【warning!】  
憑物語のネタバレが含まれています。  
未読の方はスルー推奨です。  
 
 
 斧乃木余接。  
 影縫余弦の式神。童女の憑喪神。不死身の怪異の専門家の片割れ。  
 そして、阿良々木家の子供部屋に鎮座している、ドロワーズスカートの人形である。  
 
 
 受験生にとって追い込みのこの時期、もちろん僕も例外ではなく、寝る間を惜しんで受験勉強に励んでいる。  
 とはいえ。  
 寝る間は惜しむけれど、かといって四六時中勉強をしている訳でもない。  
 何故って、それを脳が拒否するからである。要するに効率が落ちるのだ。  
 そんなわけで、自宅で一人勉強している時はコーヒーを淹れたり、チョコなんかを食べて糖分を補給したり、我が家の家宝(上下セット)を眺めて思索にふけったりして一息入れる事にしているのだった。  
「僕が思うに、それはどう見ても思索という感じじゃないよね。鬼のお兄ちゃん」  
「……そうか?」  
「うん。いやらしいことを考えているようにしか見えない」  
「そんなわけないだろう。家宝を見ていやらしいことを考える奴がどこにいる」  
 とまあそんな感じで、最近では妹達の部屋に居候(と言うのが正しいのかは解らないが)している童女との会話も息抜きに一役買っていたりする。  
 妹達がいないとこうして人形の振りをやめ、僕の部屋に遊びにくるからだ。  
 今日も、僕が家宝を引っ張り出して拝んでいたら、ひょっこり斧乃木ちゃんが現れたのだった。  
「ていうか、斧乃木ちゃん。こっちに来てていいのか?」  
 我が愚妹達は正義ごっこの活動もあるのでいつも決まった時間に帰ってくる訳ではないのだけれど、そろそろ帰って来てもおかしくない時間である。  
 というかあいつらは、僕が学校に行く必要がなくなって自宅学習中心に移行して以来、何故だかいつも早く帰って来て僕の集中を乱してくれるのだ。  
 まったくもって鬱陶しい。  
「よく考えたら、僕が人形の振りをしていれば、別にここにいても問題ないんじゃないかと思って」  
「いや、斧乃木ちゃんがここにいたら、僕が『妹の部屋から人形を持ち出して愛でる残念な兄』になってしまうじゃないか」  
「いまさら何があっても『残念な兄』である事実は変わらないと思うよ。鬼のお兄ちゃん」  
 妙に毒があるな。  
 やはり貝木の影響だろうか。  
「斧乃木ちゃんが僕の兄としての行動の何を知っているっていうんだ」  
「妹と一緒にお風呂に入った事は知ってる」  
「そうだった!」  
 影縫さんに相談した時に色々話してしまったのだった。  
 毎度ながら凡ミスである。  
 受験でこれが出ない事を願うばかりだ。  
 
 と、そのとき、馬鹿でかい音を立てて部屋のドアが開いた。  
 犯人は言わずもがな、ジャージ女である。  
 僕は手にしていた家宝を隠す為、とっさに斧乃木ちゃんを抱き寄せる。  
「たっだいまー! ……兄ちゃん何してんの?」  
「えーと、ほら、あれだ、あれ」  
 斧乃木ちゃんを後ろから抱いたまましどろもどろになっている僕を見て、火憐は「んー?」とかいいつつ首を傾げている。  
 そして数秒後、何かを思いついたように突然詰め寄って来た。  
「まさか兄ちゃん、ちゅーの練習か!?」  
 その剣幕に驚いて斧乃木ちゃんを思い切り抱き締めてしまった。  
 式神とは言え、童女とは言え、女の子。その柔らかさにどきりとする。  
 膝の上に乗せているのに、僕の顎の下にすっぽり収まってしまうその小ささにも。  
 それはともかく。  
「……は?」  
「人形なんかでしなくてもあたしが付き合ってやるのに……」  
 なんか顔が赤いぞ。  
「練習なんかしねーよ」  
 はっはっは。  
 それは既に通った道だ! 残念だったな!  
「そっか。練習したくなったらいつでも言ってくれよな」  
「いや、しないから」  
「えー……。ま、いいや、道場行ってくるー」  
 そうして火憐は部屋を出ていく。  
 ていうかドア閉めてけよ。  
 
