つきひスウィート
秋の夜、そろそろ寒くなってくる季節だがまだ浴衣のままの月火を暦は自室へ呼び出すと
やたら真剣な顔で妹を見つめながら言い放った。
「月火ちゃんにしか頼めないお願いがあるんだ。
……とりあえず一回でいいから抱かせてほしい……っふぐっ!」
返事は反応できない速さの顔面グーパンだ。
「あっ、意味わかんなくてつい。顔大丈夫? っていうか頭大丈夫?」
「ああっ……大丈夫だ、僕は正気だ」
鼻血をティッシュで抑えながら涙ぐむ暦は情けない有様。
「正気なほうがよくない気もするけど、一体全体どうしたのお兄ちゃん」
月火は手が痛かったのか浴衣の袖で拳を擦っている。わりと威力があったようだ。
「だから、その、月火ちゃんに助けてほしいんだ。僕はもう一人に耐えられない……」
痛みが堪えていた感情の堤防を壊したのか、泣いて膝から崩れ落ちる暦。
「えっ、わけわかんないんだけど。そんなに痛かったの?」
唐突にマジ泣きしている兄の姿に若干引きつつも月火は傍に寄った。
現在高校三年生の暦が人間強度という物に注目し始めたのは高校入学前だった。
人と関係を持つことで人間としての強さが落ち、脆く弱くなる。
その信念に従って生きてきた二年間。
当然ながら学校で友達などできなかった。
休み時間は寝た振りで過ごす毎日。一人きりの昼食。
催しごとには参加せず誰にも望まれずスルーしてされる日々。
かといって苛めというわけでもなく、それが当たり前になっているクラスの日常。
家族以外との会話といえばレジの店員に会釈を返すだけ。それが暦の人間関係だった。
三年になっても何も変わらない。
春休みに金髪吸血鬼を見つけて伝奇活劇バトルに巻き込まれてしまうなんて事はなく
その事件を期に眼鏡の委員長と仲良くなったりもしなかった。
飄々とした頼れるアロハのおっさんと知り合うこともなく
階段から落ちるクラスメイトを助けたりもしない。
ピンクのリュックが似合う女子小学生を見かけたりもせず
変わらない人間関係から後輩の女子と仲良くもならなかった。
妹の友達が助けを求めてくるなんて出来事があるわけもない。
暦の知る限り事件なんて起きない退屈で平和な街だった。
人間強度などという信念だけが浮いて空に消えてしまうくらいに。
どこかの阿良々木暦と違い今この場にいる暦には怪異どころか友達すらも縁がなかった。
「でもそれは自業自得だよね」
「バッサリだ!?」
暗い学園生活を暦が話し終えると一刀のもとに月火は切り捨てる。
「だって友達がいなくて一人きりなのはお兄ちゃんが望んでそうしてたんだよね?」
「そうかもしれないが人には心変わりというものがあるんだ」
「じゃあ友達作ればいいじゃない」
「な……!?」
なんでもないように言う妹に絶句する兄。
それができれば苦労しないし、泣きながら妹に相談したりしないのだ。
「ってゆーかよ」
月火がベッドの縁にポンッと座って足と腕を組む。
泣き崩れていた暦は地面に手をついたままでなんだか主従関係のようだ。
「友達いないのはわかったけど、なんで抱かせてほしいなのよ。
妹にエロい事をお兄ちゃんはしたいの? 欲情しちゃうの? 変態なの?」
半眼で睨む月火はそれほど険悪な様子ではないのだが下を向いた暦には見えていない。
「いや、その、彼女とかも欲しいなって……」
「妹が彼女でいいんだ。変態だね。お兄ちゃんはどうしようもない変態だね」
微妙に兄を罵倒するのが楽しそう。
「だって僕の知ってる女の子って月火ちゃんと火憐ちゃんしかいないし」
「消去法かよ……」
変態以前の駄目駄目な兄の様子に月火は溜息をつく。
