「ハイラル城へ行ってみたいわ」 
 とゼルダが言った。朝昼兼用となる食事の席で、今日はこれからどうするかと問うた結果である。 
 別の反応を期待していたリンクは、肩すかしを食ったような印象を持ちながらも、強いて我欲を 
抑え、頭の中で吟味した。 
 ハイラル城は現存していない。ガノンドロフに破壊されてしまっている。位置はガノン城よりも 
奥にあたっていて、熔岩には巻きこまれていないはずだから、跡地に残骸くらいは残っているかも 
しれない。が、まともな道もない状態では、到達するのは難しかろう。 
 その旨を述べても、ゼルダは主張を変えなかった。かつて暮らしていた場所を──たとえ 
荒れ果ててはいても──訪れたいという心情は、よく理解できた。リンクは了承した。 
 裸で行くのが無理であることは明白だったので、食事のあと、二人は衣服を手に取った。全裸の 
肌を徐々に隠してゆくゼルダの優雅な動きに、自らも着衣しつつ、リンクはほのぼのと見入った。 
 初めの頃は、この程度の行為すら正視が憚られたが、いまは気兼ねなく見ていられる。それだけ 
二人の関係は自然なものになったのだ、と得心できる。 
 ゼルダが動きを止めた。身なりは整え終わったと言わんばかりに直立している。リンクは不審を 
抱いた。下着を穿いた様子がなかったのである。 
 気兼ねのなさが率直な質問をなさしめた。 
 意味がないから──というのが答だった。 
 考えてしまう。 
 どうせ脱ぐことになる、とでも言いたいのだろうか。時の神殿でそうだったように。 
 そこで自分がした「いけない」発言を思い出し、悪戯な気持ちに誘われるまま、穿かずにいると 
あふれたものが脚を流れ伝って具合が悪いのではないか、とからかってやった。 
 ゼルダが涼しげに微笑んだ。 
「その時は、あなたがどうにかして」 
 淑やかな足取りで屋外に出るゼルダを追いながら、リンクは不思議に思った。 
 露骨な冗談に羞じらいもせず、あっさりと切り返してきた。かといって、欲情に突き動かされて 
いるふうでもない。ぼくたちの関係に相応した自然さと言えそうだが、のみならず、すべてを 
悟りきったかのような超然とした心理が垣間見える。 
 おととい、きのうの狂乱と倒錯を経て、その境地に達したのだろうか。 
 わかる気がする。ぼく自身、あの異常な交わりのあと、ずっと落ち着いた気分を保てているから。 
 ただ、ゼルダの超然とした雰囲気には、ある意思が感じられる。 
 ゆうべの甘やかな交合は、間を挟みつつ未明近くまで続き、今朝の目覚めは遅くなった。 
きのうまでのぼくたちであれば、時間など気にせず睦み合いを再開しただろう。ところがゼルダは 
淡々と寝床を離れ、食事の支度を始めた。生活のリズムを取り戻そうとするかのごとく。 
『つまり……』 
 上を見る。 
 真っ青に澄み渡った空である。暗雲はかけらとなって点々と散在するのみ。明日ともなれば、 
それらも消えてなくなるだろう。 
 休暇は終わりを告げつつあるのだった。  
 
 ハイラル城へと向かう途中で、地割れの横にさしかかった。リンクは下を覗きこみ、さらに 
底まで下りて、熔岩の状態を観察した。 
 赤みはほとんどなくなり、黒っぽい岩の塊と化している。熱気が残っていて、迂闊には足を 
踏み入れられないが、それが可能となるまでに、さほど時間はかかるまい。 
 地上に帰って報告する。 
「もうじき向こう側へ渡れるようになるよ」 
 返事は短かった。 
「そうね」 
 丁寧語でないことから、内心は読み取れた。ゼルダの出で立ちも、その内心を反映していると 
思われた。肩当てと手袋を装着している一方で、額の飾りは省いているのである。 
 今日のゼルダは、まだ王女になりきってはいない。 
 想いを酌み、胸の内だけで今後の方針を検討する。 
 ハイラル王国の再建という新たな使命が、ゼルダにはある。ぼくも力を尽くすつもりだが、 
協力者はもっと必要だ。それが当面の問題となる。 
 暗雲が空から消え去れば、この地にも、また人が集まってくるだろう──とゼルダは言った 
けれども、現時点では、なお人の来る気配はない。こちらから出張ってゆかねばならない。 
とりあえず身を置くのに適当な所といえば…… 
 カカリコ村だ。ここからさして遠くないし、人々の生活はうまくいっている。インパゆかりの 
土地だから、ゼルダも歓迎されるはず。ゴロン族やゾーラ族との連携も可能だ。まずはそこを 
基盤として、態勢を調えよう。ゲルド族への働きかけも不可欠。できるだけ早く『副官』と連絡を 
とって── 
 そこで気がつく。 
 シークの件を、『副官』にはどう伝えたものだろう。事実を告げるか、伏せたままにしておくか、 
どっちにしてもゼルダ本人の意向が── 
『いや』 
 差し迫った問題ではない。いずれ必要となった時に考えればいいことだ。 
 リンクはゼルダを促し、目的地に向けての歩行に戻った。  
 
