「は、離せ!」  
明石薫は叫んだ。縛られ、身動きできない体を何とか捩ろうとする。  
「静かにしろよ、化け物のガキ」  
そう、サングラスをかけた男が笑い声をあげる。  
――薫は「普通の人々」に拉致され、廃ビルの一室に監禁されていた。  
皆本のパソコンが何者かに奪われたのは最近のことだった。  
パスワードはかけているが、中にはエスパーの個人情報が詰まっている。  
犯人捜索で必死だったバベルだが……  
「さて、素直にパスワードの在りかを喋ってもらおうか。おっと抵抗するとこのガキの命はねえぜ」  
「明石さん……」  
ちさとは、蒼白になった唇から震える息を吐いた。  
ちさとも同様に縛られている。  
「ECMはかけているが、それでも振り切った場合、このガキを即座に殺す」  
そう言ってちさとの首にナイフを押し当てる。  
「ひ、卑怯だぞ!! お前らそれでも人間か」  
「化け物のガキに言われたくねえよ」  
サングラスの男たちが哄笑を挙げた。  
男たちに固より薫もちさとも生かしておくつもりはない。  
そうと分かっていても薫には友達が傷つくのを見てはいられなかった。  
「第一、皆本のパスワードなんて私が知ってる訳ないじゃないか。だって」  
て、で言葉が途切れた。  
男が力任せに薫の腹を蹴ったのだ。  
「げぼぉ!!」  
薫は小さな体を痙攣させて胃液を吐いた。  
男たちが蹴り足を振り上げて横たわる薫に向う。  
「オラ、死ねよ、化け物!!」  
「ぐげええええええ、げえおぼおおおおお、ぐぎゃあああああああ!!」  
薫の華奢な肉体が、男たちの暴行で、痛めつけられていく。  
靴先が内臓を打撲し、血反吐を撒き散らさせる。  
「やめて、明石さんを、もうやめてええええええええ!!」  
ちさとが、目をそむけ悲痛な声を発した。  
しかし、首筋にはナイフ。  
「ぎゃああああああああああああああ!!」  
「オラオラオラ!!」  
男たちは暴行を楽しんでいた。  
やがて……  
薫は無残だった。  
腹は打撲され、内臓破裂している。  
顔は蹴り潰され、鼻骨が砕けている。  
手足も骨折していた。  
「うあ……ぁ……」  
「おっと、飛ばし過ぎちまったよ」  
「殺しちまったら、パスワード聞き出せねえだろ」  
「かまやしねえよ」と男が言う。  
「化け物一匹殺せるんだ。お釣りがくるぜ」  
どかっと男がさらに一発薫の腹を蹴る。  
「げぼぉ」と薫が血を吐き、ビクビク痙攣した。  
薫は、このままでは放っておいても死んでしまうだろう。  
だが、男たちには薫を楽に死なせようという考えはない。  
「さーてと」  
男がドスを抜く。  
「な、何をする気!?」  
ちさとが叫ぶが。  
「解体レイプしてやるのよ。こいつが済んだらお前の番だから覚悟しとけや」  
男は、ドスで薫の服の前を裂く。  
 

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