【絶対可憐チルドレン 11th Sence. 誘惑者(3) Other Side】
犯罪エスパー収容所での一件から一夜が過ぎ、病院のベッドの上で薫が目を覚ます。
皆本を自分の「恋敵」と呼んだということを葵と紫穂から聞いて、兵部京介に思いを馳せる薫。
BABEL局長・桐壺帝三は兵部を悪しざまに罵ったというが、当の薫にはそうは思えなかったのだ。
──と。
「あいつは変質者だよっ!」
バンっ、と病室のドアを乱暴に開け、頭に包帯を巻いた皆本がずかずかと歩み寄ってくる。
こめかみに青筋を浮かべて眉根を寄せる皆本に、薫の表情がにんまりと笑みに歪む。
「あっれ〜? 妬いてんの皆本?」
――そして、嬉しさを示すように肩口に飛びつき、抱きつく。
「あっ、ウチも!」
「ずるーい、私も〜!!」
そんな薫に遅れまいと、葵がテレポートで皆本の肩の上に腰を乗せ、紫穂が腰に抱きつく。
「だ、誰が──」
皆本がそう言って薫から顔を背ける──と、
当然、逆の方で腕にしがみついている紫穂と目が合うことになった。
にっこりと笑う紫穂。
──その笑みに、皆本の背筋に悪寒が走った。
「ちょっとまて紫穂っ、心を──……!」
キュン──!
「──あの人を野放しにしておけないっていう使命感が三割。
私たちのことを純粋に心配してくれている気持ちが五割。
……それと、残りの二割が嫉妬心かしら」
「ひ、人の心をやたら詳細にグラフみたいに読むなぁ──っ!?」
「…ってことはホンマなん?」
「……う」
葵の冷静なツッコミに、墓穴を掘ったことを悟る皆本。
どう誤魔化そうかと思索を巡らす皆本を余所に、薫はカチャカチャと音をたててベルトを外しにかかる。
社会の窓に小さな手を突っ込むと、ぽろりと皆本のペニスを取り出す。
「…お?」
「あら」
それは、既に半勃ちになりかけていた。
ゲッゲッゲ、と薫の笑顔が瞬時に下卑たものに変わる。
「おいおい皆本〜! ヤる気マンマンじゃねーかー?」
「ち、違う! これは──」
──キュン!
「肩に感じる葵ちゃんのお尻の感触みたい。勃起しかけてる原因」
「え、ウチっ!?」
紫穂のサイコメトリーでそう伝えられた瞬間、葵はテレポートで皆本の肩から離れる。
──両手を頬にあてて、頬を赤らめたままで。
逃げはしたものの、まったく嫌がってはいないのが明らかであった。
「葵ちゃんのお尻柔らかいもんねー?」
「そ、そないなコト言うな――!!」
にっこりと微笑む紫穂の言いぐさに、葵の顔が真っ赤になる。
お尻を隠して上目づかいに皆本を睨むその姿に、皆本は少しだけドキドキさせられた。
──そんな様子に、一番納得がいかないのは薫だった。
握っていたペニスが、葵のお尻の話に反応してむくむくと硬度を増してきたのだ。
明石薫という少女がその手で直接触れているにも関わらず、である。
ぶわっ、と嫉妬心が膨れ上がる。
次の瞬間には──その小さな口で、皆本のペニスにしゃぶりついていた。
じゅぶじゅぶっ…!
まだ少し柔らかいペニスを唇で絞り上げるようにして口腔愛撫を開始する。
当然、皆本はひっくり返るくらいにびっくりした。
「なっ、薫! いきなり何でこんなことっ……!!」
「ん、んんーんんんんっ!!」
ぐちゅぐちゅとフェラチオを続けたまま、何かうなる薫。
一旦口を放せば良いような気もするが、それをしたらペニスを奪われると心の何処かで思っていたのかもしれない。
みるみるうちに口の中で反り返っていくペニスに丹念に唾液を絡めながら、唸りをあげた。
「んんっ、んむ、んむむむっー!!」
「なっ…何を言ってるのかわからーんっ!!」
「えっとね。『なんかムカつくからチンポ吸わせろ』だって」
「──な──っ!?」
紫穂が薫の腕に手をあて、皆本に通訳する。
自分でも嫉妬をイマイチ理解出来ていない薫の言葉は意味不明であったが、
皆本はそれをはねのけることが出来なかった。
それが、不器用な感情の発露であると──超能力者でない皆本にも判ったから。
少女の口からつたわるぬめつく触感と体温に、皆本はびくびくとペニスを震わせる。
かつて紫穂にソレをされたときは、後部座席の薫と葵が起きるのではないかというスリルで快楽が高まった。
──今回は、最初から葵と紫穂の二人にマジマジと見られているのである。
スリルという点では劣るものの、アブノーマルな度合いで言うならば遥かに上であった。
「っ! くぅ……!!」
じゅぶ! じゅぽじゅぽっ!!
