しばし、お互い無言のまま、時間がすぎ、望の下駄がアスファルトを打つ音だけが響く。  
言わなければならないことを言うタイミングをつかめず、智恵は黙ったままだったが、  
いいかげんに言わなければならないと口を開く  
「「あの」」  
驚いたことに望も同時に口を開く、はもった気まずさに、再び沈黙が場を支配するが、  
どうせ、黙っていたらこのまま時間ばかりが過ぎてしまう。  
そう考えた智恵は先に言葉を続ける。  
「昼間はすいませんでした・・・あのときはちょっと違うことを考えていたので、  
 いきなり先生がそばに来たのにびっくりしてしまって」  
「え!?そ、そうだったんですか!?」  
驚いたように望は素っ頓狂な声を上げ、そのあと安堵したようにため息をついた。  
「いや、そうだったんですか、てっきり、私が何か智恵先生の怒りに触れるようなこと  
 をしでかしたのかと心配してたんですよ」  
いかにも、望らしい考えの飛躍に思わず智恵は苦笑してしまう。  
「そんなわけないじゃないですか、そこまで私は急に態度を変えたりしませんよ」  
「そうですよね、ハハハハ・・・」  
言いたいことを言ってしまうと、また沈黙が戻ってくる。  
何か話題を振らないと気まずい。  
だが、どんな話をふればいいかわからない。  
学校のこと、生徒のこと、どれもありきたりすぎる気がする。  
と、不意に口から勝手に言葉が出てくる。  
「糸色先生・・・あなたは恋をしたことがありますか?」  
「え?」  
(な、何聞いてるのかしら、私は?)  
そう思っても、口に出してしまったからには、もう遅い、なぜそんなことを聞くのかなんて言わ  
れたらどうしよう。が、望は考え込むような顔をしたあと、少し照れくさそうに言った。  
「ええ・・・・まあ、それなりに」  
「へえ・・・・」  
普通に答えてくれたのに安心した反面、なぜかモヤッとした感情が胸に残った。そんな  
智恵を知ってか知らずか望は続ける。  
 
「今私が教えてる生徒ぐらいの時でしたか、まあ、なんていうか、よくもてましてね、  
 こっちも若気の至りってやつか、色々ありましたよ・・・長くは続かなかったですけど」  
「そうなんですか?」  
「ええ、なんていうか、昔っから性格にも色々問題がありましたから」  
懐かしそうに語る望に智恵は何故か自分を重ねていた。  
(私とおんなじか・・・)  
そう考え、そして、そう考えたときつい聞いてしまった。  
「もし、付き合っていた女の人が自分に構ってくれないで、自分の将来のためだけに勉強  
 ばかりに集中してたら、どう思いましたか?」  
(ああ、やっぱり、まだ酔っ払ってるわ、なんでこんなこと・・・)  
「それはちょっと、つらいですね・・・」  
「え・・・そ、そうですよね!」  
自分で何気なく振った話題のはずが、答えを聞いた途端急に胸が重くなる。  
こんなことなら聞くんじゃなかった。と後悔の念に囚われる。  
「でも・・・」  
不意に望は振り返り、にっこりと微笑む。  
「きっとその人は、尊敬できると思います」  
「な、なぜ?」  
「だって、恋人なんて大切な人が出来てもそれを差し置いて夢を追い続けるなんて、  
 それって素晴らしいことなんじゃないですかね」  
思わず、思わず、その時の顔に見惚れてしまった。  
弱弱しい、それでも包み込まれるような暖かさを持つその顔に、それを  
「あ・・・アパートが見えてきましたよ」  
という声で正気にかえらされた。  
いつの間にか、自分のアパートが見えていた。  
「ここから、歩けますか?」  
「え、ああ、はい、もう大丈夫」  
それを聞き、望はゆっくりと智恵を背中から降ろす。  
少しふらついたが、それでももうしっかり立てる。  
「それじゃ、私はここで・・・」  
望は智恵に背を向けると、ゆっくりと去ってゆく、その背を智恵は引き止めたいと願った。  
何故か、まだこの人と離れたくないと、心がそう言っている。  
が、引き止める理由など何も無い。  
仕方なく、後ろ髪をひかれる思いで智恵も望に背を向けようとしたその時、  
不意に望がよろめき倒れる。  
「ど、どうしました?」  
慌てて智恵が駆け寄ると、望はよろよろと立ち上がり言った。  
「なんでもありません。ちょっと、めまいがしただけです」  
そう言った途端、望の腹が音を立てて鳴った。  
「ひょっとして、お腹すいてるんですか?」  
「ええ・・・まあ・・・」  
恥ずかしそうに望はボソリと呟いた。  
 
