『3……2……1……突入!』  
 
ダガンッ!  
 
扉が蹴り上げられ、いくつもの影が部屋に滑り込む。  
 
「薫……葵……あれほど勝手に行動するなと言ったのに……クソッ!無事でいてくれよ……!」  
『皆本司令官』  
「確保したか?」  
『いえ、もぬけの殻です』  
「やっぱりか……アクセサリータイプのECMがあるだろうから捜索を続行してくれ……」  
『了解しました』  
 
一縷の希望にすがってみたが、事態は悪い方に転がり落ちていっているようだ。  
薫達が紫穂を救出出来たならすぐに帰って来るだろうし、捕まったなら犯人がECMをそのままにしているハズがない。  
 
「皆本さん……きっとみんな無事ですよ。あのコ達……強いですから!」  
「……ありがとう。ナオミちゃん」  
 
皆本は気を取り直すとマイクに指示を飛ばす。  
 
「賢木とザ・ハウンドを呼んでくれ。長官……可能ならケンにも内密に連絡を」  
「今すぐ手配するヨ」  
「絶対に見つけてやるからな……」  
 
空を見上げ、皆本は力強く呟いた―――  
 
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――  
 
ガチャ……ガチャン……ギ……ィィ……  
 
重苦しい音を上げ分厚い扉が開く。  
寒々とした石造りの部屋。申し訳程度に置かれた机と椅子。  
ポツンと置かれたモニターは違和感を醸しだしている。  
 
その中心で左足に絡みつき、鉄の棒と繋がっているESP錠と格闘していた薫が振り向く。  
 
「てめえッ……!!」  
「やあ、薫ちゃん。待ったかい?」  
「葵と紫穂はどこだ!」  
「まず友達の心配かぁ、イイコだね。この建物の中にいるよ」  
「離せ!」  
「そんなもったいない。第一そんな事したら俺が怒られちゃうよ」  
「……てめえ……後で必ずブッとばしてやるからな……」  
「怖いねぇ。あ、そうだ。葵ちゃんがどうしているか見せてあげるよ」  
「……え?」  
「ほら」  
 
男はモニターの電源を入れる。  
そこに映し出されたのは―――壁に半身を拘束され、ピクリとも動かない葵―――。  
 
「葵ッ!」  
「大丈夫。寝てるだけだよ。何もしちゃいないさ」  
「離せ!」  
「そんな事言われてもねぇ……そうだ、もし薫ちゃんがちょっとした賭けに勝ったら開放する、ってのはどう?」  
「……どういう……」  
「なに、ちょっとした事だよ。薫ちゃんは詳しいだろう?」  
「……は?」  
 
男は唇の片端を上げると薫に耳打ちをする。  
 
「……ッざけんな!誰がそんな……!」  
「んー、でも薫ちゃんが駄目なら他のコに頼む事にするけど」  
「……」  
「紫穂ちゃんならすぐに引き受けてくれるかな?」  
「…………」  
「俺は約束は守るよ?」  
「………………上等じゃないか……やってやるよ……!」  
 
それだけで殺せるような視線で男を見上げ、薫は声を絞り出した……。  
 
 
………ぴちゃ……ちゅっ……ちゅ……くちゃっ…………  
 
部屋に水濁音が響く。  
 
――――――17人。制限時間は3時間――――――――  
 
それが薫と男の契約だった。  
 
たどたどしい手つきで陰茎を掴み、頬張る。  
赤黒く膨れ上がったそれは狭い口内を容赦無く蹂躙していく。  
甘いローションに慣れた舌が、亀頭から溢れ出すカウパーに驚く。  
 
「もっと口をすぼめな……そうだ……裏筋もだ」  
 
湧き上がる屈辱に耐えながら薫は口内に集中する。  
亀頭に舌を絡ませ、唇を狭め、ゆっくりとスロートする。  
 
「うお……ッ!巧いじゃないか。才能あるぜ薫ちゃん」  
「ぷあッ!……はぁ……はぁ……」  
「オイオイ休んでんじゃねぇよ」  
「むぐっ……んッ!」  
 
頭を掴まれ、こじ入れられる。  
悔しさに相手を見上げる。が、それは逆効果だった。  
あくまで挑戦的な視線、潤んだ瞳、陰茎から伝わる必死な舌使い。  
それは雄の本能に訴えてくる。  
―――「この女を征服しろ」と。  
 
