【絶対可憐チルドレン 8th Sence.普通の敵(後編)Other Side】  
 
超能力対抗措置・ECM。  
その最新型は、超度(レベル)7のサイコキネシスさえも容易に押さえ込んでしまうものであった。  
超能力者の排斥を謳うテロ組織「普通の人々」は、軍用に開発されたその最新型をも手にしていた。  
 
――そして、超能力を封じられ、捕らわれるチルドレン。  
三人は廃工場の一室に閉じ込められ、上着を奪われて手錠をはめられていた――。  
 
 
「ええか、こーゆー時はジタバタしたらあかんねん! 理性的に行動するんやで」  
 
チルドレンの中で一番の常識人――と言われる葵が、諭すように二人に語りかける。  
三人が瓦礫の散乱する一室に閉じ込められてから、大分時間が経っていた。  
最初は扉を警戒して身構えていた三人も、時間が経つにつれてモノを考える余裕を持ち始める。  
 
薫は胡座。  
葵は正座。  
紫穂はお嬢様座り――と、三者三様の座り方で話し合い、事態の打開方法を探っていた。  
 
──ぶるっ……!  
「……!」  
突如走る悪寒。  
胡座をかいて座っていた薫が途端に落ち着きをなくし、そわそわと辺りを見回し始める。  
だが、周囲を見ても打ち捨てられてボロボロになった棚などがある程度で、何もなかった。  
 
(ま、まずい……!)  
薫の頬を、一筋の冷や汗がつたう。  
お尻をもじもじと動かしてその感覚を紛らわせようとするが、徐々にその悪寒は高まっていく。  
 
「…どうしたんや? 薫」  
そんな仲間の動向に疑問を感じ、葵が正座を崩して身を乗り出す。  
「なっ、ななななんでもない! なんでもないから!!」  
間近に顔を近づけられた薫は、自分の窮状を悟られまいと必死になる。  
 
──だが、逆側から近づくもう一人の仲間の存在を薫は忘れていた。  
スカートから伸びる健康的な素足にひたりと触れる、紫穂の手。  
サイコメトラーは、人の意識を読み取れる。  
 
「……薫ちゃん、おしっこ…したいの?」  
 
ごく普通の声音で紫穂が言ったその言葉に、薫は一気に赤面させられた。  
「し、紫穂っ! 読んだな──っ!?」  
紫穂は答えず薫ににっこりと微笑む。  
その冷静さに、薫の顔はますます赤くなっていく。  
オヤジ趣味の薫ではあるが、やはり十歳の少女であった。  
自分がおしっこを我慢しているということを友人に知られるということに、これ以上ない羞恥を覚えていたのだ。  
 
「……っ、そーだよ! さっきから腹が冷えて!  
 しょーがないだろっ!? 漏れちゃいそうなんだからっ!!」  
 
恥ずかしさを紛らわすように怒鳴り散らす薫。  
 
赤面する薫の姿を初めて見て、紫穂は驚きと興味に目を輝かせる。  
──そこに、葵がこそこそと近寄ってきた。  
眉根を寄せた、不可解だと言わんばかりの表情で紫穂に耳打ちをする。  
 
「……なぁ、サイコメトリー使えるんか?」  
「──使えないわよ?」  
 
しれっと言い放つ紫穂に、葵は固まらざるを得なかった。  
「……ちょい待ち。ちゅうことは──」  
 
「ハッタリ♪」  
 
キラキラといっそ神々しいほどの笑顔で答える紫穂。  
葵は、その笑顔に悪魔の姿を見た気がした。  
(──アカン、この娘は────)  
Sだ、と。皆本の前ではどうか判らないが、少なくとも自分たちの前では──  
サディストなのだと。そう直感した。  
 
そうしている間にも、薫はどんどん切羽詰まった表情になっていった。  
手錠をかけられた両手で股間を押さえ、はぁはぁと荒い息をつく。  
「……っ、くぅ……!」  
脂汗さえも流れ始め、薫の苛まされる我慢の痛みを外に訴える。  
「…な、なぁ、誰か人呼ぼか…?」  
「──そうね。テロ組織でも、トイレにくらいは──」  
薫の身を案じる二人。だが、当の薫はその言葉にそっぽを向いた。  
 
