【絶対可憐チルドレン 50th Sence. 葵まつり・京都ぶらりテレポート(1) Other Side】
普段いつも一緒にいるはずのチルドレンが、今日はなぜか葵ひとり。
新幹線のグリーン車で、スーツを着た皆本の横に座っていた。
その理由と言えばごく単純な話で。
皆本の出張先が、偶然にも葵の生まれ故郷である京都であった――ということと、
それに便乗して葵が「別に帰る用事もない」のに自宅へ帰る算段をつけた、ということ。
……そうして、葵は皆本との二人旅を手中に収めた(と本人は思っていた)のであった。
「狭いほうがくっつける」からという理由で自由席が良かったと愚痴る葵ではあったが、
それでも皆本の真横に座っているという現状には満足していた。
トイレに立って周囲を見回してみて、乗客が思いのほか少ないということを確認もする。
「……なあ、皆本はん?」
横に座る皆本を、上目遣いに仰ぎ見る。
景色に目をやっていたのだろうか、窓の外に合わせられていた皆本の視線がついと下を向く。
互いの眼鏡ごしに、視線が絡み合った。
――それだけで、葵は自身の身体をぶるりと震わせた。
これからしようとしていることに思いを馳せ、ごくりと唾を飲み込む。
腰元と襟に縞の入ったワンピースの股間部分を、服の上から軽く押さえた。
(……準備もしてきたし、そう人は通らへんはずやし……!)
押さえるだけだった手を、そのまま握り締める。ワンピースのスカートに皺が寄った。
「葵?」
皆本の視線が葵の顔からさらに下へと下げられる。
その動きを引き金にして、葵の手が一息に持ち上げられた。
「……!」
皆本は驚きに息を飲んだ。どうにか声を出すことだけは抑える。
膝より少し上にあったスカートの中、
ローティーンの少女らしいみずみずしい太腿の付け根には、あるべき下着が存在していなかった。
すっぱりと刃物で切れ込みを入れたかのような肉の割れめが目に飛び込んでくる。
空調が完璧に効いた新幹線の車両内であるのに、
皆本はそこから淫靡な香りが熱く漂ってくるような気さえした。
「こ、こらっ……!」
ほかの乗客に気づかれはしないかと冷や汗を垂らしながら、皆本は葵と通路に視線を行き来させる。
動揺しきり冷静さを失った皆本とは対照的に、葵はいたって落ち着いていた。
そんな皆本の様子を見やって目元を赤くさえして、耳元に囁きかける。
「だいじょうぶやって……。停車時間とかも見てきたし、結構みんな寝てはるから。
見つかったら『ウチのハニーや』って言えば問題ないやろ?」
悪戯っぽく舌先を唇の端から出して笑う葵。
落ち着いてはいるが昂ぶっているのか、息が少しずつ荒くなりだす。
スカートを持ち上げたまま、皆本の方に身体を向かせながらゆっくりと脚を開き始めた。
左脚を優雅に高く上げ、皆本と自身の間に割り込ませる。
靴は既に脱いであったのか、可愛らしい足先が皆本のスラックスに触れた。
葵は窓枠にもたれかかると、姿勢をずらして腰をわずかに持ち上げる。
そして、上から見ていた葵の秘所――股間のスリットを、半ば正面から見据える形になった。
まだ閉じきったままの初々しい肌色の割れ目が、涼しい新幹線車内で剥き出しとなる。
「……っ」
実力行使に出ればすぐにでも止められるはずなのに動かないのは、
葵の大胆な行動に呑まれてしまったからか。
さらけ出された裸の秘所に釘付けになったまま動かない皆本。
葵はそんな様子が不満なのか、少し頬を膨らませると片手を秘所に持っていく。
人差し指と中指を割れ目の合わせ目にかけると、
更に腰を皆本に突き出し気味にしながら開いていった。
くちゅっ……。
肉の扉が開く淫猥な粘着音。
公共交通機関での露出行為に普段とは違う昂ぶりを覚えたのか、葵のそこは既に蜜をたたえていた。
まだ指先も触れていなかったはずなのに秘唇が開く瞬間に愛液が透明な糸をひき、
――そしてひし形に開いて膣口が露わになると、とめどなく淫液が溢れ出る。
座席のシートに、沁みが一滴、二滴と落ちていった。
くちゅ、くちゅ……。
葵の指先が自身を慰めていく。
口を半開きにして、目をとろんと蕩けさせて――自慰に耽る。
真横で硬直する皆本を恨めしげに見やり、口を尖らせた。
「皆本はん、イケズやから……、ウチここで一人でするわ。
――誰かに見つかったら、皆本はんのせいやからな……ン……っ」
言葉の合間を縫うように秘唇をひっかき、なぞり、陰核をつまんで快楽を求める葵。
唇を噛んで嬌声が洩れないようにしてはいるが、行為の端々で甲高い喘ぎ声が溢れていた。
「っ、ちょ……葵っ!」
慌てて、通路からなるべく見えないようにと葵に覆い被さるように姿勢を変える皆本。
それが気休め程度にしかならないとは解っていたが、躊躇わずにそうした。
他人にこの少女の艶姿を見せる気は毛頭なく、
しかし同時にこの状況には皆本も強い劣情を覚える。
覆い被さったことでさらに密着状態になったことで、葵の体温が直に伝わってきた。
皆本の手が期せずして葵の太腿に回され、その指先が柔らかな肌にめりこむ。
「ンぁっ……!」
その刺激に、葵は喉を反らせて喘いだ。
「ち、違うんだ葵、これは」
触れてしまった手が少女の官能を呼び覚ましたことに慌てて反射的に身を離そうとする皆本を、
葵は右足を巻きつけるようにしがみつかせて留める。
そうしてはぁはぁと息をつきながら、間近に来た皆本の当惑する顔を淫蕩な笑みで迎えた。
「――それがイヤやったら……ここでシて。な?」
頬を赤らめ、恥ずかしげに俯き加減になりながらの誘い言葉。
どうあっても引くことはないのだと、ここに至って皆本は痛感した。
目をきょろきょろと周囲に走らせて、人の通りを確認する。
足音は聞こえず、車両の扉が開く気配もない。
皆本は決意を示すように、襟元に指を突っ込んでネクタイを緩めた。
声を可能な限り小さく絞って、葵の耳元で蚊が鳴くような声で囁きかける。
「指……だけだ。それ以上はできないからな。――いいな」
眉間に皺を寄せながら妥協案を示す皆本。
耳元に吹きかけられるその言葉の吐息に酷く性感を刺激されて身体をがくがくと震わせながら、
葵は嬉しそうに首を縦に振った。
しとどに濡れた秘所に、皆本の中指の先端が埋まっていく。
つぷ……っ!
