それからもしばらく、「おっぱいむぎゅむぎゅの刑」は続いたが、  
ふっと緑の乳房が外された。彼女が上半身を起こしたのだ。  
 
「あ……」  
突然現実に引き戻されたことに驚きと少しの不安を交らせた声を風太郎は漏らした時、  
自分を見つめる緑と目があった。  
 
緑は優しく瞳を細めて、唇にはそっと微笑みをたたえている。  
それは、さっきまで「おっぱいむぎゅむぎゅの刑」にはしゃいでいた女性とは思えない表情だった。  
 
と、緑は再び静かに上半身を倒して、さっきと違って両手でこれを支えながら、  
今度は乳房で風太郎の顔を圧迫させず、かわりに彼の口元のあたりに二つの乳房を重たげに揺らしながら垂らすと、  
「……舐めてもいいよ」  
静かに優しく囁いた。  
 
風太郎の目の前で重たげに揺れる緑の二つの乳房。  
その先端にあるやや大きめに淡く広がる桃色の乳輪と同じ色をした小さなやや平べったい乳首が、  
少し唇を伸ばせば触れられる位置にあった。  
 
「……いいんですか?」  
風太郎が聞くと、  
「……うん」  
と緑はにっこり笑って頷いた。  
 
それを聞いて、風太郎は恐る恐る緑の片方の乳房の先端にそっと舌を伸ばした。  
そして、そのままぺろりとゆっくり舐めてみた。  
緑の小さな乳首と乳輪を優しくゆっくりと……。  
 
「あ……」  
その瞬間、甘い痺れが走り、ぴくんと身体を震わせた緑は濡れた声を漏らした。  
 
それが合図となった。  
風太郎は今舐めた乳首をそっと口に含むと、そのまま、まるで赤ん坊のようにちゅうちゅうと吸い始めたのだ。  
 
「あ……あ……」  
淡く広がる痺れに緑はかすれた声を漏らしながら、風太郎の好きにさせた。  
乳首を吸われる心地よさに思わず身体が崩れそうになるのを両手でしっかりと支えながら……。  
「いっぱい……吸っていいよ……」  
息を弾ませながら緑は優しく囁いた。  
 
すべては緑の巧みなリードだった。  
罪の意識、そして緊張から行動に移せない風太郎のために、  
緑は時にはしゃぎ、時に静かに、とにかく自分から積極的に動いて優しくあたたかく風太郎をリードしていたのだ。  
 
そんな緑の乳房を風太郎は赤ん坊に子供がえりしたように夢中で吸っている。  
ぬらぬらと風太郎の唾液に濡れた小さな緑の乳首はいつの間にか彼の唇の中でころころと膨らみ、  
その周りに滲むように広がっていた淡い乳輪はきゅっと引き締まっていた。  
 
――緑さん……緑さん……。  
 
風太郎は心の中でただただ彼女の名前を呼んでいた。  
いつもすぐ近くにいて、そしてすごく遠かった緑。  
 
その彼女が、今、全裸となって風太郎の前にいて、しかも彼にその大きな乳房を好きに吸わせている。  
まるで母親が子供に授乳するように愛情たっぷりに優しく微笑みながら……。  
 
まるで夢のようだった。  
さっき一緒に飲んでいる時まで、いや緑が悪酔いしたためにホテルに入ってからも、  
まさかこのような光景が展開することになろうとは、風太郎は夢にも思っていなかった。  
 
しかし、風太郎の唇の中でちゅうちゅうと吸われるころころと大きくなった緑の乳首の生々しい感触、  
そしてふわふわと揺れながら頬に当たる、緑のもう片方の乳房のあたたかくやわらかい感触によって、  
今この瞬間、すべてが現実であると思いしらされる。  
 
そう、今、全裸となっている緑は両肘をついて自分の乳房を重たげに垂らしながら、  
風太郎に好きに吸わせているのだ。  
 
いつもはしゃいで風太郎をからかってばかりいる緑が、  
風太郎のために身体を捧げているのだ。  
 
そのことを意識すると、風太郎はゾクゾクした興奮とそして深い感動を覚えずにいられなかった。  
それはなんて卑猥で、そしてなんて優しくて安らぎのある光景だろう。  
 
風太郎はなおも夢中で緑の乳首を吸い、そして無様に舐め続けた。  
 
両肘で身体を支えながら緑はいつのまにかそっと瞼を伏せて、  
風太郎に乳首を吸われ、舐められることで生まれる甘美な痺れに身体を震わせ、  
微かに開かれた唇から乱れた熱い吐息と一緒に儚げに切なげに、  
「あ……あ……ああっ……」  
と、甘く濡れた声を艶めかしく漏らし続けていた。  
 
それは風太郎が初めて見る緑の姿。  
そんな緑に風太郎はさらなる興奮を覚えながら、なおも緑の乳房を貪り続けた。  
 
最初、風太郎はふらふらと揺れる二つの乳房を交互に舐め、吸っているだけだったが、  
いつの間にか彼は両手で二つの乳房を優しくぎゅうぎゅうと絞りながら、  
片方の乳房を吸い、舐め回すようになっていた。  
 
