イリアの右手には、鋭いナイフが握られている。
「イ、イリア! どうしたんだ! バカな真似はやめろ!」
イリアを止めようとリンクが近づこうとすると、イリアはナイフの刃を自分に向けた。
「イリア! 早まるな! 何があったんだ!!」
「……アナタのせいよ…アナタがあんなこと言ったから……」
「俺が…あんなこと…って? 俺が何か、悪い事を言ったのか!? 」
リンクが近づこうとすると、イリアはまた、自分の首元にナイフをむける。
「分からないの…? アナタがあんなことを平気で言うような人だなんて、知らなかった。」
「お、俺が何を言ったんだよ? なんだ!? も、もしイリアが傷つくようなことを言ってたなら、謝るよ! だからナイフを捨てろ!」
「…私はずっと、アナタのことを想って生きてきた。それなのに、アナタにはそれが分からないのね。私、がっかりした…。」
「な、なんのことだ?」
「…覚えてないの? 私は忘れない。ちょうど7年前に言った、アナタの身勝手な一言を…。」
「身勝手な…7年前…なんだ…?」
イリアはリンクにしがみついた。
「私は、アナタが好きだった。アナタとの結婚も、本気で考えてた。それなのにアナタは…私のことなんか目もくれない…」
「そ、そんなことない! 俺だってイリアの事好きだよ!」
「嘘! じゃぁなんで7年前、あんなことが言えたの!!」
「だ、だから俺が何を…」
「言ったじゃない…あのとき…」
・・・ちょうど7年前
まだ幼き日のイリアとリンクは手をつないで、橋に腰掛けて話していた。
「リンク、リンクはずっとトアル村で暮らすの?」
「うん、おれ、大きくなったら牧場主になりたいんだ!」
「そう、よかった! じゃぁ…リンク、大きくなったら、この村の誰と結婚するの?」
「おれ? おれは、エポナと結婚するんだ!」
・・・
「私のことなんか無視して、エポナと結婚するなんて! 私がどれだけアナタを愛していたと思ってるの!? ひどいよ!!」
「お前、バカだろ。」