「ひとしき君、食べよ」  
 ケーキを先割れスプーンで刺して、玉藻が口許に突き出して来る。  
 色気ねぇのな、畜生が。  
「あん?あーんとでも言いながら食べりゃいいのか?」  
「ほら」  
 ……あーん、と。  
「あ、うま……ッ!?スプーンそんな口ん中に突っ込むな馬鹿喉の奥当た……」  
 顔を一気に話して、肩で息をした。  
「おいし」  
 ゆらりと揺れる。一緒に帽子も。  
「い?」  
「ああ、うまい」  
 目の前のぼろ切れサンタに返してやる。とりあえず両乳首が見えてんのは狙ってんのかこいつは。  
「よか……た。作って」  
 手作りかよ。なんだこの軽いジャブと思わせてジェットストリームアタックを生身の人間が食らったような破壊力は。  
「あーん」  
「…………」  
 口を開ける。  
 とりあえず、こんな一日もいいんだろう。  
 

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