奥底からドス黒く燃え上がる加虐心。それは射精への衝動に変わる。  
 
「うおおッ!飲み込めッ!」  
「ンーーーーッ!」  
 
喉の奥まで突き込み、腰を震わせて大量の精を放出する。  
鼻腔に広がる生臭いニオイ。苦さ。  
 
「がはッ!けほっ……けほっ」  
 
別の男が咳き込む薫の制服を掴み、上半身を立ち上がらせる。  
ローションを陰茎になじませ、顎を掴み、こじ入れる。  
 
「むッ!かはッ!ンンーーーー!?」  
「んじゃ次は俺ね。まだまだ先は長いよ」  
 
未知の味に戸惑う時間は薫に与えられていなかった―――  
 
部屋に起ちこめる汗と精液のニオイ。  
響く水濁音。男達と薫のシルエットが壁に入り混じる。  
 
「手でシてくれよ」  
「俺も我慢できねぇよ」  
 
薫は立て膝をつき、口と両手を陰茎で塞がれていた。  
何人分もの精液で顔はどろどろになり、顎から滴っている。  
制服も髪もベトベトになっている。  
 
薫は戸惑っていた。  
 
――――――ドクン――――――  
 
汗が噴き出す。下半身が痺れる。子宮が熱い。  
目の前にある男性自身が―――愛おしい―――  
 
椅子に座り薄ら笑いを浮かべ、様子を眺めていた男が立ち上がる。  
ゆっくりと薫の後ろにしゃがむと、スカートに手を潜らせる。  
 
「ぷぁひゃっ!?」  
 
突然の感覚に薫が叫ぶ。  
だが、両手と口を塞がれ振り向く事すら出来ない。  
 
「ありゃりゃ、びちゃびちゃだねー」  
「ン"ン"ーーーーーッ!!?」  
「ほら、ここなんかどう?薫ちゃん?」  
「ムグゥゥウウウッ!!」  
 
ショーツ越しに伝わる強烈な快楽。  
必死で腰を振り、男の手を反らそうとする。  
 
「時間無いから優しいお兄さんが協力してあげるねー。前は使えないけど」  
「ム"ーッ!ム"ーッ!!」  
 
男が視線で合図する。  
ニヤニヤと笑いを浮かべた男達が何人か薫の後ろに回る。  
先程から使っていたローションを陰茎に馴染ませる。  
 
そのビンのラベルは―――黄色。  
 
「ま、初めはちょーっと痛いかもしれないけどね。すぐに馴染むから」  
「ぷあッ!やめ……ろッ!」  
「大丈夫だよ。いつもウンチくらいしてるんだから」  
「そういう問題……じゃ……ねぇだろ……ッ!」  
「だってこっちが使えないんじゃ、仕方ないだろ?」  
「ひゃあっ!?」  
 
クリトリスをつつかれ声を上げる。  
ショーツを膝までずり下げ、男は薫の耳元に口を寄せると  
 
「それに……ほら……ね?少し……期待してるだろ?」  
「ンなッ!?そんなワケ……」  
「嘘は駄目だよ?そんなんじゃオシオキだな…………おい」  
 
ミリ……ヌズルゥッ!……ヌボッ!  
 
「う"あ"あああああッ……か……は……」  
 
想像すらした事のない感覚。ムリヤリ身体を押し広げられる。  
圧迫感と痛みに目を見開き、涎が垂れる。  
 
「イイ顔だねぇ。色っぽいよ、薫ちゃん?」  
「あぐぅっ……あはァッ!」  
 
グチュッ!ジュプッ!グチュッ!ジュポッ!  
 