 崩壊したガノン城の傍らを過ぎ、巨岩が地を埋める一帯まで来ると、ハイラル城が建っていた 
高台が眺められた。下から見上げる形になるので、どんな状態なのか、詳細はわからないが、 
場所が場所として残っていることは確かである。しかし容易には接近できそうにない。無数の 
巨岩が前を遮っている。『金のグローブ』は失われていて、大妖精の泉へ赴いた時のような、 
力任せの道作りはできないのだ。 
 リンクは諦めなかった。 
 岩を除去はできなくとも、上を跳び渡ることはできそうだ。地震の影響だろう、岩にも崩れが 
生じていて、上面は比較的なだらかとなっている。 
 瓦礫の山となったかつての城門から、岩に乗り移る。足場は悪く、ガノン城跡ではしっかりとした 
歩みを見せたゼルダも、さすがに単独行は無理である。リンクはゼルダの手を引き、時にはその 
全身を腕に抱きかかえ、道ならぬ道を邁進した。危険な箇所ではホバーブーツを使った。ゼルダを 
抱いた状態で浮力が保たれるかどうか心許なかったが、幸い、落下の憂き目に遭うことはなかった。 
 巨岩地帯を乗り越えると、地に足をつけられるようになった。急な上りの傾斜で、やはり 
道らしい道はない。とはいえ前進が不可能というほどでもない。 
 漸次、二人は歩を運び、苦労の末、高台の上にたどり着いた。 
 眼前に広がる光景は荒涼たるものだった。原野に近い土地に、かろうじて人工物とわかる石塊が 
重なり、あるいは散らばっているに過ぎない。以前には大きな建物があった、と、どうにか 
想像できるだけである。 
 ゼルダは無言だった。 
 覚悟はしていたと思われるが、このありさまではずいぶんと心も沈むだろう──と慮って表情を 
うかがうと、意外に堅忍である。痛ましげな様子ではあるものの、悲嘆の色をあらわにはしていない。 
 さても気丈なひとではある。 
 改めての感銘を胸に抱いて見守るうち、ゼルダが行動を起こした。廃墟の中へと足を踏み入れてゆく。 
リンクも後ろに従った。 
 ゼルダの歩みは無目的ではなかった。あちこちに熱心な視線を向けている。何かを求めている 
ふうである。自分の部屋でも探しているのだろう──と推量し、敢えてリンクは言葉をかけなかった。 
 長い逍遥ののち、ゼルダの足が止まった。周囲に石塊が堆積する中、そこだけは奇妙な空白と 
なっていた。さほど広くはない、円形の領域である。中央では、露出した土の中から、何とはない 
規則性をもって、植物の新芽が顔を覗かせている。 
 花壇のような──と何気なく考えた直後、思い至った。 
 花壇だったんだ! 七年前は! 
 ゼルダがほのかに息をついた。 
「ここに、来たかったの」  
 
