「いーたんの子供孕んだった」  
「…………。…………。………え?」  
もう本当にいきなり何を言ってるだこの人は。急に訪ねてきてにやにや笑ってるから(ああ、またか)  
なんて、決して楽観視できないことなのに楽観視してしまったさっきの僕の頬をはってやりたい。  
それで何を言い出すか何の気構えもなしに哀川さ「潤だ」…潤さんが話し出すのを待っていると  
なんか意味不明な事を言い出しやがりましたよ。  
で、状況をとらえきれずにつっ立っていると、僕よりも身長が高い潤さんのせいで気が付かなかったけれど、  
視界の下の方に橙色が見えてそこに真心がいることに気がつい「孕んだった」  
………まったく。モノローグぐらい満足にしゃべらせろってんだ。  
これだから近頃の赤い類の人は。  
第一「ていうかもう産んだった」「生まれたった」「右に同じく」「生まれたった」  
あれ!?今二人が胸に抱いてるモノから声が聞こえたぞ?て言うか今しゃべらなかった?  
「もうしゃべれるぞ」あああああああああああ!…………ああああああああもう!うるさい!  
二人とも人の考えてること分かるんだから!  
ちょっとはどういうことか考えるために平静を保とうとしてこうして地の文をかせいでる  
僕の事を思いやって次々にミサイルを放たないでくれないか!  
…よし落ち着いてきたぞ。順序を追って考えてみよう  
「…………そうだ、京都行こう」  
「どこが落ち着いてんだ逃げんじゃねえ。京都はここだ」  
掴まれた。頭を。  
「覚悟決めな、い―ちゃん」  
よーし、オーケーだ真心。僕は二人と肉体関係なんて持った覚えがないぞ。  
なのに何の覚悟を決めろっていうんだい?ここは一旦お互いに冷静に話し合おうじゃないか。  
「みみみみみに覚えがないのにかっかかかっ覚悟もなにもにゃいでしょうろろろろろ」  
「噛みまくってんじゃねえか落ち着け吐くな飲み込めしっかりしろちゃんと喋れ」  
噛んじゃった上に吐いちゃったよ。  
ははは、こんな状況で落ち着けって方が無理だよね☆考えてるだけなら☆だってつけられるのにね☆  
「どどどっどうしよう友に何て言えばいいんだよ!  
最近友の実家に行ったらあいつの父親に「俺の孫はまだか」とか直さんにも「甥か姪はまだかい?」  
って言われてたんだぞ!その矢先にこんな爆弾おおお落としてくれやがってえええおえっぷ  
友に殺されるじゃねえかあああああああああひゃひゃろろろろろろろろ」  
吐いた。それはもう吐いた。吐きに吐いた。呼吸困難で泡吹いて痙攣すらした。  
以前友は今度僕が逃げたら今度こそ世界を殺すとは言ったけど、この場合どうなるんだろう。  
まさか、この二人がこんなことをするなんて誰が考え付くだろう。  
友はまだこの事は知らないだろうけど、ちぃくんとやらは銀河の内の事なら何が起こったか分かるらしいからなあ。  
「まあ覚悟決めなってのは良いんだ別に。  
俺様達ただいーちゃんとの間に子供が欲しかっただけだからな。だからだいじょーぶだい―ちゃん、  
い―ちゃんに迷惑をかけるつもりはねーよ。今日はただ知らせに来ただけだ」  
あう。そんなにいい笑顔でシングルマザー宣言をするなんて、心が痛むじゃないか、真心。  
僕は、吐き続けているけれど、事態は収束に向かおうとしているのだろうか。  
「そうか、俺もとうとうジジイか。おい俺の敵、「お義父さん」と呼んでもいいんだぜ?」  
「呼びばせんよ!どっかげぶっら湧いて出たんですか狐さん!お呼びじゃないんですよおおおぼろろ!」  
どっから湧いて出たんだこの人!  
「子供がふえたぜ、やったねいーたん!」  
 
 

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