【絶対可憐チルドレン 41st Sence. 荒野のエスパー(1) Other Side】  
 
 
某月某日。某県のネオ・クリア・エネルギー発電所から、  
使用済みネオ・クリア燃料800キロが盗まれるという事件が起きた。  
 
精製すれば大量破壊兵器の原料となるそれの盗難は、犯人の正体も目的もまるで判らず。  
さらに警備記録・職員の記憶さえ無くなってしまっていたことから、  
この事件は強力なエスパーの犯行と確実視された。  
 
そうして発電所の調査に駆り出されたチルドレンであったが、  
最高レベルの接触感応能力者(サイコメトラー)である紫穂の透視をもってしても何一つの証拠は見つからず。  
ただいたずらに、少女の体力を消耗させるだけに留まってしまう。  
兵部京介率いる『P.A.N.D.R.A』にしか、これほどのことは出来ないだろう――、  
そう皆本は思っていたが、証拠がないことは証拠にはならない。  
 
出来るべきことを無くした皆本たちは普通の生活へと戻り、薫と葵は学校へ登校していく。  
ただ一人、力を使い果たして深く眠りについたままの紫穂を部屋に残して。  
 
――この話は、学校が終わるまでの僅かな間の秘話である。  
 
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――カチャ……リ。  
可能な限り音を立てないようにして、皆本はチルドレンの寝室の扉を開く。  
その手に、水を入れたコップを乗せた盆を持って。  
それは、紫穂が起きたときに喉が渇いているのではないかという僅かな心遣いであった。  
 
昨夜の調査は紫穂にしか出来ないことであり、仕方ないものと皆本は理解している。  
しかし十歳の少女を酷使しなくてはならないことに、苦しさを覚えていた。  
故にそれが自身の気休めにしかなっていないと自嘲しつつも、こうしているのであった。  
「……」  
普段チルドレン三人が寝ているダブルサイズのベッドの枕元に盆を置いてから、  
皆本は紫穂の寝顔を覗き込む。  
すぅすぅと規則正しい寝息をたてているのを目にして、安堵の息をついた。  
 
……と同時に、寝入る紫穂につい不躾けな視線を送ってしまっている自分に気付かされて息を飲む。  
躰を横にして、小動物さながらに丸まって眠りにつく紫穂の姿は、  
普段のどこか達観した大人びた様子と違いあまりにも無防備で。  
なぜか無性に嗜虐心を掻き立てさせられた。  
「……っ、何を考えてるんだ僕は。まったく……」  
 
気の迷いにも程がある、と眉間を押さえて頭痛をこらえるように頭を振る。  
(まだ疲れてるみたいだな、僕も……)  
そう考えて皆本がきびすを返そうとした、そのとき。  
 
「――……皆本、さん……?」  
 
寝床から弱々しく、誰何の声が響いた。  
つい寝室に長居して、紫穂を起こしてしまった自らの失態に冷や汗を流す皆本。  
口をつぐんで紫穂がそのまま再び寝入ってくれることを願う。  
しかし次に発された声は問掛けではなく、確信に満ちた呼び掛けで。  
 
「……おはよ、皆本さん。――それとも、もうお昼かしら……?」  
 
力の消耗で寝入っていたことを揶揄して笑う紫穂。皆本は苦笑しながら振り返り、頬を指で掻いた。  
「まだ十時だよ。しばらく前に薫と葵は学校に行った。――……お疲れ様」  
「ありがと。……そっか。まだ、十時なんだ」  
 
皆本の言葉を聞き、紫穂は寝床の中で何やら考え込む素振りを見せる。  
「どうした? すぐにご飯にするかい?」  
「ん……、ちょっと、待って……」  
不思議に思って声をかける皆本をその場に留め、紫穂はもぞもぞと布団の中で身体を動かし始めた。  
「ン……」  
頭の先だけを布団から出して布団を膨らませる様子に、皆本は首を捻る。  
膨らみが動く様子で、布団の中では紫穂が身体を動かしているのだということは判った。  
 