 まわりを取り囲む瓦礫に接して、狭い壇が残っていた。壇上と地面を繋ぐ短い階段に、二人は 
並んで腰を下ろした。 
 暖かい日の光のもとで、時間は穏やかに過ぎていった。言葉は交わされなかった。リンクに 
とっては必然的な沈黙である。七年前、当時は中庭だったこの場所で、二人が何を語らい、 
何を思ったか。それを回顧し、想察するだけで、頭の中はいっぱいになってしまうのだった。 
 リンクは横に目をやった。ゼルダの端正な顔に、感情の起伏は描出されていない。いたって 
静かな面持ちである。が、ゼルダが沈黙しているのも、自分と同じ理由からだと信じられた。 
 続けて眺める。右の横顔。トライフォースの耳飾り。少女と大人の違いはあっても、それらは 
七年前と同じ様相でそこにある。 
 顔を寄せる。かすかに漂う芳しい香り。 
 ゼルダがふり向いた。 
 やはり七年前と同じ間近の対面は、しかし七年前とは異なって、当惑も動揺も引き起こさない。 
 自ずと接吻に移行する。 
 互いの唇の柔らかさ、温かさ、そして想いの深さを感じ取る、静かな触れ合い。 
 やがて離れたゼルダの口が、おぼろげな呟きを紡ぎ出す。 
「あの時のわたしたちがこうしていたら、世界の運命は変わっていたかしら」 
 どうだろう。 
「わからないな」 
 と言うしかない。 
「でも、一つだけ確かなことがあるよ」 
 わずかに首をかしげるゼルダ。 
「ぼくたちが結びつくという運命は、変わらなかったさ。いまのぼくたちよりも、結びつくのが 
早くなるだけで」 
 ゼルダが小さく頷いた。身を傾けてきた。腕でふんわりと抱きとめる。 
 無言の抱擁がしばらく続き── 
 ひそやかな声で、ゼルダが言った。 
「どうにかして」 
 一瞬の戸惑い。そして思い出す。宿所を出る際、返された言。 
 片手をゼルダの足元に伸ばす。裾の下へともぐらせる。靴下に包まれた脚を撫でるようにして、 
少しずつ手を上にやる。抵抗は全く起こらない。 
 腿の中ほどで手触りが変化する。靴下から素肌に移ったのだ。直接、体温が感じられる。心持ち 
熱を帯びている。おそらく熱の帯び具合は、上に行くほど強くなっているはずで、そのとおり、 
腿の内側を這い上がるぼくの手は、高まる熱を確実に感知する。 
 露出された熱源に達する。 
「あ……」 
 君が声を漏らすと同時に、そこはひくりと蠢いて、すでにとろとろとほとびた場所を、さらなる 
ぬめりに浸らせる。 
 どうにかして、と君は言う。どうしたらいい? あふれた分を拭い取る? そんなことでは 
追いつくまい。潤みは絶えず湧き出してくる。だったらいっそのこと、潤みの元が尽きるまで、 
あふれるだけあふれさせてしまった方が、むしろいいんじゃないだろうか。 
 そうしてあげよう。君のしたたる女の部分は、実に複雑で繊細だけれど、ここの何がどうなっていて、 
どうすれば君が悦んでくれるかは、もうこの目で見るまでもなく、わかりすぎるほどわかって 
いるから、ぼくの指は迷いもせず、最も適切なやり方で、君を慰める。君を喘がせる。着々と君を 
高まらせる。 
 だけど自分さえ嬉しかったらいいと思ったりする君じゃない。君はぼくの股間に手を触れてきて、 
慣れた仕草で下着を開いて、硬くなったペニスを引き出して、きのうのように手袋を着けたまま、 
どうすればぼくが悦ぶかを知りつくした君にしかできないやり方で、ぼくを慰める。ぼくを喘がせる。 
着々とぼくを高まらせる。 
 高まりながら高めてやる。高めながら高められる。 
 均衡した応酬に一石を投じようとして、ぼくは余した手を君の胸にかぶせる。 
「あぁん……」 
 なまめかしい声を君の口から漏れ出させるのは、服の上からでも充分に把握できる豊かな 
ふくらみを、好き放題に弄ぶぼくの手の作用なのか、それとも好き放題にさせて快さを得たいという 
君自身の淫らな意識なのか、あるいはその両方なのか、何にしても反応するのは口ばかりでは 
なくて、乳房全体が緊張を増して、つんと乳首が突き立ってきて、だんだん君の息は荒くなって、 
興奮の度合いが顕著になって、欲望で弾けそうなのが見た目にも明らかとなって、ついに君は──  
 
 リンクの膝に身を跨らせる。手にした肉柱を中心にあてがい、どさりと腰を落としこむ。 
「ああぁッ!」 
 そこを貫き通す衝撃が、抑制しようのない叫びを噴き出させる。何度も受け入れた屹立が、 
いまなお衰えない感動を、心と身体の隅々まで、くまなく、完全に、染み通らせる。 
 動けない。わたしは動けない。すわった姿勢でリンクの背に手を巻きつけて、同じくすわった 
姿勢のリンクに胴を抱きしめられて、その状態を保つのに精いっぱいで、まるで総身が凍りついて 
しまったかのように、わたしは少しも動くことができない。 
 あまりに感動が大きすぎて! 
 じかに接しているのは繋がった部分のみで、あとは服地にしか触れられない。しかしそんなことは 
何の支障にもならない。あなたと結び合っていられるというだけで、この上なくわたしは幸福だから! 
『でも……』 
 動かした手が、服以外のものに行き当たる。あなたの背にあるハイリアの盾。そしてマスターソードが 
収められた鞘。 
 マスターソード。 
 ガノンドロフの心臓を突き抜いて深々と石壁に刺さったそれを、再びあなたが手にした時、 
そのことが、なぜか、心に引っかかった。けれども、何が問題なのかは、わからなかった。 
 いまは、わかっている。時の神殿で知ったのだ。 
 ガノンドロフの遺体を塵にして、あなたの手にマスターソードを戻したのは、『時の賢者』である 
わたし自身。そうすることによって、自らに課された最後の──真に最後の──使命を、わたしは 
果たせるようになった。 
 果たすべき時は、目前に近づいている。 
 避けられない運命。 
『運命!』 
 ああ、この運命は──知恵のトライフォースを宿していた時にもまさるこの苛酷な運命は── 
いかなることがあっても変えられないものだったのだろうか。 
 七年前のわたしたちが、ここで口づけを交わしていたならば、もしかして変わっていただろうか。 
 あるいは七年前のあの夜、契りに際してわたしたちが、ちょうどいまのわたしたちのように、 
互いの存在と互いの情をしっかりと確かめ合うことができていたならば、変わっていた運命で 
あっただろうか。 
 予知の定めるところにより、決してそうはできなかった。にもかかわらず、もしそうであったなら、 
と考えずにはいられない。 
 いくら考えても、得られる答はないのだが。 
『それとも……』 
 その答を『わたし』は得ることになるだろうか…… 
「あぅッ!」 
 思考が飛散した。股間に快美の感覚が突っ走った。リンクが下から腰を突き上げ始めたのだった。 
「あッ!……あッ!……あッ!……あッ!……」 
 続けて加えられる規則的な刺突が、頭脳の働きを壊乱させる。 
 これでいい。これでいい。いまは思うまい。いまは思うまい。今日のわたしは賢者でもなく 
王女でもなく、まだ一人の女なのだから。 
 固まっていた肢体が、ひとりでに躍動を開始する。リンクの猛々しい抽送に合わせて、勢いよく 
腰が上下する。 
 そうして! リンク! どうか! わたしが! すべてを! 忘れて! いられる! ように! 
 摩擦が限界まで速められ、巻き起こる快感が快感を超越した段階に行き着いた時、全身が 
ばらばらになるかと思われるほどの爆発的終末にゼルダは達し、次いで、リンクが放つ精の溢流を 
おのれの深奥に知覚した。  
 