異物が侵入した分と同じだけの量の恥液が押し出され、溢れ出た。
「ぁ、ぁっ――、は……ァっ……んっ――……」
つい大声で嬌声を上げてしまいそうになる自信の口を両手で押さえ、葵は固く目を閉じた。
間近で皆本の顔を見ていては、すぐに堪えられなくなってしまうと感じて。
指先はその半ば程までを少女の中心に埋め込むと、それで侵入を留める。
それは万が一にも葵の処女を散らせてはいけないという皆本の気遣いであった。
抜き差しが思うようにままならないことを補うように、指先は鉤状に曲げられる。
そうして、膣壁を引っかくようにして動かされた。
ぐぢゅっ、ぐぢゅぐちゅっっ!!
「〜〜っ、ンンっっ!! っっ!」
猿ぐつわを噛まされた虜囚のように、被虐性を剥き出しにして震える大股開きの葵。
声も出せず、良いように嬲られているその様に、皆本の心中にも新たな炎が燃え上がり始めた。
徐々に荒くなる息に合わせるように指の動きも激しくなり、
最初は一本でさえきつかった膣口にはいつの間にか二本の指が挿入されていた。
膣の入り口をばたつくようにかき回して愛液を溢れ出させ、
時に指を引き抜いて陰核を押し潰すように愛撫していく。
「っ! っっ!! ぁ――っっ……!」
股間だけを皆本に差し出したままで完全に身を縮こまらせ、必死に息を殺して喘ぐ葵。
その俯いた顔を、皆本はふと「見たい」と思った。
秘所を弄ぶ手とは逆の、さっきまで身体を支えていた手を自身の足に変えてさらに密着し、
そのまま手を葵の顎にかけて上を向かせる。
何事かと葵が目を開く間もなくその口を覆う葵の両手を力任せに剥ぎ取ると、
そのまま深く口づけをした。
そして同時に強く抉られる葵の狭い膣内。
鉤状に曲げられた二本の指が、Gスポットと呼ばれる快楽の芯を捉えたのと、それは同時であった。
「――――っ! っっ――――!!」
唇を完全に塞がれたまま、迸る悦楽の悲鳴。
唾液も、快楽の余り流れた涙も、すべてが皆本に流れ込み、頬に降り注ぐ。
がくがくと震え、絶頂に達する葵。
半裸の状態で、屋外で磔にされたような感覚に更に身震いは高まり、
愛液もまた飛沫いて噴き出し、皆本の手首までも濡らしていくのであった。
そうして絶頂の波が収まり、ゆっくりと、窓と皆本に挟まれたままで脱力していく。
その口内を舌に這いまわられ、後戯のように唾液を吸われながら。
満ち足りた感覚の中でたゆたいながら、葵はふと視線を足元に落とし。
――足元でくるりと丸まる、トイレで脱いできたショーツを目にして――、
それが新幹線の走行に合わせてころころと座席の外へ転がって行ってしまうさまを目にするのだが、
(……皆本はんに拾ってもらったらええか)
と、再び事後の口づけに没頭したという。
皆本がすばらしく苦悩したのは、言うまでもない。
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「ほら、皆本はん。ちゃんとネクタイ締め直さな」
今朝、ホームで葵がそうしたときとは段違いの笑顔で、皆本の襟元に手をやる葵。
緩んだネクタイを締め直すと、グリーン車の広い座席の中で身を寄せ合うようにして擦り寄った。
「……そんなにくっついたら熱いだろ、葵」
「ええやん? この熱さやったらウチ、どんだけあってもええし」
気恥ずかしいのか視線を反らして呟き、葵は皆本の腕に自身の腕を絡ませる。
そうして頭を寄りかからせて寝入り始める少女の姿に、
皆本はほのかに思慕の情を覚えながら苦笑し、こちらもまた軽く寄りかかるのであった。
そしてそのころケンは。
東京駅に脱ぎ捨ててきてしまった靴を回収すべく車掌にバックして欲しいと嘆願しており――、
当然のごとく突っぱねられていたという。
おわり