ガノンドルフを封印し、リンクが元の時代に帰ってきて数ヶ月がたった。  
七年後の世界とは違い、緑が咲き誇り、光が満ち溢れたハイラル。  
時の勇者であるリンクとハイラル王家の姫であるゼルダ、そして七賢者達の働きのおかげで、もうその風景が歪むことはないだろう。  
が、リンクには新たな問題ができていた。  
その問題は・・・・・・  
 
「う・・・ん・・・」  
 
下半身に妙な感触を覚えてリンクは目を覚ました。  
上半身をベッドから起こすと、目の前の布団がやけに膨らんでいる。  
 
「さ、サリアっ! きみ、また―――!」  
 
驚いて布団を捲り上げるとそこにはコキリ族の少女であり、森の賢者であり、そしてリンクにとって大切な幼馴染であるサリアがリンクのびんびんに勃起したペニスを含んでいた。  
 
「おふぁよう、ひんふぅ」  
 
もごもごとリンクのペニスに舌を這わせながら朝の挨拶をするサリア。  
 
「だ、だから何度もいってるだろぅ・・・? 朝からこんなことは・・・うっ」  
「だぁめ。ちゃんとご奉仕しないと競争に負けちゃうもん」  
「きょ、競争って・・・あう」  
 
長く伸ばしたサリアの舌がその年齢には不釣合いなリンクのペニスの根元から裏筋をゾロリと一気に舐め上げる。  
その強烈な刺激にリンクは、この時代に戻ってきた時に起こった修羅場を思い出した。  
 
 
「・・・というわけで、私とリンクは共に協力しあい、ハイラルを救った二人なのです。そのような二人が結ばれるのは、もはや運命。ですのでリンクの妻に相応しいのは私なのです」  
 
ここはハイラル城のゼルダ姫の部屋。  
部屋の中央には白い丸テーブルが置かれ、その周辺には六つの椅子もある。  
広く清潔な室内、そこに六人の男女が座っていた。  
 
上座に座ったゼルダ姫はそう言うと、ふふん、と自慢気に小さく胸を張る。  
どうやら自分とリンクがいかにお似合いかを語っているうちにテンションが上がったらしい。  
 
「・・・ちょっと待てよ、お姫様」  
褐色の肌に赤い髪をした美女が声を上げる。  
「なんですか、ナボールさん」  
「あんま信じられないが、アンタの話が本当だったとしよう。だぁがっ! それとボーヤとの関係は納得できねぇ! そもそもとボーヤと一緒に戦ったのはアンタだけじゃねえじゃねえか!」  
ナボールの言葉に他の三人もそうだ、そうだと声を上げる。  
ちっ、とハイラル王家のお姫様とは思えない舌打ちをかますゼルダ。今回の出来事で色々成長したようだ。  
「そ・れ・に、ボーヤも乳臭いお子様よりも、あたしみたいな大人の女のほうが良いと思うんだけどねぇ」  
ゼルダと同じように胸を張るナボール。  
が、彼女の一部分は明らかにゼルダとは違っていた。どこが、とは言わない。  
一同恨みがましくナボールの一部分を見ていたが、一人の少女がフン、と鼻を鳴らす。  
 
「はっ、馬鹿馬鹿しい。そんな後数年でもすれば垂れてくるような脂肪の塊なんぞにリンクが興味を持つはずないであろうが。リンクが好いておるのはわらわに決まっておる」  
 
少女―――ゾーラ族の姫であるルトは自信満々に言い放ち回りをぐるりと見回す。  
 
「そもそも、わらわとリンクはゾーラのサファイアをもって婚約を交わしたのじゃ。つまり二人は既に夫婦の関係。故にこのような話し合いなど意味を持たぬ」  
 
腕を組み、勝ち誇った笑みを浮かべるルト。お姫様というより悪役の笑みである。  
彼女もまた色々と成長したようだ。間違った方向で。  
が、他の面々も黙ってはいない。  
オレンジ色の髪に健康的に焼けた肌をした少女が机を強打しながら立ち上がる。  
 
「わ、私だって妖精くんにお嫁さんにしてもらうって約束したもん! 貴方だけが特別じゃないんだからね!」  
と、言ったものの少しばかりマロンは焦っていた。  
自分の好きな人を取り合う女性たちは皆、どこぞのお姫様だったり、族長だったり、賢者だったりと自分とはまったく違う身分ばかりである。  
しかも、ゼルダ姫の話によると―――ちょっと信じられないが―――リンクは世界を救った時の勇者らしい。  
対して、自分は牧場の田舎娘。  
マロンはこの中で自分が一番劣っているように思っていた。  
むろんリンクがそんなこと気にするわけないのだが、そこらへんは複雑な乙女心。色々と不安になったりするのだ。  
 
