【絶対可憐チルドレン30th.Sence ナショナル・チルドレン(3)other side】  
 
──肉を斬らせて骨を断つ。  
その侍の魂(?)と共に、自らの犠牲を厭わず(?)薫は──、  
……任務用の制服にミニスカを希望した。  
「だってさ。紫穂のとか葵のがチラチラ見えた方が元気でるじゃん?」  
照れながらもそう真意を語る薫であったが、彼女の野望はそれだけでは収まらなかった。  
オヤジモードが根底にあるエロへの飽くなき探求には、底がない。  
 
「まあ、ホントはノーパンが良かったんだけどなっ!!」  
 
拳を固く握り締めて力強く宣言するその姿に、メアリー以外の全員が盛大にズッこけた。  
「出来るか────っ!!」  
「そうよ薫ちゃん、そういうコトはたまにやるからこそ価値があるの」  
 
極限まで声を荒らげて否定する皆本と、若干違う方向から窘める紫穂。  
葵はその光景を想像したのか顔を真っ赤にして座り込んでいた。  
局長は耳を塞ぎ、朧は苦笑して。ケンは再び遠隔透視(クレアボヤンス)に入り──と、  
当然ではあるが「侍」という言葉面に感動したメアリー以外に賛同者はいなかった。  
しかし、薫はそんな反応も折り込み済みというように指先をチッチッチ、と動かす。  
 
「おいおい皆本〜、よく考えてみろ? 葵と紫穂がノーパンなんだぜ……?  
 しかもそれを一番目にするのは皆本なワケだ──……!!」  
 
そして薫が披露した──その妄想は。  
まるで高超度(レベル)のテレパシーのように、皆本の思考を直撃した。  
 
 
《Case/Aoi Nogami》  
 
瞬間移動能力者(テレポーター)である葵は、その能力の性質上最も空を飛ぶコトが多い。  
故に皆本の上空に位置することも多く、  
ローアングルから覗き込まれるような形になることも多々あるのだが──、  
人一倍羞恥心の強い常識人である葵にとって、それは耐えられない恥辱であった。  
──私服でさえスカートをなるべく止め、ズボンルック主体の服装にしているのである。  
だが、制服は否応なくミニスカートで。  
そのうえ中に下着を穿いていないという現状は、あまりにも心もとないものであった。  
 
そんな、精神状態の乱れが原因であったのか。  
テレポートの暴発で、いつかの崩落事故の時のアクシデントのように──、  
身体を壁の中に囚われてしまった。  
 
「あ……っっ!? やぁっ、こんな格好っ!!」  
「あ、葵…っ……!?」  
 
──壁の中から上下逆さに首と腰から下だけが出ているという、  
ちょうど後転をしようとする途中のようなあまりにも滑稽な体勢で。  
一緒に居た皆本の顔の高さとちょうど同じ位置に、晒される下半身。  
短いスカートはその端を壁に取り込まれ、丸いお尻さえも露わにしてしまっていた。  
 
「っ、いやっ、っあっ!? て、テレポート出来ん……っ!!」  
「落ち着け、葵っ……! 落ち着けばすぐに出来るはずだから……!」  
 
混乱した頭は、いつものような能力の発動を拒み続ける。  
冷静になろうとしても、すぐ近くに皆本がいると意識するだけで頭が沸騰しそうになった。  
顔が赤くなり、全身にじっとりと汗が滲む。  
「み、皆本はんっ、あっち、行ってぇっ……!」  
 
しかも、少しでも皆本の視線から逃れようとばたばたともがくせいで、  
葵の裸の下半身は完全に剥き出しになってしまう。  
最初は閉じていた無毛の割れ目が身体の動きにつれて開き、その開いた陰唇が柔らかにねじくれる様も。  
呼吸に合わせてぱくぱくと生物の口のように収縮する尻穴の様子までも、総てを。  
 
そんな痴態を、皆本はあますところなく凝視していた。  
むしろ、眼を離せなかったと言った方が正しかったのであるが。  
皆本の股間は、眼前で動き回る少女の花びらの淫らさにあてられて既に勃起しており、  
──それが逆に、葵の目の前にしっかりと突き付けられていた。  
 