「あっ!うあっ!やッ!やめッ!やあッ!う"あッ!」  
「オイオイこっちも忘れちゃ困るぜ?」  
「むぐッ!ン"ァッ!ン"ンッ!ぷハッ!むう"ッ!」  
 
更に両手も口も塞がれる。  
なす術なく男達に蹂躙されていく。  
突き上げられ、揺れる小さな身体。  
 
ローションが肉棒に絡められ、腸壁に塗り込められる。  
喉の奥深くまで差し込まれる。幼い身体が肉棒を締め上げる。息が詰まる。意識が朦朧とする――――  
 
そして――――いつしか薫の身体は雌の本性を露にし始めた。  
 
 
 
――――――キモチ――イイ――――?――――――  
 
 
 
「ンフッ!ムッ!ンンッ!ムッ!ンッ!ンッ!」  
「おおっ!なんだっ?いきなり……吸い付きやがってッ……」  
「こっちも……駄目だッ……」  
 
ズンッ!グチュッ!グチュウッ!キュウウウウッ!  
 
「うああッ!出すぞッ!」  
 
一気に引き抜いた肉棒を、これでもかといわんばかりに奥に突き込み、精を放つ。  
 
チョロッ、シャアアァァ―――  
 
絶頂の痙攣と共に失禁する。  
頭が真っ白になる。脳が痺れる。ナニモカンガエラレナイ―――  
 
 
「あっ!もっとぉ……もっとぉ……ああっ!ソコっ!」  
 
饗宴はまだ続いていた。  
艶かしい声が響く。床に染みが広がる。  
薫は涎を垂らし愉悦の表情を浮かべていた。  
 
男は腕時計を見て立ち上がる。  
 
「ハイ薫ちゃん。残念。ゲームオーバー」  
「んぁっ!ソコ好きぃ……あうっ!イイッ!」  
「んー、聞いてる?」  
「うあっ!あはぁっ!アッ!いくっ!イクッ!アアアッ!!」  
 
ポリポリと頬を掻きながら、男はふとモニターに目を留める。  
 
「そーいえば薫ちゃん。あそこに映ってる葵ちゃんね、実は6時間前の映像なんだよね」  
「…………?」  
「ま、いっか。2人は親友だからね。アハハ」  
 
そい言って男はドアの向こうに消えて行った―――  
 
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――  
 
「どうだ?仕込みは?」  
 
50代だろうか。でっぷりと太った男が声を掛ける。  
 
「ええ、ボス。順調ですよ」  
「あの若さでレベル7のエスパー、高く売れるな」  
「でしょうね」  
「アンチエスパー組織とのパイプも出来る。いい事づくめだな」  
「しかし……少しもったいないですねぇ」  
「……?何がだ?」  
「……いえ、なんでもないです。」  
「今日中にここは引き払う。BABELのESP捜査は油断出来ないからな」  
「わかりました。では、そのように」  
 
男はきびすを返し、胸の内で呟く。  
 
(あの3人の価値がわからないとはね……所詮ノーマルか……)  
 
そしてしばらく考え込むと、紫穂の部屋へと足を向けた。  
 
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――  
 
ガチャッ―――  
 
「紫穂ちゃん。調子はどう?」  
「……うう……あ……アァ……」  
 
ベッドにうつ伏せになり、ハァハァと息を荒げている紫穂。  
時折ビクビクと痙攣し、未だ夢の世界を彷徨っている事を伺わせる。  
 
失禁用におむつを履かされ、そのおむつの中からはヴィィィィィという機械音が聞こえる。  
恐らく肛門拡張用にバイブを入れられているのだろう。  
 
「ま、色々考えたんだけどね。逃がしてあげるよ。ただ、ちょっと細工はさせてもらうけど―――」  
 
そう言って男は手をかざした。  
 
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――  
 
「く……うあッ……ぁ……かん……また……イク…………」  
 
葵の部屋のドアを開けると、息も絶え絶えにしている姿が目に入る。  
カクンカクンと身体が揺れる。壁の向こうでは欲望の思うまま今だに突き込んでいるのだろう。  
あれから4時間近く経っている。流石に体力も限界だろう。  
 