昔はもっとかっこよくて友達にも人気があったはずなのに。
その友達を覚えていれば知ってる女の子とやらも結構な数がいたのだ。
「じゃあさ、私じゃなくても火憐ちゃんでもいいんじゃないの?」
私よりは言うこと聞いてくれるんじゃない。
そう続けて、横を向き髪を弄りながらどうでもよさそうな感じで問う月火。
「いや月火ちゃんがいいんだ」
月火を見上げながら暦は答える。
「へー、ほー、ふーん、そうなんだ。私なんだ」
「火憐ちゃんも可愛い妹なんだけどさ。
彼女にするかどうかっていうんなら月火ちゃんのほうが女の子っぽいし気が利きそうだし
僕の悪い所もすぐわかって教えてくれそうなんだよ。相談も聞いてくれるしさ」
「へへへ。まーそれほどでもあるかもね」
「今日みたいな不安な時でも、月火ちゃんが抱きしめて抱きしめ返してくれたなら
安心できるぐらい包容力のある女の子だと思うんだよ」
「えー私そんなに癒し系ゆるふわっ娘かなー」
兄に褒められているのに慣れていないだろう、思いのほか嬉しそうな様子。
むず痒く感じながらもてれてれとした笑みが零れている。
そうと言われればそういう面もあるのかもと思ってしまうのか
なんか自分で属性を追加しちゃったりしていた。
「それに……」
「それに?」
褒め言葉がまだ聞きたいのか月火が聞き返す。
「月火ちゃんなら火憐ちゃんよりパワー無いから抵抗されても大丈夫かなって」
期待に輝いていた瞳が反比例したかのよう失望で黒く染まる。
数年間の孤独は兄をあまりに残念な存在へと変貌させてしまっていた。
月火はそれを止める事ができなかったのだ。
そう考える間もないほどの一瞬
「ちぇりおー」
「あぶね!」
月火は軽いかけ声とは裏腹に強烈な速度でバールを振り下ろした。
どこからともなく取り出した凶器が空を切り裂き地に刺さる。
もし格ゲー化されようものならゲージ消費必殺技になりそうな見事な一撃。
「お兄ちゃん。もう私が終わらせるしかないんだね……」
最初から疑うべきだったのだ。
たまたま他に家族がいない時に兄が妹を自室に呼び出すのはおかしいと。
どんな兄妹関係なのかとつっこむものなどいない。
今つっこむべきは鋼の切っ先ただ一つのみ。
「おい! 床床! 穴空いてる! 見つかったらママに怒られるぞ!
つーかそんなん食らったら死ぬだろうが! 殺人犯の妹なんて僕は願いさげだ!」
「妹を襲おうとするような変態兄は死ねばいいの!」
「違う! ちょっとだけ寂しさを紛らわすだけだ!」
「妹の身体を何だと思ってるのよ! しねしねしねしねしね!」
振り回されるバールを避けて間合いを取り合う兄妹。
暦は凶器を掻い潜って押さえ込みたい。
月火はリーチに勝るバールで尖った部分を突き刺したい。
しばらく向かい合ったままだが暦のほうから離れた。
不可思議な再生能力があったりするわけでもない普通の人間である暦が、バールと
対峙するには荷が勝ちすぎているのだ。
「わかった。ちょっと待て話しあおう」
「実質お兄ちゃんから会話する気がないと白状したよね」
「そんな事はない。話し合いは人として最も文化的な行為だと僕は信じてる。
いや信仰すらしている。」
「友達と会話した事もないのに?」
「ぐっ……」
ウィークポイントだらけの暦だった。
とはいえ月火もバールを振り回して疲れたのか掲げていた凶器をおろす。
「ま、まあそれは置いといてだな。
お前らファイヤーシスターズは正義の味方ごっこをしているだろう」
「ごっこじゃなくて正義の味方そのものだけどね。それが何よ」
会話の転換に怪訝そうな月火。
「ファイヤーシスターズが正義の味方としてだ。
