「サリア、見てて」
〜ぬけがらのエナジー〜
「あっ!リンクがもう1人…」
ぬけがらのエナジーで出来たリンクの分身は動きはしないものの、リンクと微妙に似ている物だった。
「これがあるとさ、結構便利なんだぜ」
「へぇ〜っ」
会話が一旦途切れる。
「………」
「……ねぇリンク」
「何?」
サリアは分身をぺたぺたと触りながら言った。
「もしかして、もとに戻らないの?」
「……」
リンクはバツが悪そうに頭を掻くと、苦笑しながら頷いた。
「また違う場所で曲を吹けばそっちに移るんだけどね。消えはしないんだ」
「……ふぅーん」
はっきり言って邪魔である。
コキリの家は切り株の中に作られているのでそれ程広くない。
子供とは言え、等身大のリンクの像が部屋の中にあるのだ。
邪魔である。
「邪魔、だなァ…」
「い"っ!……ゴメンよ…」
「いいわ!"イイ事"思いついたからっ♪」
サリアは笑顔で分身に抱きついた。
「リンクが次に曲を奏でるまで、コレはずっと入り口に立たせておくから♪」
…カーネルサンダース、ペコちゃん、ケロタン、ドナルドetc...
つまりはそんな感じである。
当のリンク本人にしてみれば恥ずかしい事この上ない。
羞恥プレイな上に放置プレイである。
だが、当分曲を吹く機会は無いだろう。
この後、リンクはゼルダ姫に会いに(勿論こっそり、だが)ハイラル城に行く予定だからだ。
「と、とりあえず預かっててよ…いや、入り口には置かないでね。絶対」
リンクがハイラルへと向かって、サリアは分身と2人きりになった。
分身は何か含んだような笑みを浮かべている。
見ているとムカついてくる笑みだが、サリアは上機嫌だ。
言うなれば大好きな人に何してもいい機会なのだ。
「とっ……とりあえず……」
サリアは分身のほっぺたにキスをしてみた。
かすかな温もりがある。まるで生きているかのような頬に。
「ん……ちゅ…」
愛する人の分身に、執拗に口付ける。サリアの子供らしい唇が、似つかわしくない妖艶さをはなつ。
体の芯が、熱い…
ズボンの中に手を入れ、指先でそっとなぞる。そこからは既に、じんわりと蜜が溢れ始めていた。
「ん…は…ぁ、リンク…」
コキリ族の彼女は一生子供のままである。従って男女の交わりなど経験することはない。だが、サリアは自分の体の中心にある器官の意味を知っていた。
「はぁぁん…リン、ク…好き…」
久しぶりに再会したリンクを思うと、疼きが次から次から湧き上がる。サリアは体が求めるだけ答えた。最初の慣れない手つきが、段々とツボを得て行く。激しさはないものの、サリアは自らの幼い溝を、クリトリスを、確実に攻め立てる。
「あっ…あ、いや…ふぅん… ──────?」
目をやると、あのリンクの分身がこちらを見据えている。そういえば、行為に夢中で忘れていた。
サリアは身に着けていた服を脱ぎ去る。淡いグリーンの髪に映える、真っ白でつつやかな四肢が姿を見せた。
涼しい森の空気が、体の熱を余計に強調する。
「リンク…見て…」
一糸纏わぬ身体を、大好きな人に見られる。分身ではあるが、サリアはそれだけで高ぶりを感じた。
少し演技を混ぜながら、自分の秘部が分身によく見えるように、弄る。
「…リンク…見て、私、こんなに、リ、ンクの、こと…が、はぁ…ぁ好きなのぉっ!!」
際限なく溢れて来る愛液が、ジュプジュプと湿った音を出しながら快感を加える。
好きで好きでどうしようもない彼。しかしどうすることも出来ない現実。霞む思考の先では、いつもの彼が、いつもと変わらない、優しそうで、強そうで、なのに優柔不断な笑顔をしている。
指先の動きを一層早める。絶頂まであと少しだ。
直立不動のままの分身は、にやけているようにも、哀れんでいるようにも見える。
背徳が、快楽と後悔を誘い出す。
「…あぁ、あはぁ、見ちゃ…あんっ、いや………あっ!んぁっ!、き…きちゃうよぉっ!!きちゃうよぉぉぉぉぉっ!!」
ハイラルのはずれ、コキリ族の森の、切り株で出来た家、唯一の部屋の真ん中に等身大の少年の人形が一体。その足下には少女が座り込んでいる。
小刻みにふるえていた少女は、やがて大きく身震いをして、絶頂を迎えた。
森の虫や妖精たちの間では、叶わぬ恋と知りながらひとりの人を愛す、可憐で美しく、はかない少女の話が、今もなお、語り草となっているそうな。
おわり