「「「「―――――」」」」  
 
『おぉ? やんのかごらぁ』みたいな目線でお互い睨み合う四人の女性たち。  
皆、無駄に美人なので余計に怖い。  
そして、当事者であるリンクはと言うと・・・  
 
「あ、あの・・・サリア? ちょっとくっつきすぎだって」  
「ん・・・? リンクは、こんなことされるの、いや?」  
「い、いやじゃないけど・・・その」  
 
幼馴染のコキリ族の少女に絡まれていた。  
リンクの腕と自分の腕を絡ませているサリアは頬を染め、幸せそうにため息をつく。彼を独占しているのがそうとう嬉しいらしい。  
 
「私ね・・・リンクとこんなふうになるのがずっと夢だったの・・・」  
「そ、そうだったんだ・・・」  
「うん・・・リンクとお友達になったときから、ずっと・・・」  
 
ギュッとリンクの腕を抱きしめるサリア。  
と、同時にリンクの腕は慎ましいながらもちゃんと自己主張している何かの感触が伝わってくる。  
 
「や、やわらか・・・じゃない! サリア、ちょっと近すぎるって! これお友達の距離じゃな・・・!?」  
 
一瞬陥落しかけたが、そこは時の勇者。すぐに彼女を説得にかかる。  
が、だてに彼女も将来森の賢者になるわけではない。  
自分の指をリンクの口にそっと当て、塞ぐ。  
ついでにお互いの足も絡ませあう。  
 
「大丈夫よリンク・・・愛し合うお友達は、やがて、心と心だけじゃなく体も結ばれてゆくの。さぁ、私にまかせて・・・」  
「いや、だからそれお友達って程度じゃないよね? とか、まかせてってなにを? とか言いたいことはあるけどとりあえず助けてーーーっ!?」  
 
いつの間にか押し倒され、自分の上にのしかかるサリアに貞操の危機を感じるリンク。  
男の子としてのプライドとか意地とか色々捨てて助けを求める。いまの幼馴染は怒らせたコッコより怖い。  
 
「なにしてんだテメェ―――!?」  
 
愛する男の下半身の危機に、睨み合っていた彼女たちも気が付いたらしい。  
その中の一人であるナボールが愛用の剣を抜きサリアに切りかかった。  
 
「――――ッ!」  
 
が、信じられないことに彼女の一閃を大きくジャンプしてかわすサリア。  
空中で反転してそのままナボールと対峙する。勇者以上の運動能力である。  
 
「危ないですね、いきなり切りかかるなんて。顔に傷でも付いたらどうしてくれるんですか」  
「ハッ、そんときゃあ森のお友達の嫁にでもなるんだね。安心しなよ、アンタの一番大事なお友達はあたしがもらってやるからさ」  
 
睨み合う森の賢者と魂の賢者。  
が、そんな二人の間に手をパンパン叩きながらゼルダが割って入る。  
 
「はいはい、そこまで。サリアさんもナボールさんも落ち着いてください」  
「ちっ。んだよ、せっかく敵を一人減らせると思ったのによぉ・・・」  
「森に良い肥料がやれるところだったのに・・・」  
 
お互い殺る気満々の発言をしながらしぶしぶ席に着く。  
ちなみに時の勇者はすぐ目の前を通り過ぎた剣の切っ先に腰を抜かしている。  
 
「それで? 結局どうするのじゃ、ゼルダ姫よ。このまま下らぬ話し合いを続けても無意味と思うが」  
「あたしも同意見だね。もともと全員、譲る気はないんだ。話し合いだなんてお上品な手段じゃ、誰も納得しねえだろ」  
 
言い終わると同時、ナボールは周囲の少女たちを射殺すような視線で睨みつける。  
インゴーぐらいなら軽くあっちの世界にご挨拶させれそうな殺気だが、少女たちもそれに怯むどころか、下から抉り込むようにガンつけている。  
張り詰めた空気はますます鋭さを増し、インゴーぐらいなら軽く微塵切りにできそうになっていく。  
 
「本当に、それでよろしいので?」  
 
そんなイン(ryな空気を裂くように一人の少女が口を開いた。  
丁寧な口調だが、どこか見下したようなイメージを受ける。  
それを不快と思ったのか、切りあっていたメンチを中断したサリアが、眉に皺を寄せながらゼルダの問いに答える。  
 
「質問の意味がわかりませんね。貴女もこんな場を設けたところで問題は解決しないと、解っているはずですが?」  
「それで、力尽くでリンクを奪うと?」  
 
ゼルダの問いに、部屋の空気がまた重くなる。  
誰も答えはしないが、各々の視線がものすごくわかりやすく語っている。「その通りじゃ、ボケェ」と。  
とても一国の姫に向けるとは思えない視線を気にすることなく軽く笑って受け流すゼルダ。  
 