ちょっとだけ妹にいけない気持ちを持つ僕をどうするんだ?」
「悪だよね。退治しなきゃ」
バールを持ち上げる。
「待て待て待て、そうじゃない。確かに悪かもしれない。少しは僕に悪い所もあるだろう。
でも、正義の味方のはずのお前らが最も身近な存在の家族を救おうとしないのは怠慢じゃないか?」
「むむ……」
とんだ言いがかりだが正義の味方を自称している事と、かっこよかった兄が墜ちてしまった
事に気付いていなかったのを多少気にしてたらしく月火は唸る。
妹の情を逆手にとる卑劣な兄がそこにいた。
「このまま僕を退治するのはファイヤーシスターズにはたやすいかもしれない。
けれど兄を救う事はできなかった正義の味方という烙印もまた押されてしまうんだぜ」
「悪と化した家族を倒しちゃうのも定番だし、そこまで責任をもてないんだけど……」
「もしお前らが無責任のまま僕を放置してたらだ。
寂しさと孤独のあまり僕は家出してどこかに行ってしまい、たまたま大きな
リュックを背負ったツインテールで思いのほか発育のいい女子小学生を見かけて
話しかけたりするかもしれない」
「具体的過ぎて気持ち悪い」
睨んでいるが暦はスルー。
「いつもの僕なら紳士的に仲良くするはずなのに失意のどん底の僕にはそんな余裕がない。
もしそこで間違った事が起きてしまったら―――――
世間はそんな兄を持つファイヤーシスターズをどう思うかな!」
「どんな脅迫よ!」
「そんな事をしてしまうかもしれないぐらい強迫観念とかで苦しんでいるんだ」
何故か悪そうな顔で勝ち誇っている暦の発言はほとんど自爆テロ。
妹らを巻き込む気まんまんの算段で言い放つその表情は真剣でどこまでも本気だった。
「……そういう事態になる前にちんちんもいじゃおうか」
「女の子がはしたない事言うな! 子供作れなくなったら月火ちゃんも困るだろ」
「別に困んないから」
バールの釘抜き部分で股間をターゲッティングすると暦は両手で隠す。
「うーんと……突き刺してから梃子の原理でポンっと抜いちゃえば」
「僕のあそこをコルク扱いするんじゃない!」
自爆テロは計画できても今起きようとする本能的恐怖には耐えれない辺り小物であった。
「じゃあ間違う犯す前に始末して、お兄ちゃんの死体をどっか隠しちゃえばいいじゃない。
世間にばれなきゃいーのよばれなきゃ」
「正義が言う台詞じゃない!?」
慄く暦は失敗したかとおどおどしていた。そもそも最初から失敗しているのだが。
「あーもうめんどくさいな!」
突如月火がバールを持った腕を上げると暦はあたふたと頭を守るか股間を守るか慌てる。
と、バールを振り下ろすわけでもなく横に放り捨て、ていっと暦へ飛びついた。
「これでいいんでしょ」
「おおっ……」
脇へと腕を通してぎゅーっと抱きしめる。浴衣とシャツ越しに暖かい体温が伝わりあう。
「うっ……あ、月火ちゃん……」
暦の表情が一時停止したかのように止まりコマ送りのように少しずつ変化した。
凍りついた顔が温もりで溶けるかのよう涙を零してしまう。
なんのかんの言いながらただ温もりが欲しかっただけだったのかもしれない。
「よしよし素直でよろしい。お兄ちゃんからもぎゅっとしていいから」
月火が頭を撫でてやるとゆっくりとした動作で暦も抱きしめ返す。
本当に苦しんでいたのだろう。
どこか険があった表情が安らいでいるのがわかる。
ぎゅっとしばらく抱き合ったままでいた。
(お兄ちゃんの身体はやっぱり火憐ちゃんと違うんだねー。
火憐ちゃんより背低いけどがっしりしてる)
火憐は引き締まってるけど所々柔らかくて細く、暦は筋肉質というほどでもないけれど