「ところで、鬼のお兄ちゃん」  
 火憐退場からしばらくあって、斧乃木ちゃんが声を上げた。  
「ん?」  
「そろそろ下ろしてほしいんだけれど」  
「え。なんで」  
「前にも言ったけれど、僕は羞恥心が無い訳じゃないんだよ」  
「うん」  
「だから、抱き締められるのはともかく、手はどうにかしてくれないかな」  
 言われて見下ろすと、左手は斧乃木ちゃんのお腹に回されている。  
 一方、右手はなぜだかドロワーズスカートの中に侵入していた。  
 しかも、手のひらは太股に密着している上に、親指の付け根辺りになんかぷにぷにした感触がある。  
 ……うん、アウトだこれ。都条例的に。  
「その、ごめん。わざとじゃないんだ」  
「そう言うならその手をどけてくれないかな、鬼いちゃん」  
「僕としてもそうしたいのはやまやまなんだけれど、手が離れようとしない」  
 すげえ触り心地がいいんだもん。  
 なんつーか二度寝の誘惑に似ているな。起きなきゃ起きなきゃと思っていても寝てしまうあの感じ。  
 邪魔してくれる妹でもいないと誘惑に勝てない。  
「ダメ人間の言い訳だね」  
 とかなんとかやっているうち、小さい方の妹が顔を出した。  
 というか、ドアの前を通り過ぎようとしてこっちを二度見した。  
「……お兄ちゃん何してんの?」  
「休憩」  
 今度は焦らずに返せた。  
「いやそうじゃなくて」  
「抱き心地が良くて癒されるんだよ」  
 ああ、受験のストレスが消えていく……とかなんとか、もっともらしい事を呟く。  
 呟きながら、ふと気付いた。  
 今、斧乃木ちゃんは人形のふりをしている訳で、動く事も喋る事もできないはずである。  
 
 もしかして:触り放題?  
 
「そういえばお兄ちゃん、チョコは貰えたの?」  
「ん? ああ、戦場ヶ原からは貰ったぞ」  
 答えながら、斧乃木ちゃんのふとももをさわさわと撫でる。  
 すると、同時に親指が手触りの良い布の中にめり込んでいく。なんともいえない弾力が手に伝わる。  
「あれ? 一個だけ?」  
「神原はくれそうだったんだけど、戦場ヶ原に食われちまった」  
 パンツ越しにぷにぷにぷにぷに、押し込むようにしつこく刺激した後、不意打ちで隙間からするりと指を差し込む。  
 それでも斧乃木ちゃんは身じろぎすらしない。  
 けれど、差し込んだ指先には、少しばかりの粘液が付着した。  
「食われた?」  
「神原が胸の谷間にチロルチョコ挟んで差し出してきたからな」  
 その時の事を思い返しつつ、湿り気を帯びた指を動かす。  
 入口をくすぐり、土手を揉みほぐし、足の付け根をなぞる。  
 そして、一番敏感な突起に優しく触れる。それでも何の反応もない。  
「……なるほどね」  
「割り込んで食った上にべろべろ嘗め回してた。ちょっとくらい譲ってくれてもいいのに……」  
「それは譲ってくれないんじゃない?」  
「いいじゃんか義理チョコくらい」  
 つつくように何度も突起を刺激してから本丸へ。  
 溝をなぞるように指先で撫で、ゆっくりと侵入していく。指一本でもきつい洞窟へ、ぬぐ、ぬち、と中指を潜り込ませる。  
 斧乃木ちゃんをぎゅっと抱き締め、その動きと連動して少しずつ抜き差しする。  
「翼さんは?」  
「そもそも14日に会ってないからなあ。神原に会ったのはあいつが戦場ヶ原の家に遊びに来たからだし」  
 ほぐれてきたので今度は指を上下に動かしはじめる。  
 指の腹を膣壁に押し付け、同時に外では親指を軽くクリトリスに添えておき、動きに合わせて刺激を送る。  
「翼さんにはチョコの無心はしなかったんだ」  
「しねえよ。んなこと羽川に言えるか」  
「ほふにゃーん」  
 あっそ。とでも言いたげな顔で、月火は歩き去った。  
 だから、その言葉の意味はなんなんだよ。と内心つっこみながら無心で指を動かし続けていると、しばらくしてまた斧乃木ちゃんが声を上げた。  
 
