静かな朝に響く声音。  
その声は猛る悦びを、辛い切なさを謳った。  
今日も太陽は襲う。月を追い立て、踏み躙るかのように。  
 
馬を囲む柵に座った少女。  
少女の澄んだ声が詞のない歌を紡ぎ、空に消える。  
その少女はふとこちらを向くと、明るく顔を綻ばせた。  
「あ、妖精クン!」  
少女は俺を見て、花咲くような笑顔で手を振った。  
俺も、同じく手を振る事でその少女に答える。  
「ふふっ、こんにちは!」  
その少女――マロンは、くりくりとした大きな瞳で俺を見つめた。  
歌声とはまた違う可愛らしい声が耳に心地良かった。  
「ああ、こんにちは」  
「今日はどうしたの?」  
満面の笑みで俺に尋ねる。  
じっと見つめると、マロンは多少不思議そうに少し首を傾げた。  
この笑みの、この声の、何よりこの少女そのものの。  
たぶん、俺は……会った時から虜になっていた。  
 
「ねぇ、ちゃんと聴いてる!?」  
「ん? あ、ゴメン」  
いつの間にか頬を膨らませて軽く目をつり上げていた。  
「ちょっと話があってさ。時間、大丈夫?」  
「うん、別に構わないわ。ちょうど退屈してたの!」  
また元の笑顔に戻ってマロンは言った。  
「陽射しが暑いね……あの辺が良いかな」  
そう言って俺は、柵の中、その奥の屋根のある場所を指した。  
あそこなら牧草くらいしかないし、何より見通しがきく。  
「うん! 早く行こ、妖精クン!」  
マロンはそう言うなり駆け出した。  
「あ、ずるいぞマロン!」  
俺も後を追いかける。  
マロンの髪の匂いが鼻をくすぐる。  
必死に後を追うが、差は開きもしなかったものの縮まりもしなかった。  
……もう少し鍛えた方が良いのかもしれない。  
 
俺は色々な話をした。  
幻を見せる砂漠、蒼く輝く洞窟、火山に住まう龍……  
そんな別世界のような話を聞かせた。  
その実、あいつが居た場合の七年後の、悪夢のようなハイラルの一端を。  
驚いたり、目を輝かせたり、怖がったり、マロンは様々な表情を見せてくれた。  
「マロン」  
そろそろ俺は、一番聴いてほしい話をすることにした。  
「なに?」  
そう尋ねるマロンの唇を、俺は半ば強引に奪った。  
唇を離しマロンを見つめる。  
目を点のようにし、呆然と唇を押さえる。  
すると見る見るうちに顔が紅くなり、うろたえた。  
「なっ……妖精クン! いきなり何!?」  
「俺……マロンの事が好きだ」  
嘘偽りない、正直な告白。  
……さすがに、言ってて恥ずかしい。体温が上昇するのがわかった。  
一連のしがらみから解放された、今だからこそ安心して言える事。  
 
口をぱくぱくさせて、恥ずかしそうにうつむく。  
俺はそんなマロンを見て後悔しつつあった。  
恐らく早計だった。俺は本当に何をしているんだろうと全力で。  
「…………………………」  
マロンは小さく何か呟いたようだったが、上手く聞き取れなかった。  
「え? 何?」  
直後、俺の頭を左から右へ抜ける衝撃。  
「……もうっ! 何度も言わせないでよ! あたしも好きだって言ったの!」  
その声を聞くと共に、少し見えてはいけない世界が見えた気がした。  
「……恥ずかしいんだから……」  
 
告白の仮想練習において幾つかの結果が生まれた中で、平手は全くの予想外だった。  
俺が原因である事は紛れもない真実、だが結果は良いものと言えるので不問とする。  
今後、些細な言葉も聞き漏らさない集中力と聴力の養成を課題としようと思う。  
……微妙に気まずい沈黙、上昇し続ける体温に反して、俺は冷静に分析していた。  
自分を鎮めようと、必死かつ無意味に。  
しかし昂ぶった俺のリビドーは、やはり治まりそうになかった。  
 
