【絶対可憐チルドレン 28th.Sence ナショナル・チルドレン@ OtherSide 後編】
実際、10歳の少女が男湯に入るということは、ないわけではない。
独りでは髪や身体をまだ満足に洗えない子供や、親が見ていないと危ない場合、
異性の親が銭湯に入れてやることなどはままあることである。
──とは言ってもそれは、まだ二次成長も迎えていない子供であることが常で、
普通、異性を気にする年頃になってはそうすることはない。
接触感応能力(サイコメトリー)は、モノに触れてその来歴や思考を余さず読み取る能力。
それを最高超度(レベル)で持った紫穂は、人一倍成熟が早かった。
故に。皆本と共に男湯の脱衣所に入った紫穂の心臓は、
自分以外すべてが異性であるという状況に、破裂しそうなほどに脈動していた。
とはいえ、ここで恥ずかしがる素振りを見せれば逆に注目を浴びてしまうことは自明の理。
紫穂はごくん、と喉を鳴らして意を決すると、浴衣の帯を解いていく。
脱衣所の隅の隅に陣取り、紫穂が角に立つ。その姿を他人の視線から遮るために皆本が立っていた。
帯を解き終わり脱衣籠に入れると、留めを失った浴衣の合わせ目から紫穂の白い肌が覗く。
首筋から、僅かな膨らみを見せる乳房の中央を通り、可愛らしいおへそを通って──、
そして、まだ生えかけの和毛が眩しい肉の割れ目へと。
皆本の呆然とした視線が、なぞるように下ろされていく。
それを敏感に察して、紫穂が浴衣の合わせ目を恥ずかしそうに閉じた。
「……皆本さんのえっち」
「! や、いや、違う、そ、そのっ!!」
この期に及んで言い繕おうとする皆本に、紫穂は可笑しさを覚える。
それと同時に、これこそ皆本らしいとも思うのであった。
「……それじゃあ、脱ぐわね。──ちゃんと、隠しててね?」
言うが早いか、ゆっくりと見せつけながら浴衣の前を開く紫穂。
肩口からするりと落とされるようにして、生まれたままの姿が露わになった。
まだ子供らしさを残した身体なのに、やけに大人じみた所作が劣情を煽る。
小さな胸の頂点にある桜色の乳首が白い肌のアクセントになり、可愛らしさと同時にいやらしさを引き立てていた。
皆本はその裸体から目を離すことが出来ないまま、震える手で紫穂にタオルを渡す。
入浴用の小さいそのハンドタオルは、縦にしてようやく胸と股間を隠すことの出来る程度の代物であった。
胸を隠すように片手で持ち、もう片方の手でタオルを伸ばすようにして生えかけの陰毛を隠す紫穂。
それでも少し動かすと乳首や恥毛が見えてしまいそうになるほどで、どうにもままならない。
「……そ、それじゃ……、行くぞ」
「う、うん……」
皆本が少し後ろに立ち、なるべく紫穂を壁際に位置させるようにしながら歩く。
そんな中で、他人の目から隠す──という大義名分を抱えつつも、
内股になりながら歩く紫穂のお尻に皆本の目は釘付けだった。
歩くたびにふりふりと揺れる白いお尻。
「もう、皆本さんっ。……今はまだ、ダメ……っ」
それに気がついた紫穂が皆本を振り向き、咎める声を出す。
──が、両手は前を隠すために塞がっているので、普通に歩くよりも余計にお尻が揺れるだけで。
紫穂を庇いつつ、皆本は自らの下半身に流れ込む血液を抑えるのに必死であった。
カラカラ……と、浴場のガラス戸を引くと、もわりと熱気が漂う。
なるべく人気のない壁際を選んで、そこを陣取る。
紫穂と自分の分を合わせて二つのイスを取ろうとした皆本を、紫穂が制した。
「一つでいいわ。……私が独りで座ると、後ろからお尻とか見られちゃうから……。
皆本さんの膝に座らせてちょうだい?」
「っ……! そ、そう、か……、分かった……」
風呂の熱気よりも、内側から来る熱気にあてられて目眩を感じる皆本。
周囲を気にしながらタイルの上にイスを置いて、まずは自分が座る。
──と、紫穂が前面の鏡に手を着き、横からひょいと脚を上げて跨がってきた。
「っっ!!」
皆本にお尻を向けて脚を開く。当然のように秘所のすべてを皆本の眼前に晒して。
恥毛は土手にしか生えていないため、皆本が目にした割れ目はまだつるつるの無毛で。
少しだけ開いた秘裂の上、丸い尻たぶの分け目の奥の密やかな窄まりまでもが目に入った。
皆本の膝の上に座る紫穂。柔らかい太腿が、背中が皆本に密着する。
鏡越しに、紫穂は皆本に話しかけた。
「残念だけど、薫ちゃんと葵ちゃんを待たせちゃってるから……。
あんまり長くは入っていられないわね。
身体を洗って、お風呂に入るだけにしておきましょ?」
僅かに曇る鏡越しにそう告げて笑う裸の紫穂。
視覚と触れ合う肌の触覚、そして紫穂の洗い髪の匂い──嗅覚と、
三つの感覚を同時に刺激されて皆本の息はどんどんと荒くなっていく。
「はい、皆本さん」
そんな皆本の劣情に出口を与えるかのように、紫穂が据え付けのボディシャンプーを取り渡した。
びゅぶ、びゅぶっ……と、幾分か多めにその中身を手に取り、皆本は両手で泡立てる。
