夜は家に僕しかいないので、必然的に僕が家事をすることになる。  
 とりあえず洗い物を詰め込んでいる洗濯機のタイマーをセットしなければならない。  
 僕は階下に向かう。  
(あれ? ……忍?)  
 脱衣所に気配がする。  
 血を飲ませた直後で家の中くらいなら動き回れる忍がいるようだ。  
「なんか呟いてるけどシャワーでも浴びようとしてるのか? ……って、あれは僕の服?」  
 そっと覗くと僕のシャツを洗濯機から取り出している忍がいた。  
「今日は暑かったから汗をだいぶかいておるの……むうっ、なんて臭いじゃ!? こんな汗かいてたら洗濯大変じゃろうが。じゃから仕方なく舐めとってあげるんじゃ、感謝せい。  
うおぉ……腋すごいの。何じゃこれ。こんなの儂に舐めろというのか? 何様のつもりじゃ? 舐めてやるがな。ふあぁぁん、すごいこれ美味い! あるじ様ジュースすごい何このまろみ! 臭いも味も最高じゃ!!」  
「…………」  
 えっと。とりあえず状況を整理しようかな。  
 忍が僕の洗濯機からシャツを……って下着まで取り出したぞ!?  
「あるじ様の下着もなかなか凶悪な臭いを放っておるの(スーハースーハー)……はあぁ、こんなにすごい臭いを出しおって、すううぅぅ、儂をどうしようというのじゃ、まったく。儂を虜にしようというのか!?(スーハースーハー)」  
(…………)  
「ポンデリングやゴールデンチョコレートより美味いものなぞないと昔は思っておったが、味も臭いもこれらにはかなわんではないか! はい過去の儂論破」  
(なにあのキメ顔? あ、下着しゃぶり始めた)  
「むううう、すごい! 何じゃこれは!? 血を飲まずとも儂はこれだけで生きていけるのではないか!? ……え? 儂の食事はこれから一日中はいていた下着だけ? ふざけるでない! 儂にも尊厳はあるんじゃ!  
汗も、垢も頼む! ああ、儂はこれからお前様のタオル、シャワー、ウォシュレットの代わりとしてのみ生きていくことになるのじゃな……」  
(なんか一人芝居が始まったぞ)  
 
「嫌じゃ嫌じゃ! 儂はもうソレ無しでは生きていけん身体なのじゃ! お前様の言うことは何でもするから儂にそれを舐めさせて…………はっ!」  
 恍惚とした表情から突然こちらを振り向く忍。  
 どうやら僕の存在に気付いたようだ。  
「…………」  
「…………」  
「……なぁ、しの」  
「ふざけるでない。確かに儂は怪異じゃ。それも残り滓。しかしだからと言ってお前様に同情されたくはない。よりにもよってこんなふうにした張本人のお前様にはな。あの時助けてくれてありがとうなどと言う気もないし、助からなければよかったなどと腐りたくもないわ。  
それでも儂は今を生きていかなければならんのじゃ。例えどんなに落ちぶれようとも。すまぬな、こんな話をしてしまって。儂さえいなければお前様も人間に戻れるじゃろう。  
じゃあ、儂はもう行く。もうお前様には関わらんつもりじゃから安心せい。さよならじゃ、儂の従僕にしてあるじ様よ……」  
「待て、黙れ、そこ座れ。この変態吸血鬼」  
「あふん」  
 
 
 
『僕の吸血鬼がこんなに変態なわけがない』了  
 
 

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