「なるほど、確かにそれならばわかりやすい。それに、他の人たちを無理矢理にでも黙らせることができるでしょうね」  
「お姫様もわかってるじゃねえか。だったら―――――」  
「――――ですが」  
 
ナボールの言葉を遮る様に、ゼルダは言葉を続ける。  
そして、腰と一緒に魂も抜けかけているリンクに目をやり  
 
「はたして、そのような手段で自分を手にれた者を、リンクは愛するでしょうか?」  
 
その言葉に少女たちはハッと顔をリンクへと向ける。  
 
「リンクの性格ならば、自分の為に傷ついた者を放っておくことなどできないでしょう―――無論、傷つけた者も。優しいリンクのことですから、暴力を振るうことは無いでしょうが、自分の仲間を傷つけた者を許すことはないでしょうね」  
 
ゼルダの言葉に、少女たちは苦虫を噛み潰したような顔をする。  
愛する少年を手に入れたいのに、できない、その歯痒さに。  
 
「……じゃあ、どうすんだよ? この現状で我慢してろってことか?」  
「そんなのは御免被ります。私は、自分の大切なものを誰かに分け与えるほど優しい性格はしていないので――――特に、貴女たちのような雌猫には」  
 
くつくつと少女たちを蔑むように笑うゼルダ。どう考えてもヒロインの台詞じゃない。  
 
「ええい、まどろっこしい! つまり何が言いたいのじゃ、貴様!!」  
 
ダンッと激しい音を立てながら、ルトが机に拳を叩きつける。  
他の少女たちも明らかに敵意をもった視線でゼルダを睨みつけるが、彼女はその全てを鼻で笑い飛ばす。色々間違っているが大物にはなりそうである。  
 
「簡単なことですよ。私たちがリンクを手に入れることができないのなら、リンクに奪ってもらえばいいのです」  
「「「「………………はぁ?」」」」    
 
ゼルダの言葉に全員が『ついに頭が逝ったんだろうか、この腹黒姫は』といった顔をする。  
 
「……あの、姫様? 私たちがなんでこんな会議してるか覚えてます?」  
「失礼ですね、マロンさん。私はコッコみたいな頭はしていません」  
「それじゃなんでそんなこと言うんですか! 妖精くんが一人だけなんて選べないって言うからこうやって話し合いをしてるんでしょうが!!」  
 
マロンの言葉に、他の少女たちも、全くだ、と頷く。  
 
「まったく、馬鹿らしい。我は帰らせてもらうぞ。これからゾーラの里で我とリンクの結婚式の準備をせねばならぬのでな」  
「そうですね。私も、リンクとの新居を見つけなければならないですし」  
「あたしも帰ろうかね。部下どもに、新しいゲルドの王を知らせなきゃいけないし」  
「わたしも、お父さんやインゴーさんに妖精くんを紹介しなきゃ」  
 
「「「「……………」」」」  
 
またもや部屋の中に、さっきと同じような不穏な空気が漂っていく。  
さっきのゼルダの言葉を気にしてか、手は出さないが、その分視線に殺気を乗せて飛ばしまくる。  
 
「別に、リンクに選ばせる必要はありません」  
 
そのような空気を裂いたのも、また、同じ少女だった。  
 
「……なんじゃ、まだ言いたいことがあるのか? 悪いが、貴様の――――」  
「彼が絶対に自分を選ぶ。そのように仕向ければいいのですから」  
「……………なんじゃと?」  
 
ルトの言葉を遮ったゼルダは、未だに床に転がっているリンクへと視線を向け、彼が気絶しているのを確かめる。  
どうやら度々部屋に満ちていた殺気により、気を失ったらしい。ぴくりとも動かない。  
 
「ふむ、大丈夫のようですね」  
「お姫様よぉ、アンタ、一体何考えてんだ?」  
「……ナボールさんは大丈夫でしょう。ルト姫様、サリアさん、マロンさん。貴女たちに質問があります」  
 
『んだよ、かったりいなぁ』みたいな顔で応じる、三人娘。  
 
「貴女たち、初潮は迎えていますか?」  
「「「「なに聞いてんだ、お前」」」」  
「大切なことなのです、ふざけないでください」  
 
お前には言われたくねえよ、という言葉を飲み込んで質問に答える三人。  
一々反応していては話が先に進まないことに気づいたようだ。  
 
「ふん。そんなもの、とうに迎えておるわ」  
「私も同じです」  
「……迎えました」  
 
三人の答えに、うんうんと満足そうに頷くゼルダ。  
 
「で、いったい何なんですか? この馬鹿げた質問とリンクに関係があるんですか?」  
「関係あるから話しているのです。まったく、人の話の途中に割り込まないでください」  
(このアマァ……)「……すいませんでした」  
 