骨格というか全体が硬くて太い感じがする。
よく火憐に抱きついていたりはするけど暦とは何年もしていないので
男女の違いが新鮮で少しだけ心地がよかった。
「んひゃっ」
そんな風に考えていると暦が首筋に顔を埋めるようにしてきて変な声を出してしまう。
「あっ、息かけないで……んっ……」
ちゅっと音を立てて皮膚の薄い敏感なところを唇で撫ぜると月火の身体がぞくぞくっと
震え暦の腕の中で身じろぎをする。
「んっぅ……お、兄ちゃん……本当に妹とエロい事したいの……?」
暦が頬ずりするようにして首筋にキスを繰り返し、抱いている手が尻へと触れる。
小ぶりだが指が沈み込む様はとても柔らかそう。
「いやぎゅっとしてるだけで嬉しいんだけどあんまり抱き心地がいいからつい……」
「あ、そっかー甘えたいんだー」
顔をあげた暦が照れ隠しに笑うとその瞳にはまだ涙が残っていて。
月火の胸がきゅんっと高鳴った。
(……お兄ちゃんのくせに可愛い)
「しょうがないなーもー。お兄ちゃんはほんとしょうがないなー」
そう言う月火はなんだかんだ言って兄の事が大好きだったりする。
包容力があるとかそういうものとは関係なく色々許してあげたいぐらいに。
「わかった。いいよ、お兄ちゃん」
そっと目を閉じて、唇を寄せてきて。
「ありがとう。月火ちゃん……」
ちゅっと暦からキスをした。
一度触れて離れて、月火を感じたいからまたキスをする。
「はぁっ……ファーストキス……お兄ちゃんにあげちゃった……」
キスが終わり微笑を浮かべている月火は嬉しそうだ。
「僕も月火ちゃんにあげちゃったよ」
「それじゃ交換だね」
今度は月火から唇を尖らせてキスをする。
「ん、ぁ……んふぁ……」
キスしたまま月火は身を震わせた。
尻に宛がわれていただけの手が揉むような動きへと変わって
吐息混じりの喘ぎを兄の口内へ吐き出す。
「月火ちゃん……こっちに」
「ぁっ……お兄ちゃん……」
月火は抱き上げられてベッドへ寝かされた。
そっと手が胸元の浴衣を開くとブラをつけていなくて
まだ成長しきれていない尖りがちの胸が覗く。
「月火ちゃんのおっぱい、ちっちゃくて可愛い……」
「ちっちゃい、いうな、ぁんっ……!」
暦が右胸に顔を押し付けて小さな乳首を唇で食んで音を立てて吸う。
左の胸に触り揉むとふにふにと形が変わる。
「あ、ひゃぅっ! んっんっ……!」
なだらかな乳房自体を咥えるように吸うと汗で少しだけしょっぱくておいしい。
胸はすべすべで揉んでも揉んでも飽きたりないぐらい柔らかくてきもちいい。
肌からは甘酸っぱい香りが漂ってきて嗅げばいい匂いで興奮する。
「ゃぁっ……! ふっ、んんぅ……!」
暦は夢中で今までの寂しさをぶつけるように、そのぶん甘えるように月火の胸を味わっている。
「もうお兄ちゃん、妹のおっぱい吸いすぎ揉みすぎあと甘えすぎっ……!」
酷く犯罪的な言葉とは裏腹に吸い付く兄の頭を抱えるように抱きしめていて離さない。
小さいながらも敏感な胸を愛しい兄に吸われ弄られて気持ちがいいのだ。
「月火ちゃん月火ちゃん……!」
「んっぷ、ちゅっ、んっんっ……」
妹の胸を涎まみれになるほど舐め吸ってからまたキスを迫る。
割り入れるように舌を入れるディープキスに月火も応えて舌を絡め合わせる。
濡れた舌が柔らかくて不思議なほど気持ちがよかった。
「……ん、はぁ……お兄ちゃん妹にキスもしすぎぃ……」
とろけた表情の月火に暦はごくりと唾を飲み込んだ。
舌に月火の味が残っていたのか美味しいと感じた。
カチャカチャとベルトを緩めてズボンを下ろし準備しながらもつい聞いてしまう。
「いいかな? …………いいのかな?」
