【絶対可憐チルドレン 22th Sence. ハート・ブレイカー(4) Other Side】  
 
 
バベルに潜入したスパイの正体は、誰あろうエスパー自身であった。  
人型の依代に意識を焼きつけて念動力で操る合成能力者・九具津が、情報漏洩などに関わっていたのである。  
逃亡した九具津を追い詰めた埠頭で開始される戦闘。  
指向性の極小ECMを装備して攻撃を中和、体内に無数の同型の着せ替え人形を擁して銃撃を行う、  
等身大の人形――「MG(マスターグレード)モガちゃん」との一種異様な戦い。  
 
――それに決着をつけたのは、葵のテレポートだった。  
チルドレン唯一のダメージ・ディーラーである薫以外の全員でECMの死角である背後へと移動し、  
それに油断した瞬間に更なる「最大の死角」である――人形の中へ、薫を瞬間移動させたのである。  
 
 
…………さて。  
ここに、本編では描かれなかった一つの挿話があった。  
ちょうど薫が、等身大モガちゃん人形の中へとテレポートした瞬間の秘話である。  
 
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ヒュパッ――!!  
銃撃が止んだ瞬間に、薫の身体は遠隔テレポートによって人形の体内へと転送される。  
せっかくの赤いドレスが人形の中身に引っ掛かって破け、ストッキングにも穴があく。  
 
(っ、ちくしょ…! 後で皆本に新しいの買って貰わねーとなー……!!)  
顔をしかめながらそう独りごちる薫は、自分に迫る危機に気付いていなかった。  
 
薫という異物が入ったために動かなくなる等身大モガちゃん人形。  
その内部に配置されていた「普通のサイズの」モガちゃんもまた、薫のテレポートの際に軒並み潰されてしまっていた。  
しかし、「普通のサイズの」モガちゃん人形はまだ――僅か1体だけだが――残っていたのである。  
 
『仲間が壊されちゃったー♪』  
『どうしましょー♪』  
 
九具津の複合能力で動かされた人形ではあるが、すべてに逐一マニュアルで指示を送る訳にもいかないために、  
人形には自律の行動パターンが組み込まれている。  
たとえばそれは「ターゲットを殺せ」ということに対しての、銃撃であったり、組み付きからの格闘、斬撃であったり。  
 
武器である拳銃は薫のテレポートで手の届かない所へ押しやられてしまった。  
…というか、彼女1体では引き金を引くこともできない。  
動かない表情。張り付いた笑顔のままで、一体だけ残ったモガちゃん人形は上を見上げた。  
テレポートしてきた薫は、モガを跨ぐような形になっている。  
目の前には、子供っぽいパンツがあった。  
『――――…………』  
 
本来ならば、間近の急所に攻撃を加えるべきである。  
――だがここで、九具津の「マニア」としての頭の構造が、その端末であるモガに影響を及ぼした。  
……つまり――……。  
 
 
「ひうっ……!!」  
ビクンッ!!  
縮こまるように等身大の人形の中に潜む薫が、急に素っ頓狂な声をあげた。  
「あ、ひぎっ!? っ!! っぁっ!?」  
破けたスカートの中、さらにその奥の──パンツの、さらに奥。  
パンツの股布が破かれる「びぢぢぢッ!」という音と共に、  
閉じられた脚の付け根の尻肉をむにゅりと割り広げられる感触が伝わってきた。  
 
その正体はもちろん、一体だけ残ったモガちゃん人形であった。  
久具津は実はプロレスマニアでもあったのか、単にアナルマニアであったのか。  
何故お尻の穴に狙いを定めたのかは定かではないがモガちゃん人形の細腕は薫の尻たぶを無情に掻き分けて、  
尻穴を拡張するように両手で薫の肛門をぐにぃっ、と広げた。  
 
