【絶対可憐チルドレン 4th Sence. 触る大捜査線 Other Side】  
 
 
「私ね、こんな能力だから、この世がおとぎ話とは違うってことはもうわかってる。  
 ――だから、世の中に汚いものがあることは隠さなくてもいいのよ」  
 
念動能力者(サイコキノ)による殺人事件を解決した後の、帰り道の車中。  
超度(レベル)7の接触感応能力者(サイコメトラー)、ザ・チルドレンの一人である三宮紫穂(10歳)は助手席に座り、  
その指揮官である若き天才科学者・皆本光一(20歳)の腕に細い腕を絡ませて、  
信頼の証を示すように頭を寄りかからせてそんなことを喋った。  
 
子供そのものの風貌で呟かれるその台詞に、皆本は幾ばくかの苦笑と――  
彼女たちを守らなくてはいけないという愛情に似た使命感を覚え、  
「救われるね。君の方が、僕より大人だよ」  
――と、横目で紫穂を見ながら、叶わないという風に言った。  
 
それが、数分前の出来事。  
数分後、皆本は「僕より大人」であるという事実をしっかりと知らされることになる。  
 
 
ぢゅ、ぢゅぷっ、ぢゅぱぁ……!!  
「っ……! こ…らっ……! やめろ紫穂…!! 薫と葵が…起きる……っ!!」  
 
夜景をひた走る車の中に響くのは淫猥な水音と、指揮官の押し殺した喘ぎ声。  
フロントガラス越しには、ついさっきまで助手席に座っていた紫穂の姿は見えない。  
――それは当たり前であった。彼女は、蹲っていたのだから。  
運転席の皆本の股間の方に屈みこんでスラックスのチャックを開けてトランクスを掻き分け、  
ペニスを愛しげに撫で回したり、その幼い舌や口でで舐め上げたり頬張ったりしていたのだから。  
 
ぴちゅ……っ。  
数分間、何も言わずに一心不乱にフェラチオを繰り返していた口の動きを止めると、ゆっくりと皆本を見上げてにこりと微笑む。  
「――だって皆本さん、私に欲情してたでしょ?」  
「……っ!!」  
息を飲む皆本。  
薫や葵の前でこんなことを言われたならば即座に否定して、笑い話にする所なのだが。  
――触れるだけで相手の心を読み取ってしまう接触感応能力者(サイコメトラー)に――嘘は通じない。  
それは、皆本が一番良く判っていることだった。  
それを紫穂も判っているからこその、いつものじゃれ合いであり、皆本の心の冗談めかした暴露である。  
――あるいは、10歳も歳の離れた少女たちに男として反応してしまうことへの警告なのか。  
どちらにしろ紫穂が一人でこういうことを言ってくるということは、「本音を言え」ということなのだと直感する。  
 
「薫ちゃんと葵ちゃんなら大丈夫。二人なら今、とってもいい夢を見ているから。  
 叩いて起こされでもしない限りは起きないわ。  
 ――皆本さんが、イッちゃった瞬間にハンドル操作を誤って事故とか起こしたら話は別だけど」  
 
そう言いながらも、小さな手で皆本のペニスを擦り立てる手は休むことがない。  
「……っ、ど、どうして…僕が、君に欲情して…いる、と…?」  
『読まれている』と知っていても、皆本は紫穂に問う。  
自分の──大人の──汚い部分を、少女の口から聞きたいという…歪んだ欲望。  
 
それすらも、心を読める紫穂にとっては想定内で。  
むしろ、今の皆本に求めていたことはこういうこと。  
──つまり、今は正直に…自分とスキンシップをして欲しい、と。  
 