「イヤだ! そんなの、アイツらに負けを認めるみたいだし!」  
 
「……そんなこと言うたかて。……漏らすつもりなんか?」  
「…それもやだ」  
結局堂々巡りになってしまい、身をよじるだけになってしまう。  
それからしばらく足を突っ張らせて尿意に耐えていた薫であったが、やがて耐えきれなくなったのかガバッと立ち上がった。  
 
「……も、もーガマンできねー!! そこでする!」  
 
限界を迎えつつある膀胱を抱えて、ふらふらと部屋の隅へ歩き出した。  
床に落ちた瓦礫を忌々しげに蹴飛ばしつつ、壁際に辿り着く。  
 
「……み、見るなよ……?」  
 
くるりと振り向くと、鬼気迫る顔で葵と紫穂にそう告げた。  
「おー」  
「はーい」  
明らかな生返事をして、手で目を押さえる二人。  
──確実に指の隙間から見る気マンマンであったが、薫にはそこまで気をくばる余裕はなかった。  
手錠された手でスカートをまくりあげ、ショーツを引き下ろそうとして──、  
そこで踏みとどまらざるを得なくなった。  
手錠のせいで少ししか開かない両腕では、ショーツを下ろすことができなかったのである。  
 
「──っ、くそっ、このっ……!」  
もどかしげにショーツを引っ張ってみたりする薫であったが、ゴムが少し伸びただけであった。  
逆に引っ張ったショーツが自身の割れ目に食い込んでしまい、余計に尿意を煽る結果になる。  
「〜〜っっ……!」  
羞恥に焦がされた顔で、目を隠した二人に振り向く。  
しばらく踏ん切りがつかずにぱくぱくと口だけを動かしてから、  
──切迫する尿意に耐えきれず、懇願の声をあげた。  
 
「あ、葵…、紫穂! 頼む! ぱ、パンツ……下ろしてくれっ……!」  
 
普段の薫からは想像もできないような弱気な叫び。  
指の隙間からその一部始終を見ていた二人は、薫に見えない場所で「にやり」と笑った。  
 
「…いいの? 薫ちゃん」  
「ウチらに全部見えてまうでー?」  
 
「……い、いいからっ! はや、はやく……っ!!」  
 
すぐそこまでおしっこが出かかっているのだ、と腰をやる場なく動かして示す薫。  
葵と紫穂はスカートのたくしあげた薫の背後に近づくと、ショーツに包まれた尻たぶを撫であげた。  
――さわ……っ!  
 
「っひぃ!?」  
明らかに性的な意図をもって触れられた手にびっくりして、薫は引きつった叫びを上げてしまう。  
 
その瞬間、我慢に我慢を重ねていた膀胱を塞き止める力が、少しだけ緩んでしまった。  
ちょろ…………。  
ショーツの股布の部分が、じんわりと黄色く染まる。  
「……っ!!」  
慌てて股間に力を込め、それ以上漏れることを阻止する薫。  
泣きそうな顔で怒り、背後の二人を振り返った。  
 
「なっ、なにすんだよっ……!?」  
 
しかし、二人に悪びれた様子はない。笑いながら薫のお尻の丸みを撫で回す。  
「ゴメンねー。薫ちゃん可愛くてついー」  
「スマン、すぐに下ろすさかい」  
 
ずる……っ――。  
二人がそれぞれショーツの片側に手をかけ、一気にずりおろした。  
外気に晒される薫の幼い無毛の秘所。  
すぅっ、と吹き抜けた風に刺激されて――薫の膀胱は、本当の限界を迎える。  
ぷしゃっ、と飛沫いたかと思うと、激流を思わせるほどに大量の尿が溢れ出した。  
 
「あ、あああぁぁ……!!」  
 
じょぼ、じょぼじょぼじょぼじょぼじょぼ…………!!  
 