……判った。――が、それが何を意味しているかは解らなかった。  
「? どうしたんだ、紫穂……?」  
 
すると、布団を膨らませて動く紫穂の動きが不意に止まる。  
布団から顔を出した紫穂はちろりと皆本を上目遣いに見つめると、目を細めて笑った。  
 
「ねえ、皆本さん」  
「ああ……なんだい?」  
 
紫穂の様子を不思議に思いながらも、いつものように笑顔で応える皆本。  
――次の瞬間、その顔が驚愕に強張ることとなった。  
ばさり、と音をたてて内側から開かれ、暴かれる布団の内側。  
 
昨夜紫穂が着ていたのは、少し大人びたネグリジェタイプのパジャマ。  
ズボンを穿かないかたちであるその寝間着は、普段は紫穂の膝丈までの長さを持っている。  
それが、胸元より上――首まで捲り上げられていたのであった。  
 
「〜〜な、ぁっ――!!」  
フリルのついたネグリジェは胸元でくしゅくしゅに丸められて、肩口と首筋を隠すに留まっていた。  
そうして皆本の目に飛び込んできたのは、紫穂のあられもない姿。  
チルドレン三人の中で一番発育の早い膨らみかけの、乳輪ごとぷくりと盛り上がった乳房も、  
大人っぽいネグリジェとは対照的に、まだ子供らしさを残したショーツも。  
 
仰向けになっているせいで脇腹に薄く浮かんだ肋骨が幼さと妖艶さのコントラストをひきたて、  
掛け布団を取り払ったおかげで涼しさをその身に感じて息をついた紫穂の顔をより扇情的に映し出す。  
「こ……コラッ、すぐに隠すんだ! 大人をからかうんじゃっ――……」  
「今日は、本気。だからこっちを向いて? 皆本さん」  
 
からかうんじゃない。  
顔をそむけながらそう言って、この場を後にしようとした皆本に、紫穂が真摯な声色を紡ぐ。  
ばね仕掛けの人形が元に戻るように、皆本の顔が紫穂へと向き直る。  
――それは、紫穂の言葉に有耶無耶にしてはいけないという不文律を感じ取ったからか。  
困りきった表情で、なるべく裸を目にしないようにして紫穂と目を合わせる皆本。  
 
眉根を寄せる皆本に、紫穂はその内心の逡巡を見抜くように薄く笑う。  
寝汗で額にしっとりと張り付いた前髪を指先で払うと、夢を見るような視線で皆本を見据えた。  
 
「冗談でも、悪戯でもないの。皆本さんが――いいの。  
 皆本さんとしたいの。……皆本さんに……してもらいたいのよ」  
 
鼻にかかった蟲惑的な声で誘いをかける紫穂。  
『何を』などと聞かなくてはいけないほど、皆本はその方面に疎いわけではない。  
それは勿論、友人である賢木などと比べればまだ経験は少ない方ではあるが、  
――それでも、紫穂が女として身体を、そして心を開いているという事実が痛いほど伝わってきた。  
 
「……し、しかし、紫穂っ」  
尚も皆本は逡巡を繰り返す。倫理観以上に、彼女を思いやる気持ちを持って。  
皆本がそう思っていることは、口にしなくても紫穂には伝わっていた。  
むしろ、そういう皆本であるからこそ好きになったのだから。  
 
しかし、今欲しいものはその優しさではない。  
薫と葵が傍に居らず、皆本と二人きりのあと数時間。しかも、寝室で。  
思わぬ僥倖で得たこの時間を、紫穂は一秒たりとも無駄にする気はなかった。  
 
「――私が黙っていればいいコトだし。……ね?」  
薫と葵には心を読むことは出来ないのだし――と、悪女の笑みと共に、そう告げる紫穂。  
その上に、さらに言葉を重ねた。  
 
