「ほんとサンキュ、先輩。これで水泳部にも未来が見えてきたぜ!」
水泳部の練習に参加したシズノに、キョウは顔を輝かせてそう言った。
練習中はハヤセとウシオの手前というよりも、泳ぎに集中していたので
言葉を交わすこともなかったが、練習を終えての帰り道、ハヤセ達と別れて
二人きりになって、ようやくキョウはシズノに礼を言えたのだ。
シズノは微笑で応えるが、その表情はどこか晴れない。
「先輩?」
問い掛けるキョウに、シズノは一度目を伏せて、不思議な笑みを浮かべた。
艶やかな唇に添えられたシズノの白い指に、キョウは目を奪われた。
「…じゃ、お礼にってことで、付き合ってくれる?」
「いいけど、何?」
シズノの手が唇から離れてキョウの手を取る。視界ががらっと変わり、
次の瞬間キョウは見覚えのないビル街に居た。
「ここどこだよ……ってラブホ…??ありえねええ!!」
少なくともキョウの記憶にある限り、こんな所に来たのは初めてだ。
「何大声出してるのよ」
シズノはキョウの手を取ったまま、つかつかとビルの中に入っていく。
「この虚構の街で、何かやましいことでもあるの?それとも」
足を止めたシズノの瞳が妖しく光る。
「私だけとだと嫌だとでも言うの?」
先日の、リョーコを交えた3人での行為の記憶が鮮明に蘇る。
「そんなんじゃねえよ」
事後のシズノの言葉を思い出せば、それは本音ではなく、いわば脅しだ。
だがただの脅しなどでなく、抗うことなどできない誘惑でもあった。
あの日からシズノの香りと温もりが頭を離れない。
もう後戻りなど出来ない。
あの日シズノに導かれてしまってからは。
キョウは覚悟を決めて、店員も他の客もいない無人のビルの中に踏み出した。
「なんじゃこりゃ」
キョウは全面鏡張りの部屋の中を見渡してそう言った。
「レトロよね、舞浜サーバーの設計者が古いデータで遊んだのかしら」
「んなこと言われたってわかんねえよ」
キョウが見ている鏡の中で、背中を向けてベッドに腰掛けたシズノが
制服のベストを脱いでいる。黒い髪を払ったシズノが振り向いて、上体を
捻って腕をベッドにつき、声を出さずに何かを言った。その唇の動きに
キョウは振り向いた。
「え、何?」
「分かるでしょ」
捻った腰のラインは、制服のブラウスとスカートの上からもくっきりと
分かってキョウの視線を誘う。シズノにそのまま近づくと、水泳部の
練習を終えた後にシャワーを使ったばかりだから、シャンプーの良い
香りがした。襟元に掛けたシズノの指が、ゆっくりとリボンを解きだす
のに、キョウは自分の手を出してリボンを解き、ブラウスのボタンを
外していく。肌と見紛うかのような、淡いピンクのレースを使ったブラが
シズノの豊かな胸を包んでいた。
「そう、そのまま全部…」
ブラウスを脱がせて、スカートのホックに手を掛ける。シズノに腰を
浮かして貰ってスカートを脱がせると、ブラとお揃いのショーツが大切
な場所を覆っていた。
シズノが手を伸ばして天井の照明を消すと、暗くなった部屋のそこここに
置かれた小さな照明がムードをかもしだす程度に点されて、闇の中に
二人の姿がいくつも浮かび上がる。キョウが室内を見回すと、鏡の中に
映るシズノは下着を身に着けていながら裸身にも見えた。ブラをしたまま
だから、形の良い胸が際立って美しく見える。しばらくその姿に
見とれてしまったキョウは、惚けた自分の顔をも目の当たりにして、
慌てて自分も制服を脱いだ。鏡の中でシズノが珍しく笑っている。
「なんだよ」
「だって、その恰好」
制服をぱっぱと脱ぎ捨てたキョウは、いつもの水着を着けているのだ。
「あ、いやだからつい習慣で…練習で履いてたのとは、別!」
「分かったから、それも脱いじゃいなさい」
シズノに言われてキョウは水着に手を掛けるが、ふとその動きが止まった。
「どうせならさ」
キョウはベッドの上に膝立ちになって、シズノを見下ろす恰好になった。
シズノはキョウの前に跪き、水着の上から既にその昂ぶりが分かるように
なったものを優しく一撫ですると、キョウの水着をずり下ろして脱がせた。
「もうこんなにしちゃってるの…いけないひと」
シズノはいとおしげにキョウのペニスに頬と手で触れて、唇を寄せた。
ついばむようなキスを繰り返し、口に含んで舌を絡める。玉袋をねっとりと
舐め回して、肉棒を白い指でぎゅっと包み込み、裏筋を丁寧に舐めては
先端を吸い、わざと音を立てるようにして口で上下に扱きあげる。キョウの
目の前の鏡には、シズノの黒い髪と尻が揺れている姿が映り、口だけでなく