もう一度マロンの口を塞ぐ。  
今度は舌を伸ばし、マロンの唇をなぞる。  
「ひゃ……」  
びくりとマロンの肩が上がる。  
ゆっくりと唇をこじ開け、歯茎を舐り、舌を絡める。  
小刻みに震える肩を抱きしめながら、舌で犯す。  
口内を味わい尽くし唇を離すと、銀糸は伸び薄れ消えた。  
「……っはぁ」  
呼吸を荒げて、陶然と余韻に浸るマロン。  
俺を見つめる大きな瞳は、とろりと潤んでいた。  
その視線にどきっとしながらもマロンの服をゆっくりと脱がせる。  
「妖精クン……」  
「ん?」  
「……強引……」  
「……ゴメン」  
少し反省する。反省しつつも手は止めない。  
「でも、良いよ。……妖精クンだったら」  
その言葉に、僅かに残っていた迷いが吹き飛んだ気がした。  
 
下着ただ一枚だけを残して、マロンの肌は外気に晒された。  
未熟だが、明らかに存在を主張する二つの膨らみ。  
まだ肉付きの薄い、多少ほっそりとした肢体。  
そして何より、未だ陶然とし、紅潮した可愛らしい顔。  
はにかみ笑いを浮かべたマロンが、仰向けでこちらを見ている。  
まずは、というわけではないが、年齢の割にふくよかな乳房に手を伸ばす。  
「っ……」  
柔らかい感触が指先を包み込む。  
俺の手の動きに合わせて形を変え、ひしゃげていく。  
なされるがままのようでありながら、指を押し返す力が心地良い。  
その美味しそうな膨らみに、甘くかぶりつく。  
ただ柔らかいだけでなく、張りのある乳房。  
その右側を揉み、味わった。  
程なくして俺は、乳房の先の異変に気付く。  
うずもれていたが、わずかに起き上がった乳首。  
その可愛い突起を、軽くつねる。  
「んんっ!」  
マロンの体が跳ねあがった。  
 
そのまま指先でこねくり回す。  
強く瞑られたまぶた、その先の睫毛がわずかに震えている。  
空気を求めているかのように、口が大きく開かれる。  
こねるのをやめると、そこに乳首はぴんと立っていた。  
「ははっ、可愛い」  
「………」  
マロンはちょっとむすっとしながら俺を睨む。  
……少し、意地悪したくなった。  
「片方だけ立ってるね」  
「それは……」  
マロンは口を開きかけ、慌てて閉じた。  
「それは、何?」  
にやりとしながらマロンに問う。  
「……妖精クンが片方だけいじるから……」  
視線を逸らしながら、困ったようにぼそっと呟く。  
「マロン、自分でやってみてよ」  
「え!? 嫌よ!」  
「そっか……じゃあ今日はもう帰るよ」  
「……………」  
さっきとは違った沈黙。  
 
「……やるわ。その代わり、その……」  
言いにくそうに、言葉を絞り出した。  
「もっと……」  
内心、どきりとした。  
 
マロンの右手が、左の乳房を揉む。  
自分の手を押し付けるように、練るように。  
息を荒げながら自らの乳首を摘まみ、捏ねる。  
「はぁ……ん………はぁっ……」  
手の先でいじられる乳首も、次第に存在を主張する。  
心なしか早く、二つの突起は揃い立った。  
マロンがいじっていない右側の乳首を、舐める。  
「あ……」  
甘噛みしながら、さらに舐る。  
「んぅぅっ!」  
乳房とはまた違った弾力、味が俺を魅了する。  
ちろちろと小刻みに舐め、マロンの反応、歌声を楽しむ。  
「や………ぁ……ん……」  
それはそれはしつこく、丹念に。  
 
涙目でマロンが訴える。  
「あの……妖精クン」  
「どうしたの?」  
「あたし、もう……」  
マロンが視線を下に落とす。  
その先を追うと、濡れて肌に密着し、布越しにも形がわかる割れ目があった。  
実は最初から気付いていた。  
脱がせた時にはもう、下着は湿っていた。  
「良いの?」  
暗にマロンに尋ねる。  
マロンは控えめに、こくりと頷いた。  
そっか、と俺は小さく返し、そこをいじることにした。  
下着の上から、舌を這わせる。  
多少の匂いが嗅覚を刺激する。  
布越しに舌を突き入れ、割れ目を擦る。  
「形、わかるよ」  
「やぁ……言わないで……」  
それから俺は自分の下着を下ろし、硬くなったものを取り出す。  
 
