千里は随分と長い間泣いていたが、ようやく涙も止まってきたようだった。  
望は、その間ずっと千里を抱きしめていた。  
 
「ひっく、…うぇっく……けほっ…。」  
「大丈夫ですか、木津さん?」  
 
自分の腕の中で震える、少女の細い肩を見下ろしているうちに、  
望の中で、だんだんと、先ほどまでの優しい気持ちとは全く別の、  
猛々しい感情が湧き上がってきた。  
 
望は、自分でも気がつかないうちに、千里の頬に手を伸ばしていた。  
千里の顔を上向かせると、その目尻には、まだ涙が溜まっている。  
望は、そっと唇を寄せ、その涙を吸い取った。  
 
「…!!」  
千里が驚いたように身を引き、次の瞬間、真っ赤になった。  
 
その様子が余りにも可愛らしく、望は堪らずに腕に力を込めると、  
その紅い唇をむさぼるようにして、激しく口付けた。  
 
「んん…!!」  
千里は目を見開き、両手で望の胸を押すようなしぐさをしたが、  
望はがっちりと千里を抱きしめて離さない。  
そのまま、執拗に舌で千里の口内を探った。  
 
舌を吸い、絡めたかと思うと、舌先で歯列をさぐり、口蓋をくすぐる。  
望は、少女の甘い香りのする口の中を隅から隅まで味わい尽くした。  
ようやく唇を離したときには、千里はすっかり上気した顔で  
ぐったりと望の胸に頭をもたせかけていた。  
 
望は、再び千里の顎に手をかけてこちらを向かせた。  
千里の、赤く泣き腫らした目が、今や別の色に染まっている。  
望は、これ以上我慢できなかった。  
 
辺りを見回し、人影がないことを確認すると、千里を優しく砂浜に押し倒した。  
千里は、まだ夢見心地といった表情で望のなすがままになっていた。  
 
千里の豊かな長い黒髪が、白い砂浜の上に広がった。  
望は、黒髪の中に浮かび上がる、少女の小さな顔をそっとなでた。  
 
望の指先が、頬から顎をたどり、首筋に移動する。  
千里が、びくっと体を震わせた。  
目をつぶり、必死に何かに耐えている表情をする。  
 
望は、それを見て、手を伸ばして腿をすっとなでてみた。  
「…ぁっ!!」  
千里が、さっきよりも激しく反応する。  
 
―――木津さんは、ずいぶん敏感なんですね…。  
 
望は嬉しくなって、千里の首筋に顔を埋めた。  
そして、右手で制服のブラウスから手を滑り込ませると、  
なだらかな、そのわき腹をなでた。  
「…っ!!せ、せん…!!」  
千里が体を震わせ、涙目で望を見上げてくる。  
 
「大丈夫…怖くないですよ。」  
望は、右手の動きはそのままに、左手でセーラーのスカーフをほどいた。  
「木津さん…両手を上げてください。」  
千里が顔を真っ赤にして首を振る。  
望は、眉根を寄せて、千里を見た。  
「…いや、ですか…?」  
 
千里は慌てたように首を振った。  
「い、いや、とかじゃなくて…。」  
「じゃなくて?」  
「…は、恥ずかしくて……。」  
千里は消え入りそうな声で答えた。  
その顔は、熟れたトマトのように赤くなっていた。  
 
望は、千里への愛しさで胸がいっぱいになった。  
「ほんとに…まったく、あなたって人は…。」  
 
そういうと、今度は有無を言わさずブラウスを剥ぎ取った。  
千里が小さく叫んで抵抗するようなしぐさをしたが、  
構わず、スカートも、下着も一気に取り去る。  
 
望の目の前に一糸纏わぬ千里の姿が現れた。  
月の光に照らされたその白い肢体の美しさに、望は息を飲んだ。  
 
千里が恥ずかしそうに腕で体を隠そうとする。  
「…せんせ…そんな、見ないで、ください…私、胸、小さいし…。」  
望は千里の手を取って開かせた。  
「何を言うんですか…素敵ですよ…。」  
実際、千里の胸は小ぶりではあったが形がよく、  
その先端のピンク色は、どうしようもなく望を誘った。  
 
望は、誘われるままに千里の胸に唇を寄せると、その先を軽く咥えた。  
「…あぁあっ!!」  
それだけで、千里は激しく体をのけぞらせた。  
 
千里が辛くならないよう気をつけながら、望はゆっくりと舌を動かした。  
「あ、んん、やぁ…っ!」  
そのたびに、千里の白い体が跳ねる。  
 
平らな腹をなでながら、望の手は、千里の下肢に伸びていった。  
しかし、その足はしっかりと閉じられていた。  
 
「木津さん…足、開いてください…。」  
千里は、潤んだ目で望を見上げたが、足を開こうとはしない。  
望は声を低めて、耳元で囁いた。  
「あなたの…を、見せてください…千里。」  
千里の体がびく、と震えた。  
小さく体が震えている。  
 