「……あのさ、鬼のお兄ちゃん」  
「ん?」  
「そろそろ、それ、やめてくれないかな」  
「それって、どれ?」  
 ぬちゃ、ぬちゅ、ぐち、ぬぷ。  
 水音を立てながら、敢えて聞き返す。  
 いまやそこはすっかり水浸しで、僕の指を二本受け入れている。  
「だから、その右手だよ鬼いちゃん」  
 そう言って斧乃木ちゃんが僕を見上げる。その顔は、いつものように無表情だ。  
 けれど、僕の指は動かす度にぐいぐいと締め付けられるのだ。拒むように。誘うように。  
 その反応に、僕の我慢は限界に達してしまうのだった。  
「ごめんごめん。つい夢中になっちゃった」  
 謝りつつ指を引き抜き、その糸を引くほど濡れた指で準備をする。  
 滑ってファスナーが下ろしにくい。  
 けれどなんとか。どうにかこうにか。  
 ぬめる右手を添えて照準を合わせる。  
「まったく……僕が無反応だからって調子に――ひあうっ」  
 皆まで言わせず、真下から一息に、遠慮会釈なしに貫いた。  
 死体の肢体に杭を突き刺した。  
 これは、死姦になるのだろうか。  
 死体の憑喪神だから、そういうことになるのだろうか。  
 そんな思いが、僕を妙に興奮させる。  
 斧乃木ちゃんの腰を掴んで腰を揺する。  
 まるで、人形相手の自慰であるかのように自分勝手に。  
「……鬼のお兄ちゃん」  
「なんだ?」  
「痛いんだけれど」  
「……ごめん、ちょっと止まれそうにない」  
 抵抗するでもなく、歓迎するでもない斧乃木ちゃんに、懸命に情欲を打ち付ける。  
 もう少し、もう少しだから我慢してくれ。  
 耳元でそう囁いたとき、隣の部屋のドアが開く音がした。  
 
 数秒後、月火が再び現れた。  
 心臓がバクバクいっている。  
 ていうかなんで僕はドアを閉めなかったんだ。  
 慌てて斧乃木ちゃんを抑え付け、さっきと同じ体勢に見えるように抱き締める。  
 けれど、膝に抱いた人形のドロワーズスカートの中、ドロドロの肉壺の中に、いきり立つ肉棒が挿入されたままなのだ。  
 ファスナーをおろしただけの僕と、パンツをずらしただけの童女が、性交の真っ最中なのだ。  
 それを妹に見られてしまうかもしれない。  
 その興奮がびくびくと陰茎を跳ねさせる。そして跳ねれば、応えるように膣が動く。  
 ただでさえきつい童女の中が、断続的にうねって締まる。  
 ヤバイ。  
 これはヤバイ。  
 もう無理だ。  
 そうして、和服ではなく外出用の洋服を来た月火が口を開いた瞬間、僕はついに耐えられなくなり、斧乃木ちゃんの中に、童女の膣内に、全力で射精を開始してしまった。  
 
 
 それどころではなかったので聞き取れなかったけれど、おそらく外出する旨を僕に告げた月火になんとか片手を挙げて応える。  
 そして、月火が見えなくなり、とんとんと階段を降りる音を確認してから、僕はゆっくりと息を吐き出した。  
「……バレるかと思った」  
「バレた場合はどうなったのかな、鬼の鬼いちゃん」  
「想像したくねえ……。ていうか斧乃木ちゃん。鬼が増えてるぞ」  
「そりゃあ、こんな事をする人は鬼以外のなにものでもないからね」  
 確かにその通りだ。  
 普通ならセクハラで済ますところを、どういうわけかこんな狼藉に及んでしまっている。  
 妹達がいる前であれば声が出せないだろうからセクハラし放題だぜ! くらいの認識だったのに。  
 もしかして欲求不満なのだろうか。  
「あ、うん。ごめん」  
「友達じゃなかったら、更に言えば、鬼の鬼いちゃんのそばにいろって言われていなかったら『例外のほうが多い規則』で木端微塵にしているところだよ」  
 まじかよ。  
 友達でよかった。  
 あと、ありがとう臥煙さんと影縫さん。  
 ていうか、あっさり許し過ぎじゃないか?  
 もうちょっと追及してくれないと、勘違いしてしまうと言うか、調子に乗ってしまうと言うか。  
 我ながら困ったものだとは思うけれど、そんな感じになってしまう。  
「……えっとさ、ついでといっては何なんだけれど」  
「何かな、鬼の鬼いちゃん」  
「……もう一回いいかな」  
 言いながら、斧乃木ちゃんを抱え直す。  
 萎える気配のない陰茎が、幼い膣の中で二射目の機会をうかがって跳ねた。  
 
 張り付いた膣壁がうねるまにまに、撹拌された粘液が行き場を失って結合部から溢れ出る。  
「……どうせやめる気がないのなら、断らずにすればいいのに」  
 そう言った斧乃木ちゃんの口調は、普段と何も変わらず単調だった。  
 その様子に、僕は、いったいどこまでやれば斧乃木ちゃんが慌てるのか試してみたくなる。  
 そんなサディスティックな思考に支配され、僕は斧乃木ちゃんを抱えたまま立ち上がる。  
 小さな体が宙に浮く。  
 一気に体重がかかり、亀頭が子宮を押し潰す。  
 それでも、斧乃木ちゃんは声ひとつ漏らさない。  
 そんな斧乃木ちゃんを串刺しにしたまま、部屋の隅に移動する。  
 そして、裏返してあった姿見を、回転させた。  
 
