【絶対可憐チルドレン 16th Sence. 美しき獲物たち(1)Other Side】  
 
 
日本某所、山のふもとの森の中。  
後頭部で髪を二つに結い分けた伏目がちな少女と、  
髪を逆立てた、まだやんちゃさが見える少年が野戦服の皆本の前にいた。  
 
犬神初音(14)、宿木明(15)。  
各種訓練で好成績を収めた、特務エスパー候補生。  
さまざまな能力を超度(レベル)2〜4で持ち、  
それらを組み合わせて応用し、既存の能力に無いチカラを生み出す「合成能力者」である。  
 
彼らが特務エスパーとなるために課せられた最終訓練は、森にひそむ三人の「凶悪」エスパーを捕縛すること。  
 
初音は念動力・催眠能力・遠隔透視能力などを併用して動物――狼――の姿をイメージ、  
無意識レベルまでの高度なコントロールを可能とし、  
明は精神感応の変形発動、鳥に自らの意識を移し――、標的を追う。  
それらはまだ彼らの能力の一端でしかないが、  
その一端だけでも総合力は超度(レベル)6か7相当の力を示していた。  
 
明が鳥の感覚を占有して見た風景。  
──見つけたチルドレンが、危険を感じてテレポートで退避する瞬間。  
「…?」  
宿木明は、妙なモノを見た。  
チルドレンは三人のはずなのに、彼女たちと一緒に一人の男がいるのを。  
全身を覆うローブ姿で、白い口髭をつけた──ガタイのいい男の姿を。  
 
また、明のテレパシーを受けて狼の姿でその場所へ急行した初音も違和感を覚えた。  
テレポートで逃亡されたためにニオイが途切れてしまったのだが、その場に残ったモノが伝える情報があった。  
狼の嗅覚──という形で発動している、クレアボヤンスで感じたニオイ。  
十歳の少女たち三人だけではなく、五十代の男のニオイが混ざっている。  
──それは、覚えのあるニオイであった。  
 
 
ザ・ハウンドが皆本と朧のもとへ戻り、自分たちの感じたことを素直に皆本に告げる。  
──と、皆本と朧が同時にこめかみを押さえてため息を吐いた。  
 
「……あ、あの人は何をやってるんだ……!」  
「局長っ……」  
 
チルドレンの傍にいたローブの男はBABEL局長・桐壺帝三に違いないと二人は直感した。  
子供たちに甘いにもほどがある局長は、チルドレンに肩入れをしにいったのであろう、とも。  
厳正に行われるべき試験のはずなのに、局長自身が不正に加担してどうするのか──。  
皆本は、以前の小学校の件で懲りない桐壺に対して額に血管を浮かべながらも初音と明に向かい直った。  
 
「……すまない、こちらのミスだ。すぐに全員呼び戻して、後日改めて試験を────」  
ところが、皆本の意思に反して二人はその提案を否定する。  
 
「……いえ、続けさせてください」  
「日を置いたら、俺たちの能力に絶対に対応策を立ててくる。そうなったら勝率は低くなる」  
 
皆本は二人のその言い分になるほど、と得心した。  
――彼らは、実に冷静に自分たちの有利不利を見極めている。  
ならば、このまま続けさせる事の方がどちらにとっても有意義なはずだ、と。  
 
「──判った。このまま最終訓練を続行しよう」  
 
二人の眼を見て、皆本はそう決断をした。  
その瞳には、強い光がある。──何か、考えがあるという確信が持てた。  
(……彼らの戦略・戦術というのも興味があるしな)  
そう思っていると案の定、明が口を開く。  
 
「皆本さんと…柏木さんに、協力してもらいたいことがあります」  
テレパシーで通じ合っているのか、その横で頷く初音。  
 
「え、……私?」  
自分を指さし、驚く朧。  
エスパーでもなければ、指揮官でもない。ノーマルの秘書である自分に出来ることなど──、  
そう考えたところに、今度は初音の声が割り込む。  
「…柏木さんと皆本さんでないと、出来ないことなんです」  
「──私と、皆本さん?」  
「はい」  
頷く初音。チルドレンをおびきだすのに不可欠であるという。  
「……僕たちはどうしたらいいんだい?」  
皆本が尋ねると、明は強い意思を秘めた瞳で皆本──指揮官を見て、必勝を期した作戦を明かした。  
 