「シてくれないと……あることないこと、いいふらすわよ?」  
「あのなぁっ、そ、そーいう問題じゃないだろっ……!」  
 
眼前の欲望と自制心の狭間で八方塞がりに陥りかけていた皆本を少しだけ茶化し、  
心の余裕を取り戻させる。  
 
そうしてから、自身の身体の強張りをゆっくりと緩めていく。  
ショーツ一枚の肢体を晒してはいたものの、実のところは紫穂もまたガチガチに震えていたのだ。  
皆本に気づかれないようにと、静かに深呼吸を繰り返す。  
(……っ……)  
 
ばくばくと跳ねる心臓の鼓動。  
ともすれば羞恥に耐え切れず逃げ出したくなる衝動を抑えて、ひとつ熱いため息をついた。  
ゆっくりと、しかし皆本がシーツの衣擦れの音につられて視線をそちらに向けてしまうことを  
計算しながら足を広げていく。  
膝を立てて、ベッドに寝転んだままの開脚劇。  
薄手のショーツ一枚きりの下半身、その秘めた部分が皆本の目に映っているのを無意識に感じ取る。  
視姦されている――。  
常に成長を続けている超度(レベル)7の接触感応能力(サイコメトリー)のせいか、  
紫穂の身体は視線を愛撫のように敏感に受け止めて、昂ぶり始めていった。  
 
「――ぁ、んっ……」  
くちゅっ……。  
下着の奥、少しだけ恥毛の生えかけた性器の中から湧き出る愛液の感覚。  
皆本に見られているというだけで身体は発情し、加速度的に頭が朦朧としていく。  
 
耐え切れないというように、紫穂は膨らみかけの乳房を自身の指先でつまみあげた。  
同時に、M字に開脚した股間の中心を下着の上からさするようにひっかいていく。  
 
「あふ……っ、皆本さん――、見て……っ。こんなに……」  
「お、おいっ!?」  
眼前で突然始まった自慰行為に皆本は狼狽しつつ、しかし目はひとときも離せない。  
下着の股布の部分は内側から染み出た恥液ですぐに楕円状の濡れ跡を作り、  
親指と人差し指で挟まれた薄桃色の乳頭は、しこって尖りきる。  
 
まどろむような瞼のままで、自分に注がれる視線を確かめる紫穂。  
頬は赤く染まり、半開きになった口元から覗く舌が艶かしい。  
快楽に翻弄されているせいで普通に息をすることさえ億劫になっていた口を動かして、  
 
紫穂は最後の誘いをかける。  
 
 
「――――イイでしょ? ね。……来て……っ……」  
 
 
潤んだ目で愛を乞う。手の平を天に向けて、かすかに指先を動かして招き入れる。  
唇は僅かな笑みのカタチで。  
知識から来る慣れたような所作と、初めての経験から来る指先の震えのアンバランスさを見て  
皆本は内心にこみ上げるものを感じた。  
 
そのまま衝動的に、弾かれるように身体を動かして紫穂を組み敷いてしまう。  
「きゃ……っ!」  
驚いた風に、しかし嬉しげに悲鳴をあげる紫穂。  
唾を飲み込み、ごく間近にその表情を見下ろして皆本は何かに耐えるように眉根を寄せた。  
 
「……っ、君たちは、どうしてこう……っ」  
「どうして、こう?」  
聞き返す紫穂に、口を噤む皆本。  
接触感応能力者(サイコメトラー)である紫穂に対しては隠し事をしても無意味と知り、  
『だったら勝手に読めばいい』と半ばふてくされたように。  
 
紫穂が読み取ったその内心は、  
 
(どうしてこう、僕を惑わせる)  
 
普段なら抱かないはずの劣情が、今はどうしようもなく膨れ上がってしょうがないのだと。  
早鐘を打つ鼓動と、隠しようのない股間の盛り上がりと共に苦悩し続けていた。  
君「たち」と複数系であったことは引っ掛かったが、その事実に紫穂は歓喜に身を震わせる。  
 
そうして、仰向けのまま両手を伸ばして、  
圧し掛かってくる皆本を抱き寄せるように迎え入れるのであった。  
 
 
つづく  
 
 
 

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