 
(ええと・・・・なんでこんなことになったんでしょう)  
望は智恵の部屋の一室に正座しながら、今の状況を整理する。  
あのあと、ここまで運んでくれたお礼に何かごちそうすると言われた。  
ただ、それだけのことだ。ちょうど、財布の中身は尽きていたし、ありがたい申し出ではある。  
だが、問題なのは、  
(ひょっとして・・・この部屋、私と智恵先生の・・・・二人っきり!?)  
驚愕の事実が頭をよぎり、さらに考えが巡る。  
(てことは、あんなことや、こんなことも!?)  
ひそかに想いを寄せていた智恵の部屋に入ってしまったことで、ついそんな妄想が浮かんで  
しまった。そのとき、  
『いけません!あなたは、やさしい智恵先生の申し出をそんな形で裏切るというのですか?』  
と、望の脳内に小さな望に天使の羽がはえたような男が話し掛けてくる。  
(そ、そうだ!?私はなんてことを!)  
そう思い直しかけた瞬間  
『いいじゃねえか、犯っちまえよ!今ならうやむやで流れるかも知れねぇぜ!!ケケケ』  
と、なんかの連載漫画を書いてる作者に触覚が生えたような男が逆に語りかけてくる。  
(た、確かに今なら!)  
『馬鹿なことを!惑わされてはいけません!!』  
『うるせえんだよ!!』  
と、二人の男は取っ組み合いをはじめ、ジャ○プなら一週は引っ張れるであろう死闘のすえ、  
『絶望ヘブン!!』  
なんて、安い三流漫画家でも書かないであろう必殺技で天使の勝利に終わった。  
(あ、危ないところでした・・・危うく理性を失うところでした・・・」  
などと考え、また自分の意志が守られたことを実感した。  
 
 
(私は何をやってるのかしら・・・)  
ありあわせの物を炒めながら、智恵はため息をついた。  
らしくない、それはわかっている。  
が、望が自分と同じ部屋にいる。そう考えると、妙に心が弾む。  
(やっぱり、私は・・・)  
自分の中でひとつの結論が出かけている。  
それを考えると動機が激しくなる。が  
突如、ついさっきの電話の内容を思い出してしまい、一気に気が重くなる。  
(そうだ・・・・私は)  
悲しさに思わず涙が出た。  
しかし、今ごろ泣いても遅い、望に見られたら余計な気を使わせてしまう。  
急いで涙を拭うと、炒め物を皿によそうと、望の待つ部屋へと向かった。  
 
