【絶対可憐チルドレン 25th.Sence サイコ・ダイバーズ(3) OTHER SIDE 】  
 
 
兵部側へと身を投じた、元特務エスパー候補生「黒巻節子」(19)。  
彼女の能力である「ドリーム・メイカー」によって、皆本だけではなく薫までもが醒めない眠りに落ちてしまう。  
──その世界の中では、今まさに皆本と薫が予知の世界の結末の中で対峙しているのだが。  
……しかし、夢の世界の外に居る葵と紫穂の二人はそれを知ることも出来ず。  
ただ、並んで眠る二人の姿を見て気を揉むことしか出来なかった──……。  
 
「……皆本さん、薫ちゃん……」  
「──どうしたら、ええんやろな……」  
 
ベッドの脇に椅子を置き、皆本の手を握りながら紫穂が頭を垂れる。  
葵は窓枠に背を預けながら、何もできないことに歯噛みするのであった。  
重い静寂。それを割って現れたのは、一人の看護師の女性であった。  
「こんにちはー……、……あら?」  
女性がカートに乗せて持って来たものは、お湯を入れた洗面器とタオル。  
意識を失っている人体も新陳代謝は行われているし、汗もかく。  
しかし本人が寝ていて入浴もさせることができないため──、  
こうして定期的に看護師が訪れては身体を拭いているのである。  
 
BABEL医療局勤務の精神感応能力者である看護師の彼女は、  
病室に入った瞬間に葵と紫穂の消沈具合を知った。  
普段なら、国内にチルドレンの三人しかいない超度(レベル)7の  
高レベルエスパーである二人の思考は読めなどしなかっただろうが、今回に限っては例外であった。  
仲間に何もしてやれないという無力感に苛まされている二人の心は、  
超度の低い精神感応(テレパシー)にも読まれる程に憔悴していたと言える。  
 
──そこで、看護師の女性はお節介かと思いつつも一計を案じた。  
何も出来ないということは間違いであると、二人に知らせるために。  
 
「ね、二人とも……私の代わりに────」  
 
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カチリ。  
病室にかけられるカギ。  
やましい事をするのではないし別にそうしなくてもいい筈なのだが、  
何となく葵はカギをかけて、更に念入りにそれを確かめてしまった。  
「……え、ええんかな、ウチら……こんなこと、しても……」  
と、視線を泳がせながら傍らの紫穂に問う。  
紫穂はと言えば、眼を爛々と輝かせて洗面器のお湯にタオルをつけていた。  
 
「──何言ってるの、葵ちゃん! これはいやらしいことなんてまったくないの!  
 ふ、二人の、身体を──身体を拭くだけなのよ!?」  
 
そう言いながら、紫穂の顔もわずかに紅潮している。  
皆本の布団を引き剥がすと、ゆっくりと寝間着のボタンを外し出した。  
 
「ほら、葵ちゃんも──薫ちゃんを」  
「う、うん……──って! アカン、紫穂一人で皆本はんを拭こうったってそーはいかんでっ!?」  
 
つい流されてしまいそうになった葵が、不満を訴える。  
言いくるめることは出来なかったか──と、紫穂は内心で舌打ちした。  
どちらにしろ一人では全身は難しいと感じていたので、代案を出す。  
 
「……じゃあ、二人で皆本さんを……拭きましょう? 薫ちゃんはその次ってことで」  
「そ、そうやな! ウチら二人がかりやないと、大人は拭かれへんしな!」  
 
『10歳の少女は一人では大人の男を拭くには非力』──。  
 
その大義名分が立つと、後は早かった。  
二人がかりで皆本の身体を起こし、上着を脱がせて肌着も取り去る。  
優男に見えて意外とタフな皆本の上半身は、過不足なくそこそこに鍛えられていた。  
「……すごい……」  
「け、結構男らしいんやな……」  
顔から首筋、腕、背中に、胸板……と順に、二人で争うようにして濡れタオルで拭いていく。  
タオルを這わせるごとに皆本がわずかに気持ち良さそうな声をあげる。  
調子に乗って脇の下や乳首など──、  
ひょっとしたら皆本の性感を刺激するのではないかと思う場所を重点的に拭いていく。  
そしてそのたび、皆本の息は荒くなって甘い声をあげる。  
普段の毅然とした大人の態度が嘘のように。葵と紫穂の成すがままに。  
それが葵と紫穂をどんどんと昂らせ、更に思考を胡乱にしていった。  
 
上半身を拭いている間中、葵も紫穂も心臓の鼓動が早鐘を打ち鳴らし続けているのを感じていた。  
落ち着こうとしても、一向に静まらない。  
それどころか時間が経つにつれてどんどんと鼓動は早まっていく。  
 