「もー今更だよ。お兄ちゃんほっといたら駄目になっちゃうもん」
暦は首を振る。
月火に助けられ甘えているとそんな気はさらさら無くなった。
今ではどうして本気でそんな事を考えていたんだと自分で自分を疑うぐらいである。
暦は月火の愛情に触れて人としての尊厳を取り戻しつつあった。
別の意味で危うかったりはするけれど。
「ほっとけないから。今度はほっとかないから。お兄ちゃんも我慢できないんでしょ」
足がそっと開かれると帯でかろうじて抑えられていた
浅葱色の浴衣がはだけて白い下着が開放される。
その純白が色づいて湿っているのが瞳に映ると、飢えにも似た腹のうちからぐっと
もたげるような渇望が暦の中に広がっていった。
言外に、身体の反応に、月火もしたいと思ってくれているのがわかったから。
「月火ちゃんは最高の妹だよ。大好きだ」
「お兄ちゃんは最低の兄かもしれないけど私も大好きだよ」
二人は抱き合ったままもどかしげに服と下着を脱ぐ。
「いくぞ月火ちゃん」
「……うん、いいよ。きてお兄ちゃん…………」
愛液で濡れて、わずかに口をひらいた一本線のようなそこへと暦のモノが押し付けられる。
「んっ、あぁっ……!」
亀頭の丸みが小さな膣口を割り開きくちゅくちゅと音をたてて沈んでいく。
飲み込まれていく先端が柔らかいのに硬く締め付けられる矛盾した感覚に包まれる。
苦痛とも喘ぎともつかない月火の悲鳴を聞いても止まらない止められない。
もっと月火の中を感じたくて腰を押し進めていく。
「ふっぐっ、んっ〜〜」
月火が唸り耐えながらも暦の背にすがりつくように強く抱きしめると
胸板が膨らみを押し潰して、遅れて二人の腹がぴったりとくっついた。
暦のモノが全て月火の中へと収まったのだ。
「全部、入ったよ」
「いたいいたいいたいあとくるしぃ……死んじゃう……お兄ちゃんに殺されるぅ」
「人聞きの悪い事をいうな」
「お兄ちゃんは、痛くないの?」
「痛いどころかすっげー気持ちがいい」
「ずっるいー」
涙目で鼻声混じりの月火が恨めしげに見上げてくる様子も可愛いかった。
「悪いけど動いていいか? 我慢できない」
だから欲求に耐えられず聞く。
暖かい月火の膣内に包まれているだけで気持ちがいいのに
その先の快感があるとわかっていて我慢できるはずがなかった。
「むー……お兄ちゃんは気持ちいいの?」
「絶対気持ちいい」
断定した口調に月火は
「じゃあ許す」
偉そうに言いながらも流石に恥ずかしかったのかぷいっと横を向いた。
「ありがとう月火ちゃん……」
腰がゆっくりと浮くと圧迫が減ったのか月火が息を吐き、ほどよい所でまた腰を進めると
ぎゅっと目を瞑って息を止めて堪える。
「力を入れるとよけい苦しくなるから」
「だって……」
条件反射で身体を強張らせてしまっていた。
「じゃあこっちに集中してくれ」
「あっ……ちゅっ、んぅ……」
暦は痛みを誤魔化せないかとキスをする。
口内をねぶり唾液を啜って逆に唾液を送り込むと呑み込んでくれて
舌が絡み付き月火からも吸ってくれるのが気持ちよかった。
続けていると締め付けすぎていた膣内が少しだけ動かしやすくなって
暦はキスをしたまま腰を振りはじめた。
「んんーっ……んぁ……! ふっ、んんっ……!」
濡れたとろみを感じる。
滑りがよくなって粘膜と粘膜を摩擦しあっている快感をより強く感じる。
快感で加速され抽挿の速度がどんどんと増していった。
「あっ、んぅ、お、兄ちゃんっ……!」
月火のほうも馴染んできたのかその勢いに晒されても苦痛が薄い。
ぐんっと子宮を突き上げんとばかりに奥深くまで叩きつけて月火の腰がくねる。
