その森は、静か。  
鳥のさえずり、擦れる木々。  
そして、オカリナの音。  
喧騒や雑音は聞こえない、澄んだ場所。  
僅かな音も、こだまする。  
足音も例外ではなく、どこからか反射した少年の足音が聞こえる。  
階段の上に見える少女は、オカリナを吹く手を止め、警戒した。  
が、少年の顔を見ると安心しきった顔になった。  
「あ、リンク!おーい!」  
発した声が重なって、消えていく。  
少年が少女の前に立つと、2人は笑顔を交わした。  
「リンク、ちゃんとオカリナ吹いてる?」  
「うん、ちょっと上手くなったかなー、なんて」  
「ふふ、一緒に吹きましょ!」  
2つのオカリナの音が交じり合う。  
森の木々も音を受けて歌い、音の数が何倍にもなる。  
2人が演奏を終えても、森の重奏は長く余韻を残した。  
「ああ、楽しかった!」  
そう、楽しい。心の底から。  
2人は笑った。  
離れていた時間を埋めるように。  
 
笑いが徐々に止んだ頃、彼女は話した。  
「私ね」  
「うん?」  
さっきまでとは違う空気。  
悪寒といったものは無いけど、真剣な。  
「私ね・・ リンク、あなたの事がとても好きだった。  
 あなたが森を出るとき、辛かった。  
 これが運命なんだって無理矢理言い聞かせて。  
 どうしようもなかった。ずっと涙を流してた。」  
痛切な独白。思わず顔を背ける。  
直視する事もできないくらいに、彼女は痛ましくて。  
「でも今、あなたは来てくれた。  
 とても良い機会だから、改めて言うね。  
 私、リンクの事が大好き」  
・・そんな事。  
自分が原因だと分かっている。  
その原因は今も離れてはくれないけれど。  
「・・僕も同じさ」  
そう、そんな事、僕も同じだ。  
身勝手な事も解っているけど、気持ちに嘘は無い。  
とても可愛らしくて、いとおしくて、どうしようもない。  
だから――  
「だから、お互いを感じよう」  
 
「だから、お互いを感じよう」  
――え?  
彼は言って、顔を赤くしている。  
そういう意味なのだろうか。  
私の顔も、だんだん熱くなっていく。  
「え・・と・・」  
やっと搾り出せた言葉がそれ。  
素直に頷ければいいのに、情けないと思う。  
そんな事を思っていると、彼の手はぎこちなく私の服の肩紐を外しにかかっていた。  
「ち、ちょっと待って」  
「嫌?」  
即答。  
真っ直ぐに見つめられている。  
・・嫌な訳はない。こんな時がくればいいな、とさえ思っていた。  
だから、照れ隠しに俯いて。  
「優しく・・ね」  
とだけ言った。本当はどういう事をするのか解らないけれど。  
私が座ると、その正面に彼が覆い被さるように立った。  
 
肩紐が外され、そのまま膝の辺りまで下ろされた。  
緑の上着と、白の下着が彼の目に晒される。  
今更ながら、少し恥ずかしい。  
上着が捲りあげられて、彼の手が伸びる。  
「ひゃ・・」  
思わず、声を上げる。  
少しだけ膨らんだ先にあるその突起は、小さく尖っていた。  
それを指先で捏ねる彼。じわじわと何かを感じる。  
彼はそこに顔を近づける。  
途端、ざらりとした触感。  
「あ・・」  
濡れているそれは膨らみをゆっくりとなぞって、乳首に纏わりついた。  
彼の舌らしいそれが、丹念に私の胸を舐める。  
時々唇で吸ったり、歯で軽く噛んだり。  
その度に私は、何かを感じて、声を上げた。  
 
彼の頭が離れていく。  
知らない内に私の呼吸が荒くなっている事に気付いた。  
なんだか、恥ずかしい。また顔が熱くなるのを感じる。  
離れていった彼の頭の代わりに、今度は手が近づいてくる。  
手は下着をゆっくりと下ろして、私の割れ目をなぞった。  
「んっ・・」  
指はなぞりながら割り込んでくる。  
そのまま私の中に入ってきた指は、私の中を楽しむように動き回る。  
指圧したり、出し入れしたり。  
指の動きがスムーズになってきている。  
そのとき、液体のようなものが私の中から出てきている事と。  
何かを強く感じている事を知った。  
指の数が1本から2本、3本と増えた。  
少し痛くも感じるけれども、それはさっきから感じている何かが和らげている。  
指が私の中で擦れるたびに、その何かは強まっていく。  
「リンク・・ 私、何だか変な気持ち・・」  
彼は微笑んで、大丈夫、と言った。  
さっきよりも呼吸が乱れている。  
やはりとても恥ずかしい。  
でも彼に嫌われたりは・・しないよね?  
 
彼のズボンが下ろされる。  
そこには大きく上向きになっているものがあった。  
彼は私の足を上げて太ももに手を置き。  
それを私の割れ目にあてがった。  
割れ目が広がっている感じがする。  
見せ付けているようでまた、恥ずかしい。  
「行くよ・・」  
彼の言葉があまり理解できなかった。  
けれど、それが入り始めたときに解った。  
「痛いっ・・!」  
私の中で切れたような音。  
「ご、ごめん」  
彼が申し訳なさそうに謝る。  
「・・良いの」  
その言葉を聞いてか、彼の腰がゆっくりと動き出した。  
じんじんと切れた所が痛いけれど。  
それは嘘のように消えていった。  
今はただ、何かを感じる。  
そう、さっきから感じている何か。  
安心感のようなものが広がって。  
「リンク・・ 暖かい・・」  
彼を、感じる。  
 
安心しきると、私と彼の間で鳴っている音が何故か恥ずかしく思えた。  
じゅ、ちゃ。じゅ、ちゃ。  
森からも聞こえてくる音は私の顔をこれまでにないくらい熱くさせた。  
変な気持ちに耐え切れなくなってきた。  
彼の呼吸も、私の呼吸も相当荒いことに気付く。  
「・・良い?」  
今度こそ、本当に意味が解らなかった。  
とりあえず頷くと、彼は一層激しく腰を動かした。  
直後、私の中でじわり、と熱いものが広がった。  
 
彼と繋がっていた所が離れる。  
そこには、何故か血と、訳の解らない液体。  
とても、不安になった。  
そんな私の唇に、彼の唇。  
私の歯列をなぞり、割って入ってこようとする舌に、私は答えた。  
お互いの舌が絡み合って、何かを感じた。  
――ああ、そうか。さっきから感じていた何かは・・  
 

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