望は、千里を見つめながら、そのなめらかな大腿を撫で上げた。  
「ぁ…。」  
千里の足が、望の指の動きに反応するかのように、ゆるゆると開いていく。  
 
望は、すかさずそこに体を割り込ませた。  
「やっ!」  
千里が足を閉じようとするが、望は体に阻まれて、動けない。  
そして、そこに顔を近づける。  
千里のそこも、胸の先端と同じ、きれいなピンク色をしていた。  
 
「……!!や…、先生、そ、そんな、だめぇ!」  
千里の抗議にかまわず、望は舌を伸ばした。  
「やぁぁぁあああ!!」  
千里が、電流に打たれたかのように海老反りになった。  
望はかまわず、丹念に舌先を使って、攻略を開始した。  
 
「ん…っ、はぁ……、んんんっ、ぁあっ!」  
望の舌の動きに合わせて千里が体をしならせ、首を振る。  
そのたびに、艶やかな黒髪が妖しく乱れていった。  
 
「あ、ぁあ…ぁぁぁぁああああああ!!」  
やがて、千里が一際高い声を上げて、硬直した。  
 
望は、息を切らして顔を上げた。  
千里は、上気した顔で瞳を潤ませ、白い胸を波打たせていた。  
まだ早いかとも思ったが、望自身が我慢の限界だった。  
「すいません、千里…もう、入りますよ…。」  
望は、千里の両足を抱え上げた。  
 
「いっ…ぁぁあ!」  
「…っ。」  
ほぐされた後とは言え、千里のそこはまだかなりきつく、  
望はゆっくりと腰を進めるしかなかった。  
 
全てが収まったとき、望は、その柔らかな感触に必死に耐えていた。  
全身が、千里に温かく包まれているかのような錯覚に陥る。  
「千里…動きます、大丈夫ですか…?」  
千里は、目に涙を溜めながらも、気丈に頷いた。  
 
おそるおそる腰を引く。  
千里の中が、それを引き止めるかのように絡みついてきて、  
「くぅ…。」  
望は思わず歯を食いしばった。  
 
望は、最初こそ注意深く千里の様子を見ながら腰を動かしていたが、  
余りの気持ちよさに、だんだん何も分からなくなってきていた。  
 
千里の呼吸も切迫してきている。  
望は、千里の両手を取ると、指を絡めて押さえつけた。  
千里が、潤んだ目で望を見上げる。  
 
「――――!!!」  
 
最後の瞬間、2人は、お互いの指を強く、強く握り締めた―――。  
 
 
 
その後、2人で砂浜に横たわり月を眺めていると、千里がぽつんと呟いた。  
「ねえ、先生…あんなにフラグ立てちゃって…これからどうするんですか…。」  
望は面倒くさそうに手を振った。  
「そのまま放置してれば、適当に消えていくんじゃないでしょうかね。」  
千里ががばりと起き上がった。  
「ダメです!そんなの!きっちり誤解を解かなきゃ!!」  
 
望は笑った。  
「こんなときにまで、きっちりなんですね、あなたは。」  
千里の声が小さくなった。  
「そうじゃなくて…勘違いしたまま突き進んで行って、  
 後で誤解だって分かったときの辛さ……私はよく分かるから…。」  
千里の言葉に、望は千里を見上げた。  
 
月光に照らされた、うつむき加減の千里の姿はいかにも儚げで、  
望は思わず手を伸ばして千里を抱きしめた。  
「あなたの場合は、誤解じゃありませんよ、千里…。」  
千里は小さく頷いた。  
「分かってます、分かってますけど…。」  
 
望は千里を抱きしめたまま、ため息をついた。  
「…分かりました、他の皆さんにはきっちり説明しますよ。」  
千里は望から体を離すと、今度は、心配そうに望を見上げた。  
「先生、大丈夫…?」  
 
望は苦笑した。  
「包帯での首絞めや包丁くらいは覚悟ですかね。あと、訴えられたりとか。」  
でも、と悪戯っぽく千里を覗き込む。  
「今回は、あなたからの攻撃はありませんからね、だいぶ楽ですよ。」  
「…!ひどい、先生!!」  
 
千里は頬を紅潮させると、両手を振り上げた。  
望は笑いながらその手をつかむと、再び千里を抱きしめた。  
 
「こういう攻撃だったら、いつでも大歓迎です、可愛いですよ、千里。」  
「…先生の馬鹿。」  
 
真っ赤になった千里に、望は笑って軽いキスを落とした。  
 
 

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