 そこに映るは一人の童女。  
 宙に浮き、スカートを捲られ、下着をずらされ、そして何故か性器まで広げられ、けれど人形のような無表情。  
 その姿に圧倒される。  
 後ろに映る男物の服など一切気にならない。  
 まるで、えっちなマンガで行為中の男が描写されず、女の子だけが強調されるような、そんな情景。  
 見たい所がばっちり見える。  
 無毛の割れ目が試験管でも入れられたように丸く口を開け、膣壁が擦り上げられて変形し、あまつさえ淫液を分泌するところまで見える。  
 けれど。  
 それでも斧乃木ちゃんは顔色ひとつ変えはしない。  
 僕の形に広がってしまった肉穴を無感動な瞳で見つめるだけだ。  
 その反応に、僕は奇妙な快感を覚える。  
 無垢な童女にいたずらし、いやらしいことを教え込み、自分の色に染めていく。  
 そんな妄想が現実のものになったような感覚。  
 その興奮を糧にして、僕はまた動き始める。  
 
 鏡の中で上下する小さな体の中心を食い入るように見つめながら、小刻みに腰を振る。  
 すると、鏡に映る赤い洞窟が、それ自体生きているかのように壁を蠢かせた。  
 そして、その度に洞窟からは、白く濁った液体が少しずつ吐き出される。  
 実際に挿入していて、感覚もあるのに、良くできた3D映像のような不思議な視界。  
 目の奥がちりちりする。  
 耳の後ろがひりひりする。  
 喉が渇く。  
 動くのを止められない。  
 VR技術が完成したらこんな感じになるのだろうかとくだらない事を考えながら、中腰になって格好悪くへこへこと腰を使う。  
 それ以外機能の無い機械のように、一心不乱に。  
 もはや斧乃木ちゃんの反応など考える余裕も無く、ただ快感に支配され、本能のままに突き進む。  
 煩悩のままに突きまくる。  
 そして、優に百八回は突いた頃、腰の奥からわだかまる感覚が湧きあがってきた。  
 マグマのように、ぐつぐつと煮えた熱情が湧きあがる。  
 吹き上がるのを待っている。  
 それをなんとか抑え付けて、最後の最後、最高の一突きを、最奥目がけて繰り出す。  
 細い体をきつく抱き締めながら、伸びあがるように、子宮に擦りつけるように腰を突き出して。  
 幼い膣の奥底で、二度目の射精を開始した。  
 
 
 事後談というか、今回のオチ。  
 僕が息を整え終わった頃、斧乃木ちゃんがまた声を上げた。  
「……鬼畜な鬼の鬼いちゃん。そろそろ下ろしてくれないかな」  
「……また鬼が増えてないか?」  
 影縫さんの呼び方と混ざってるぞ。  
「この呼び名は甘んじて受けるべきだと思うけれどね。僕をこんなに恥ずかしい目に合わせてさ」  
「うん、ごめん。暴走した」  
 でも、あそこまでしても顔色も変えず声も出さないなんて、斧乃木ちゃんは本当に恥ずかしがっているのだろうか。  
 これはこれで興奮するけれど、正直なところ喘ぐ斧乃木ちゃんも見てみたい気がする。  
 でも、あっちは十分すぎるくらい濡れてるんだよなあ。  
 と、そこまで考えて気付いた。  
「――あ、精液も鏡には映らないのか」  
 引き抜いた陰茎に付着した分も映ってはいないし、パックリと口を開けた膣から流れ出る白濁も、実物と鏡では違いがある。  
 まあ、体液だけ鏡に映るのだとしたら、血管が丸見えの人体模型みたいになりそうだから、当たり前と言えば当たり前なのだけれど。  
「それを確認するために、あんなことをしたのかな。鬼畜な鬼の鬼いちゃん」  
「えーと……」  
 どう答えるべきか迷う。  
「そういう事なら、先に言ってくれれば協力したのに」  
 え。  
 マジで?  
 …………でもなんか反応がおかしいな。  
「ときに、斧乃木ちゃん」  
 床に斧乃木ちゃんを下ろしてから、聞いてみる。  
「赤ちゃんってどうすれば出来るのかって知ってる?」  
「……質問に質問で返すけれど、僕に生前の記憶が無いのは知ってる?」  
 なんか妙な答えが返って来た。  
 ……つまり知らないって事?  
 えっちな事だとは知っているから恥ずかしいけれど、詳細は全く知らない感じかもしれない。  
 ……と、いう事は、だ。  
「じゃあさ、定期的にこうやってチェックしたいんだけど、いいかな?」  
「そうそう。そうやってお願いすればいいんだよ、鬼のお兄ちゃん」  
 とまあ、そんなふうに。  
 僕と斧乃木ちゃんは、定期的に鏡に映しながらセックスをする約束をしたのだった。  
 

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