モノを受け入れほぐされてくにゅくにゅと膣内が蠕動している。
きつく締まってくるだけではなくまとわりついているような気持ちよさだ。
「ごめん月火ちゃん!」
「ぁぁっ……!」
欲求のまま軽い身体を抱き上げ月火の足を支える対面座位の体勢で突き上げた。
月火は自身の体重でより暦のモノを感じさせられる。
「ひゃっ! あっ! あっ! んっ……!」
ぐん、ぐん、と下から腰を何度も使われて息がつまるような喘ぎのリズムが奏でられる。
ぐちゃぐちゃの結合部が声に重なるよう濁った音を響かせる。
「んぁぁっ! あっ、お兄ちゃん! なんか変……!」
激しくて苦しいはずなのに痛みより痺れるような感覚。
突き上げられる度に深く触れ合っている所からそれが広がっていく。
「はっ、ひ、ぅ、んぅぅ……ふぁっ……!」
変な声が勝手に出てきて止めようとしても止められない。
お腹の奥の疼きが全身に染み渡っていき、細身の身体が暦の胸の中で儚げに揺れる。
「もう少しだからっ!」
「あ、あっぁぁ、ぅんっ……! 私もっ……!」
暦は腕と身体全体を使う抽挿で月火を突き上げる。
月火はそれを深く感じようと足で暦の身体を挟み抱きしめる。
兄妹は頭の中まで真っ白になりそうな快感で昇り詰めていく。
「でるぞ!」
「いいよ……は、やくきて」
止めとばかりに暦は一気に奥深くまで腰を叩きつける。
「きゃっ、ぅあぁ……! おにい、ちゃんっっ……!」
どぷっと音がしそうなほどの射精。
硬く膨れ上がった肉竿が脈動して精液をどんどん送り込んでいく。
ぎゅーっと締め付ける月火の膣内が貪欲に精液を飲み込んでいく。
どちらからともなくキスをして快楽を兄妹で分け合っていく。
数秒間の射精が終わり絡ませあった舌がどこか遠慮がちに離れて。
月火を抱いたまま背中からベッドへ倒れこみ汗まみれのまま荒く息をついた。
「……すごくよかった。嬉しかった」
「……うん私も。気持ちよすぎて、なんか……幸せかも。こんなの初めて……」
暦が髪を撫でると月火は嬉しそうに目を細めて胸板に頬を乗せる。
「月火ちゃんのおかげで僕も幸せだよ。もう何も怖くないって感じ」
「変なフラグたてないでよね、ん……ちゅっ………………あ」
言いながら月火は顔をあげてキスすると何かに気づいたかのよう下を見る。
まだ繋がったままのそこからは白濁したものが垂れ落ちていて。
「もうお兄ちゃん、妹に中出ししすぎっ」
「それ天丼みたく言われても……しかし本当にやっちゃったんだな」
「うん。ほんとのほんとにやっちゃたね。後悔してる?」
「しない。するもんか。妹の処女奪うなんて兄として冥利に尽きるってもんだ」
「はいはい」
おざなりに返事しつつも笑顔を見せる月火。
お互いが流し流されるままエスカレートしていった行為だったけれど
それだけに自然な関係だったのかもしれない。
二人は幸せそうに笑い合ってずっと抱き合っていた。二回戦したりもした。
数日後の夕方。
例によって両親は仕事に出ており火憐は道場へ稽古に行っているそんな時。
「ううぅ……月火ちゃん月火ちゃん月火ちゃん」
「あーそうだねー友達はいきなりできないよねー」
学校から帰ってきては抱きついてくる兄の頭をよしよしと妹が撫でてあげていた。
当然ながら童貞捨てたぐらいで男は変われない。暦はまだまだぼっちのままだ。
「もーしょうがないお兄ちゃんだねー。慰めてあげるからいこっか」
苦笑しながらも月火のほうから暦の部屋へと導いていく。
なんだかもっと駄目になってしまっている感がある兄なのだが
困った事に妹のほうもこういうのが悪い気分ではなかったのだった。