玉座の裏から続く地下道。
ときおり水滴が天井から床に叩きつけられる。
中はかなり暗いが、幸いな事に灯りを持っていたため、幾らか緩和される。
その薄暗い中を通れば、教会へと抜けられるのだと言う。
しかしリンクは、魅入られていた。
若さのせいであるのか。
もしくはこの場所の雰囲気がそうさせるのか、状況がそうさせるのか。
そんな状況ではないと思いつつもつい意識してしまう。
ゼルダから放たれる、甘い匂い。
服の上からでも判る、女性らしく丸みを帯びた体つき。
今のリンクにとってその色香は蠱惑的なほどに強く、ゼルダを女として意識させる。
そして、それは次第にリンクの理性を削り取っていき、若気の至りを起こさせた。
「ここを行けば教会です。さぁ……」
リンクはゼルダを護りつつ、ゼルダはリンクを導きつつここまで来た。
しかし今回に限って、リンクは反応を示さなかった。
数歩進んだところでゼルダはそれに気付き、振り向いた。
「……リンク?」
ただならぬ気配を放ちつつゼルダへとにじり寄るリンク。
その気配は悪意などといった邪ではない、もっと純粋で時に残酷なものだった。
気圧され、後ずさるゼルダ。
しかしリンクもただ突き動かされ、ゼルダとの距離を詰める。
とうとうリンクは、ゼルダを部屋の隅へと追い詰めた。
「リ、リンク!」
リンクは乱暴ながら衣服を破る事無く、ゼルダを剥いていく。
じきにゼルダはあられもない姿となり、冷たい石畳に身を横たえていた。
放り出されたの仄かな明かりと汗により、照らされたゼルダの体は淫靡に輝く。
このときリンクは囚われていたのだ。
肉欲という最も純粋で、愚かで、愛すべき原初の衝動に。
「んんっ!」
リンクは無言のままにゼルダの唇を塞いだ。
リンクの舌がゼルダの口内を嬲る。
ゼルダの抵抗を無視し、荒々しく舌と舌が絡み、歯茎をなでる。
唇と唇が離れ、銀糸の煌きが空を切り、消えた。
ゼルダは呆然とした、ある種虚ろな表情を浮かべた。
それを見届けるかのように一呼吸置き、リンクは両の乳房を責めた。
「あっ……!」
その豊かな乳房に顔を埋め、舌を伸ばし舐めまわす。
ゼルダの柔肌に浮かんだ汗を舐め取るかのように、舐め続ける。
空いている手はもう片方の乳房を揉んでいる。
リンクの手の動きに合わせ形を変えひしゃげる乳房は、傍から見ても淫猥であったろう。
舐めるだけではなく吸い音を立てて貪る。
水音と共にゼルダは微かに喘ぎ、リンクの責めは激しさを増していく。
まさに貪欲なほどに、リンクはゼルダの乳房を責めつづける。
次第に勃起する乳首に舌を這わせ、さらに歯での責めを加える。
ぎりぎりと音が鳴りそうなほどに強く、強く噛む。
「いっ……いた、い……!」
純粋な痛さに、ゼルダの目に浮かんでいた涙はとうとう流れ出す。
緩急、強弱を付けて乳首を甘噛みする。
もう片方の乳房を責める手も、乳首を摘まみ捏ね擦る。
ゼルダは苦痛に涙を流しながらも、体はそのたび歓喜に身を震わせる。
肩で息をしながらも目で訴えかけるが、リンクが気付く様子は無い。
ゼルダ以上に息を荒げ、リンクはただ、目の前のゼルダを屠るのに耽っていた。
リンクは自らの昂ぶった陰茎をゼルダの陰唇に擦りつける。
挿入せずに、ただひたすらに擦りつけ続ける。
ゼルダの意思に反し、体は熱くなり潤っていく。
挿入される事の無いリンクのものを求めて。
結果、量の増えたその液体が潤滑油となり、よりスムーズにリンクは腰を動かす。
側面から圧迫する肉壁と、底面からの熱いうねりが陰茎を悦ばせる。
「んあっ……ああ!」
リンクの亀頭とゼルダの陰核が擦れ合う。
律動的な動きに乗せて響く、悲しげな嬌声。
しかし皮肉にもその歌は、リンクの情欲をより激しくさせる結果をもたらした。
陰茎に別の律動が加わり、亀頭から白濁した液体が爆ぜ飛んだ。
それはゼルダの全身に降り注ぎ、彼女の柔肌を白く汚していく。
ひとしきり出終わった後も、リンクのそれはまだ昂ぶったままだった。
今度はその陰茎を、ゼルダの口に捻じ込む。
そして、口腔のその全てを犯していく。
陰茎は喉にまで到達し、いったん退き、また深く差し込まれる。
むせ返りそうな臭いと生々しい熱さが、さらに大粒の涙を流させた。
一心不乱に腰を振り、陰茎は口の中で暴れる。
この行為の中に在っては、ゼルダにはもはや抵抗する意思も術も無かった。
ただ涙を流して、虚ろに受け入れるしかなかった……
程なくして、今度は口内へと精液が注がれた。
喉を襲う強い圧力、陰茎の責め。
体は仰向けで顔は上向き。
息を上手く吸い込むことが出来ず、精液は粘っこく口内に残る。
今度こそむせ、精液を吐き出そうとするがままならない。
顔を横へと向けることで、ようやくある程度の精液が流れ出た。
苦しげになかなか止まらぬ咳をし、苦しみに涙を流す。
それを見て、リンクはようやく正気に戻った。
全裸かつ、汁に塗れたゼルダ姫。
その様々な汁は、カンテラの放つ仄かな明かりを過剰なほど照り返す。
ゼルダの目は涙が溢れ、ただ真っ直ぐにリンクを見つめていた。
自分のした行いを激しく悔いた。
激しい愛欲。それに身を任せたばかりに。
――こんな怯えきった視線を受けている。
「申し訳ありません、ゼルダ姫様……」
これでは騎士失格だ。騎士どころか、人間としても失格である。
「もう、良いです……行きましょう」
精液を拭き取り、着衣を整えるゼルダ姫。
リンクから背けた表情は、髪に隠れて判らなかった。
神父の話を、虚ろな心で聞くリンク。
意識が、ゼルダの視線に向く。
まだ、怯えきった目はリンクを見つめている。
蔑まれているような、憐れまれているような錯覚さえ覚える。
数回神父の話を聞き返し、ようやく何をすれば良いかを知る。
ふらふらと、おぼつかない足取りでリンクは教会から出る。
呆然と緩慢と一歩を踏み出そうとした時。
「リンク!」
不意に開いた教会の扉から、呼び止めるゼルダの声がした。
驚き、リンクは反射的に振り向いた。
ゼルダの目は、リンクを真っ直ぐに見据えていた。
「私は、あなたがあんな事をする人だとは思っていませんでした」
そうだろう。自分自身でさえ、あそこまで獣じみているとは思わなかった。
「言いたい事は沢山あります。だから……」
ゼルダはリンクから顔を背けた。
「必ず、帰ってきて下さい」
リンクはゼルダの意図を掴み損ねた。
が、少しは救われたような気がして、それに応じた。
「……はい。必ず、貴女の元へと」
足取りは少し、軽くなった。