 
「ごちそうさまでした。いやあ、智恵先生意外と料理できたんですね!」  
「それはどうも・・・」  
使っている材料はありあわせだったが、褒められれば悪い気はしない。  
なにより、望に言われると、何倍も嬉しく感じる。  
「では、そろそろ、おいとまします」  
そういい、立ち上がろうとする望を智恵は反射的に止めてしまっていた。  
「待って!」  
「え?」  
不思議そうな顔でこちらを見る望の視線に、しまったと思いつつも何とか理由を作る。  
「ほ、ほら、食後すぐに動くと体に悪いっていうじゃないですか!だからちょっと休んで  
 いったほうが・・・」  
智恵の言葉は望の視線に圧され、尻すぼみになって消えていった。  
そんな智恵を見ながら、望は短く、しかしはっきりと言う。  
「どうか、したんですか?」  
「え?」  
「今日の智恵先生は変です。なんていうか、いつもの大人っぽさが無い、なにか、  
 何か、あせっている気がするんです」  
的確に言われ、言葉を失う智恵を正面から見据え、望はゆっくりと言った。  
「話してみてくれませんか?力にはなれないかもしれませんが、話すことで楽になれる  
 かもしれません」  
正直、話したいかどうかはわからなかった。だが、望の顔を見てると言葉が勝手に出てくる。  
「実は、私の両親は、それなりに古い家柄なんです。糸色先生に比べれば全然無名なんです   
 けどね」  
「それは、初に聞きます・・・・」  
「それで今日両親から電話があったんです」  
智恵はそこで顔を曇らせた。  
「両親は家を続けさせることを第一に考える人たちです。それが、一人娘の私がいつまで  
 結婚もしないものだから、今日電話で見合いの話を持ち出されたんです」  
「そうだったんですか・・・・でもそれは、それで、ひょっとしたら、会ってみたらいい人  
 かもしれませんし」  
「ええ、きっと、父や母が見定めたんだからいい人なんでしょう・・・けど、もし結婚したら  
 そちらの家にいって・・・・教師をやめろというんです」  
突然のことに望は言葉を失う。  
「父も母も私のことを考えてくれてました。私の教師になる夢だって、あの二人が支えてくれ  
 てたんです。だから・・・だから・・・二人をガッカリさせたくなくてどうしていいか・・・」  
最後のほうは涙で言葉が詰まって言い切れない。みっともないとわかっていても涙は止まって  
くれない。そんな智恵をみながら望むはポツリと呟く。  
「智恵先生、今の仕事はお好きですか?」  
「え?」  
「好きなんですか?」  
「もちろんです・・・」  
確かに、本職の教師ではない、時間も有り余る。  
だが、今が恐らく一番楽しい、生徒たちの悩みを聞くこと、一緒に悩むこと、  
それはとてもすばらしいことだ。  
それに・・・いい人とも出会える。  
「だったら・・・・それをご両親に伝えてください。もし、本当に智恵先生のことを考えて  
 くれる人たちなら、家なんかより、あなたの幸せをかんがえてくれるはずです」  
「糸色先生・・・・」  
「もし、信じてもらえなかったら、私たちに言ってください。クラスみんなでも言いに  
 行きますよ。智恵先生は最高の先生だって!」  
そういうと、ゆっくりと言葉を繰り出す。  
「忘れないでください。生徒たちも、そして私も、智恵先生あなたが大好きですから」  
「あ・・・ありがとうござま・・・」  
最後のほうは言葉にならず、ただ、涙を目に溜めたまま、望の胸に飛び込んでいた。  
 
 
しばらく、そうした姿勢でいると、そのうち望はあることに気付く。  
(む、む、むね・・・むねが!)  
智恵の豊満な胸が望の胸板にあたり、その柔らかさと暖かさが伝わってくる。  
すると当然、望の男としての部分が反応してしまう。  
(な、なんたることですか!絶望した!正直すぎる自分の体に絶望した!!)   
心のなかでそう叫ぶがどうしようもない。さっきまでは空腹のため何もなら  
なかったが満たされた体はとどまることを知らない。  
「あら?」  
智恵が驚いたかのような顔で、体を離し、望の下半身に目をやる。  
「ち、違います!こ、これは・・・食欲が満たされたショックです!」  
無理がありすぎる言い訳をしながら、このすぐ後にアパートを追い出される自分を  
想像していた。  
(ああ・・・終わりましたね・・・)  
まあ、仕方が無い、しばらく夢のような時間を味わえただけでよしとしよう。  
そう考えた望は、次の智恵の言葉を待った。  
「糸色先生・・・」  
(ああ、さよなら幸せな時間・・・)  
「私で・・・いいんですか・・・」  
「へ?」  
思わぬ言葉に思わず間の抜けた声を出してしまう。  
「私みたいな女で先生は満足していただけますか?」  
「あ、あの・・・」  
わけがわからず、呆然としたまましどろもどろに言葉を詰まらせる望に智恵は真っ赤に  
なりながら続ける。  
「やっぱり、だめですよね・・・わ、私は・・・糸色先生の教えている生徒さんたちみたい  
 に若くありませんし・・・それに行き遅れているような女なんです・・・・」  
「そ、そんなことありません!」  
思わず望は大声をあげてしまう。  
「ち、智恵先生は、まだまだお若いし充分魅力的です。私が保証します!」  
「それだったら・・・」  
智恵はゆっくりと目を閉じる。  
「糸色先生のお好きなようになさってください・・・」  
 