──その理由は、あまりにも明白であった。  
ちらちらと、二人の視線が拭いている上半身から外れて──一点に、注がれる。  
視線の先には皆本の下半身。  
こんもりとテント状に張り詰めた、男性自身がそこにはあった。  
 
「……ね、葵ちゃん?」  
「!?」  
突然声をかけられて、葵の身体がビクッ、と震える。  
「…そ、そろそろ、下の方も拭かないと……」  
「……──そ、そうやな! ウチもそうせんとアカンって思っとったところや!」  
 
わざと大声を張り上げて、自分を鼓舞する葵。  
最初にズボンに手をつけたのは紫穂だった。遅れて葵も手を添える。  
既に「身体を拭く」という目的はすっぱりと忘れているに等しかった。  
自分たちの荒い息づかいがやけに大きく聞こえてくる。  
 
──そして、ズボンとトランクスを一緒に──ずり下ろす。  
着衣のゴムで下方に引っ張られてから、皆本のペニスが勢いよく「ぶるんっ!」と反り返り姿を現す。  
その姿に二人は息を飲み、そして目を奪われた。  
 
「……。皆本さん、寝てても元気なのね……」  
「お、男の人って、こんなんなってたんやな……。  
 ウチ、こんな近くでじっくり見たん初めてかもしれへん……」  
 
感嘆の言葉と共に、交わされる無言のアイコンタクト。  
片方は期待に震える手で、もう片方はまだ若干の性への恐怖を残して震えて。  
ほぼ同時に、目の前でベッドに横たわる皆本から雄々しく勃つペニスに触れていった。  
「熱いし、硬いのね……」  
手で触れたかと思いきや、すぐに紫穂は髪をかきあげながら皆本の亀頭に口唇で触れる。  
赤い舌を半開きにした口から覗かせると、それを絡みつかせるようにしてペニスの先を舐めしゃぶっていった。  
 
おずおずとシャフトの部分をしごくだけだった葵も、  
美味しそうに亀頭を舐め続ける紫穂の姿に触発されていく。  
「……ウ、ウチも……」  
歯を鳴らすほどに緊張しながらも口を開き、舌先でペニスの裏筋を舐めあげる。  
下から上へ、筋を道に見立てたようにしてゆっくりと辿っていった。  
ちろ、ちろ……。  
 
「……ンっ、はぁ……、皆本さん、気持ちよさそ……」  
「ん、んっ……あ、ホンマや――……。ふふ、どんな夢……みとるんやろな……」  
 
二人の少女の熱心な口唇愛撫で、皆本のペニスは意識を失ったままであるにも関わらずガチガチに張り詰める。  
入れ替わり立ち代わり。唾液をまぶし、先走りを塗り広げ。  
陰嚢までも口に含んで愛撫をして――――、目を閉じたまま快楽に苦悶する姿を楽しむ。  
同性の目から見てもゾッとするほどに妖艶なフェラチオをする紫穂に、葵もつられて徐々に大胆になっていった。  
とろけるような愛撫が、皆本のペニスに注がれていく。  
 
やがて、皆本の息遣いが切羽詰ったものになり始めた。  
呼吸を繰り返すスピードが速まり、額に汗を浮かべて歯を食いしばってさえいる。  
 
「――イキそう、みたいね。葵ちゃん、ラストスパートよ」  
「……う、うん……」  
 
二人で横からペニスを食むようにして、半分ずつねろりと舐め上げていく。  
そのまま、激しく舌を、口を、手を動かした。  
二人ともが、皆本の射精を間近で見たい、間近で直接感じたい――と思った結果の態勢である。  
ひとつの大切なモノを分け合うようにして、ペニス越しに口づけを交わしながら。  
――そして、断末魔に似た呻きと共にその時が訪れる。  
 
ぢゅっ、ぢゅぱっ、ぢゅるっ、ずぢゅっ――――!!  
「っ、っ……!! うぁ、ああぁっ……!!」  
 
びゅるッ! びゅっ!! びゅるるっ!! びゅくっっ!!  
 
