嫁にしたくない女第一位、か……。
僕は携帯電話の画面を確認していると、僕の脚を枕にして寝転がっている戦場ヶ原が声をかけてくる。
「阿良々木くん、彼女の家に来ておきながら携帯をいじるのはよろしくないわよ」
「言ってることは正論なんだろうが、一人用携帯ゲーム機をプレイしているお前が言うな」
しかもゲームボーイ。カラーやアドバンスですらない。どこから見つけてきたんだそんなもん。
せわしなく指を動かす戦場ヶ原の頭に手を乗せ、軽く撫でる。
「なあ、戦場ヶ原」
「なによ、今テトリス棒待ちなのだからあまり話しかけないでちょうだい」
テトリスかよ! それこそ携帯電話のアプリとかでできるだろうに。
って、そんなことを言ってる場合ではない。伝えたいのは別のことだ。
「誰が何を言おうと僕は戦場ヶ原が好きだ。お前は僕のものだからな」
戦場ヶ原は見上げる構図でプレイしていたため、取り落としたゲームボーイはそのまま戦場ヶ原の顔面に直撃する。
「…………痛いわ」
「……大丈夫か?」
乗っかったままの機体をどけようと僕は手を伸ばす。
が、先に戦場ヶ原がそれを掴んだ。しかしそこから動かす様子がない。
その上ふるふると小さく身体を震わせている。
ああ、なるほど。これは。
僕は少し強引に戦場ヶ原の手とゲーム機をどかし、顔を覗き込む。
そこにはいつものような済ました表情があったが、残念ながら隠し切れていない。
頬は耳の方まで赤くなっているし、唇の端が上がりそうなのを堪えているのかピクピクと痙攣している。
なんだろう。久々に勝った気分だ。
それと同時に凄く愛おしくなる。
「戦場ヶ原、キスしていいか?」
「私は阿良々木くんのものなんでしょう? だったら私に否定する権利はないんじゃないかしら?」
わずかに視線を逸らす戦場ヶ原に、僕は身体を曲げて顔を寄せる。
少し苦しい体勢だが、それを気にすることなく僕は戦場ヶ原と唇を合わせる。
どれだけそうしていただろうか。僕はどんどん気持ちが高ぶっていく。
戦場ヶ原を抱きたい。
僕のものだという証を戦場ヶ原に刻みつけたい。
戦場ヶ原の目が潤んでいるのを確認し、僕は戦場ヶ原の身体をまさぐり始めたのだった。