「ったく、相変わらず容赦無いねぇあいつ等。ま、人の事言えないけど。葵ちゃーん?わかるかな?」  
「……あ、誰…………?……ウチにもっと……くれるん……?」  
 
目の焦点が合っていない。  
さらりと伸びた黒髪は汗と涙で顔に張り付き、半開きの口からは涎が垂れている。  
 
「んー、まだなんとかなる……かな……?」  
 
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――  
 
「くそッ!まだ見つからないのか!」  
 
ドン!と机を叩き皆本が叫ぶ。  
 
廃屋に突入してから丸1日。  
 
賢木のサイコメトリーとザ・ハウンドの能力で捜査をしているが  
ECMからは戦闘の記憶しか読み取れず  
初音の嗅覚も川までしか追いつけず、宿木の鳥による周辺捜査も限界があった。  
 
「局長!ケンはまだですか!あいつの能力なら―――」  
「どんなに急いでもあと半日はかかるヨ!私だってやれる事はやってる!」  
 
「局長!」  
「なんだネ、朧くん?」  
「チルドレンが―――戻ったそうです!」  
 
 
「―――まったく!君達は何を考えてるんだ!」  
 
バァン!と皆本が机を叩くと、3人はビクッと身を竦める。  
 
「だって、ほらちゃんと脱出してきたし……」  
「ほ、ほらな?皆本はん。結果オーライって言うやろ?」  
「ね……だからそんなに怒らないで……ね?……冷静に……」  
 
「いいか!二度と僕の指示を無視するな!それが出来ないなら僕は降りる!」  
 
涙を浮かべてシュンとする3人。  
 
「……とにかく!検査を受けて今日は帰れ。いいな!」  
『……ハイ……』  
 
 
「おい、皆本。現場の報告聞いたか?」  
「ああ、薫から『ブッ壊した』っていうのは聞いたけど……」  
「……死体については?」  
「……いや……?」  
「少なく見積もっても10人の血痕が発見されてる。妙なのは『死体が1体も無い』って事だ」  
「どういう事だ……?」  
「恐らく俺みたいなサイコメトラーへの用心だな。血痕だけじゃ殆ど情報は読み取れないし、建物もあの状態じゃ無理だ」  
「なる程な。という事は犯人側のエスパーは一人じゃない」  
「そう、俺が読み取った男以外にも、最低一人テレポーターが居る。そうでなけりゃあの短時間で後始末出来ないからな」  
「わかった……あと、薫には黙っていてくれ。結果として死人が出ている事は……あの年で背負わせたくない」  
「ああ、わかってるよ」  
 
賢木は皆本に近づくと囁いた。  
 
「これは……確証が無くて上に検査報告を上げてないんだが……あの3人の記憶……何かがおかしい」  
「……なに……?」  
「彼女達が高レベルのエスパーで耐性が強いってのもあるが、記憶の輪郭みたいなものがあやふやでうまく読み取れなかった」  
「それは興奮していて、という事じゃないのか?」  
「いや……なんというか……そう、記憶のプロテクトみたいな印象を受けた」  
「あやふやなのにプロテクト?」  
「そうだな……記憶ってのはあらゆる色の絵の具を塗りたくった画用紙みたいなものと思ってくれ。  
 画用紙を近くで見ると色と色の境目は混ざってるだろ?赤と青なら紫ってな感じに。そうやって記憶と記憶ってのは繋がってる。  
 それが無いんだ。昨日の部分だけ上書きされたみたいに、ある境でいきなり赤から青に変わってるんだ。これはプロテクトの印象に近い」  
「何かしらの記憶操作を受けている、と?」  
「……わからん。俺も確証は無いんだ」  
「わかった……注意する」  
 
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――  
 
「さて、これからどうしようか―――」  
 
BABELを見上げてへらへらと男が嗤う。  
 
「チャーミングな駒は手に入ったし。ま、そのうち―――ね―――」  
 
『混乱』を意味するバラルが語源とされるバベルの塔。  
現代に現れたそれは、数々の神話の運命を覆す事が出来るのだろうか―――  
 

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