「んっ、んんん…っ」
一心不乱にフェラチオを続ける薫と、目を閉じて快楽に耐える皆本。
なんだか蚊帳の外に置かれた葵と紫穂は、釈然としない表情をしていた。
「最近薫ちゃんばっかりずるいよねー」
「…ここ数話は薫が主役やったからっちゅうたらそうなんやけど…」
「それでも、ねぇ?」
二人は顔を見合わせあうと、それぞれが動き出した。
葵はテレポートで何処かへ飛び、紫穂は何処からか持ってきた荒縄を後ろ手に薫へとにじり寄った。
──ひゅぱっ!
程なくして病室へ戻ってきた葵が、携帯片手に紫穂に向けてぐっと親指を立てる。
携帯を受け取った紫穂が、相手に一言「動かして」と告げる。
それが、敢行の合図。
微かな鳴動音が響くが、薫も皆本も、それに気付いた様子はない。
口の端から唾液と先走りの混じった液を垂れ流しながらフェラチオを続ける薫に──、二人が一気に飛び掛かった。
「それ──っ!! 脱がせー! 縛れー!!」
「ごめんねー」
「な────ッ!?」
呆気にとられた薫の抵抗も空しく、皆本のペニスから遠ざけられた薫は全裸にひん剥かれた。
その上、やけに熟達した縄づかいの紫穂によって、亀甲縛りにされてしまったのである。
皆本はペニスを勃起させたままで、目の前の出来事を呆然と見ていた。
サイコキネシスを使えばすぐにでも縄など引きちぎれるだろう薫がそうしないということは、
これも遊びの一環だろう──と、乾いた笑いをあげて見守る。
だが。
「!? くそっ、な、なんで念動力が出ないんだっ!?」
薫は力を込めて掌を広げるなどして拘束を解こうとしているらしいのだが、一向に縄が解ける気配はない。
そんな薫の姿を見て、笑みを浮かべる葵と紫穂。
葵が窓際に近づき、ジャッ──! とカーテンを開け放つ。
そこにあったのは、巨大なパラボラアンテナを荷台に取り付けたような軍用車。
ヴィンヴィン…と稼働するその装置は──。
「いっ、ECM……っ!?」
皆本が眼下の光景に目を剥いて驚いたのも無理はなかった。
超能力対抗措置。その名の通り、超能力を抑え込むための装置である。
現状、薫の超度(レベル)7のサイコキネシスを抑え込むにはトレーラー並の大きさでなければならない。
(それでも暴走したらECMすら振り切るのだが)
薫はECMが発動していて、かつ暴走しない限りは普通の10歳の女の子である。
思い切り身をよじったために身体中に食い込むに至った荒縄に、痛痒感を訴えた。
「こうでもせんと、ウチら薫に力でかなわんからなー」
乱暴に脱がせた薫の服をたたみながらそう言う葵の背後では、紫穂がまたも出所の不明な金属の棒を持参していた。
「葵ちゃんにテレポートで持ってきてもらったの♪」
驚く皆本にそう告げると、二人は薫を更に拘束にかかる。
脚を大きくV字に広げられると、縄の食い込む無毛の割れ目が露わになる。
そのまま薫の上体を寝転がすようにして、それぞれの腕と脚を一括りにして──大股開きのままで固定される。
「ちょっ! や、やめろっ!! こんなのっ……!!」
普段のオヤジぶりは何処へやら、薫は年相応の恥じらいを見せた。
「やめろって──んむぅっ!?」
そんな薫の口唇に口づけして異論をふさぐ紫穂。
「んっ! んんっ!!」
ぐちゅぐちゅと舌を吸われ、身体を快楽に小刻みに震わせる薫。
紫穂は遠慮なしに、股に食い込む縄をぐいぐいと引っ張る。
そのたびに濡れた音が響き、途端に縄は水気を帯びていった。
「っあ! んぁっっ!!」
秘唇を、クリトリスまでもを毛羽立った荒縄に擦られて、薫はビリビリと焼け付くような快楽を感じる。
口づけされた口を何とか引き剥がして、悲鳴に似た喘ぎ声をあげた。
「も、もうっ、っぁぁあ!!」
荒縄でぎちぎちに縛り上げられ、幼い胸も体も実に卑猥にデコレーションされている。
身体中の縄は、あますところなく縛り上げた箇所を刺激し続けていた。
胸も、背中も、内腿も、お尻も。
薫の秘所からはだらだらと愛液が溢れ、乾いていた縄の一部を濡らして濃い色に変えていった。
「うふふ、薫ちゃん感じてる」
やがておとなしくなったのを確認すると、紫穂はアイサインを葵に送る。
葵は紫穂の合図を受けて、皆本のペニスを手でしごきながら腰を押してやった。
「ほら、皆本はん。いったってー」
「!? お、おいっ!」
どん、と突き押されてつんのめる皆本。
その上、葵に脚を引っ掛けられて倒れこむようになってしまう。
「――!!」
かろうじて手を突いて、顔面からダイブすることは避けたが。
倒れこんだ先は、寝転がった状態で大股開きで縛り上げられた薫のちょうどまん前。
『ようこそ』とでも言いたげな紫穂が、皆本につぶやいた。
「薫ちゃんのあそこ、こすってあげて? そのおちんちんで」
「え、いやっ、おい!?」
「往生際が悪いっ!!」
当惑する皆本を、背後から葵が更に突き押した。
ずぢゅううっ――――!!