 
「──二人で、ここで、SEXをしてください」  
 
 
ピシッ。  
──何かにヒビが入った音と同時に、周囲の空気が固まった。  
 
皆本の顔が引き攣れ、そのままの形で硬直している。それを気にせず話を続ける二人。  
「チルドレンが皆本さんのことを好きだっていう話、聞いてます。  
 ──だから、柏木さんとイチャついてれば…きっとおびき出せると思うんッス」  
「……でも、ちょっとしたのじゃあ多分気づかれるから……」  
 
「ここで本格的にヤればいい、と?」  
「はい」  
冷静な朧の受け答えと、異口同音に肯定の意を返すハウンド。  
──そんな中で、皆本一人だけがパニックを起こしていた。  
 
「そ、そそそそんなこと出来るわけないだろうッ!? そうですよね、柏木一尉!?」  
 
だらだらと汗を流しながら、皆本が拒絶の意思を告げる。  
──別に朧がイヤだとかそういうワケではない。  
──むしろ、健康な成人男性として、彼女の色気に目が奪われてしまうこともある。  
ただ、その作戦を敢行した後のチルドレンの怒りが怖いのだ。  
三者三様の怒りで、それぞれの力を存分に発揮して半殺しにしてくるだろう。  
──肉体的にも、精神的にも。  
それはきっと判ってくれているはず、そう思い、皆本は朧に視線を向ける。  
 
……と。  
そこには、うっすらと頬を赤らめてはにかむ柏木朧の姿があった。  
野戦服の胸元から覗く胸の谷間の成熟具合と、まるで童女のようなしぐさ。  
あまりのアンバランスさに、皆本の脳が平衡感覚を失う。  
ぐらり──と傾く理性。  
 
「……私は、構いませんよ……? 皆本さんなら……」  
照れながらもすべてを許容する笑顔でそう言うと、誘惑する様に胸元を少しはだける。  
皆本の目に飛び込んでくるのは、大人っぽい黒のブラジャー。  
そして、ふっくらと柔らかそうな巨乳の胸の谷間であった。  
 
「────っっ!! しかし…っ」  
 
驚きと衝撃に、眼を離すことも出来ず見つめ続け汗を垂らす皆本。  
そこに、初音と明の二人が頭を下げる。  
「……お願いします、協力してください」  
「──俺、特務エスパーになりたいんです! お願いします!」  
 
「……あ……う、っ……、っ……、いや……」  
煩悶する皆本。  
そこに朧が寄り添い、耳元に息を吹きかけるように囁く。  
 
「……ホラ、この子たちの期待にも応えてあげないと…。  
 三人には私からも謝りますから……」  
 
──とどめの、耳への軽いキス。  
その誘惑に耐え得る精神力を、皆本は持ち合わせていなかった。  
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「んっ、ふぁぁっ……あっ…!」  
野戦服の胸元をはだけ、ブラジャーをずらして朧の巨乳を露出する。  
ズボンと下着を一緒に下ろし、性器と尻を外気に晒した。  
皆本の両手はそれぞれが胸と股間に置かれ、それぞれへの愛撫を続けている。  
 
ずっしりと重みがあるのに張りも失われていない乳房をこねくりまわすように揉み、  
大きめの乳首をしごくように弄ぶ。  
つまむたびに固くなる乳首。なのに弾力を失わないその感触に、皆本は唾を飲み込んだ。  
 
秘所は触れるまでもなく愛液に濡れ、陰毛までもしっとりと濡らしていた。  
溢れ出す粘液で秘所に貼りつく陰毛を掻き分けて辿り着いた先は、卑猥な充血を見せる。  
──そのさまは皆本には見えていなかったが、指を濡らす愛液の量と膣中の熱さがそれを教えていた。  
 
また、朧もただされるがままになっていたわけではなかった。  
皆本のズボンのチャックを下ろしてペニスを引きずり出すと、逆手でモノを持つようにしてしごきたてる。  
ただ擦りあげていたかと思うと裏スジに爪を立てたり、鈴口に指先を押しつけたり。  
 
そうして立ったままで、互いを愛撫し合う。まるで飽きないかのように口づけを交わしながら。  
「んっ、んんっ、んっ……!」  
「ン……っっ」  
もう、子供たちの視線も気にならなくなっていた。  
うねる触手のように互いの舌を絡ませあい、十指を相手の身体に絡みつかせる。  
ぐちゅぐちゅと粘つく音が響く。  
皆本が秘所をかき回していた二本の指を引き抜き、朧の口元に持っていく。  
 
