『悪魔』  
 
「遅くなってしまったな。」  
リンクはロンロン牧場へ行くのが日課になっていた。  
しかし、今日は用事があり、牧場に着く頃には夜になっていた。  
この時間では外や牧舎にマロンの姿は見られない。  
仕方がないのでリンクはフックショットを使い、2階の窓から部屋へ侵入した。  
窓をコンコンと2回叩く。  
音に気付いたマロンは不機嫌そうな顔つきでリンクを中に入れた。  
「非常識。」  
マロンの第一声がそれだった。  
至って普通な感覚だろう。これがゼルダ姫だったらインパに殺されかねない。  
「ま…まあ、せっかく会いに来たんだからさ。」  
マロンはこちらを一瞥したあと、引き出しからロープを取り出した。  
ま、まさかそのロープで首を絞められて……  
「できた!」  
これは素晴らしい亀甲縛りだ。  
「ちょっと待て、これはどういう事だ!?」  
マロンは不敵な笑みを浮かべながら囁いた。  
 
「オ・シ・オ・キ♪」  
 
マロンは半勃起状態の陰茎を強く掴んだ。  
こっちの反応を楽しみながら不規則に手を上下させる。  
「痛い…いたたた……」  
悲痛な顔するたびにマロンが興奮していく様が感じられた。  
止めなければまずいと感じ、縄をほどこうとする…が、マロンが鬼のような形相で睨んできた。  
結局マロンに気圧され、されるがままの状態になった。  
しばらくするとマロンは擦淫をやめ、陰茎を口に含んだ。  
痛みが瞬時に快感へと変わる。  
あまりの気持ちよさで射精するのに時間はかからなかった。  
マロンは冷静に精子を飲み込んだ。  
しばらく放心状態になっていたが、一つ気になることがあった。  
……どうしてマロンはこんなに上手いんだ?  
そもそも亀甲縛りなんて7年後のマロンに教えていないし自分も知らない。  
元の時代に帰ったつもりだったが、どうもおかしい。  
 
「今日はこれくらいで許してあげる。」  
 
縄を解いてもらった後、逃げるように牧場を出た。  
 
納得がいかない……  
昨夜からずっとマロンの事ばかり考えていた。  
あの不可解な出来事が起こってから頭のもやもやが消えない。  
ダンジョンの謎解きと似ているかもしれない。  
難解な仕掛けに戸惑い、知恵熱で頭が暴発しそうになる時、とりあえず何かしら行動にでてみる。  
今まではそうして光明を見出してきた。  
「……仕方がない、試しに襲ってみるか。」  
こういう結論に達する自分が少し滑稽だった。  
 
その夜、昨日と同じ方法でマロンの部屋に侵入した。  
マロンはベッドで寝ていたが、幸いにも鍵がかかっていなかった。  
「さて、まず手足の自由を奪うか。」  
昨日の記憶を頼りに縄を探す。  
その時、後頭部に衝撃が走った。  
 
あれ…ここはどこだ?  
何で俺は縛られているんだ?  
「……お前、誰だよ。」  
「強く殴りすぎちゃったかな〜♪」  
「とりあえず早く縄を解いてくれないか。」  
少女は不敵な笑みを浮かべながら言った。  
「そうね…私の名前に“様”をつけて呼んでくれたら考えてあげる。」  
なんと高慢な少女だろう。  
「名前も知らない奴に“様”をつけろってか。 名無し様…満足したか?」  
少女の顔が引きつった。  
「ま…まさか私の名前を忘れたわけじゃないでしょうね?」  
「うーむ、頭が痛くて思い出せない。」  
以前の自分は彼女の名前を知っていたらしい。  
記憶障害でも起こしたか。  
幸いにも少女は自分の名前を告げてくれた。  
「私はマロン、牧場の子よ。 」  
「ふーん、じゃあマロン。この縄を解いてくれ。」  
マロンはこっちの要求を完全に無視し、服を脱ぎはじめた。  
「何をするんだ!?」  
「私の名前を忘れた罰。」  
全裸になったマロンは自分の顔に陰部をこすりつけてくる。  
このまま自分の顔を使って自慰をされても迷惑なので、割れ目を舌で丁寧に愛撫してやった。  
「はぅ……くっ……」  
舌を膣中に挿入すると面白いようにマロンの体が反応する。  
耐えきれなくなったのだろうか、しばらくするとマロンがこちらに身を預けるように倒れ込んだ。  
「やるじゃない、妖精クン。」  
妖精クン…どこかで聞いたような響きだ。  
 