「ん……あ……はああ……」  
風太郎に優しく乳房を揉まれることで、緑の身体の中に生まれる痺れは一層濃厚で味わい深いものとなり、  
そのためにこぼれる吐息をより深く艶めかしいものにしながら、甘美な声を溢れるさせるようになっていた。  
 
さらに、いつの間にか無意識のうちに、緑はその心地よさから身体をゆっくりとくねらせるようになり、  
「もっと吸って……」と風太郎におねだりするように、自分の乳房をぎゅうと風太郎に押し付けるようにもなっていた。  
そうすることで緑の中を駆け巡る甘い痺れはさらにどんどん高まっていくのだ。  
「ああ……はああ……」  
緑は切なげに顔を何度も大きく仰け反らせ、その度に熱く濃厚な吐息を艶めかしく溢れさせていた。  
 
 
そんな緑の乳房に圧迫されることは多少息苦しくなっても、  
風太郎にとってはそれ以上の安らぎと興奮をもたらしてくれるもので、全然不快ではなかった。  
 
あたたかくやわらかに緑の乳房に押しつぶされながら、風太郎はなおも緑を貪り続けた。  
いつまでも無限にこうして緑に甘えていたかった。  
 
それからもしばらく風太郎は緑の乳房を吸い、舐め、揉んでいたが、  
「……とろけちゃいそう……」  
緑は息を弾ませたまま儚げに甘くこぼすと、そっと乳房を風太郎のもとから離した。  
そして、身体を少しずらして風太郎をのぞきこむと白い歯を見せて笑いながら言った。  
「あまえんぼ」  
 
風太郎は緑を見つめたまま、小さく笑うと言った。  
「緑さん……感じちゃってるんでしょう?」  
 
風太郎にこう切り返されるのも無理はなかった。  
 
白い歯を見せて笑いながらも、両頬から両耳までも真っ赤に染め、  
しかも、額にじっとりと汗粒を浮かばせている緑の顔を見たら、  
それは照れ隠しに強がっているようにしか見えない。  
 
実際そうだった。  
「……とろけちゃいそう……」とこぼしたあの甘い言葉こそが緑の本音だった。  
あまりの心地よさに緑はとろとろととろけていってしまいそうだったのだ。  
 
ただその事実を風太郎に知られるのが恥ずかしくて、わざと強がってからかってみせたのだった。  
実にあっさり見破られてしまったが……。  
 
――ばれてたか……。  
 
緑は心の中でぺろりと舌を出すと、笑顔をそのままに風太郎をのぞきこんだまま、そっと言った。  
「……うん」  
もう隠す必要はないと思った。素直になろうと思った。  
 
それは緑が本当の意味で裸になった瞬間だった。  
 
そんな緑の表情はとてもすがすがしく爽やかで、そして、とても美しかった。  
風太郎は思わず緑に見惚れてしまっていた。  
 
と、  
「ねえ、ふー君……」  
顔を真っ赤にしたまま笑顔を浮かべている緑はそっと首を傾けると、とろりと囁いた。  
「……ちゅーしていい?」  
「は、はい……」  
緑のあまりに色っぽさに風太郎がどぎまぎして返事をした次の瞬間、緑の唇が風太郎の唇に重ねられた。  
 
熱く濡れた肉厚の緑の唇がぷにゅりと重なると、  
そのままねっとりと緑の舌が差し込まれ、風太郎を求めるようにしてうねうねとうごめいた。  
 
風太郎がぎこちなく舌を伸ばし、これに応えようとすると、  
緑は過敏に反応して、すぐに風太郎に絡み粘るように交りあった。  
 
それはさっきシャワーを浴びている時に行われた「チェック」など、  
比にならないほどに濃厚で生々しく、そしてこの上なく艶めかしい。  
 
だがそれも無理ないことだろう。  
緑は風太郎に乳房を吸われ、身体をくねらせている間ずっと、  
風太郎とこうしてキスしたい、一つになりたい、と望んでいたのだから……。  
 
たまりにたまった想いを、緑は風太郎に思い切りぶつけていたのだ。  
 
 
「んん……ううん……んむ……んん……」  
甘くとろけるような声を漏らしながら、  
緑は風太郎を思いきり抱きしめ、自分の乳房をぎゅうと風太郎に押し付けたまま濃厚に舌をうごめかせ、  
いつしか風太郎もそんな緑の背中を抱きしめながら、懸命に応えていた。  
 
粘った音を立てながら、二人はいつまでもいつまでも深く求めあい、  
貪りあうように舌を交らせ絡ませ続けていた。  
 
まるで何かのタガが外れてしまったように……。  
 
 
それからも、顔を互いに何度も傾け合って、風太郎と緑は夢中で濃厚な唇と舌の交わりを続けた。  
じゅっぽじゅっぽと粘った音を立てながら舌を絡めて交らせ、互いに吸い合い、互いの唾液を貪るように飲みほしていた。  
 
