「ふむ。たしかにそれらの楽器の語感には、幼少の砌より心をときめかせてはいるが、  
 私としてはそういった楽器の中で一押しをひとつ挙げろと言われれば、これを推挙したいと、  
 そうかねてより心に決めている楽器がひとつある。え? それは何かって? ビオラだ。  
 だって考えてもみてくれ、阿良々木先輩。美しい男らと書いて美雄等なんだぞ!?  
 これ程までに萌える言葉をその名に持つ楽器が、心踊らせる音色を奏でないわけがあるまい!」  
 
「……僕はビオラはお前にこそ相応しい楽器だと、常々思っていたよ。  
 美しい癖に色々な意味で汚れている基本裸の後輩――略して美汚裸だ」  
 
「なんと! 私の心を掴んで離さなかったかの楽器名が、まさか私自身を表現するのに  
 ふさわしかったとは! そこに気づくとは、流石阿良々木先輩だ。西尾維新もびっくりの  
 言葉遊びのセンスを持つと言われるだけはある。東北某県の二十歳として、講談社新書  
 からデビューする日も近いな!」  
 
「そんな日はこねえよ!」  
 

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