あれから何時間経っただろうか。  
もう出ないと言っているのに延々と腰を振っているマロン。  
「はぁ…あっ……いや…ああっ」  
「……マロン。」  
「あ、ああんっ…何よっ!」  
「疲れたろ、休憩しよう。」  
「妖精クンがっ…休みたいだけ…なん…じゃないのっ?」  
図星だが、一応これでも相手の体を心配して言っているつもりだ。  
「……まあいいわ、今日はこれくらいで許してあげる。」  
許してもらえるなら縄を外して欲しいものだ。  
窓を見ると、空が僅かに明るくなってきた。  
「眠いな……マロン、俺の上で寝ないでくれ…って、聞いてないな……。」  
寝顔がかわいかったので許してやった。  
 
……オカリナ?  
オカリナの音色がどこからともなく聞こえる。  
すると、急にドアが開いた。  
「リンク!」  
「……ゼルダ姫!」  
彼女の顔を見て、一気に記憶が戻った。  
戻ったのはいいが、この状況をどう説明しようか……  
あれこれと思考を巡らせている間に、ゼルダ姫は持っていたオカリナを奏でた。  
「さあ、悪魔よ…去りなさい!」  
側にいたマロンが苦しそうに蠢いていた。  
「マ……マロン…!」  
しばらくすると、糸が切れたマリオネットのように倒れこんだ。  
「退魔のサラバンドを奏でました。もう大丈夫です。」  
マロンの行動のおかしかった理由をゼルダ姫は“人に憑依する悪魔”の仕業だと語った。  
まあ、マロンが元に戻るならなんでもいいのだが。  
「リンク、これをあなたに預けます。」  
時のオカリナ。ナビィを探す旅に必要だろう、ここは素直に借りておくことにした。  
「それと……」  
モジモジしながらゼルダ姫は続けて言った。  
「衣服を身につけていらっしゃらないようですが…2人で何を?」  
あまり触れて欲しくない話題だ。ゼルダ姫が知るにはまだ早い。  
「この服が見えない?この服は“背伸びしている子には見えない服”なんだけど?」  
「かっ…からかわないで下さいっ!」  
 
適当にあしらって帰らせた後、マロンが蚊の鳴くような声を発していた。  
「……ごめんなさい…妖精クン…ごめんなさい。」  
意識のコントロールが不可能だったのだ、マロンのせいではない。  
「あのさ、マロン。」  
マロンは反応を見せなかったが、続けて言った。  
「悪魔に乗っ取られたマロンじゃなくて、本当のマロンとやりたかったなぁ。」  
冗談混じりの発言だったが、健気にもマロンは要求を聞き入れてくれた。  
「どうすればいいのかなぁ……」  
困ったように呟くマロンだが、行動の一つ一つが手慣れているのには驚いた。  
「マロンに憑いた悪魔はすごい技術を残してくれたな。」  
「…こんな技術、いらないよぉ……」  
挿入後、ゆっくりと体を動かすマロン。  
「せっくす…気持ちいい?」  
「………うん。」  
頭の中が真っ白になりそうだった。  
「あ…妖精クン……私イッちゃう……」  
マロンの絶頂に合わせて精液を膣に流し込んだ。  
 
気付いたらマロンは気を失っていた。  
よほど疲れていたのだろうか、泥のように眠っていた。  
「さて、そろそろ出発するか。」  
マロンをベッドに寝かせ、エポナと一緒にハイラルを後にした。  
 
 
完  
 

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