「今日はなんで死にたくなったんですか?」
SC(スクールカウンセラー)室に聞こえるのは、智恵先生の穏やかな声。
今日もいつもと同じ、お決まりの質問。
お悩み相談しているのは、もちろん今日も絶好調絶望中の、糸色先生です。
「実は、最近なんだか・・・」
「はあ」
悩み相談というには他愛無い雑談が進みます。
「ボクはもう自信がないんです。教師に向いてないんじゃないかと・・・」
もはやただの泣き言の域ですが、知恵先生は慣れっこです。
「深く考えすぎじゃないですか?」
・
・
・
「・・・わあああ!私なんてどうせ!どうせ!」
話を続けていく内に、とうとう糸色先生は泣き出してしまいました。
智恵先生は小さくため息をつくと、
「糸色先生、ちょっと眼鏡を外してください」
と言いました。
「・・・え?何ですか?」
言われるままに、糸色先生は眼鏡を外しました。
ぽよよよん。
智恵先生が糸色先生の頭を、その大きな胸に抱かえました。
「ち、ち、知恵先生???」
いわゆる男の憧れ”ぱふぱふ”状態です。
「落ち着きましたか」
智恵先生の声はあくまでも穏やかです。
しかし、糸色先生は落ち着くどころか胸がドキドキしてたまりません。
谷間から香る甘い香りが糸色先生を誘惑しているかのようです。
「ち、智恵先生、も、もう大丈夫ですからっ」
「そうですか?」
糸色先生は顔を真っ赤にして智恵先生から離れました。
恥ずかしくて智恵先生の目を見れません。
「あの・・・生徒達にも、同じようになさるんですか?」
糸色先生は眼鏡をかけ直しながら聞きました。
「同じというと?」
「だから、その・・・胸に・・・」
「ああ、あれですか」
智恵先生はにっこり微笑んで答えました。
「するわけないじゃないですか」
「それって・・・」
「糸色先生だけ特別です。生徒たちには内緒ですよ?」
特別という言葉に弱い糸色先生は、ぱあっと目を輝かせました。
「あ、あのぉ・・・もう一回だけお願いします」
糸色先生は少し調子に乗ったようです。
それが智恵先生の心の琴線に触れました。
「いいでしょう・・・。じゃあ、そこに四つん這いになってください」
「え?・・・ええ?」
智恵先生の目の奥が鋭く光ました。
「智恵先生・・・?」
「かわいいですよ、糸色先生…」
逆行で表情は読み取れませんが、口の端がくっとあがっているのが分かります。
「こ、怖い…智恵先生怖いです…」
腰が抜けたのか、床に尻餅をついて小さく震える糸色先生。
しかしそのチワワのような様子が、ますます智恵先生の嗜虐心に火を付けます。
はらり。智恵先生の上着が、糸色先生の目の前に落ちました。
するり。こんどはスカートが足元に落ちました。
「!!!」
糸色先生は怖くて顔を上げることができません。
今、智恵先生はいったいどんな格好を…?
羞恥と恐怖に頭を抱える糸色先生。
と、そこへ…
「絶望先生、大丈夫。何も怖いことはありませんよ」
ふいに背後から聞きなれた明るい声がしました。
天の助けと、糸色先生はその声の主に向き直りました。
「わあああ、助かった…!…て、君ですか!」
声の主は、先生のクラスの女生徒、風浦可符香さんでした。
「先生、最初は痛くっても、そのうち快感に変わるから大丈夫ですよ」
可符香さんは笑顔でとんでもない事を言いました。
「何言ってるんですか!」
「男の人は、一度後ろの快感を覚えると、病み付きになっちゃうくらいイイみたいですよ」
可符香さんはさらっとすごい事を言いました。
「じ、冗談じゃありません…なんで私がそんな…」
糸色先生は四つん這いのまま、必死で逃げようとしました。
しかし、かちゃんと音を立てて、両足が何物かに拘束されました。
見ると、囚人に使われるような足かせが足首に付けられています。
もういくらジタバタしても逃げられません。
「ひ…」
糸色先生はいよいよ絶望して、その場にへたり込んでしまいました。
「観念したみたいですね、糸色先生」
智恵先生の穏やかな声が頭上から聞こえます。