「…さっき、事件を解決したときね。  
 薫ちゃんたちが助けてくれるって判ってたんだけど…それでもやっぱり怖くて」  
 
──当たり前だ。  
──超度(レベル)7のエスパーとはいえ、実年齢は10歳の子供に過ぎない。  
──引き金を引くだけで簡単に人間を死に至らしめるような凶器を向けられて、平気でいれるはずもない。  
…と、皆本は思った。  
その、少女を心から案じる思考は、そのまま彼のペニスに触れる紫穂に読み取られる。  
「…うん、ありがとう。…それでね?  
 銃口を向けられた瞬間に、ぶわっ、て汗が噴き出しちゃって。  
 さすがにあんなところで近場にシャワーなんてあるわけないからそのまま車に乗ったんだけど…」  
そこで言葉を止めて、ちろりと皆本の顔を盗み見る。  
互いにしゃべり続けている間も刺激され続けているペニスから這い登る快感に耐える姿を、紫穂はいとおしく感じた。  
 
「……車の中っていう密閉空間って、結構においもこもるみたい。  
 今はもう汗もひいたからにおいはしないけど……。  
 さっきまで、私の汗のにおいに──ちょっと、勃ててたでしょ?」  
 
顔に浮かぶのは、紛れもない小悪魔の──。  
「小」なんて言葉は該当しない、と皆本は思いなおす。  
──悪魔の微笑み。  
無言で、紫穂から目を逸らして小さく頷く。  
少女の汗の──決して汗くさい訳ではない、甘くて、けれど少しだけ淫靡な匂いに、皆本は知らずに性感を刺激されていたのだ。  
判っていたことではあるが、それを知られていたという事実に恥ずかしくなる。  
 
「だからね。…折角二人きりだから、ちょっと処理してあげようと思って」  
そう告げると、紫穂は再び皆本のペニスを口に含んだ。  
──次の瞬間には、口いっぱいに頬張られる。  
それでも根元までは飲み込めないペニスを、紫穂は喉さえも使って、根元まで一気に口中に収めきった。  
ぢゅ、ぢゅぶ、ずちゅぢゅ……っ!  
「〜〜っ!?」  
皆本は驚愕する。紫穂が行ったことは『ディープスロート』と呼ばれる口淫の技術だ。  
凄まじい快楽が脳髄を走る。少女の喉に締めつけられる亀頭が、今にも暴発してしまいそうだった。  
「んッ……、んむ…っっ……」  
鼻にかかった、甘い紫穂の声が耳に届く。  
紫穂も快楽を感じているのだろう。残った手がスカートの中に差し込まれて蠢いている。  
 
──それでも。素直に快楽を享受出来ない皆本がいた。  
ハンドルから片手を離し、紫穂の肩を掴んでペニスから口を離させる。  
「──紫穂っ! どこで、こんなことを覚えたっ……!?」  
快楽を振り切って、怒りすらも浮かべた表情で問い掛けた。  
──彼女たちを健全に育てることも自分の任務であると。  
──もし、誰かが紫穂に強制してこんなことをさせたことがあるなら、放ってはおけないと。  
皆本の正義感が、紫穂に流れ込んだ。  
無心にフェラチオを繰り返していた紫穂はしばらくぼうっと皆本の眼を見つめてから、ごくり、と溜まった唾液を飲み込む。  
 
「……N県の山中に埋められてた女の人」  
「──っ!?」  
「…暴行目的で連れて行かれたその人のハイヒールの記憶の中に、コレがあって…」  
 
“コレ”というのは、まさに今していた『ディープスロート』のことに違いない。  
それを、遺留品から読み取ったということは────。  
 
「…ええ。レイプの記憶だけど──……」  
 
「〜〜ッッ! 何を考えてるんだ、紫穂っ!!」  
皆本は、紫穂を力いっぱいに怒鳴りつけた。  
これほどに皆本が激昂すると予想もしていなかった紫穂は、面食らった表情をしている。  
 