 ハイラル城址への往復は、行程の難渋さと現地の荒廃の激しさによって、二人の衣服に相当の 
汚れをもたらした。ガノン城での戦いで、すでに汚れてはいたのである。その後、裸で過ごす 
時間が増えたため、ついつい放置してきたのだが、ここに至っては無視もできない。宿所に戻った 
二人の間で、服を洗おうと意見が一致するのは、当然の成りゆきだった。 
 リンクは脱衣し、井戸端にしゃがんで、洗濯に取りかかった。手を動かしつつ、横で同じ作業に 
勤しむゼルダを見やる。自分と同様、一糸まとわぬ姿である。戸外でそうあることを、もう全然 
ためらっていない。これも自然なありようと認めながらも、やはりそこには、あの超然とした 
雰囲気が感得され、リンクの胸には一抹の翳りが差すのだった。 
 一方、翳りを放逐してしまった空は、眩いばかりの陽光を、惜しげもなくあたりに投げ下ろしていた。 
ロープにかけてあった敷布はすっかり乾いており、それらを取りこんだのち、二人は洗った衣服を 
空いた場所に干した。着るものだけがきれいになるのは片手落ちという気がしたので、中身も洗う 
ことにした。 
 石鹸を泡立たせ、全身の皮膚に行き渡らせる。右腕と左肩に巻いた包帯を解く。傷の治癒過程は 
良好で、表面に触れても大して痛みは生じなかったが、無頓着でいられるほどでもない。リンクは 
注意して傷の部分を洗った。 
 ふと気づいた。ゼルダがこちらを見つめている。怪訝に思って見返したリンクは、次の瞬間、 
目を動かせなくなった。 
 ゼルダも全身に石鹸の泡をまとわりつかせている。本来の裸体が持つ微妙な凹凸や陰影が、 
不明瞭となってしまっている。しかしその欠点を打ち消して余りある効果が、ゼルダの体表には 
及んでいた。肌の上をすべった手の軌跡が、流れるような、あるいは渦を巻くような模様となって、 
そこに描かれているのだった。あたかも、精緻に織られた白い薄衣が皮膚に貼りつき、身体の線を 
くっきりと浮き出させているかのごときである。 
 リンクは言葉を失っていた。これまでゼルダが石鹸を使う場面には何度か立ち合ったが、格別、 
注目はしてこなかったのである。見慣れていたはずの裸身が呈する、それは幻想的な美しさだった。 
 自分のそんな姿態を、ゼルダは意識していない様子だった。じっと視線を送りつけてくる 
だけである。眼差しには何らかの感情が秘められていると見えた。わずかに開いた口が、いまにも 
その感情を放出するのでないか、とも予想された。 
 予想は当たらなかった。ゼルダは沈黙したままだった。が、感情の放出を全く否定したわけでも 
なかった。 
 ゼルダの足が動いた。数歩の前進を経て、身が寄り添ってくる。左肩、そして右腕の傷に、唇が 
触れかかる。かすかなひりつきと、それを凌駕する温かみとを、リンクは感じた。依然として 
ゼルダに言葉はなく、けれども行動は明らかに、いたわりと感謝からなる胸の内を、しっとりと 
吐露しているのだった。 
 ただし、あくまで感情は制御されている。狂乱の徴候はうかがえない。 
 それがゼルダの意思なのだ──と改めて思い知る。 
 二人きりの休暇の日々は、今日が最後となるだろう。今後、ぼくたちがどんな関係になろうとも、 
この七日間のような鮮烈かつ濃密な営みは、二度と経験できないだろう。 
 その営みに、ゼルダがいかなる形で幕を引こうとしているか。 
 察することができた。  
 