(こ、これは思いもしない状況です!ど、どうしましょう?)  
慌てふためく望の脳内に再び良心が登場。  
『だめです!今きっと智恵先生は酔っ払ってらっしゃるに違いありません!』  
(そ、そうです!?私でいいはずが・・・)  
『ケッケッケ!何いってやがる!酔っ払ってようがなんだろうが向こうがいいって言ってん  
 じゃねえか!犯っちまえ!!』  
と反対側から悪心の声が響いてくる。  
『またあなたですか!性懲りもなく!』  
『今度はさっきのようにいかねえぞ!!』  
もうこれジャ○プだったらあきられるんじゃね?と言う戦いが再び繰り広げられる。  
が、もともと悪心というより、性欲に近い物なんで、望の空腹が満たされた今では、  
さっきとは桁が違った。  
『喰らえ!ゴォ・トゥ・絶望!!』  
もう突っ込むことすらめんどくさい必殺を受け、望の良心もとい、理性は消し飛んだ。  
 
 
「ち、智恵先生!!」  
息も荒く、望は智恵を畳の上に押し倒す。  
が、それでも、最後の最後に確認のような形で聞く。  
「ほ、本当にいいんですか?」  
智恵はコクリと無言で頷くと、付け足すように小さな声で言う。  
「でも・・・出来たら優しく・・・お願いします・・・」  
「わかりました・・・・」  
経験はあるであろう智恵が恥らう姿に望は愛しさを感じ、ゆっくりと顔を近づけ、唇を重ねる。  
柔らかい感触を口に感じながらも、舌を入れるとそれに応えるかのように智恵も恐る恐る舌を  
出してくる。  
お互いの舌が絡まり、気付けば濃厚な口付けを交わしていた。  
「うんんっ・・・!むぐ、ぅぅ!」 、  
智恵が苦しそうに喘ぎだしたので、口を離すと、唾液が糸を引くように残る。  
智恵は息を切らせながら、トロンとした目で望を見つめ  
「お上手・・・なんですね・・・」  
と途切れ途切れに言うその様子がさらに望の欲情を掻き立てる。  
が、この男それなりに経験が多いので、一度行為に突入すれば勝手に体はスムーズに次の  
行動に移る。  
手馴れた手つきで智恵のスーツのボタンを外していく、その様子を抵抗するでもなく見ていた  
智恵はか細い声で  
「灯りは消していただけませんか?」  
「どうして・・・ですか?」  
「だって、見えて・・・」  
「見たいんです」  
智恵に最後まで言わせず望がさえぎる。  
「智恵先生の体を、この目でしっかり・・・駄目ですか?」  
望の真剣な目で射すくめられ、智恵は観念したかのように、再び目をつむる。  
「わかりました・・・どうか、先生のお好きに・・・」  
「ありがとうございます・・・」  
そう礼を言うと、再びボタンを外していく。  
そして、最後のボタンを外し、スーツを左右に開いたとき  
望は思わず息を呑んだ。  
(な、なんて大きさなんですか!)  
黒いブラで押さえられているというのにそれは圧倒的な質量と威圧感を持ってそこにあった。  
(あの方たちにも引けはとってませんよ・・・)  
この間見たおっぱいW杯の女性達に勝るとも劣らないそれに、望は思わず我を忘れてしまう。  
「そ、そんなにジッと見ないで・・・」  
智恵の懇願するような声で我に帰ると素直に賞賛の言葉を述べる。  
「すごいです・・・智恵先生・・・」  
「そ、そんな・・・大きすぎて気持ち悪いでしょう」  
「いえ、そんなことありません・・・」  
改めてみてもすごいものである。だが、それをさらにいやらしく見せているのが、やはり下着  
だろう。智恵の白い素肌に黒い下着は驚くほどあっている。  
(取ってしまうのがもったいないですね・・)  
だが、取らなければ、さきに進めない。望はブラを取るべく、智恵の背中に手をまわす。  
すると、智恵も望の和服のボタンを外し、肌を露出させる。  
「何を?」  
「先生も脱いでください・・・私だけなんて不公平です」  
智恵らしくもない子供っぽい発言に思わず胸が熱くなる。  
 
