その日。
ある日曜日の昼下がり。
いつものように二人の妹、火憐と月火に叩き起こされた僕は、特に祝日でもないのに、家を出ていた。
といっても、別に、家出とか、そんなものじゃない。
ただ、妹に起こされた後、特にやる事もなく一一勉強するという手段はあるのだが気が乗らず一一こうして、もう一台しかないママチャリに跨って、駆けていた、という訳だ。今はもう、自転車から降りて、押しながら歩いているが。
つまりは、暇だったのだ。
ただたんに、暇なだけ。
暇人とも言う。
あまり言われたくはないけど。
まあそんな感じで、手持ち無沙汰で一一自転車を押してはいるが一一色々考え事をしながら歩いていた。
考え事の中身というのは、こういう日こそ、戦場ヶ原を誘うべきではないのか、とか。
神原はやっぱり戦場ヶ原の影響であんなにエロいのか、とか。
八九寺の噛み癖をどうにかできないものか、とか。
いやでも、あれはあれでなくなったら寂しいか、とか。
千石は果たしてビックリマンを今でもやっているのかどうか、とか。
やっぱりこんな時に戦場ヶ原を誘うべきではないだろう、とか、色々、益体もないことを考えていた。
なんか、我ながら阿呆みたいだった。
ただ、何故か、羽川の事は、思い浮かばなかった。
それに気付き、ちょっとビックリ。
いや、考えなかったというなら、忍野のこともそうなんだけど
(忍は今でも僕の陰の中にいるので、考える必要もない)
羽川と忍野を同列に並べるのは、何だか、気が引けた。確かに、忍野はいい奴だった一一んだろうけど。羽川は、僕にとって、それ以上の恩人だし。
いつもなしない思考。僕らしくない。
何か、違和感は感じていた。
朝起きた時からは、感じてはいた。
いや、昨日から?
いや、正確に言うなら、六月十四日の、あの猫の騒動が明けてから?
僕は何を考えて、何を考えないようにしている?
くそ、分からねえな……気ままな散歩だった筈なのに、こんなことばかり考えて、僕には安息の日々は訪れないのか?
一一そうだ、気ままな散歩。
こんな日に散歩しているのは、僕だけじゃない筈だ。
それこそ、彼女だって一一