 リンクは、ゼルダの背にまわした両手を、届く範囲のすべてに這わせた。ゼルダの手もリンクの 
背面を優しくさまよった。ただでさえすべらかなゼルダの肌に、石鹸の作用が加わって、常よりも 
いっそう円滑な接触が生まれていた。 
 さらなる密接を求めてリンクは愛撫を重ねた。ゼルダもそれに相和し、同時に右脚を上げ、 
尻に絡ませてきた。押しつけられる股間が焦れたように悶え動く。体重を受けた左脚のぐらつきを、 
抱擁の強化で解消してやりながら、リンクはゼルダの意図を悟った。 
 立ったままでの交わり。 
 ゼルダとは初めてになる体位だが、どうしたらいいかはわかっている。上背でまさるこちらの 
方が、位置を合わせてやらなければならない。 
 腰を落とし気味にする。すかさずゼルダが身を預けてくる。勃起していた陰茎が、ねとつく 
陰唇に捉えられ、熱く煮立った膣の中に、ゆっくりと呑みこまれてゆく。 
 没入が完了しないうちに、ゼルダの腰が周期的な運動を開始した。上下に、前後にと激しく 
揺れる。欲望本位の振る舞いである。安定の確保はリンクに任せきっているのだった。 
 ともすれば倒れそうになるゼルダの身体を、リンクは懸命に支え続けた。右脚の挙上を左腕で 
維持し、奔放に踊る胴体を右腕に収め、膝を曲げた姿勢で持ちこたえるには、かなりの力を 
必要とした。その上、性器を強烈な刺激にさらしているのである。刺激を送り返そうとしても、 
まともに腰を突き出せない。受け身に徹さざるを得ない状況だった。 
 それでもかまわなかった。好みのままにさせてやりたかった。何があってもゼルダを支えるのが 
自分の務め──と、リンクはおのれに言い聞かせた。 
 ほどなくしてゼルダの腰が動きを止めた。痙攣が走った。緊縮する肉壁が万力のように陰茎を 
締めつけた。 
 しばしの間ののち緊張は去る。よろめき崩れるゼルダの肢体を、咄嗟に腕で受け固める。 
挿れていた物が緩んだ穴から抜け出てしまうが、こだわってはいられない。といっても、 
こだわりを放棄する気にはなれなかった。達していない肉柱が、行為の途絶に対する憤懣を 
言い立てていた。 
 両腕でゼルダを抱え上げる。井戸の脇に置かれた石材に腰を据える。萎えた美体を後ろ向きにして 
膝に乗せ、脚を大きく開かせて、いまだ濡れそぼつ陰門に、怒張を下からぐさりと突き刺す。 
 声にならない悲鳴をあげて、ゼルダが胴をのけぞらせる。倒れかかってくる上半身を、しかし 
リンクは堅固に保持した。 
 立った状態での務めに比べたら、何ほどでもない容易さである。 
 両の腋に添えた手が細かな触感を得た。腕を持ち上げ、顔を近づけ、控えめな群叢となりつつある 
金褐色の繊毛に、そっと口を押し当てる。ざらざらとした舌触りが快い。ひっそりと耳に届く 
ゼルダのため息が、ひときわ快さを深めてくれる。 
 舌を腋窩から項部へと移す。両手を前にまわし、豊かな乳房を揉みしだく。硬くなった乳首を 
指でなぶる。ゼルダの息が荒くなる。 
 片手を下にやり、結び合った部分の直上でひくひくと震える肉の芽を、丁寧に、丁寧に、 
撫でさすってやる。ゼルダの呼吸が大きく乱れる。 
 小刻みに腰を突き上げる。ゼルダも腰を振り始める。 
 突きを少しずつ速くする。ゼルダも体動を速くする。 
 声を取り戻したゼルダの口が、切なく、悩ましく、喘ぎを歌う。なまめかしい限りのその旋律は、 
リンクが耳に舌を触れさせた瞬間、調子はずれの総奏となって破綻した。 
 身をよじらせるゼルダを両腕で拘束し、後方からの急所攻めを強行する。耐えられるはずがない 
との予測は的中し、腕の中の肉体は硬直状態に陥った。硬直は解ける気配を示すやいなや再び 
回帰し、次第に鎮まるかと思うとまたもや復活し、強弱の間を往復しながら延々と続いた。 
同期して会陰の筋肉も収縮と弛緩を繰り返し、激烈かつ玄妙な作用を内部に及ぼした。 
 何もかもうち捨てて果てずにはいられない、それは技巧をはるかに超えた、ゼルダだけに可能な 
究極の饗応だった。  
 