 
「んっ……ふぅ、ちゅっ、んはぁ……っ」  
無言で皆本の行為を察して赤い舌をねろりと伸ばすと、皆本の指にしゃぶりつく朧。  
指先から、爪と指のすきま、指の股までもをいとおしむように舐めていく。  
ぴちゅ、ぴちゃ……ちゅぱっ……。  
舐め清め終わったのか口唇を放すと、妖艶に口元を歪めて笑う。  
 
皆本の身体から離れると、尾幌は簡易テーブルに手をついた。  
肩ごしに振り返り、むっちりと肉付きのいいお尻をくねらせてみせる。  
熱い吐息を吐きながら、皆本を誘う。  
「……皆本さん、来て…ください……」  
 
「──っっ……!!」  
「っあ……──っっ……!!」  
 
ず……ぢゅううううっっ……!!  
飛び付くように朧の腰を鷲掴みにすると、皆本は一気にペニスを膣奥へ沈めていった。  
 
すでに綻び、愛液でべとべとの肉穴をかき分けると、勃起しきった肉棒がソコを串刺しにする。  
そのまま勢いに任せてピストン運動を繰り返す皆本。  
 
ずちゅっ、ぶちゅ、ずりゅ、ずちゅっ…! じゅぶっ、ずっ、ずっ、ずちゅ、ずちゅっ……!!  
「ひっ、あんっ! やぁっ、は、ぁぁあっ!!」  
ウェーブのかかった髪を振り乱して喘ぐ朧の眼は蕩けきっていた。  
 
──また、皆本も、熱に浮かされたように腰を振る。  
普段、チルドレンの少女に対しては理性がストップをかける荒々しさが、そこにはあった。  
かき回すようにペニスを膣壁に擦りつけ、奥へ届けと腰を叩きつけるたびに、パンパンという音が響く。  
ペニスの先から燃え尽きてしまいそうなほどの熱が、快楽となって皆本を苛んだ。  
「はっ、はぁ、っ…はぁ……!」  
過呼吸を起こしてしまいそうなほどに息を乱しながら、目の前の女体を貪り続けた。  
 
テーブルに手をつく朧の肢体に覆いかぶさり、釣鐘状になった胸をすくい上げるように包み込む。  
「ひぎ……っ!? み、みなも……とさ──んっっ!?」  
──まるで、牛の乳しぼりでもするかのように小指から順番に朧の胸を絞り込んでいく。  
 
「あ、くぅっ、ダメ、おっぱいなんて…っ、出ませ……っっ──!!」  
 
ペニスで突かれ、胸を絞られるたびに感極まった声をあげる朧。  
その耳元で、皆本がさっきのお返しとばかりに囁きかける。  
「──きっと、柏木一尉なら出ますよ。……ほら、こう…っ、すれば、きっと……っっ!!」  
 
声と同時に──更に強く、激しく腰を打ちつける皆本。  
その行動で、朧は皆本が「どう」しようとしているのかを半ば悟った。  
しかしテーブルの上に押さえつけられた状況では、逃げることもままならない。  
 
「────み、皆本さん!? や、やめッ、膣内は、やめてくださ…ァァっ……!?」  
 
 
あ、あああぁぁあぁぁ────っっ…………!!  
 
 
……そんな、断末魔にも似た悩ましい絶頂の吠え声が森の中に響く。  
その嬌声、絡みで皆本に執心のチルドレンをおびき寄せようとしたザ・ハウンドの二人──であったが。  
皆本と朧の性交にあてられて獣欲を喚起されたか、その場で睦み合ってしまっていた。  
初音は犬のように四つんばいになって、明のまだ剥けきらないペニスを迎え入れる。  
声も、気配を殺すのも忘れて喘ぎ──そして、幼い秘所に若い精液を飲み込むのであった。  
 
作戦を忘れ、2組のカップルは獣になっていく。  
 
深い森の中。4頭の獣の声が遠く、響いた。  
 
 
 
 
ちなみにそのころのチルドレンは。  
いかに桐壷を利用して勝利するかという算段に頭を悩ませていたという。  
【皆本セーフ】  
 
……もちろん、皆本が後日紫穂に心を読まれて壁にめり込まされた後に、  
三人に今までよりもなお一層の誘惑を受けることになるのは言うまでもない。  
【皆本アウト】  
 
 
――――そしてその日以降。  
朧がしきりにお腹を撫でさするようになったので、皆本はしばらく気が気でなかったという。  
 
おわり  
 

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