もしあのシーンで姫ちゃんがいなかったら
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それだけ聞くと、子荻ちゃんは幽鬼の様な足取りでさまよい歩き始めた。
「子荻ちゃん!」
ぼくも直ぐにあとを追った。
姫ちゃんは哀川さんの所にいれば安全だし、このあと、哀川さんたちに、裏切りの理由をなんと言えばいいのかわからない。
でもいまは、何より子荻ちゃんの精神状態が心配だ。
彼女は僕の腕の中で脱力した。
ぼくは、慰めのことばも見つからず、しばらくして、黙って彼女を抱いていた。
ふと、彼女が動いてぼくの肩に頭を乗せる。
黒く長い髪がぼくの方をまたいで背中に落ちた。
そして、彼女はゆっくりと顔をあげ、
「ねぇ──」
くぐもった、ぼくの体に直接響くような声で彼女が言う。
「私はどうしたらいいのかわからなくなっちゃった」
子荻ちゃんは全身をぼくにゆだねるように重ねてきた。
制服ごしに、子荻ちゃんの体の熱が伝わる。
何を求めてそうしているかは予想できるが、それを、与えていいのだろうか。
正解はない。
けれど、いっときでも、刹那でもそれが彼女の心を助けるのなら──
ぼくは少女を抱えていた手で、そのまま制服のボタンを外した。
子荻ちゃんはかすかに身を固くしたが、抵抗はしない。
胸の上のボタンが外れると、ぼくはわざと荒々しく、制服の前を左右に広げた。
黄色いスカーフをしたからかきわけ、胸の膨らみがあらわれた。
膨らみは胸を押さえるような形の下着で覆われていた。
戦いのため、女の子らしさをわざと隠しているようなそれを、ぼくはぐっと掴んで引き上げた。
「……」
穴にもつけない乳房を外気にさらされ、子荻ちゃんは恥ずかしそうな顔でうつむいた。
ぼくはしたから持ち上げるように乳房に触れた。
心地よい重さと柔らかさの乳房。
ふとぼくは、この肌に触れるには自分の手が乾きすぎているように思えて、
子荻ちゃんの唇に指先を乗せた。
彼女はためらいながらも唇を開き、ぼくの指をくわえて湿した。
舌先の、ざらついてぬめる感触が、ぼくの指に絡みつく。
それが連想させる行為がぼくの頭を熱くした。
指を抜き、すべる手先でふたたび彼女の乳房をさぐる。
頂上の乳首に指先が届くと、腕の中でぎゅっと体をひねる。
「いや…かな?」
「……」
違うだろう。
ただ、敏感な部分に触れられることに、体が慣れていないのだ。
ぼくは指先で刺激を続けた。
子荻ちゃん自信の唾液で濡れた乳首がツンと勃ち上がる。
先端が、窓の月あかりで光って見えた。
ぼくがてのひら全体で乳房をつかむと、
子荻ちゃんはきれいに首を反らして、
されるがまま、ぼくの動きにあわせて微妙に方を動かしていた。
ぼくも本能の命じるままに、彼女のスカートへ手を入れる。
子荻ちゃんはぴくりと小さく反応したが、やはり声ひとつあげようとしない。
ぼくは内側から太ももに触れ、ゆっくりと、横に広げていった。
もしも、正面からいま彼女をみたら、
子荻ちゃんは、制服から乳房だけをはみ出させ、
広げた足の中心の下着を見せている、ひどく扇情的な格好だろう。
そんな姿の子荻ちゃんをかばうように、ぼくは、姿勢を変えて彼女と向き合い、
乳房の間に顔をうずめた。 (´ー`)
子荻ちゃんのにおいだ。
洗いたての制服に、ほんの少しだけ汗の混じった生きているにおいだ。
ぼくは子荻ちゃんの乳房を吸った。
「……ッ……」
噛みしめた少女の唇の間から、声にもならないせつない響きの息がこぼれる。
ぼくはその声がもっと聞きたくて、少女の下半身に手を伸ばした。
下着の上からそっと触れると、
子荻ちゃんはほとんど反射的な動きでぼくの手を大体で挟んで拒んだ。
ぼくは手の動きを止めた。
「……」
「……」
「……」
「……」
すると子荻ちゃんは、ごめんなさい、とでもいうように、ゆっくりと、みずからふたたび脚を広げた。
いいのか、とはあえてたしかめない。
ぼくは開かれた子荻ちゃんの股間に手をあて、下着ごしに指でたしかめる。
そこは、たしかに湿り気を帯びていた。
ぼくは下着に手をかける。
震える腰、震える大体を伝わって、ゆっくりと下着が落ちていく。
膝下まで下着が落ちたところで、ぼくはじかに子荻ちゃんのそこに触れた。
子荻ちゃんは全身で反応し、まだ唾液で光る乳房がぷるんと揺れた。
ゆっくりと指を往復する。
中心の柔らかな部分に指が触れるたびに、
少女の全身がこわばるのを感じる。
「怖い?」
「……」
首を振るが、彼女の手はぼくの方にしがみつくようにつかまっていた。
ぼくはその手をとってぼくの腕を握らせる。
そうして子荻ちゃんを近くにあった机に座らせ、両膝をかるく開かせた。
子荻ちゃんは黙って言うままにする。
ぼくは床に膝をついて子荻ちゃんのスカートの中に頭を入れた。
すぐそばに、子荻ちゃんの秘密の部分がある。
だが、ぼく自信の頭が影になる上、
この明かりではそこは見えない。けれど感じる。
ぼくはそこに唇をつけた。
熱く柔らかい彼女の感触。
舌が滑ると、少しずつ溢れてくる子荻ちゃんの味の蜜。
子荻ちゃんは何度か膝を震わせ、しゃくりあげるように息を吸った。
素直なことばも甘い声もないが、彼女がぼくの行為に感じているのはあきらかだった。
ぼくは、それだけで充分に自分自身を高められる。
ぼくはそこから顔を抜いた。
唇に、自分の唾液か子荻ちゃんの蜜だかわからないものが糸を引いた。
いいよね、と目で問う。
わかりました、と答えるかわりに少女は目を閉じて息を吐く。
ぼくは改めて子荻ちゃんと抱き合った。
あらわなままの乳房がぼくの胸をつついている。
ぼくは自分の前をゆるめて、さっきまで口をつけていた子荻ちゃん自身に、自分の分身をあてがった。
「……ツッ……!」