【絶対可憐チルドレン 7th Sence. 普通の敵(前編) Other Side】
『エスパーを嫌う者はどこにでもいる……!! 我々はその代表として、断固貴様らと戦うのだ!!』
反エスパー組織「普通の人々」テロ実行部隊の一人は、そう皆本とチルドレンに言い放った。
一般人とエスパーの間にある軋轢。――その軋轢の中でも最も危険なもの。
エスパーを「この世の秩序の破壊者」とまで呼び、排除しようとする者。
それが、反エスパー組織「普通の人々」であった。
黒服にサングラスをかけた集団は銃器で武装し、10歳の少女に暴力を振るうことも厭わない。
彼らは、軍で開発された最新式のECM(超能力対抗措置)――――。
それさえも持ち出して、特務エスパー「ザ・チルドレン」をおびき寄せて捕獲せんとする。
強力なデジタル念波であらゆる超能力を無効化する超能力妨害装置は、薫の、葵の、紫穂の。
――全員の超能力は押さえ込まれ、なすすべもなく。
葵と紫穂は大人しく縛り上げられたが、最後まで抵抗した薫は――気絶するまで殴打を繰り返された。
そして。
三人は、――連れ去られた。
何処へともない、闇の世界へ。
巨大ECM付きのトレーラーが、広い空間の片隅に停車している。
超能力を阻害する装置は稼働したまま。
──ここは、何処かの地下駐車場跡であった。
「普通の人々」は、三人の拷問場所にそこを選んだ。
──理由は勿論、ECMが空間内に入るから──である。
「や、やぁぁ…! も、もうイヤやぁっ!!」
葵の悲痛な叫びが響く。
泣きながら首をぶんぶんと振ったせいで、眼鏡はズレてしまっている。
その体躯には、一糸すらも纏うことを許されてはいなかった。
未成熟な胸も、恥毛のない割れ目も晒したままで──黒服の男たちの好奇の視線を受け止めている。
「痛、痛ぁ……っ! やめてぇ、降ろしてぇな……!!」
両手を高く上に掲げ、天井からつり下げられる葵。
──その下には、三角形の胴体を持った木馬があった。
痛々しく割れ目に食い込む三角の頂点。
「ほら、化け物のガキ。早く吐いた方が楽になれるぞ?
──もっとも、「死ぬ」ことで楽になれるんだがな!!」
吐いた方が、と言いつつも彼女たちは知らないようなことばかりを聞いてくるのだ。
少女をいたぶることを目的としているのは明らかだった。
黒服の一人が、嘲笑いながら葵の背後に回る。
痛みを少しでも和らげようと前傾姿勢になっている葵のお尻に手を這わせ──
ずぶぅっ!!
──葵の尻穴に、容赦なしに指を突き入れた。
「──ひぎぃぃぃ!!」
目を見開いて痛みの叫びをあげる葵に構わず、ずりゅずりゅと抜き差しを繰り返す。
「ひぃ、や、やぁ!! 嫌ぁぁ!!」
ガタガタと木馬を揺らし尻を揺すって指から逃げようとする葵であったが、しかし。
腕を拘束されたままではそれもままならず、より深く腸内を掻き回されることになった。
じゅぽ…っ。
腕が疲れたのか、ようやく尻穴から抜かれる野太い指。
葵自身の腸液でテラテラと卑猥に輝いていた。
「ぁ……は、はぁ……」
股間に食い込む三角木馬すら忘れ、安堵の息をつく葵。
「──っ!!」
──と、休む暇もなく次の黒服が尻穴に指を突っ込む。
今まで尻を弄っていた男は葵の前に回り込み、その小さな唇に指を押しつけた。
「テメェのケツで汚れちまったんだからな、綺麗にしろよ?」
下卑た笑いと共に、強制的に口をこじ開けて入ってくる指。
「ひっ、んぅ、ひぐっ…! んっ、ンむぅっ……」
ちゅぱ、ちゅぱちゅぱ……。
行動が、諦観を示す。葵は尻穴をほじくられながら、男の指に奉仕をしていった。
――葵から少し離れた場所で、数人の男に囲まれていたのは紫穂。
痛みに顔をしかめながらも、男たちを睨みつけていた。
「…っ……!」
葵と同じように、すべての服も下着も取り払われてしまっている。
――だが、一つだけ違うところがあった。
紫穂は、一つだけ装飾品をつけていたのである。
それは、銀色のピアス。
それが、膨らみかけの胸の頂点にあった。桜色の乳首の片方を無慈悲に貫通している。
清楚な少女の身体の上に付けられた卑猥な装飾が、エロティックな輝きを放つ。
白い肌の上を、ひとすじの血が滴り落ちていった。
「……っ、……」
紫穂は一言も発さずに、ただ男たちを睨みつける。
それが唯一の抵抗だったのだが、それは逆に黒服たちの嗜虐心に火をつける結果となった。
「気丈だなぁ? おじさん、そういう娘を見ると――いたぶりたくなっちゃうんだよ!」
そう言い放つと、乱暴に紫穂の腕を掴み上げる。
――キュン……!