「わかりました・・・」  
そう言うと荒らしく和服を脱ぎ捨てる。  
「へえ・・・先生って結構しっかりした体なんですね・・・」  
決して筋肉質ではない、だが、しっかりとした体を智恵は驚いたかのように見つめる。  
「まあ・・・それなりには・・・」  
そう口数少なく言うと、今度こそ智恵の背中に手を回す。  
それを手伝うかのように智恵は体をそえびぞりにして手を回しやすいように手伝う。  
すると、体が密着し、衣服ごしにはわからなかったお互いの体温が伝わってくる。  
(糸色先生の体・・・・温かい)  
いつまでも、そうしていたかったが、背中でホックが外れる感覚がしたと同時に再び、  
体が崩れてしまう。  
「外したら、やっぱりすごいですね・・」  
押さえつけられていた乳房ははじけるように広がり、なおかつ弾力性があるのを見せ付ける。  
もはや押さえがきかず、手にしていた下着を投げ捨て、その胸にむしゃぶりつく。  
「あ・・・」  
智恵が驚いたような声をあげるが、構わず望はそのまま乳房を吸い上げ、舌で乳首を刺激  
し、さらに空いた手でもう片方の乳房を揉みしだく。  
「あっ、あぁんっ、あく・・・あっ、そ、そんなに激しく・・・あっ、や、やんっ・・・あうっ  
 うくっ、んっ、んんんンっ・・・!」  
巧みな望の攻めに声を押さえようも無い。それでもはしたない声を出すことに羞恥を  
感じる。それを見透かしたように望は  
「智恵先生あなたの声を聞きたいんです。遠慮しないでください」  
と一言いうと、ゆっくりと口を下へと下げていく。そして、時には強く吸い上げ、時には  
舌の先だけで撫でるように、智恵の体を愛撫していく。  
その緩急のつけ方に智恵は休む間もなく快感にさらされ続ける。  
「だめっ、だめぇっ・・・あっ、ああぁっ、や、やぁっ・・・ああぁんっ!」  
と、達する寸前、急に望は愛撫を止める。  
 