そして真白いシャボンに包まれた手を、それに劣らぬほど白い紫穂の肌に塗り付けた。
「は……っ、くぁ……ぅっ! んッ!!」
肌の上を滑る大きな掌の感触に、声を噛み殺して喘ぐ紫穂。
胸の膨らみを楽しむようにこねまわし、先端の乳首をこするようにつまむ。
なだらかな稜線を描くお腹と背中をなぞり、腕をバンザイの状態に上げさせる。
「っ、ひっ、はぅんっ……!?」
脇腹に浮いた肋骨の隙間にも指を滑らせ、脇の下から指先まで丹念に洗っていくと、
紫穂は断続的に吸い込むような悲鳴を発した。
「ひぁ、っ、皆本さんっ、く、くすぐった……ふぁっ」
口唇を噛み、声がなるべく漏れないようにしながらも我慢できずに嬌声をあげる。
そう言いながらも腕を下ろさずに皆本の好きなようにさせてくれるので、皆本は更に調子に乗った。
几帳面に首筋、耳の後ろまでボディソープを塗り込め、上半身をすべて泡まみれにしてから下半身に手を伸ばす。
「ふぅっ、ぁっ、っっ……んっ」
まだ細いが十分に女の子らしい柔らかさに満ちた太腿を、尻たぶを両手で包むようにして洗い、
両足を爪先──足指の股の一つ一つにも念入りに指でこすりあげていった。
身体を移動させずに足を曲げさせて洗い続けていた為、
紫穂は皆本の身体の上でカエルのように膝を曲げ秘所を剥き出しにした格好で固定されていた。
全身が泡に包まれていく中、未だ一度も触れられていない剥き身の割れ目だけが、
肌色を誇示するようにひくひくと震える。
尻の下の、タオルを隔てた皆本自身が緩やかに勃ち上がっていることも、紫穂の性感の昂りに拍車をかけていた。
生地越しに秘所をごつごつと突き上げるそれが、サイコメトリーよりも早く皆本の劣情を伝える。
肩で息をしながら、紫穂は直に触れて欲しいと訴えるように皆本を見た。
「み、皆本さん……、────……」
名を呼ぶだけの問い掛けを理解し、皆本が頷きを返す。
そうして、秘所を残したすべてをボディソープで包み終えた指先が、
この時を待ちかねたように──紫穂の一番大切な場所へと伸ばされた。
恥毛を指に絡め、優しく梳きあげる。外側から徐々に内側へ向けて、陰唇を指先で弄んでいく。
「ん……っ、ぅ、ふぁっ──」
軽く触れただけで洪水を起こしたように内側から沁み出す愛液が、秘所周りの泡を溶かす。
その反応に、皆本はこれ以上焦らす必要はないと判断した。
そして、恐らくは紫穂の身体の中で最も弱いであろう箇所に、触れる。
にゅるっ────!!
「ひぁ、ンッ、ンンッ──!?」
皆本の指先が紫穂の陰核の包皮を剥きながら、
──自身のペニスをしごきたてるのと同じ要領で上下にすりあげていく。
「ンっ、んひっ、んんんッッ!!」
同時にもう片方の手の指先は背後から回り込み、浅くではあるがお尻の穴にさえも抽送を繰り返す。
共に泡まみれだったはずの指先は紫穂の愛液で洗い流され、紫穂の昂りようを如実に示していた。
身体が絶頂を予感して、自然と足を突っ張らせる。
攣ってしまいそうなほどに伸ばされた足が、鏡についてずるり、と滑った。
「は、ひぁ、っあぁっ、っっ……!!」
その瞬間、紫穂の目が鏡の中の自分と合った。
周囲に他人のいる空間であるにも関わらずひどく乱れた自らの姿に、今さら羞恥心が沸き上がる。
脚の中心で開く自身淫花の肉色が、やけに目に痛く見えた。
それを察したか、皆本の口元が紫穂の耳に寄せられる。
『ほら、周りの人が皆──後ろから紫穂のここを見てるぞ……?』
――キュ、ン――――!!
暴走するように発動した紫穂の能力が、皆本の声と心を同時に耳に届けた。
それは誰に見られるより恥ずかしい、内側と外側から一斉に責められる感覚で。
「っ、あぅっっ、や、イっちゃ、っ……――――!!」
ビクッ、ビクンッ――――!!
ぶるぶると震える鏡の中の自身の痴態を眺めながら、紫穂は絶頂に達した。
泡と恥液に包まれたまま、背後の皆本にぐったりと倒れこむ。
そして小さな胸を上下させつつ目を閉じて、すべてを優しく洗い流すシャワーを浴びるのであった。
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──そんな饗宴が繰り広げられているころ、女湯では。
湯船に浸かった薫と葵が、紫穂を待ち疲れて湯あたりでダウンしかけており。
また、合衆国エスパーのメアリー・フォードもチルドレンが三人揃っていないことに警戒し、
実はすべて見張られているのではないかと懸念して攻めあぐねていた。
そんな膠着状態を無視するように。――というか意図的に考えるのをやめつつ。
壁一枚隔てた男湯では、紫穂と皆本がゆっくりと湯船に身を沈めていた。
体勢は、ちょうど対面座位のように。
座る皆本に、紫穂が正面を向き合う形で座り、ちゃぷちゃぷと水面を揺らしながら。
『仲の良い兄妹』
──と周囲に見られようとするには、いささか仲の良すぎる格好で見つめ合っていた。
予知への答えは出ようはずもなかったが、とりあえず二人の仲は少し深まったようである。
おわり