ズボン越しとはいえ、隆々とそそり立つ男性自身を近づけられた葵は恐怖を覚える。  
皆本が葵のオマ●コを覗き込みながら息を飲むたびに、  
股間の膨らみもそれに応ずるようにビクン、と跳ねるのだ。  
人間と違う生物のアタマを突き付けられているように感じ、葵は身体をさらに強張らせた。  
「ひっ、ち、近づかんといてっ!! ちょっとっ、ひぃっ!!」  
 
怯えた悲鳴が、逆に皆本の理性を切れさせると誰が知ろう。  
それまで葵を気づかう言葉を絶えず発していたのが、不意に無言になる。  
普段の鬱憤を晴らすように、葵の悲鳴を無視して──股間のチャックに手を当てる皆本。  
 
ジ、ジジジジ……ジィィィッ……!  
殊更に恐怖を増長させようとするかのように社会の窓がゆっくりと開いていく。  
それを掻き分けるようにして、皆本の勃起しきったペニスが露出された。  
エラの張った亀頭は皆本の荒い息に合わせて脈動を繰り返す。  
10歳の少女の目の前に突き付けるにはあまりに異様な光景。  
巨大な生物が洞穴からのそりと這い出てきた──ように、葵には感じられた。  
「ひ!? っっ!!」  
歯の根が合わなくなるほどに震え、葵は悲鳴を発する。  
その声と姿に、ぞくりと。皆本の背筋を嗜虐性の濃い悦楽が駆け上がっていく。  
 
壁の中に逆さに埋め込まれていることで頭に血が上り始めたのか、  
舌を出してハァハァと息をつく葵の唇がやけになまめかしく見える。  
生暖かい息が、皆本のペニスに吐きかけられた。  
「っ!」  
その息の刺激だけで、びゅぷっ、と先走りが強く滲み、葵の頬を淫靡に濡らす。  
「や、ぁ……、変な臭い……っっ」  
ぐずるような声色に、皆本の腰が引かれるようにしてゆっくりと前に向けて動き出した。  
 
そして遂に────……、  
 
 
 
『そして遂に我慢できなくなった皆本は、  
 抵抗を封じられた葵の可憐な口唇にいきりたった剛直を────……』  
 
 
 
「か、薫っ、お前な……っっ!!」  
まるでエスパーキラーの能力を模したかのように、  
心に、というよりむしろ股間に響く語り口で皆本にノーパンの素晴らしさを説く薫。  
体勢を前かがみにさせられながらも皆本は抗弁しようと口を開く──が、  
あまりに淫猥な語り口に唾を飲み込むのも忘れて聞き入ってしまっていたため、  
咽頭はカラカラに乾いていてそれ以上声を張ることは出来なかった。  
 
「Oh、やっぱりミナモト、ロリコンネ────」  
嘲るように呟くメアリーにも、悲しいかな抗議できない。  
──と、薫がまたも顔の前でチッチッチ、と指を振った。  
「What?」  
「そいつは違う、カウガール。皆本はな──……」  
 
勿体ぶった「間」がその場を支配する。  
 
 
全員の視線が集まるのを待って、薫はまるで背後に雷鳴が響くかのような形相で断言した。  
 
 
「──ものすごく、守備範囲が広いんだ……!!」  
 
 
チルドレンに、初音に、受付の二人組に、薫の姉と母に、朧に──、と。  
10歳の少女から、年齢不詳の美女まで。  
薫の言葉を裏付けするように紫穂が指折りカウントをしていく。  
それは、連載中に皆本と好意的に関わった女性の数そのもので。  
一つ、一つと数えられてたびに皆本は、人としての尊厳や何か、色々な物が削ぎ取られていくように感じた。  
 
「……ケダモノデースネ……」  
「もう勝手にしてくれ……」  
そして、紫穂の言葉を聞いたメアリーが自慢の巨乳を腕で隠しながら後ずさりするのを、  
滂沱の涙を流しながら諦観するしかなかったのであった。  
 
 
おわり  
 
 

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