体全体で奉仕しているのが分かる。そのシズノの動きのままに、キョウの
体を快感が突き上げて、シズノに頬張られたペニスを漲らせていく。
「あっ…く…いいよ、先輩」
「先輩じゃなくて、シズノでしょ」
そう言ってまたシズノは艶やかな唇でキョウの肉棒を咥え込む。じゅばっ、
という濡れた音を立ててシズノが自分のペニスを愛撫する光景を見下ろす
キョウは、先の経験も手伝って、征服欲に火が付くのを自覚した。
「シズノ…っ!!」
荒く息を付きながらシズノの黒い髪に手を伸ばすと、その頭を自分の腰に
押し付けた。
「んっ!!」
突然口の奥にまで肉棒を差し込まれて、シズノは呻いた。だがキョウを
見上げたその瞳は歓喜に潤んでいて、淫靡な光さえ放っていた。キョウは
口の端を上げて笑みを浮かべると、シズノの頭を抱える手に力を入れた。
「出すぞっ!!」
コクリと頷くシズノの喉奥に、キョウは精を放った。シズノの頭を抱えて
いたはずが、勢いで肉棒はシズノの口から飛び出し、上気した美しい顔を
白濁で淫らに彩った。口の周りを汚した精液を舌で舐め取って、シズノは
蕩けた表情のままごくりと飲み込んだ。
「キョウ…」
シズノの潤んだ瞳が自分を見上げて、艶やかな唇が自分の名を呼ぶ。背中
がゾクゾクするような快感に、キョウは震えた。
「ごめん、途中だったな」
キョウはシズノの胸を包んでいる淡いピンクのブラのストラップをずらす
と、背中のホックを外した。プルンと揺れる乳房を一撫でして、シズノの
体をベッドに横たえる。ブラとお揃いのショーツに手を掛けて、少し脚を
開いたところで布地越しに秘裂をなぞると、もうショーツはしっとりと
濡れていた。
「すげぇ濡れてる…」
「いいから、脱がせて」
シズノが腰を浮かせてくれたので、キョウがショーツをずり下ろすと、
ショーツとシズノの秘裂との間に蜜の橋が架かる。雫はほどなくこぼれて
しまい、そのままショーツを下ろしていくと、キョウはまだ脱がせて
いないものがあったことにようやく気付いた。制服のハイソックスだ。
「そのままでいいわよ」
シズノが不思議な笑みを浮かべている。
「その方がいいんでしょ、あなたは」
言われてみると、そんな気がする。ショーツは脱がしてしまっても、この
ハイソックスはそのままの方がいい。どういう訳かはこの際考えない。
「そうだな」
シーツに広がる長く黒い髪。口淫に上気した肌を晒した裸身。その中央を
彩る黒い茂み。そして白い脚の膝から下だけを覆う黒いハイソックス。
学校の制服を楚々と着こなす姿とも、戦闘服の黒と紫が包むボディラインの
艶やかさを帯びつつも凛々しい姿とも違った、そのシズノの姿はあまりにも
扇情的で、キョウは既にシズノの口に射精したペニスがまた漲ってくるのを
はっきりと感じた。シズノの体に覆いかぶさろうとして、そのシズノの視線
を追って天井を見上げた。
「うわあ、映ってる」
「鏡張りだもの」
シズノがふと悪戯っぽく笑って、キョウの顔を覗き込んだ。
「ね、キョウのおちんぽ、またしゃぶらせて。で、キョウは私の…」
「私の、なんだよ」
意地悪く問い返すキョウに、シズノは瞳を揺らめかせて頬を染めた。
「私の、お…おまんこを、しゃぶって」
「ああ」
そうキョウは答えて、でも我慢しきれずに軽く口付けをして、シズノの隣に
逆向きに横たわると、股間に顔を埋めた。ぴちゃぴちゃと濡れた音が
響き、天井の鏡には互いに局部を口で愛撫する二人の姿が映っていた。
キョウが顔を上げると、蕩けた眼差しでキョウの肉棒を咥えるシズノの横顔が
見えた。シズノが鏡に向けた視線に、キョウはシズノの尻を揉みしだく手に
力をこめ、そして舌を尖らせて蜜を溢れさせるシズノの秘裂を弄った。
「んっ…あ…」
くぐもった声を上げながらシズノが喘ぎ、その口の中でキョウは破裂しそうに
なっていた。ぐっと堪えながら秘裂に息を吹きかけると、シズノが一際高い
嬌声を上げた。
「あああぁぁっっ!!」
口からは肉棒を出してしまったシズノだが、手で扱き、玉袋をざわりと撫で
回して愛撫は続けていた。荒い喘ぎ声が絶え間なく響き、鏡に映る顔は悦楽に
歪んでいたが、それはシズノの美しさを際立たせていた。
「はぁ…ん…キョウ、ね、もう…いいでしょ…」
シズノの声に、キョウは答えない。
「挿れて…キョウのを…私の中に挿れてっ」
キョウはそのシズノの声をもっと聞きたくて、秘裂をゆっくりと焦らすように
指でなぞった。
「そう、そこ…そこがいいの、そこに突き刺してっ、指じゃなくて…あぁっ!!」