「――きゃッ!?」  
「わ……っ!!」  
その様は、噴き上がるという表現が最も適切であった。  
ペニスを挟んだ葵と紫穂の顔面を余すところなく白く汚しながら、びゅるびゅると絶え間なく射精していく。  
ただでさえ室内に充満していた精臭が、さらに濃さを増す。  
 
葵と紫穂は、白い濁液の噴火をその顔に受け止めながら、ぼうっとした表情で宙を見上げていた。  
 
 
はーっ、はぁ……、はぁ……っ……。  
熱を持った白濁をその顔面に浴びた二人と、それを放出した――横たわる当人。  
三者三様の荒い息づかいが病室を満たした。  
それでも眠ったままの皆本に少し悲しげな視線を送ってから、  
皆本を挟んでベッドの脇に腰掛けたままで葵と紫穂は改めて互いに向き直る。  
 
「……葵ちゃん、キレイにしてあげる……」  
「っ、そ、それやったら、ウチも……」  
悦楽に歪んだ瞳を見つめ合わせて、二人は触れ合っていく。  
肩に手を置きあって熱っぽい視線で見つめ合う様は、まるで恋人同士にさえ見えた。  
互いの顔に飛んだ、白く粘つく飛沫を舐めあう二人。  
 
「んっ……ちゅ、っ、ぷは……ぁ、苦ぁい……」  
「は、ぁん……。何やの、もう……、こんな、汚れてもうて……」  
口づけから、頬、額も、耳までも、お互いの舌が。欠片も残すまいと這い回る。  
 
ちゅぱ、ぴちゃ、くちゅ──っ──……。  
淫靡な音が絶えなく響き、顔中が唾液でべとべとになっていく。  
皆本の精液をすべて嚥下し終わると、二人は見つめ合ったままで熱い溜め息をついた。  
情欲の炎はまだ燻り続けている。  
何か言い出したいが、互いにそれを言いあぐねているという雰囲気。  
その均衡を破ったのは、やはり紫穂であった。  
大きく深呼吸をしてから、自分を説得するように言葉を紡ぐ。  
 
「────っ。い、いいわよね、こうなったら、最後まで、しちゃっても……」  
 
「し、紫穂っ、そ、それはアカン……のと、ちゃうか……な?」  
「……じゃあ葵ちゃんはソコで見てて? ──私、一人で……しちゃうから……」  
 
さすがに寝ている間にそれはいけないのではないか(起きてる皆本にして欲しい)と、  
止めようとする葵の言葉を意に介さずにベッドへ登る紫穂。  
熱情に押されるまま最後の一線を越えてしまおうと、皆本の腰の上を跨いだ。  
その状態で乱暴に服を脱ぎ、ベッドの下に放り捨てていく。  
最後に残ったショーツを人指し指にひっかけながら脱ぎ去り、殊更に妖艶な態度を見せる。  
葵の顔を一瞥すると、優越感に満ちた微笑みを浮かべた。  
その紫穂の表情が、尻込みしていた葵の背中を押す。  
恥ずかしさよりも──競争心、皆本を取られたくないという心が勝ったか、  
顔を赤くしながら紫穂に詰め寄る葵。  
 
「〜〜っ、だ、誰もせえへんなんて言うてへんやろ!? ウチも、す、する……っ!」  
そう言いながら、慌てて服を脱ぎ捨てる。  
病室で裸になることに激しい羞恥を覚え、涙さえ浮かべながらも──必死であった。  
そんな葵を紫穂が手を伸ばして迎え、未だ眠ったままの皆本の上でごく自然に口づけを交わす──。  
 
 
……と、熱に浮かされ暴走した葵と紫穂が更に先に進もうとした、そのとき。  
ダッダッダッダ……と廊下を走る音が響き────……、  
──バァンッ!!  
 
 
「おいっ、二人とも朗報だ! ひょっとしたらこっちから夢の世界に干渉できるかも──……」  
 
 
扉を蹴破るようにして(実際に蹴破って鍵を壊し)、喜色満面で。  
解決の糸口を運んできた賢木の顔が──室内の淫靡な空気に引き攣って固まる。  
「……!?」  
「……っ!」  
 
「…………あー…………」  
 
どうやら一気に正気に戻ったらしく、絶句しつつわたわたと慌てる葵と紫穂。  
その光景を一目見て全てを察し、女好きだがロリの気はない賢木はゆっくりと扉を閉めていく。  
 
「────あー……、出来れば早めに済ませてくれなー……?」  
 
ぱたむ。ずずず……。  
鍵の壊れた扉を閉めてから、その場に座り込む賢木。  
病室内からは慌てて服を着替える音が聞こえてくる。  
それを聞きながら、賢木は親友である皆本のことを思い──重い、溜め息をついた。  
 
(……仲間のコトを想ってくれてるのはいいんだが……。  
 アレじゃあなァ……、皆本がロリ好きになるのもしょうがない、か……?)  
 
同情するぜ、という風に首をすくめ、やれやれと苦笑する。  
しかし同時に少しだけ、それほどの絆があるということを羨ましくも思うのであった。  
 
 
 
おわり  
 
 

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