「あ、あぁ・・・どうしてぇ・・・」  
戸惑ったような智恵の声を無視すると、望はそのまま、スカートへと手をかけると一気に引き  
下ろし、投げ捨てる。  
「そろそろ・・・こっちもいい頃かと思いましてね・・・やっぱり・・・」  
下腹部の下着は黒い布地越しにもわかるほど、そこは濡れていた。  
「智恵先生・・・こんなに感じてくれてたんですね・・・」  
「いやぁ!見ないでぇ・・・見ないでください・・・」  
身をよじって悶えようとした途端、望は下着越しに舌を這わせる。  
新たな快感に智恵はなすすべもなく、再び嬌声を上げさせられる。  
(す、すごい・・・反応ですね・・・直接やったらどんなことになるんでしょう)  
好奇心に耐え切れなくなり、望は下着に手をかけ、脱がしにかかる。  
それを反射的に感じたか、智恵も足を曲げ手伝い、ついに望の眼前に智恵の秘部がさらされる。  
(ああ・・・先生に見られてる・・・)  
そう意識しただけで、さらに多くの愛液が溢れ出す。  
(下着越しでもあんなに良かったのに・・・直接されたら・・・)  
が、次に望がとった行動はそれをはるかに上回るものだった。  
望は智恵の腰を掴むと、舌をとがらせ割れ目へと差し込みそのまま舌を動かす。  
「そ、そんな・・そんなこと、だめっ、だめぇっ・・あっ、ああぁっ、や、やぁっ・・やだ・・  
 私・・・もう、もうっ・・・ああぁんっ!」  
グチュグチュとさっきとは比べ物にならないほどの卑猥な音と快感が襲ってくる。  
(だ、だめ・・・これ以上されたら・・・)  
頭はすでにまともに働かない、体だけが快楽でふるえ反り返り。  
次の瞬間、視界に白い光が明滅し、絶頂の時が訪れる。  
 
(やりすぎましたか・・・・)  
望は智恵の様子を見ながら、口を秘部から離す。  
ふと、智恵の顔を見ると、目はうるみ、口からはよだれが零れ落ちている。  
そのあられもない様子に、最早、望の絶棒も限界だった。  
(つらいとは思いますが・・・我慢してください。智恵先生・・・)  
そう心で謝ると、袴を脱ぎ、絶棒を取り出し、智恵の太ももを掴むと一気に秘部を貫く。  
「あ・・・あぁ・いやぁあ・・・!!」  
達したばかりで感度がさらに敏感になったところに、肥大した望の絶棒で貫かれ、  
智恵は悲鳴を上げ、頭を振る。  
(ちょっと・・・気持ちよすぎますよ・・・)  
智恵の中は思ってた異常に締め付けが強く、肉壁が絶妙な刺激を与えてくる。  
長くは持ちそうにもない。  
もはや、望はテクニックも何も関係なくひたすらに腰を叩きつける。  
だが、今の智恵にはそれだけで充分な快楽だった。  
「智恵・・・先生・・・すごく・・・いいですよ・・・くッ!」  
「お願い・・・智恵って・・・智恵って・・・呼んでくださいッ!あああぁ!!」  
突如の申し立てに返事をする代わりにさらに腰を激しく振る。  
「イッて・・・イッて下さい智恵!!私も・・・私も、もう!」  
「の、望さん・・・私・・・あなたが・・・好きで・・・ああぁああ!」  
言葉は最後まで言えず、嬌声に変わってしまう。  
「はぁ、はぁ・・・あ、あぁん、あふっ、あはぁっ・・・もう、らめぇ!!また、また  
 イっちゃうゥううう!!あああぁ!!」  
そう叫び、智恵は最後に離れようとしていた望の腰に足を巻きつけていた。  
つぎの瞬間、智恵は自分の中に熱い何かが迸るのを感じていた。  
 