「──レイプの記憶なんて、持たなくていい! すぐに忘れるんだ!  
 …ましてや、乱暴された女性がさせられていたことなんか…、するんじゃない…!!」  
 
悲しげな面持ちで諭すように話しかける皆本に、  
「ただ、気持ちよくなってもらいたいからやった」ことが大きな間違いであったことを知った。  
彼が本気で自分たちを心配している思いが、怒声と共になだれ込んでくる。  
紫穂は、うるさくさえ聞こえる心の声を、しかし嬉しいと感じた。  
 
「ごめんなさい。…もうしないから、許してくれる?」  
 
眉尻を下げて微笑みながら、そう言った紫穂の姿に皆本は少しみとれてしまった。  
「……っ、ああ、こっちこそ…キツい言い方をしてすまなかった」  
──とても、物分かりがよく。自分の意を汲んでさえくれる。  
──彼女は本当に、自分よりもおと──……  
 
「……それはそうと今の大声で薫ちゃんたちが…」  
「────なッッ!!??」  
 
バックミラーで見れば良いものを、驚きのあまり直接振り向いて後部座席を確認してしまう。  
「…──起きたら大事よね」  
二人は無邪気にぐーすかと寝こけている。  
ばっ、と紫穂の顔を見ると、クスクスと笑っていた。  
「あのなぁ、紫穂……」  
「ほらほら、ハンドル」  
「ぅおっ!?」  
ギャギャギャッ──!  
 
前を向かずに車を走らせていたため、車線をはみ出して中央分離帯に衝突しそうになってしまう車。  
すんでの所で、ハンドルを回して回避することが出来た。  
────ごっ!  
「んぎゅ!」  
後部座席シートに横たわっていた葵は何ともなかったが、  
ドアに寄り掛かって眠っていた薫はしたたかに側頭部を窓にぶつけてしまう。  
 
紫穂が心配な顔で後ろを振り向き、皆本は引きつった顔でバックミラーの薫を注視する。  
その間も、紫穂の手は皆本のペニスに触れたままで。  
──今の衝撃で起きはしないかと、冷や汗を垂らしながら見つめた。  
どきどきどきどき…………。  
 
「ん……」  
「!」  
「!!」  
薫の呻きに、息を飲む二人。まるで永遠のような緊張。  
「くかぁ〜〜」  
そして、額をすりすりと撫でながら、薫は再び窓に寄り掛かって寝息を立て出した。  
安堵の息を洩らす二人。  
「……ね、起きないでしょ?」  
「──おっ、起きるところだっただろうがっ!!」  
あははと笑う紫穂に、できる限り小声で叫ぶ皆本。心臓に手を当てて息をつく。  
「まったく、心臓に悪い──……っ!?」  
ため息と共にぼやいた次の瞬間、紫穂の手が再び動かされた。  
未だ外気に触れたまま、紫穂の手が添えられたままであった皆本のペニスに加えられる愛撫の続き。  
「…こ、こら、また…っ…」  
「だって、まだイッてないもの。…大丈夫、ディープスロートはしないから」  
「そーいう問題じゃなくてっ!!」  
 
否定も空しく、紫穂の口唇は皆本のペニスに近づけられていく。  
──と、何かを思いついたように動きをぴたりと止める。  
皆本の片腕に手を添えると、制服の胸元へと導いた。  
自ら制服のボタンを外すと、シャツを下着と一緒にまくりあげる。  
少女らしい、ふくらみかけの胸が露わになった。  
「ちょ…っ!? 何をするんだ!?」  
「──何って、期待してるくせに。建前は忘れないのね」  
くすくすと笑うと、裸の胸に──皆本の手をあてがった。  
ふにゅ……っ。  
「!?」  
「ん……っ」  
震える手に、わずかな膨らみの感触が広がってくる。  
掌の中央に感じる硬めの触感は、紫穂の慎ましげな薄いピンク色の乳首か。  
 