尿道が緩み、立ったままでじょぼじょぼとアーチを描いて落ちていく薫の黄色いおしっこ。  
コンクリートの床に落ちて、ぱしゃぱしゃと跳ねをあげた。  
乾いた灰色の床が、尿の水気で濃い色に塗り替えられていく。  
――何もない、日光も当たらないせいで冷える部屋の中で、温かい尿からは湯気さえも立ち上るほどであった。  
 
「……ぁ、はぁ…………」  
薫はスカートをたくしあげたままで、開放感に身を震わせる。  
我慢の末の排尿の快感は――まるで性的な快感にも似ていて。  
つい先日、皆本に乳首だけをいじられてお漏らししてしまったときの感覚が甦った。  
途端、ビリビリと尿道から駆け抜ける強い快楽。  
ちらりと股間に目をやると、勃起したクリトリスがあった。尿の水圧に圧されて、微弱な快感が更に走る。  
がくがくと脚が震え、ぴゅ、ぴゅっ…、と潮のように尿が吹き出る。  
「……あ……っうぁ! っ――!!」  
 
ビクン、ビクンッ――!  
――結果、誰に触れられることなく薫は、軽い絶頂に達してしまったのであった。  
 
 
「……へー…」  
「あらー……」  
葵と紫穂は興味津々といった感じで、小ぶりなお尻越しに放尿ショーを眺める。  
薫の意外な一面に、二人ともが頬を朱に染めていた。  
 
ちょろ、ちょろ、ちょろ……。  
「――はぁ、はぁ……、はぁ……」  
やがて、長く続いた薫の放尿も終わりを迎える。  
勢いの無くなったおしっこは太腿をつたい、脱がされて膝でたわんだショーツや靴下までもを黄色く汚していく。  
そして、最後の一滴が流れ落ちると同時に、薫の全身から緊張が抜けていった。  
 
「ぁ――――」  
 
ふらっ――。  
脱力して倒れこむ薫を支える葵と紫穂。  
「だいじょうぶ?」  
「…ウチらのこと判るかー?」  
わずかに赤く染まった顔で覗き込んでくる二人に、放尿姿を完全に見られていたことを薫は知る。  
――そのうえ、二人は――興奮すらもしていたのだとも。  
「……こ、このヘンタイ……っ……」  
 
両手で顔を隠しながら毒づくが、まったくいつもの勢いがない。  
「ひ、人の立ちション見て、何が楽しいんだよ……」  
 
「……そう言われても…なぁ?」  
「うん。すごくいいもの見た感じ…」  
二人は口々に賛辞を述べながら、汚れた薫のパンツを脱がせていく。  
さらに、膝に薫の腰を乗せて丁寧にティッシュで秘所を拭いてやる。  
まるで赤ん坊のように扱われ、薫はどうしようもない恥ずかしさと――――、  
 
わずかに、心地よさを覚えた。  
…それでも、恥ずかしいことには変わりなく。  
 
「〜〜っ、二人とも覚えてろー!  
 超能力戻ったら、念動(サイキック)カテーテルでションベンダダ漏れにしてやるー!!」  
 
がー、と吼えたのであった。  
 
 
――そして、その影では。  
「子供を一人連れて来い」と言われた「普通の人々」の男が、  
三人の騒ぎを聞いていたせいで部屋に入るタイミングをすっかり逃していた。  
 
 
──つまり、この話はどういうことかというと。  
 
冷たいコンクリートの上にお尻をつけて座っていたら、  
いくらスカートと下着があってもお腹冷えるだろう──、ということであった。  
 
 
トイレに行けない場所で安易にお腹を冷やす行為は慎みましょう──……。  
 
 
薫は、ちょっとした教訓を得た。  
 
 
おわり  
 
 
 
 
 
 
【おまけ】  
 
……そして。  
 
――――ぶるっ……。  
「……あ、あれ……?」  
薫ほどではないにしろ。床にお尻をつけて座っていた紫穂にも――尿意?が、迫りつつあった。  
 
 
おわり(?)  

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