 
「すいません!すいません!私としたことが、中に出してしまうなんて!」  
再び服を来た望は頭をこすりつけるようにしてそう繰り返す。  
「別に私がやったことなんですから・・・」  
「いえ、しかし、私がやってしまったことなんです。こうなったら死んで責任を・・・」  
どこから取り出したのか首吊り縄を持って外に飛び出していこうとする。  
まったくさっきまでとは別人である。  
「糸色先生!!」  
声をきつめて、そう一喝すると、望はビクリと立ち止まると、恐る恐るこちらを振り返る。  
「安心してください。私は今日は安全な日です」  
「し、しかし私はそれを確認しなかったんですよ。これは許されることではない・・・」  
あくまで、ネガティブに物事を考える望に、智恵はため息をついた。  
「いいですか・・・よく考えてください。私とあなたはあんなことをしたんですよ?  
 それなのに、その関係を今さら捨てて逃げるおつもりですか?」  
「そ、それは・・・」  
詰まる望にさらに智恵は畳み掛ける。  
「そういうことのほうがよっぽど許されないことじゃないんですか?糸色先生」  
「はい・・・おっしゃり通りです」  
立場、いつもと全く同じに戻っている。その空気に懐かしさを覚えつつも顔にはそれを  
微塵も出さず厳しい顔で望に命じる。  
「いいですか、とりあえず今から帰る途中決して死にたいなんて思わないで、まっすぐ帰って  
 ください。もし、自殺なんてしかけたら許しませんよ」  
「はい・・・」  
望は気圧されたように、ドアに手をかけ、そして思い出したかのように振り返ると  
「やっと、元の智恵先生に戻ってくれましたね。私、弱い智恵先生も好きですが、  
 やっぱり、その顔が一番好きですよ」  
「え?」  
言葉の意味が瞬時には咄嗟に理解できず、一瞬考えこんだ隙に望は姿を玄関から出て行っていた。  
それと同時に智恵は顔が真っ赤になるのを感じた。  
 
 
 
次の日・・・  
「先生!どういうことことかキッチリ説明してください。  
「そうです、先生、私実家に帰ってる間何があったんですか?」  
ものすごい剣幕のストーカー少女常月まといとキッチリ娘の木津千里に詰め寄られながら、  
望は悲鳴に近い声を上げる。  
「だから、何もしてませんって!」  
「嘘ついても駄目です!霧ちゃんから聞いてますよ、昨日、先生夜遅くに帰ってきたそう  
 じゃないですか!!霧ちゃんが気になって、先生の様子見に言ったら香水のにおいが  
 したって」  
「彼女勝手に部屋に進入したんですか!?」  
千里の言葉に驚愕したような声をあげ、話を反らそうとするが相手が悪すぎる。  
「さあ、説明を!きっちりと!」  
「先生、全てを打ち明けてください!!」  
万事休す、絶対絶命、を体現したような状況に望は脳内に語りかける。  
(こういうときこそあなた達の出番です!)  
が  
『いやあ・・・たまにはああいうのも必要ですね!』  
『いやいや、お前がいてくれなきゃ、暴走してたよ!ありがとな!!』  
(ちょっと、あんたら何勝手雪解けしてんですか?)  
もはや、頼れる者は誰もいない、とその時。  
「やだな、先生はそんな事をするわけないじゃないですか!」  
(この声は!?)  
振り向いた先にx字がたの髪留めをした少女がにこにこ笑いながら立っていた。  
「先生は、立派なお方です。女性とそんなふしだらなことするわけ無いじゃないですか!」  
ポジティブ少女こと風浦可符香は力強くそう断言する。  
(あ、ありがたい!さすが、風浦さん!!)  
いつも遠慮したい彼女のポジティブ精神だが、今回ばかりはありがたいことこの上ない。  
「じゃ、じゃあ、先生は何してたって言うのよ!」  
あまりの明るさにひるみながらも千里は食い下がる。  
「それは決まってるじゃないですか!先生はいつも激務でお疲れです。きっと羽を伸ばして  
 たんですよ!!」  
(す、すごいです!私ではいえないことをスラスラと!!)  
あまりの流暢な喋り方に望は知らず知らずに引き込まれていき・・・  
「そして、その途中で、傷ついた女性を発見し、体を使って慰めてあげてあげたんです!  
 すなわちボディカウンセリングですよ!!」  
「そうそう!!あれだけ傷ついてらっしゃったら、そうするしかなかったんですよ」  
つい返事してしまった。  
(あッ!!)  
気付いた時にはもう遅い、千里の目がゆっくりと殺意を帯びていき、どこからともなく  
スコップがあらわれる。  
「先生・・・じゃあ私はスプラッターカウンセリングやってみます」  
「か、カウンセリングつけりゃいいってもんじゃありません!!」  
「先生、もう・・・私達が結ばれるには心中するしか・・・」  
「あ、あなたもどっからそんな包丁を!!」  
二つの巨大な殺気に望は最後の頼みのように脳内に叫ぶ。  
(どうすりゃいいんですか!!)  
『もう、逃げるしかないですね』  
『そうだな』  
「ちくしょおお!!」  
ありがたいお告げを受け望は一言叫ぶと脱兎のごとく走った。  
「待てええ!!」  
二人も即座に対応し、飛び出していく。そして、一人取り残された可符香は底冷えした目でニ  
ヤリと笑った。  
 