「薫ちゃんが言ってたでしょ? 私、発育が良いって。  
 胸はまだこれくらいしかないけど…ほら」  
 
声で皆本を促す。  
運転に支障をきたさないようにしながら、しかし吸いよせられるように紫穂へと目線を移す。  
──紫穂の片手は自らスカートをたくしあげ、その下のショーツを指先でずらしていた。  
「……っ」  
ごく…んっ。皆本は、知らずに大きく唾を飲み込んだ。  
ショーツの下の秘部は愛液でとろとろに濡れそぼっており、割れ目がぱっくりと開いている。  
そして土手の上には、まさに和毛と呼ぶに相応しい、紫穂の髪の毛と同じ色の毛が少しではあるが息づいていた。  
まだまだ生え揃う気配のない、生えかけの陰毛。  
──だが、それが逆に危うい美しさと、それ以上の淫靡さを放っていた。  
 
パラリ、と。まるで劇場の緞帳を下ろすように下げられるスカート。  
少女の身体の中で、最も大人の香りを放つ場所への視線は遮られた。  
「──今日はここまで。あとはお口で…イカせてあげる」  
 
先程までのディープスロートのような技巧はなくなり、拙い愛情のおしゃぶりがつづく。  
「んぅ、ふっ、んちゅ……」  
ちゅぱ、ちゅぱ……。  
単調にさえ思えるそのフェラチオに、しかし皆本は確実に追い込まれていった。  
自分に、少女趣味はない。ない…はずであるが。  
「う…っ、くっ…、し、紫穂…っ!」  
皆本の心が発した限界のサインを読み取り、ペニスを頬張ったままで小さく頷く。  
大きく頭を動かし、舌だけでなく口腔粘膜も、そして時折当たる歯でさえも愛撫に使う。  
ぐちゅぐちゅと唾液と先走りに塗れてぬめり、快楽はどんどんと深くなっていく。  
再びスカートの下に突き込まれた紫穂の手も激しく動いているのが判った。  
少女の胸のふくらみとぬくもり、そして早鐘を打つ鼓動を感じ。  
硬い怒張を口いっぱいに頬張りながら自慰を続ける姿を目の当たりにして、ついに限界が訪れた。  
──同時に、ペニスに触れたままで皆本の心にも触れ続けていた紫穂も、皆本の絶頂に半ば巻き込まれるようにして、アクメを迎えていた。  
 
「っ…! 紫穂、すまない、出る……っ!!」  
「んんっ!? ん…っ、んぅううぅ────!!」  
 
びゅる、びゅるっ──と、口内に叩きつけられる熱い精液。  
紫穂はペニスから口を離さず、また、それを吐き出すこともしなかった。  
「ん……む…ぅ…」  
口の中を精液でいっぱいにしたままで、ちろりと舌先だけを出してみせた。  
ごくり、ごくり…と。粘つく精液をゆっくりと飲み干していく。  
最後に、皆本のペニスを舐め清めて元の通りにスラックスの中に収めることも忘れない。  
そして最後に、口の周りの精液をはしたなくぺろりと舐めとって優雅に笑いかける。  
 
「ごちそうさまでした」  
 
皆本は射精の余韻に浸りながらその顔を見て、図らずもペニスが再び反応するのを感じた。  
 
 
――そして、車は三人を家に送り届ける。  
 
「んー? なんだ皆本、顔赤いぞ?」  
「…そやな、皆本はん体調悪いんとちゃうか?」  
 
まだ少し残っていた情事の余韻を、車が着いてようやく目を覚ました薫と葵が僅かに察知し、  
 
「――あ、『眠ってれば二人とも可愛かったのになぁ』って思ってる」  
「うっわロリコン――っ!!」  
「サイテーや皆本はんーっ!?」  
 
紫穂がそれを有耶無耶にするようにでっちあげのサイコメトリーをしつつ、皆本を見上げてウィンクをした。  
――その表情に、皆本は改めて「僕より彼女は大人」である、と実感したのであった。  
 
 
おわり  
 

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