「わかった! じゃあ処女やる! 兄ちゃんにあたしの処女やるから!」
「処女? 火憐ちゃんの処女? くれるの? 火憐ちゃんが? 欲しい欲しい!
やらせてやらせて!!」
「……って、あたしから言い出しといてなんなんだけどさ、兄ちゃん正気か?」
「勿論だ。火憐ちゃんは僕に処女を捧げる。その後で僕は神原を火憐ちゃんに
紹介する。さあ、これで交渉成立だな」
「お、おう。……あの、兄ちゃん?」
「なんだ、でっかい妹」
「優しく……してくれよな」
(中略)この部分を読むにはドーナツ20個を捧げてください。
コトを終えた妹達は、僕のベッドの上で寝息も立てず、裸で抱き合ったまま、
すやすやと安らかに眠っていた。
いつの間にか妹の数が一人増えているが、そこは気にしないでいて欲しい。
僕と火憐ちゃんの情事を発見した月火ちゃんが、千枚通し(どうやらコンビニ
でも売っていたらしい。そんなもんコンビニで買う人が月火ちゃん以外にいる
のが驚きだ)から身を護るため、やむなく僕自前の千枚通しで月火ちゃんに反
撃しただけのことだ。これは言うなれば正当防衛。……ご馳走様でした。
別に善ではないから急ぐ必要もないのだが(中略)僕は神原の携帯へと電話
をかけた。
「いや、阿良々木先輩。それは困るな」
(中略)この部分は原作「偽物語(下)」をお読みください。
「阿良々木先輩の心遣いは本当に嬉しいと思うけれど、でもだからって、妹さ
んの処女なんてもらえないよ」
「誰がやるか!」
神原のことだ。そうくると思って、火憐ちゃんの処女(ついで、いやあくまで不
可抗力で月火ちゃんのも)は僕が頂いておいたのだ。ざまあみろ神原。お前が
妹の処女を奪おうとしても、それはついさっき僕のものになったぜ。ははははは!
「お気持ちだけ頂戴しておく」
「あー、いや神原。お気持ちもなにも――」
「ん?」
「――僕の妹は、もう処女じゃないんだ」
「なん……だと」
携帯の向こうから、神原の体が崩れ落ちる音が聞こえてきた。
「な、な、なにをやっていたのだ阿良々木先輩! 妹の処女を守っていくのは、
兄である阿良々木先輩に課せられた使命ではないか!! 最近の中学生の性は乱
れていると聞いてはいたが、よもや阿良々木先輩の妹さんまでが、そんなことに
なっていようとは!」
ああ、わかっているさ神原。だからこそ、妹がお前の毒牙にかかる前に――
正常な男と女の関係から道を踏み外す前に――僕が火憐ちゃんの処女をもらっ
ておいたのさ。ん? ……なにか間違っている気もしないではないが、多分、僕
の気のせいだろう。僕は悪くない。
「と、いうわけでだ。神原、妹に関してお前にやれるのは、膜の端切れぐらい
しかないぜ」
「うん。ではそれでかまわないので有り難く頂戴しておこう」
そんなわけで。
今日の正午過ぎに火憐を連れて行く約束を、僕は無事に取り付けたのだった。