 
 
(大切なのはさりげなさ・・・さりげなさ・・・)  
おまじないのように唱え、緊張のあまり手に持ってるテールスープの店のチケットを握り締め  
ながら、あびるは意中の人の姿を探していた。  
(みんなには負けられない・・・ちゃんと誘うんだ・・・)  
その様子を頭の中で想像しながらうっとりしていると、  
「うわぁあああ!!」  
と叫びながら、探し求めていた人物が正面から走ってくる。  
(やった!なんて好都合!!)  
心の中でそう叫ぶと緊張で振るえながらも、チケットを差し出しいう。  
「せ、先生・・・・今度私と一緒に・・・」  
最後まで言い終わる前に望は横を猛スピードで走り抜けていった。  
「え・・・・」  
あっけに取られていた次の瞬間、  
「うなぁああああああ!!」  
まるで般若の如き形相の千里と  
「先生、私と結ばれましょう!!」  
などと、わけのわからないことを叫ぶまといが望を追って走り去っていった。  
その後ろ姿を見ながら、  
「やっぱりアピールがすごいな・・・」  
と気圧されたように呟き、顔を伏せる。が、  
「でも、私も負けない!」  
とあびるは力強く顔を上げると、望の後を追った。  
「先生、待って〜!!」  
 
 
(まさか・・・あんなことを言われるなんて・・・)  
昨日の望の言葉を思い返しながら、智恵は今もまだ、顔が火照ってしまう。  
が、それと同時に後ろめたい気持ちもあった。  
(あびるちゃんを裏切る形になっちゃったな・・・)  
彼女とて、望に恋している。それも自分より前から、それがやはり後ろめたい。  
(でも・・・言おう)  
今度彼女が来たら、全部話そう。智恵はそう決意していた。そして、不思議なことに  
それを話しても、彼女はあきらめない気がした。根拠は何も無い。けれど、女の  
直感的に、なぜか、自分に向かって宣戦布告してくるあびる、そして千里やまとい、霧の  
姿も想像できる。そしてそれは確実な気もしていた。  
(負ける気はないけどね・・・)  
けれど、うかうかもしてられない。彼女たちだって、立派な美しさを持ってる。  
いつ望が心奪われてもおかしくない。  
(今度、食事にでも誘ってみようかな・・)  
そう、考え、ふと昔に戻った気がしておかしくなる。  
(でも、今度はちゃんとやる・・・もう昔とは違う)  
あの時を繰り返しはしない。今度はちゃんと道を歩いていこう。彼と。  
そう決意を固めたとき、ドアをノックする音がした。  
(おっと、けど、仕事もしなくちゃね・・・!)  
望がすばらしいことと言ってくれた自分の持ち続けた夢、それをないがしろにする気も  
なかった。  
「はい、どうぞ」  
そう言うと、手早く椅子の準備をはじめた。  
 
これは、恋の物語。そして、それはまだ・・・始まったばかり・・・  
 
 
        終わり  
 
 
「絶望した!!きれいにまとめようとして私のことを無理やり押し出した作者に絶望した!!  
 ・・・って、ちょっと待って、は、話せばわかります!!・・・ぎゃああああ・・・!!」  
 
 

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