キョウが秘裂を吸い上げると、シズノは絶叫した。
「はあぁぁぁぁっ!!…あぁっ…キョウの、硬いおちんぽ、挿れてぇっ!!」
シズノは軽く達してしまったのか、蜜を溢れさせて荒い息をついた。
「可愛いよ、シズノ」
ひくつく秘裂に優しく口付けたキョウは身を起こすと、シズノの顔を上向かせて
荒々しくその口を吸った。
「ほら、丸見えだよ」
鏡に向かってベッドの端に腰掛けたキョウは、シズノの脚をM字に開いて太股を
抱えてみせた。膝下のハイソックスが黒くその端を彩って、全裸とは違った淫靡さ
をかもしだしている。その姿を目の当たりにしたシズノは一層肌を上気させ、
自ら股間に手を伸ばして、濡れそぼった秘裂を広げてみせた。
「全部丸見えで…それに、見られてるみたい」
うっとりとしたシズノの声に、キョウはふと室内を見渡した。暗闇の中ぼうっと
した明かりに浮かぶ、鏡に映った無数のシズノとキョウ。キョウはごくりと唾を
飲んだ。
「でも、ここにいるのは俺達だけだぜ」
「そうね、あなたと私の二人だけ。そして二人は、一つになるの」
「そうだな…じゃ、いくぜ」
キョウはゆっくりとシズノの体を、屹立する自分の肉棒に向けて沈ませた。
ずぶずぶと濡れた音を立てて、二人が繋がっていく。
「あああああぁぁっ!!」
待ちわびた瞬間を、シズノは歓喜の声を上げて迎えた。目の前の鏡には、キョウの
猛々しい肉棒を淫乱に咥えこんでいく自分の秘裂が映っている。
「くっ…すげぇ、ぎちぎちに締めてくる…」
キョウもまた、体でシズノを感じながら、鏡の中の自分達を見ていた。背中から
シズノを抱きながら、形の良い胸を両手で愛撫し、下からシズノを深々と貫く。
そして確かな喜びに満たされていくシズノの顔が鏡に映っているのを見るのは、
今までにない快さだと感じていた。
「素敵よ…キョウ、もっと奥まで来て、中にいっぱい出して!!」
「ああ!!」
キョウはベッドのスプリングを使って、シズノを激しく突き上げた。シズノの黒い
髪が乱れに乱れて、汗ばんだ顔に張り付き、その顔を淫らに彩る。
「あぁっ!!来てる、来ちゃう、やっぱりあなたがいいっ…いいのっ!!もっと、
もっとぐちゃぐちゃにかき回して!!」
じゅぶっじゅぶっという濡れた音と、肉がぶつかり合う音が響き、二人が喘ぐ声が
重なっていく。シズノは奥深くまで挿入してはギリギリのところまで引き抜いて
突き上げてくるキョウの動きに合わせて自分も腰を使い、さらにキョウを締め
上げていった。キョウはシズノに頬を寄せると耳を甘く噛み、向き合ったシズノと
唇を軽く重ねた。
「すげぇよ…シズノ、もう、俺、いく…っ!!」
「私もいくわ、あ、ああぁっ!!好きよっ、キョウっ!!」
二人の絶叫と動きとが完全に重なって、キョウはシズノの膣内に一気に射精し、
シズノは絶頂と共に蜜をどくどくと溢れさせた。唇が触れあい、たまらずに舌が
絡み合う。ぐちゅぐちゅと粘液を交し合いながら、二人は快楽の余韻に浸っていた。
「ね、見て、私達がいっぱい私達を見てる」
鏡に映る無数のキョウとシズノが、ベッドの上で繋がったままのキョウとシズノを
見ている。
「言ったじゃんか、俺達だけだって」
「でも、見てるのよ、見られてるの」
そのシズノの口振りに、キョウはふと思い当たった。
「ひょっとして先輩、見られてる方が燃えるってゆーの?」
「先輩じゃなくてシズノでしょ」
口を尖らせるシズノの頬を、キョウは指の先でつついた。
「ごめん。シズノは、見られてる方が燃えるんだ」
繰り返される言葉に、シズノは頬を染めてうつむいた。
「そうかも…ひょっとして、目覚めちゃったのかしら」
「…って、まさかこないだのやつで?」
「確かめてみる?」
悪戯っぽいその言葉に、うつむくのはキョウの番だった。
「それはさー、ちょっと勘弁」
見上げたシズノの顔に笑みがあるのを見て、キョウはからかわれたと知った。
むっとするキョウの頬に口付けて、シズノは体をキョウに預けた。
「今はこのままでいいわ」
「ああ」
キョウは胸元に預けられたシズノのしっとりとした黒髪をいとおしげに抱いた。
きゅうっとシズノが膣を締めて、キョウの抱擁に答える。
二人が交わったところから、とめどない快感と…ある種の痛みが走り抜ける。
鏡に映る無数のキョウが、無数のシズノを抱いている。合わせ鏡の中に
繋がっている無数の二人がいる。それはどれも過去、それはどれも未来。
でも今はこのままの二人があればいい。
キョウはその想いとともに、シズノを抱きしめた。