ぴくぴくとこめかみをひくつかせるサリア。  
けどゼルダの話が気になるので我慢して謝っておいた。とりあえずこの後で迷いの森にぶち込んでやる、と心に刻み込んでおく。  
 
「念のために聞いておきますが、ナボールさんは大丈夫ですか? まさかそんな体型していて妊娠しないなんていう、一部の居るかどうかもわからない性癖の人が喜ぶ体をしていませんよね?」  
「してるわけねだろ!」  
 
そうですか、と軽く流すゼルダ。  
そして、周囲の少女たちの視線が自分に集まっているのを確認し、  
 
「では、本題に入りましょう。私たちが暮らしているハイラルですが、そこに暮らしているのは一つの種族ではありません。  
私のようなハイリア人、コキリ族、ゾーラ族、ゴロン族、ゲルド族と様々な種族が暮らしています。そして、その種族ごとの決まりというものがある。そうですね?」  
 
無言で頷く、四名。  
ハイラルにはゼルダが述べたように様々な種族が存在しているが、その殆どが閉鎖的な生活をしている。  
ハイリア人はハイリア人、コキリ族はコキリ族だけと言ったように、同じ種族でのコミュニティーを形成しており、自分達以外の種族とはあまり関わりを持ってはいない。  
それはまるで同族だけの国のようになっており、その種族独特の法律のようなものができあがっている。  
 
「各種族は、各々の決まりを守って生活しています。それこそ、食事に関することから、亡くなった後のことまで、です」  
「……さっさと結論を言わんか。わらわは我慢強くないぞ」  
「もうすぐ終わりますよ……先ほど話したと思いますが、リンクはコキリ族ではなくハイリア人です。つまり彼にはハイリア人の決まりが当てはまります。  
……サリアさん、そんなに睨まないでください。こうしておかないと勝手が悪いのです」  
 
ガンつけてくるサリアを落ち着かせ、再び話し始めるゼルダ。  
 
「そして、ここが重要なのですが……ハイリア人には、ある決まりがあるのです。今の私たちの様に、一人の男性を複数の女性で奪い合うといったときに適用される決まりが」  
 
ざわめきだす室内。私そんな決まりしらない、っつかなんでそんな決まりがあんだよ、といった声が聞こえてくる。  
 
「マロンさんが知らないのも無理はないでしょう、この決まりはハイラル王家でも一部の人間しか知りません。私もお父様の話を盗み聞いただけですからね」  
「それで? その決まりとは?」  
 
ごくり、と唾を飲み込む音が聞こえる。  
ゆっくりとゼルダはその口を開き―――――  
 
「その決まりとは―――――」  
 
 
 
「一番最初に妊娠した者を妻としなければならない……ってなんでそんなふざけた決まりを、みんなして守ろうとするかなぁ……」  
 
はああぁぁ、と大きなため息を吐くリンク。その疲れた背中には勇者としての威厳はなく、毎日サービス残業を繰り返すお父さんのようになっている。  
 
「しょうがないよ。お姫様が『あら? もしかして自信がないのですか? 愛する人の子を一番に身籠る自信が』なんて嫌みったらしく言ってくるし……んぅ…」  
「だ、だからそんなとこ舐めちゃ……うぁ」  
 
股間に感じる刺激にリンクの腰が小刻みに痙攣を始める。  
その振動を感じたサリアは満足そうに微笑むとリンクのペニスを喉の奥まで飲み込み、首を前後に動かせる。  
 
「あううぅぅ、だ、駄目だよ、サリア。そんなにしたら、僕……っ」  
「んぐっ、んぐっ……んっんっ……んぐぅ」  
 
リンクの声を無視するようにサリアの首の動きのスピードは増していく。  
まだこの手のことに慣れていないリンクの我慢はすぐに決壊し、射精へと導かれる。  
 
「ふぐぅうっ…んんっ、んぐ、んぐ」  
 
えらく量の多い精液を、喉を鳴らして啜り込み一滴残らず飲み込んでいくサリア。どうやら彼女の方はだいぶ手慣れてきたらしい。  
 
「ぷはぁ……ふふふ、ごちそうさま、リンク」  
 
ねちょっと泡だったスペルマと唾液の糸を引きながら、艶やかな口を開けて自慢気に微笑むサリア。  
 
「それにね……別にお姫様の嫌みなんてなくても、私はその決まりを受けてたと思うわ」  
「ど、どうして」  
 
ふふ、とその容姿に不釣り合いな淫蕩な笑みを浮かべて  
 
「私、敵は徹底的に潰さないと気が済まない性格なの」  
 
 

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