私はいつも彼に抱かれながら涙をこぼす  
彼とのセックスが嫌なわけではない  
セックスの度に私は彼を”読む”  
その度に伝わる「好きだ」「愛してる」という思い  
それが嬉しくて、苦しい  
彼は知らない  
私が欲望と好奇心の思うが侭に、二人と交わった事を  
私が彼の友人とセフレと呼ばれるような関係にある事を  
そして彼らを…私が犯している事を  
だから私は彼の成すがままにされる  
感じないふりをする  
悦びの声を必死に堪える  
彼に抱かれている時だけでも乙女でいたくて  
けれど、体は常に私を裏切る  
いつだったろう  
夢中で彼の肩に歯を立てて、それを二人にからかわれた時があった  
その時の二人の眼差しを私は決して忘れない  
だから私は彼に抱かれながら涙をこぼす  
絶対に口にしてはならない言葉の代わりに  
私なんかが口にしてはいけないから  
 
 

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