マロンの脚を上げて、上に覆い被さる。  
そして竿を……下着の上から擦りつけた。裏筋が生暖かい下着に包まれる。  
下着なだけあって良い肌触りと、ぬめぬめとした潤い。  
腰を動かし擦りつけるごとに、俺のものはさらに硬くなっていった。  
自分の腹とマロンの割れ目に挟まれ、圧力と下着の質感を楽しむ。  
「妖精くぅん……」  
ひどく切なげな上ずった声で、マロンは訴える。  
「もう……耐えきれないよ……」  
「じゃあ……そろそろ、しよう」  
四つん這いになるよう促し、マロンはおずおずと従った。  
肘と膝を曲げて地につけ、尻を天へと突き上げている。  
股の間から、不安そうに俺を見る。  
「これで……良いの?」  
俺が肯いた……その時だった。  
 
「タロンのダンナ! ……まぁた寝てやがる。グータラってレベルじゃねぇぞ!」  
インゴーの怒声。牧場どころか平原中に届いたかもしれない。  
マロンははっとして顔を上げ、焦ったように言う。  
「そういえば、お父さんもインゴーさんもいるわ!」  
ついでに言うならば、牧場の入口から真っ直ぐ先を見ると、ここが見える。  
馬の柵は牧場のほぼ真ん中にあり、さらにその奥がここである。  
 
「構わないさ」  
そう言って俺はマロンの下着をずり下ろす。  
マロンの尻を掴み、いきり立った陰茎をマロンの割れ目に宛がった。  
「ダメよ、妖せ……んんっ!」  
少しだけ、俺はマロンの中に侵入する。  
こちらを見るマロンは涙目だ。  
「もっと叫んでもいいよ」  
「やあっ……!」  
例えばこれは……そう、これは交尾だ。  
自分に強く言い聞かせ、一気に侵入する。  
「らめぇ……らめなのおぉ……」  
そうでもしないと、決意が鈍ってしまいそうな気がするから。  
マロンはがくりと顔を伏せた。  
膣壁に、襞に、子宮口に陰茎を擦りつける。  
「あっ……」  
痛みは引けないようだが、多少は和らいだのだろうか。  
次第に上り詰め、腰の動きを激しくする。  
「ん……」  
熱い膣に、自分のものが半ば溶かされているかのよう。  
「お父さんっ……来ちゃう……からあぁぁっ……!」  
びくっとマロンの体が震える。  
強い締め付けが俺を襲い、果てた。  
 
マロンの中に精液がドクドクと注ぎ込まれる。  
溢れ出た精液が、どろっとこぼれて地に落ちた。  
「はぁっ……はぁっ……」  
朝露を押しのけて、精液は一面の緑を白く濁す。  
赤い血と混ざった、白が。  
「妖精……クン……」  
「……ゴメン」  
目のやり場に困って空を見上げた。  
けれど屋根しか見えない。当然だ。  
「違うの。……気持ち、良かった?」  
冷静を装いはしたものの、結局は情動のままに行為をした。  
そんな俺を……心配してる?  
「……もちろん、気持ち良かったよ」  
「そっか。……もちろんって付くと何だかやらしいなぁ」  
いつもと変わらない笑顔が、逆に心に痛かった。  
俺の内心を見透かしたように、マロンは言った。  
「大丈夫。言ったでしょ? あたしも好きだって」  
 
とりあえずは、それでいいのだろうか。  
マロンが納得しているのならば、それで。  
そう思うと、視界が開けたような気がした。  
 
「おーい、マローン! そろそろ牛乳届けに行くだよー」  
……しまった。  
「……お父さん!? あー……早く服着ないと!」  
そう言い、濡れた下着を履き、服を着て整える。  
「マロン。やっぱり、ゴメン……」  
濡れた下着を履くのはさぞ気持ちの悪い事だろう……  
「良いの! あ、その代わり……」  
マロンは駆け出して、こっちを振り向いた。  
いたずらを思いついたように笑うと、大声で言った。  
「後で色々手伝ってもらうからねー! 仕事とか、せ・ん・た・く・とか!」  
やっぱり気持ち悪いんだ……本当に、ゴメン。  
「背中も流してもらおうかしら?」  
……これは挑発と取って良いのだろうか?ちょっと前言を撤回したい。  
 

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