「知ってるか阿良々木先輩、フランスでは最初のHは声を出さないらしいぞ?」  
「待て、もうオチが読めた。『敏感だから初めてでも声が出てしまう。フランス人てなくて良かった』とか言うんだろ?」  
「何を言っているのだ? フランス語の話に決まっているだろう」  
「違った!? これじゃ僕がエロいみたいじゃないか!」  
「そう、まさにそのことについてなのだ」  
「あん? 何だって」  
「フランス語では最初のHは発音しないわけだが」  
「そうだな」  
「主人公、つまりヒーローはエロになるわけだ」  
「!?」  
「つまり阿良々木先輩はエロだ」  
「いや、その理屈はおかしい」  
「そして阿良々木先輩の周りにいる女性、つまりヒロインはエロインだ!」  
「ちょっと待て」  
「要するに私はエロインだ!」  
「色々あるけどひとつだけツッコませてもらえるなら神原、お前はあまりエロくない」  
「何だって!? 今この瞬間全裸になった私がエロくないというのか!?」  
「いや、お前の身体は正直エロいと思う。でもその脱ぎっぷりがあまりにも男らしくてクるものがないというかなんというか」  
「むう、確かに欲情してはいないようだな」  
「おいこら、僕の股間に手を伸ばすな」  
「だが阿良々木先輩、私のヒロインパワー、いや、エロインパワーが足りないとは言わせない。私の本気を見せてやる!」  
「いちいち言い直さなくていいからな。で、何を見せてくれるって?」  
「ふふふ、まあ見ていてくれ……よっ……とっ……」  
「脱ぐのは一瞬なのに着るのはもたつくのなお前」  
「よし……っと。では行くぞ阿良々木先輩!」  
「ああ、何なのか知らないがどうぞ」  
 そこから数分間のことは具体的には語らせないでいただこう。  
 ただこの数分間で僕の認識は大きく変えられてしまった。  
 『服を脱ぐ』という行為はエロいことをする前段階だと思っていたが、まさかそれそのものがここまでエロいものだったとは。  
 時には恥じらいの表情を見せつつ、時には誘惑するような流し目をしつつ、神原は様々な仕草やポーズで服を脱いでいったのだ。  
「どうだ阿良々木先輩、私のエロインパワーは……っと、尋ねるまでもないか?」  
 ズボンを押し上げてテントを張った僕の下半身を見て満足そうに笑う。  
「マララ木先輩のマラが立派になってるな。ここはヒロ……エロインの私が暴れるマラをだマラせてやろう。さあ、私の好きなところを使うがいい!」  
 そう言って座りながら両手を広げる神原。  
 
 うまいことを言おうとして言えないのと、無理やり下ネタを絡めるのをやめればもう少しヒロインパワーも上がるのではないだろうか?  
 黙ってれば美少女なのに…………よし。  
「じゃあ口で頼む」  
「どっちだ、上の口か下の口か? できることなら両方いっぺんが良いのだがさすがにそうもいくまい。ならば」  
「うるさい、静かにしろ」  
 僕は立ち上がってズボンから肉棒を取り出し、神原の頭をつかんで口に突っ込む。  
 一瞬神原は驚きの表情をしたが、すぐにモゴモゴと顎を蠢かせて刺激を与えてきた。  
「僕が出すまで口から離すなよ」  
 神原を喋らせないための指示をする僕に上目遣いで頷き、ゆっくりと頭を前後に振り出す。  
 唇の輪っかが先端から根元まで行き来し、肉棒が唾液まみれになってぬらぬらとテカっていた。  
 神原の両の手が僕の腰や尻、内腿などを這い回り、ゾクゾクとする刺激を与えてくる。  
 伸びてきたその髪に指を絡めながら頭を撫でてやると、こちらを窺っていたその目尻が嬉しそうに下がった。  
 その目を閉じてぐっと肉棒を根元までくわえ、喉奥まで呑み込むと今度は口内全体で刺激を与えてくる。  
 舌も様々なところに這わせてきて僕の性感は一気に高まっていく。  
「っく……神原っ……もうすぐ出るぞ……っ」  
 その言葉に神原はずるるっと喉奥から肉棒を引き抜いた。  
 そして敏感な出っ張りの裏側、つまりカリ首のところに唇を合わせて左右に滑らし、ぎゅっぎゅっと締め付けてくる。  
 先端の穴の部分を舌が這い、尿道がぐりぐりと舌先でほじられる。  
 左手で肉棒を激しくしごかれ、右手で痛みを感じる一歩手前くらいの強さで陰嚢を揉みしだかれる。  
「うっ、うあっ! それ、凄過ぎ! もう……もう……出る……っ!」  
 脚がガクガクと震え出す。  
 神原の頭をつかむ力が強くなる。  
 目の前で跪く神原の目が再び開いてこちらを見、僕と視線がかちりと合う。  
 そしてその瞬間。  
 僕は射精した。  
「うあっ! あっ! あっ! ああっ!」  
 びくんと僕の身体と肉棒が大きく震え、びゅるびゅると精液を神原の口内に放つ。  
 先ほどの言葉通り神原は僕がイき終わるまで口を離さず、程良い刺激を与え続ける。  
 やがて長い射精が終わり、ふう、と僕はため息をついた。  
 それを確認した神原は頭に添えられた僕の手を取り、自分の喉に当てさせる。  
 そのままこくんと喉を鳴らし、口内に溜められた精液が嚥下される様を伝えさせてきた。  
 
「あ……」  
 こくん、こくんと喉を鳴らすたびに神原の体内に精液が取り込まれていく。  
 尿道に残っていたものまで吸い出され、最後の一滴まで飲み干されてようやく神原は唇を離した。  
 僕は力が抜け、崩れるようにその場にすとんと腰を下ろす。  
 すると神原が僕の首に手を回して抱きついてくる。  
「阿良々木先輩の、全部飲んじゃったー♪」  
「!!」  
 普段聞かないような軽快な口調で囁かれた。  
 ぞくぞくっと何かが身体を走り抜ける。  
「でも少し物足りないな、まだ飲ませてくれるか阿良々木先輩?」  
 もちろんこっちの口に、といった感じで神原は僕の手を自分の股間に導く。  
 そこはすでにぐっしょりと濡れていた。  
 どうだ?というふうに顔を見合わせて首をかしげる。  
 ああもう。  
 その上気した表情は反則だぞ神原。  
 認めよう。今現在、この阿良々木暦にとって一番ヒロインパワー、もといエロインパワーが高いのはこの神原駿河だ。  
 そのフェロモンにあてられ、すでに僕の下半身は臨戦態勢を取り直している。  
 僕は神原の肩をつかんて少し乱暴気味に押し倒すのだった。  
 
 
 
 

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