「――っっ!!」
その瞬間、紫穂の頭の中に流れ込んでくる残酷な思考。
ECMが発動している中でも、紫穂の能力だけは効果を発揮していた。
――それは、内に向かう能力と外へ向かう能力の差でもあった。
デジタル念波が放射されることによって、外部に効果を及ぼすサイコキネシスやテレポートはほぼ完全に無効化されているが、
対象に触れる事で内部に効果を及ぼし意識を読み取るサイコメトリーだけは、ECMの効果をあまり受けなかったのである。
しかし、そのことは皮肉にも逆に紫穂にとって辛いこととなる。
――いかに大人の世界が汚い事を知っている紫穂であっても、直接叩きつけられる敵意と悪意には耐え切れなくなってきたのだ。
徐々に精神は疲弊し、心が砕けそうにさえなってしまっていた。
「それじゃあ、もう一個、いっちゃおうか〜?」
針とピアスを手に持ち、男がニヤニヤと笑いかける。
残る片手で胸を隠そうとする紫穂を、数人が後ろから押さえつける。
――キュン!!
濁流のように流れ込む男たちの獣欲に満ちた思考。――そして、自分たちエスパーを心から憎む憎悪。
『どうせエスパーだ。死んだって構いやしねぇよな』
『死ぬまで犯してやろうぜ』
『次はクリトリスにピアスだな』
「っ……!! い、イヤ……!」
ついに、紫穂の口から言葉が漏れる。
恐怖に引きつるその表情を縫いとめるように、もう片方の乳首にも針が突き刺された――。
――三人の中で、最も扱いが酷かったのは薫であった。
気絶するまで殴打をして連れてきたにも関わらず目が覚めるなり手当たり次第に暴れ始めた薫は、
口に突き込まれたペニスを躊躇なく噛み千切ったのであった。
――その行動が、薫に二倍三倍の憎悪となって跳ね返ってくる。
散々殴られ、蹴られたうえで、身体を荒縄で亀甲縛りにされて転がされた。
全身に走る青アザ、切り傷、擦り傷があまりにも痛々しく映える。
そんな中で、濡らされもせずに剛直を秘所に挿入されたのである。
「――――っぐ…! テ、メェら……! 覚えてろよ……っ!! っう……!!」
がくがくと労わりの欠片もないピストン運動をされながらも、薫は目に光を失っていなかった。
股間からしたたる血液が、薫の純潔が散らされた事を如実に示す。
男が動くたびに、薫は痛みに呻き声を漏らした。
だがそれでも、男は動きを緩めようとしない。
「…ハハハ、頑張るねぇお嬢ちゃん。エスパーの癖に。――――おい」
薫を貫いていた男が、後ろに控える黒服に声を飛ばす。
黒服はその声に従い、薫の後ろに――二人で挟み込むようにして腰を下ろした。
ジィィ……、という、何かを引き下ろす音が耳に届き、青ざめる薫。
「っ!? て、てめぇ、まさかっ――!?」
薫が息を飲む。男は自分の後ろでペニスを出している。秘所はすでにペニスでふさがれている。
となれば――と、ゴシップ誌で得た性知識が不意に頭に浮かんだのだ。
「や、ヤメろよっ! そんな、――――っぐ……!!」
ぐぢぢぢっ……!!
「ぎ、っ……! い、痛…、っぐあ……!!」
濡らしもせず、ほぐしもせず。薫の尻穴に二本目のペニスがめりめりと挿入された。
限界まで広げられた少女の尻穴は少し切れてしまったらしく、薄く血が滲み出す。
「よし、互い違いに動くぞ。…壊すつもりでヤれ」
無情に下される宣告。
――そして、幼い秘所と排泄器官は、心無く、乱暴に――使い潰されていく。
少女たちの、怨嗟か、悲嘆か。それとも絶頂か――叫び声が、地下の密閉された空間に響き続けた。
――――キュン!!
「…と、チラっと考えてる」
「くおら皆本――っ!!」
「な、何考えとるんや皆本はん――!!」
やおら響く薫と葵の怒号。
場所は橋を擁した河川敷。――そして、「普通の人々」と相対する皆本とチルドレンがそこにはいた。
紫穂が、皆本の片手に触れていた。
実に都合のいいことに、これまでの話はすべて皆本の頭の中の――いわゆる、妄想だった。
「ほ、『捕獲して情報をすべて吐かせる』なんて言うんだから…ち、ちらっとだけ考えただけだっ!」
「嘘。…もっとマニアックなプレイも考えてたくせに」
――言ったら確実にスレ違いになるくらいのプレイまでも読み取ってしまったらしく(口に出すのは憚られたらしい)、顔を若干赤くする紫穂。
冷や汗をだらだらと流して、皆本は乾いた笑いをあげる。
「普通の人々」の面々も、面食らった表情でその様子を見ていた。
焦れた薫が、血の滲む右頬を押さえながら叫ぶ。
「そーいうプレイが良いんだったら、帰ってから縛らせてやっから!
まずはそこの新型ECMを何とかしろ――っ!!」
「わ、判った! じゃあとりあえず――――」
皆本は新型ECMを、そして「普通の人々」へと相対すると、勇猛果敢に言い放った。
「第41号――9月7日(水)発売につづくっ!!」
だああっ、と周囲がギャグ漫画のようにコケたのは言うまでもなかった。
おわり(ある意味8話につづく)