姫ちゃんと春日井さんは非常に仲がいい。これはある日の姫ちゃんの部屋の一部始終だ。  
 
 「ただいま〜、春日井さん、頼まれてたビール買って来ましたよ〜、あれ?春日井さん?」  
 
 「春日井さんならさっき部屋を出ましたよ」上からの声に振り向くとお気に入りの抱き枕が。  
   
 「ところで崩子ちゃん、ビール飲む?」  
 
 「私はまだそういったものを飲む年齢ではありませんので、あと3年待ってください、それでは」  
お気に入りの抱き枕は部屋に戻っていった。  
 
 さて、春日井さんはどこに行ったんだろう、おや?テーブルの上に手紙が。  
 
 『姫ちゃんの部屋に行ってきます。お楽しみは、あ・と・で☆』なるほど、姫ちゃんのへやか。  
 
 まあいい、あの人が帰ってくるまでみいこさんから借りた本でも読んでるか。  
しかし姫ちゃん、少しうるさいぞ、音が響くんだから、会話も自然と聞こえちゃうよ。  
 
「あうう〜」  
「どうしたの姫ちゃん?」  
「そこはだめで、あ〜ん、あっあっ!!」  
「まだまだだよ、姫ちゃん。次はもっと行くからね」  
 
 なんだかわからないけど、春日井さんって手加減しないんだなあ・・・。  
 
「そ、そこはああ、らめえ、らめえれふ〜、あ!、あ〜!きにゃあ」  
「ほらほら、ここで、こうだっ!!」  
「ああああああああっ!!、うううううう、ひっく、えぐっ、うえ〜ん、え〜ん」  
 
 あらら泣かせちゃったよ、あとで「し〜しょお〜」って言われるんだよなあ、まったく。あ、ページが進んでない。  
 
「わかったわかったごめんね、姫ちゃん、次から手加減するから、ね?もう一回やろ?」言ってることは正しいのだが抑揚がないのはなんでだろう。  
 
「ひっく、ひっく、本当れすよ〜、かひゅがいしゃ〜ん」  
 
 その後も春日井さんペースで、姫ちゃんが大変なことになりそう(と言うかもうなっていると思う)のでビール片手に突入。  
 
「春日井さ〜ん、頼まれてたもの買ってきましたよ〜」  
と、部屋を開けると、姫ちゃんが倒れていて、春日井さんはちょっと汗ばんでいた。  
 
「し〜しょお〜」姫ちゃんなんかもう生ける屍だ。言葉もかけられない。  
 
 「春日井さん、いったい何をやっていたんですか?アパートに響くから静かにしてください」  
 
「聞きたい?いっきー、私と姫ちゃんで、な・に・を・していたか」  
 
「いえ、べつに、っていうかそんなことをえろっちく言わんでも。」ちょっと興奮。  
 
「恥ずかしがらなくていいのよ」やっぱりこの人抑揚ないんだな。でも変にあるよりかはいっか。  
 
「だからいいです・・・。」と言った僕の視界に飛び込んできたのは、  
 
 智恵ちゃんの家で見たのと同じ機械、ただ違ったのは、あの時は画面が車だったけど、今回はサッカーと言うことだった。  
 
 この野郎、期待させやがって、僕は思いっきり睨んだ。  
 
 舌を見せて返された、思わず首筋に寒気が走る。だめだ、勝てない。  
 
 やっぱりみんな仲良しだ、姫ちゃんの次は誰になるのやら、アルコールを力の限り突っぱねて、僕は寝た。  
 
 

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