目には見えないが、風太郎には緑がどのように舌を交らせているのかが手に取るようにわかった。  
 
緑は風太郎にぴったりと唇を重ねたまま、  
粘った唾液の糸を引きながら熱い舌を差し伸ばしてうねうねと淫らにうごめかせて、  
いつまでもしつこく濃厚に情熱的に風太郎に絡みついてくるのだ。  
息を大きく弾ませ、時折ぶるると身体を震わせながら……。  
 
――凄い……。  
 
風太郎は夢中で緑と交わりながら思う。  
彼にとってこれほどまでに濃厚なディープキスは初めてだったのだ。  
茜とのセックスでももちろん舌の交りあいはあったが、ここまで濃厚で激しいものではなかった。  
もっと質素に恥ずかしげに行われるものだった。  
 
しかし緑は違う。  
力いっぱい風太郎を抱きしめたまま、ぎゅうと自分の大きな乳房を押し当てながら、  
身体の奥底からこんこんと溢れる淫らな情念をそのまま伝えるかのようにして、  
濃厚に絡みついたまま妖しげに激しくいつまでも貪り続けるのだ。  
 
緑はすさまじいほどに激しく燃え上がる女性だったのだ。  
 
そんな緑とこうして舌を交らせていくうちに、  
それまで風太郎が抱いていた一つの考えが間違いであることに気づかされた。  
風太郎はそれまでキスというのはあくまでセックスの前戯にすぎないと思っていたのだ。  
 
だが、それはとんでもない間違いだった。  
 
力強く抱きしめあうことで、汗に濡れた肌と肌を密着させお互いのぬくもりを伝えあう中、  
どろどろと溢れ垂れていく唾液を気にすることなく、  
ぴったりと唇を重ね合ったまま、その中で貪欲に淫らに舌を絡ませ吸い合っていつまでも求め合うことは、  
もはや、それはセックスに等しいものだった。  
 
ぼんやりと瞳を開けて風太郎は緑を見つめる。  
 
そこには色白の頬を真っ赤に染めて、うっすらと眉間にしわを刻みながら伏せた睫毛を震わせて、  
いつまでも風太郎を求め絡み続ける官能に溺れた緑の顔があった。  
 
――緑さん……。  
 
その緑の表情の妖しさ、艶めかしさに、風太郎は見惚れてしまう。  
つい舌の動きが緩慢となってしまう。  
 
 
と、緑はぼんやりと瞼を開いた。  
そして「ふっ」と目だけで優しく笑って見せると、  
風太郎を抱きしめていた右手を外して、こつんと風太郎の頭を小突いた。  
 
――何見てんだよ……。  
 
と言いたげに……。  
 
 
――す、すいません!  
 
そんな緑を前に、風太郎はあわてて舌の動きを激しくし、再び緑を求めて絡みあった。  
 
それからも二人で交わり続ける中、  
 
――ふー君……! ふー君……!  
 
再び濃厚に絡みついてきた風太郎に応じながら、  
そっと瞼を伏せた緑は何度も風太郎の名前を心の中で叫んでいた。  
 
緑にとってこうしてお互い裸になって抱き合ったまま濃厚に舌を交らせることは最高の瞬間だった。  
抱き合い互いの肌を密着させ、唇と舌で濃厚に愛しあうことで、  
二人がまさに一つになっていることが実感させられるためだ。  
 
何て素敵なことなのだろう、緑は思う。  
緑にとっての理想はこのまま濃厚にキスをしながら、身も心もドロドロに溶けて一つに交りあうことだった。  
 
だからついつい風太郎を抱きしめる力が強くなった。自分の乳房を痛いほどにぎゅうぎゅうと押し付けてしまう。  
舌の動きも激しくなる。舌を吸うのも乱暴になってしまう。  
そしてもっと風太郎にも求めてほしい。飽きることなく貪欲にいつまでも。  
 
だって、少しでも一つになりたいから……。  
 
そして濃厚に舌を交らせながら、緑は何度も小さな爆発を身体の中で繰り返していた。  
それは肉体的な絶頂というよりも、精神的な絶頂というのがふさわしいだろう。  
 
こうして風太郎と濃厚に絡み合うことに感動で心が打ち震え、心が何度も絶頂を迎えているのだ。  
この爆発のたまらなさと言ったらない。それはある意味肉体的な絶頂を越えたものであり、  
風太郎と絡み合いながら緑がぶるるぶるると何度も身体を震わせるのはそのためだった。  
 
けれど、そんな自分の様を風太郎にじっと見つめられるのは恥ずかしい。  
だからさっき緑は風太郎の頭を小突いたのだ。  
 
それは緑の照れ隠しであり、  
同時に風太郎にも余計なことに気を取られずにもっと貪欲に自分を求めてほしい気持ちの表れでもあった。  
 
――ふー君! ふー君……!!  
 
風太郎の名前を心の中で叫び続ける緑は、  
かつてないほどに燃え上がり濃厚に絡みながらなおも風太郎を求め続けていた。  
 
それに応じるように風太郎も懸命に舌をうごめかせる。  
 
顔を傾け合い、身体の上下を何度も入れ替えながらいつまでも二人は絡み続けた。  
 

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