 身体を清め終えたあと、ゼルダは料理に専念すると言い、台所から出てこなくなった。対して 
リンクは手持ち無沙汰だった。取りこんでおいた敷布を片づけてしまうと、当面、することが 
ないのである。 
 明日、ここを発つのなら、それなりの準備をしておくべきでは? 
 いや、まだ今日は休暇のうちだ。ゼルダが何も言わない以上、差し出た行動は控えよう。どうせ 
大荷物は持って行けない。準備に手間はかかるまい。 
 それでも準備の準備はしておくことにした。倉庫に残った物資──特に食料──を点検し、 
持ち出す品と分量を想定する。 
 カカリコ村へ向かうなら、徒歩で二日の道中だが、ゼルダの足だと、もっと時間を食うかも 
しれない。食料は多めに持たなければ。 
 あるいは、いったんロンロン牧場へ行き、エポナを引き取ってから騎行すべきか。 
 ともいえない。 
 牧場を発ってから一週間ほどが経っている。エポナを休ませるのに必要とインゴーが主張した、 
ぎりぎりの日数。体調が元に戻っているかどうか微妙なところだ。戻っていなければ無駄足になる。 
多少、時間はかかっても、まっすぐカカリコ村を目指す方がいいだろう。 
 椅子に腰を下ろして、洗濯の前に服から出しておいた自分の持ち物を調べる。持つべきものは 
持っていると確認する。 
 そうするうちにも、思いは浮遊した。 
 この先、ぼくとゼルダの関係は、どんなふうになるのだろう。 
 ゼルダが王女であろうとなかろうと、ぼくがゼルダに寄せる愛情は、いささかも影響を受けない。 
しかしゼルダが王女だという事実も動かせない。男関係を大っぴらにできない立場であること 
くらい、いかに世間知らずなぼくでもわかる。ましてやハイラルを統治する身となるゼルダだ。 
経歴に瑕疵は許されない。 
 ぼくはどうしたらいいのか。 
 何があってもゼルダを支える。セックスだけの話ではない。どんな場面においても、それが 
ぼくの務め。その務めに、ぼくは徹するべきなのか。女王たるゼルダの一臣下として。 
『冗談じゃない!』 
 いったい臣下とは主君に対してどんな態度をとるものなのか、ぼくにはさっぱりわからない。 
主従なる関係のありようなど、これまでいっさい興味がなかったし、これからだって興味を 
抱きたいとは思わない。ぼくとゼルダの繋がりがそんな関係であっていいはずがない! 
 ──と、いくらぼくがここで力んでみても、ゼルダの考えがわからなければ、ただの遠吠えだ。 
 どう考えているのだろう。 
 ゼルダの超然とした雰囲気が、単に休暇の終わりを意味するだけでなく、別の何かを暗示して 
いるようにも感じられる。 
 が…… 
 意を強くする。 
 ゼルダだってぼくに臣下であれと求めたりはしない。言われなくてもわかる。そもそも 
ぼくたちが初めて会った時から、ゼルダにとってのぼくは、同志であり、友人であり、ひそかに 
愛の芽生えを意識して純潔を捧げた相手であり、そしていまではその愛を切っても切れないまでに 
成就させた唯一無二の存在だ。自分のことをそこまで言っても、決して自惚れとは思わない。 
それが絶対の真実だとぼくは確信できている! 
 ゼルダがそうであるなら問題はない。ぼくはぼくの生き方を貫くだけだ。ゼルダの立場が 
どうなったとしても、ぼくとの関係が消えてなくなるわけではない。二人の愛に揺るぎはない。 
できる限りの方法で、関係を、愛を、深めてゆけばいい。その方法とは、ぼくたちが誰にも 
後ろ指をさされない間柄になることであって、それは、すなわち、ぼくと、ゼルダが──  
 
「リンク」 
 突然の呼びかけで高揚感は頓挫した。声の方を向くと、高揚の対象である当人が、例により 
エプロンだけの格好で、台所から顔を出し、にこやかに微笑んでいる。 
「もうすぐよ。あとちょっとで終わるから」 
「うん……」 
 リンクは曖昧に頷いた。思いにふけるうち、時間は意外に速く過ぎていたのだった。 
 ゼルダの顔が引っこんだ。何も気には留めなかった様子である。 
 こちらの思考を知る由もないゼルダだから、気に留めなくて当然だ。が、いまは知らなくとも、 
いずれは知る。ぼく自身が伝えることになる。 
 近い将来に。 
 心に再燃する高揚感を、リンクは自覚した。 
 
 夕食として出されたのは、何とも不思議な料理だった。芋と野菜が使われているのは見て 
とれるが、食材は原形をとどめず、とろけた状態で入り混じっている。調理法も不明である。 
焼くでもなく、蒸すでもなく、もちろん煮ているのでもない。きのう話していた「もっといいもの」 
というのがこれのことだと見当はついたものの、一見、とうてい「いいもの」とは思えないのだった。 
 料理の名前を訊ねても、ゼルダは笑って答えない。調理法についても、簡単には説明できないと 
言うばかりである。 
 やけに勿体ぶっている。自信があるようだが、もし不味かったら、どう反応すべきだろうか。 
 勧められるまま口に入れる。一口だけで懸念は無用と知った。逸品なのである。食材本来の 
風味を損なうことなく、また一方では別種の風味も感じられるよう、独特の工夫がなされている。 
 料理の名前を教えてくれないのは、名前がないからなのだろう。つまりこれは、この七日の間、 
乏しい食材でどれほどのことができるかとゼルダが胸に温めていた、ゼルダ自身の発案による 
料理なのだ。 
 賞賛を述べる。ゼルダが嬉しげに表情を崩す。 
 他には硬いパンと水があるばかりの寂しい食卓ではあったが、休暇の掉尾を飾るにふさわしい 
晩餐である、とリンクには思えた。  
 