皆本のペニスが、濡れそぼる薫の秘所の上をずるりと滑る。
硬く熱いモノが自分の性器に触れたというだけでもすさまじい快楽が走るのに、
その間には荒縄が挟まっている。食い込む衝撃に耐え切れず、薫は叫びをあげた。
「っひぃぃ!!」
「っ……! こ、これは…キツい……!」
ペニスに絡みつくような薫の秘所の感覚と、ペニスの裏筋を苛む縄の痛みに皆本は顔をしかめた。
腰を引かねば――、と思った瞬間、皆本の意思を無視するように前後に腰が動かされる。
「!?」
見れば、葵と紫穂が前後から皆本の身体を揺り動かしていた。
「ちょ、ちょっと待て――ッ!?」
ツッコむ皆本を無視して、二人は徐々にスピードを速めていく。
「ひっ……っあ! 痛っ! っあ!!」
「ぐぁ…! っ! 縄が――……!!」
荒縄を挟んで、互いの性器を擦り合わせる。
薫と皆本はそれに感慨を覚える暇も、互いを気遣うヒマもなかった。
痛みと共に叩きつけられる快楽に、逃れたいのに逃れられない。そんな相反した感情。
やがて、強すぎる快楽のためかいつもよりも早く――皆本は絶頂に達する。
「っ! う、うぁ……っ!!」
縄に鈴口を思いっきり擦られた瞬間、暴発するように薫の身体全体に放たれる精液。
びゅるびゅると顔から股間までを白くまだらに染められ、その熱さに薫も追いかけるように身体を跳ねさせる。
「あっ! んぁ! イ、イクっ……!!」
身体を包む精臭に脳を蕩かされたような熱い息を吐きながら、薫はぐったりと床に崩れ落ちた。
絶頂で力を無くしたか、皆本もずるり…と崩れ落ちる。
葵と紫穂にも、もはや支える力は残っていなかった。
縄に絡まれて精液まみれになったままで寝ている薫を抱きしめるようにして倒れた皆本に、
つい昨日、椅子に頭を直撃されながらも薫を抱きしめながら気絶した皆本の姿を重ねた。
そのときとはあまりにシチュエーションは違いすぎるが、二人の絆が見えたような気がした。
意識を失った二人を起こさないように、葵と紫穂はそうっと病室を後にするのだった。
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廊下を並んで歩く葵と紫穂。
テレポートで皆本のマンションに戻れば楽なのだが、なんとなく歩きたくなったのであった。
そして、どちらからともなく話し出す。
「――ん…。今回はまぁ、譲ったるかー」
「そうね。また私たちが主役のお話が出るときまでだけど」
「そやな!」
決意を新たにする葵が、パンと手を打ち鳴らす。
そこに、紫穂の魔の手が伸びた。葵が、その淫蕩な笑みに気付いたときには遅く。
「――ところで、葵ちゃん。そこで…シていかない?」
スカートの中に手を突っ込んだ紫穂が、葵をずるずると女子トイレの個室へと葵を引きずるように連れて行った。
「や、や――――…………ッ…………!」
葵の悲鳴は、誰にも届かない。
十数分後、お約束どおりにやけにツヤツヤした紫穂と、疲れた顔の葵が個室から二人で出てくるのだが…、
それは別の話。
テレポートで逃げなかったということは、葵は本当は――――。
おわり