「────あ、ヒィっ!?」  
ゴソゴソと自分のお尻を這い回った小さな人形が  
狙い済ましたように尻穴を広げたことの気色悪さに、薫は引き攣った悲鳴をあげた。  
 
まるで拘束具のように、モガちゃんの手が薫の尻穴を開いたままで固定する。  
ぎぢ、ぎぢ…ぃっ!!  
「あ、かはァっ、……っっ!?」  
自分に何が起こっているのか、薫は一瞬把握出来なかった。  
ただ、排泄孔が限界近くまで独りでに広げられたことだけは──奇妙な痛痒感で、理解できた。  
必死に尻穴を締めようと肛門に力を入れるが、まるで機械で固定されたようにビクともしない。  
露出した粘膜がひくひくと動くだけであった。  
「ひ、っあ……! し、しまんない、なんで…だよっ……!」  
身動きの取れない狭い中で、必死にお尻を振って「何か」を引き剥がそうとする薫だったが、  
サイコキネシスで動く人形の膂力は凄まじく、それくらいでは片腕すら外すことも出来なかった。  
 
──次の瞬間、限界までしわを伸ばされ拡張された薫の尻穴に向けて。  
張り付いた、動かない表情のはずの人形の目が、──妖しく輝いた。  
『そーぉれっ♪』  
 
ずぶぅぅううぅぅっ!!  
 
「ひ、ひぎぃぃぃっ!?」  
無邪気な子供のような黄色い声をあげて、モガちゃん人形が脚から薫の尻穴に飛び込んだのである。  
今まで挿入されたことのある皆本の指や舌の、そこから全身が熱くなるような切ない感覚ではない、  
無機質な、ごつごつとした──ただ無思慮に犯される感覚。  
 
丸く尖った人形の靴先が腸壁を突き、服の布地が直腸粘膜を擦って薫を苛む。  
「は、っくぅ、っっ──!!」  
『えいえいえーい♪』  
腰から下を薫の体内に埋めたまま、上半身だけ出したモガちゃん人形が今度は性器に両腕を伸ばす。  
陰唇を力任せにひっぱり、届く限界まで膣口に手を突き込みかき回した。  
『とりゃー♪』  
ぐぢゅ、ぐぢゅ! ずちゅずちゅっっ!!  
ばたばたと肛内でバタアシをしながら、性器をねぶる二本の細い手。  
人間では出来ない断続的な刺激に、動きを制限されているという現状。  
どこかマゾヒスティックな感覚が薫を炙った。  
「は、ぁぁっ、っ、ンぅっ──!!」  
 
──そして、モガちゃん人形の伸ばされた手が、  
果実をもぎ取るような仕種で薫のクリトリスを鷲掴みにした瞬間。  
「ン、ンああぁあぁあぁっ──!!」  
ぶしゃあっ……! と噴き出される熱い飛沫。  
がくがくと震える身体が、薫の絶頂を示していた。  
 
──その瞬間、ほんの刹那だけ薫の精神のタガが飛んだ。  
サイコキネシスが僅かに暴走を起こし、等身大モガちゃん人形は内部から崩壊する。  
突き破った勢いのままに外へ躍り出る薫。  
それは、奇しくも皆本が合図をしたのと同時であった。  
 
「……────人形の…中にな!」  
 
指揮官である皆本の自分への信頼が伺える声に、絶頂で吹っ飛んだ意識が一気に復元する。  
それと同時に、凄まじい恥ずかしさが沸き上がってきた。  
バレてはいないハズだが、皆本や葵、紫穂のすぐ近くで(主にお尻で)イカされたことに酷く羞恥心を刺激された。  
 
 
「こ、こっ、こんなお人形に、「ザ・チルドレン」が負けるはずないんだよ!!」  
 
 
そう叫びながら、突き出した左手からサイコキネシスを放って九具津を地面に叩きつける薫。  
その顔は汗だくで、怒りと羞恥、そして快楽の余韻で真っ赤に染まっていた。  
 
――破れたスカートの中で、尻穴からモガちゃん人形を生やしながら。  
 
薫は超度(レベル)7の破壊的な実力を一気に開放し、  
内通者・九具津を撃退したのであった。  
 
 
おわり  
 
 

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