 夕食後、台所で食器を洗いながら、ゼルダは惑いに囚われていた。 
 リンクに告げておくべきだろうか。明日、わたしたちが直面することがらについて。 
 沈黙は欺きになるだろうか。かつてのわたしが、種々の意味で、リンクを欺くことになったように。 
 首を振る。 
 すでに何度となく頭に浮かんだ惑いを、そのつどそうしたように振り捨てる。 
 何度も振り捨てなければならないのは、それほど解消困難な惑いだからである。しかし結局、 
思いの落ち着く地点は一つなのだった。 
 知ればリンクは混乱する。いま告げても、混乱の期間を長くするだけだ。直面するまで黙って 
いた方がいい。 
 ──と、リンクを思いやるふうを装いながら、実はわたし自身が混乱の発来を引き延ばしたがっている。 
今夜はリンクにそうあってもらいたくないと切望している。 
 わがままだろうか。 
 わがままだ。 
 でも、これだけは許して欲しいわがままだ。 
 作業を終える。エプロンをはずす。素裸になって台所を出る。 
 同じく全裸の身体を椅子に置いて、リンクはテーブルに向かっていた。じっと待っていたという 
ふうである。 
 リンクも察しているだろう。今夜が「最後」であることを。 
 ただ、その意味は、わたしの思うところとは、かなり異なっているだろうけれど。 
 リンクが立ち上がる。左手を差し出してくる。右手を重ね、握りしめる。握ったままで寝床に移る。 
並んで敷布の上に横たわる。 
 そうあるより他にないという自然さで、二つの裸体は触れ合った。四つの手と二つの口が、 
互いの身のあらゆる領域を彷徨した。触れ合う時間を可能な限り長くし、高ぶりの枯渇を可能な限り 
遅らせたいとの望みがゼルダにはあり、間違いなく同じ望みを持っていると推断できるリンクの 
挙措とも相まって、手と口による交歓は、執拗に、一途に、続けられた。 
 だが、限界は存在する。無数の頂点を極めつつ行為を継続できる女とは違って、男の場合は 
極められる頂点の数に限りがある。リンクでさえも例外ではない。その限られた頂点の直前に 
リンクが立ち至ったことを、ゼルダは知った。慣れ親しんだ相手である。それくらいは仕草と声で 
容易にわかるのだった。 
 リンクの意には添わない行動かもしれないと思いながらも、ゼルダは敢えておのれの欲を 
優先させた。性器を結合させる前にしておきたいことがあった。 
 互い違いの格好で、リンクの上に身体を乗せる。股間に顔を寄せ、膨張の極にある肉の棒を 
口に含む。同時に自らの秘部を後ろに向けて解放する。 
 そこにリンクの接吻を受けると、激越な快感が体軸を突き抜けた。 
 頭が真っ白になりかかる。 
 しかしゼルダは意思を保った。 
 同じ快感をリンクに与え、なおかつ自分が欲するものを得なければならない。 
 硬化したうちにも弾性を有する男の器官を、ゼルダはひたすら貪食した。知る限りの方法で 
玩弄した。リンクも区切りのあり方に同意したようで、口接の強度と密度を倍加させるとともに、 
腰を上下に揺らし始めた。ゼルダもリンクを口内に囲い、合わせて首を上下させた。 
 やがてリンクが到達した。口中に噴出する精液をゼルダは残らず飲みこみ、一致して訪れた 
自らの絶頂にも溺没した。  
 
 一度達したからにはしばらくの間が必要、それがおのれの欲を優先させた代償である──と 
ゼルダは覚悟していた。意外にも代償は不要となった。リンクは硬度を保っていたのである。 
 前にも同じことがあった。あの時のような高揚が、いまのリンクの心身にも満ちあふれて 
いるのだろうか。だとすると、それはどんな高揚なのか。 
 疑問を解決する暇はなかった。身体が急に持ち上げられ、横転した。リンクが上体を起こしたのだった。 
続けて仰向けにされ、両脚を開かされた。のしかかられた。抱きしめられた。股間に切っ先が 
触れたかと思うと、刀身はまっすぐ斬り込んできた。一気に奥まで突き通された。 
 もうリンクの高揚の本態に思いを及ぼす余裕はない。高揚があるだけで充分だった。最後の 
一滴となるまでその高揚をぶつけて欲しかった。 
 リンクはぶつけてきた。粘膜が発火するのではないかと思われるほどの激しさで、リンクの 
剛直は膣内を往復した。ゼルダは随喜した。ただ反面、あまりの激しさが危惧をも抱かせた。 
 立て続けに射精するつもりなのか。リンクがそうしたいならしかたがないが、そんなに早く 
いってもらいたくはない…… 
 思い過ごしだった。当初、暴風さながらに荒れ狂っていたリンクの動きは、次第に勢いを弱め、 
ついにはそよ風のような静やかさとなった。空中浮遊を思わせる感覚がゼルダを魅了した。 
繋がった部分から快美のさざ波が永続的に湧き出す感じでもあった。 
 けれども贅沢なことに、穏和な接触が続くうち、それでは物足らないという気分が生まれてくる。 
そんな気分を察したかのように、リンクが動きを速くする。 
 実際、こちらの仕草や声で察知したのかもしれない。相手に慣れ親しんでいるのは、わたし 
ばかりではないはずだから。 
 刻々と移り変わるゼルダの欲求に呼応して、刻々と変化するリンクの所作。 
 次から次へと迫り来る新たな喜悦に身を浸しながら、ゼルダは意識の隅に想いを投げた。 
 こんなにも、ああ、こんなにも互いを知りつくした二人の交わり! 
 いま、ここで、時の流れが止まったとしたら、それにまさる幸せはない! 
 いつの間にか体位が変わっていた。リンクの下で仰向けとなっていたはずの身体が、逆に 
仰向けとなったリンクの上に跨っており、そこだけは変わらず串刺しにされた部分を軸として、 
ゆらゆらと揺れ動いていた。 
 意識を失ったのではない。うち続く恍惚の記憶はあった。が、その恍惚の影響で、環境を 
把握する能力が麻痺しているのだった。 
 麻痺は断続的に生じているようだった。気づけば体位が変化しているのである。寝た形で、 
すわった形で、這った形で、脚を曲げた形で、前から、後ろから、上から、下から、あらゆる 
姿勢で、あらゆる方向から、一瞬たりとも休みを挟まないリンクの攻めを受け、無限とも思える 
数の絶頂に見舞われている自分がいた。それはあたかもリンクがおのれのすべてをこちらの身に 
刻みつけようとしているかのごとくであり、ゼルダが心の底から冀っていた様態でもあった。 
 しかし、やはり限界はあるのだった。最初の体位に戻ったのち、リンクは激しく腰を叩きつけてきた。 
このたびは勢いを弱めることなく、逆にどんどん強めてくる。意図は明らかだった。ゼルダは 
四肢をリンクに巻きつけ、抱きすがる格好となってその時を待った。 
 間もなくリンクが爆発し、同時にゼルダも爆発した。 
 何もかもうち捨てて果てずにはいられない、それは技巧をはるかに超えた、リンクだけに可能な 
究極の施しだった。  
 
