無機質な照明器具が照らす部屋の中には、ぴちゃぴちゃと何かを舐める音だけが響いていた。
部屋の中には三人の人間。いや、正確に言うならば、ぼく――供儀創貴と二人の魔法使い、水倉りすかと影谷蛇之が居た。
りすかの父親である水倉神檎の手がかりを求め、ぼくらは影谷蛇之と一戦を交えにきた。
しかし、頼みの綱であった懐中電灯を失い、影谷の魔法によってぼくたち二人は身動きが取れない絶体絶命の状態に陥ってしまった。
ぼくは死を覚悟したが、影谷は二人を殺そうとはしなかった。
――徐にズボンのチャックを下ろすと、露出した性器をりすかの口に含ませたのだ。
流石は少女愛好家の変態紳士、ぼくらを殺す前に自らの性欲を発散させるつもりらしかった。
どれだけの時間が経っただろうか、今も影谷はりすかの口腔の感触を楽しんでいる。
「……あっはぁ、やっぱりナガサキの女の子は最高だよ。快感が全然違う。織絵ちゃんなんて、ひたすら嫌がるだけで全然ダメだったよ。無理矢理突いたら吐いちゃったしさぁ」
影谷は満足そうな表情でりすかを見下ろす。
りすかはというと、自ら舌を動かして影谷の男根を必死に舐め回している。ここからでは表情までは見えない。
僕はその二人をただ黙って見ていることしかできない。
「……んっ」
口の中で、懸命に舌を動かすりすか。小さな口では、影谷の肉棒は半分程しか挿入することはできないだろう。
「いいよぉ、りすかちゃん。とてもいやらしい姿だ…お父さんに見せたら何て言うかなぁ」
「んんっ……!むぐっ」
何かを言おうとしているようだが、性器をくわえたままでは言葉にならない。
今りすかは、どんな表情をしているのだろうか。
怒りに満ちているのか。もしかしたら泣いているのかもしれない。
「あっはぁはぁ!いいよその表情、スゴくいい!僕もうイっちゃいそうだよ!」
そう言うやいなや、影谷はりすかの頭を掴むと自ら腰を振り始めた。
「んっ…!うぐっ!」
りすかの苦悶に満ちた声。それと一緒にぐちゅっ、ぐちゅっという淫らな音が部屋に響く。音の間隔は、徐々に短くなっていく。
「出すよりすかちゃん!全部飲むんだよ!」
「んーっ!」
影谷はそう叫ぶと、りすかの咽喉の奥まで自らの男根を達させようとするかの如く、りすかの顔を腰の辺りで抱き締め固定した。
白濁した精液を全てりすかの体内に放出するために。
まさにその時、僕は叫んだ。
「いまだ、りすか!」
一瞬の静寂。
次の瞬間、影谷蛇之は恍惚に満ちた表情から一変――苦痛に満ちた顔でりすかをいきなり突き飛ばした。
衝撃によって、影に刺さったダーツによる束縛から解放されるりすか。
影谷蛇之はへなへなとその場に屈み込む。
りすかは、赤と白に彩られた塊を足下にべちゃっと吐き出すと、僕の方に歩いてきて影に刺さったダーツを抜いた。
「……予定通り、なの」
「あぁ、良くやった」
僕はりすかに言葉をかける。フォローは大事だ。
「ぐぁ…!お前たち、一体何を…!」
鬼の形相で僕らを見上げる影谷蛇之。両手で股間を押さえている。
そこからは、大量の血液が溢れ出していた。
「勿論、お前の汚いイチモツを噛み切ったのさ。苦肉の策だったが、お前が変態で助かったよ」
「ふ、ざけるな」
りすかに視線を移す影谷。りすかの口の端からは、いまだ精液と鮮血が流れ続けている。
「そうでなければ、りすかがお前の粗末なモノなど自分から舐めると思うか?思い上がりもいい加減にしろ…やれ、りすか」
りすかはカッターナイフを取り出すと、影谷蛇之に向けてゆっくりと歩き出した。