 そこまでの法悦に達していながら、なおもゼルダの欲望は尽きなかった。このままで終わる 
わけにはいかないのだった。とはいえ、リンクの具合を鑑みるなら今度ばかりは間をおかねば 
ならない。事実、リンクの武器は力を失っていた。ゼルダは一時の忍耐を自らに説いた。 
 忍耐という言葉に値するほどのものでもなかった。横たわってリンクと唇を合わせ、その手に 
胸を預けているだけで、快楽の芳味は堪能できたし、また秘裂に指を迎えることにより、小規模の 
頂点にさえ到達できたからである。 
 ただし充足はされなかった。求められるべき場所は別にあった。ゼルダは腰を動かし、リンクの 
指を後方へと誘導した。リンクは理解したようで、あとはもっぱらそちらを愛撫の対象としてくれた。 
膣口から漏れ出る二人分の体液がそこに塗布されるのをゼルダは感じ取った。待ちきれない 
気持ちでいっぱいだった。 
 口。膣。そして肛門。 
 女が男を身中に収められる三つの場所すべてを、一夜のうちにリンクの精で満たしたい。 
 それがゼルダの願いだった。 
 期待に添う状況ができあがるまでに長くはかからなかった。リンクの股間を探ってみると、 
いつしか勃起は復活していた。重ねて高揚をぶつけられるさまが想像され、全身の肌が熱くなった。 
 リンクが起き上がった。四つん這いになろうとしたところを遮られ、仰向けの格好で敷布に 
押しつけられた。両脚を抱えられ、さらに尻を持ち上げられた。腿を引き寄せて補助する必要は 
なかった。何もかもリンクに任せていればよかった。圧倒的なリンクの力に、ゼルダは酔った。 
 進入は滞りなく行われ、続く往復運動も順調に展開した。塗布された体液が潤滑さをもたらして 
いると了解はできたが、潤滑なのは入口だけで、内部は無影響のはずである。にもかかわらず 
苦痛はない。愉悦しか得られない。油を使うまでもなく完璧な肛交が可能となっているのだった。 
自分はここまでリンクに開発されたのだと実感され、ゼルダの胸は歓喜に震えた。 
 歓喜は各所に行き渡った。乳房をつかまれると、そこに興奮が渦を巻いた。陰核への接触は 
電流のような顫動感を脳に送った。膣に指を挿入されるに及んで歓喜は激化し、一本の指が二本と 
なることによって沸点に達した。前と後ろを同時に充填される快感は、正気でいるのがやっとと 
いうくらいの激甚さだった。 
 指が膣から去り、快感は多少の減衰をみた。しかし、リンクが指を退去させたのは、ゼルダの 
脚を保持するのに両手を使用するためであり、それはとりもなおさず、体勢を調えた上で最後の 
攻めに入ろうというリンクの意思の表れなのだった。 
 肛門への突撃が威力を増し、応じて快感も再興した。が、ゼルダの感覚は快感を快感と認識できる 
限界に近づいており、リンクが射精に至った時点で、ついにその限界を超えた。 
 薄れゆく意識の中で、ゼルダは最後の絶頂に満足した。 
 
 満足しなければならなかった。 
 
 
To be continued.  
 

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