「ふぅ〜」
糸色望は絶望していた。
あれから一週間、あの四人から目立ったアプローチはないものの、望には新たな悩みの種があった。
日塔奈美が私を避けている
元々、人と積極的に関わることはしない望だがあれだけあからさまに避けられては気分が良いはずもなかった。
しかし生来の性分の為積極的に解決をしようとすることもなかったのである。
その頃日塔奈美はとあるクラスメイトとメールをしていた。その相手は…
[だからよ。オマエ、そんなのいくら気にしたって先に進まねーじゃねーか]
メールの相手、音無芽留は奈美の日毎に多くなる愚痴に呆れ始めていた。
[でもさあ、あんなの見せられたら誰だってへこむよ〜]
[バカかオマエ、あのハゲのこと好きなんだろ?だったらそれをネタにしてせまればいいじゃねーか。どうせオレ達しか知らないんだろ。それ]
正確には首謀者、その影には千里と愛の姿があるのだが二人は知る由もない。
「せまる…かぁ、私にそんなことできるかなぁ」
奈美は特徴のありすぎるクラスメイト事もあり、もう一歩踏み出せずにいた。
翌日、本来は日曜日で学校は休みのはずだが奈美は学校にきていた。
「芽留ちゃんの言うとおりだわ。勇気を出して前に進まなきゃ!」
宿直室の前に立つ奈美。
しかし何か違和感を感じたそこで奈美はほんの少しドアを開けて中を覗いた。
「先生のえっちぃ…あ、ふっ…ぅん」
そこには情事にふける、糸色望と小節あびるの姿があった。
「先生、こんなにしちゃって可愛い。まるでしっぽみたい」
あびるはそういうと絶棒をくわえこんだ。
『んふぅ、んんんっ、じゅるるっ…ふぇんふぇ?』
望はあびるの頭を乱暴につかむと上下に揺さぶりはじめた。
『んごっ、ぐぼっ、ふぇんふぇ…くるひ…』
それでも望は止めなかった『ずじゃっ、ずじゅっ、くぷっ』
卑猥な音が響く。
『うぇ、げふっ、がはっ』苦しそうなあびる、しかしその目に悲壮の色は無い。やがてその絶棒から精液が吐き出され、あびるは大きく咳き込んだ。
「げほ、げほっ、うぇっ…もう、先生ってば乱暴なんだから…」
しかし、まんざらでもなさそうなあびる。
奈美はその情景にすっかり見惚れていた。それと同時に絶望感がよぎる。
「やっぱり私なんて…」
その時不意に後ろから声がかかる。
「日塔さん、日曜というのに何をやっているのですか?それと覗き見は感心しませんね」
耳に馴染んだその声。
奈美はが振り返ると、そこには二のへ担任、糸色望の姿があった。
「せ、せ、せ、せ、先生?い…糸色望、先生?」
「はい、私は確かに糸色望ですが?」
奈美は幽霊でもみたような顔で口をパクパクさせている。
「おかしな日塔さんですねそれにここから何が見えるというのです」
望は部屋を覗き込む。
顔色が一瞬にして青ざめる小声で奈美に問い掛けた。「あの方はどなたでしょう?」
「先生にしか見えません」「そうですね。お相手はあびるさん…」
望は納得した。
霧とまといが言っていた事の意味。
そしてもう一人の自分の正体。
「奈美さん」
「はい」
「あれは私の影武者です」
「そうなんですか?」
奈美はその言葉を聞いた瞬間、あの時のことを思い出していた。
もしかしてあれも影武者だったんじゃ…
ドアから距離をとり望は奈美に問い掛ける。
「まあ、影武者と小節さんの事はあとでどうにかするとして、日塔さん日曜にわざわざここまで来るなんて何か用事でもあったんですか?」
正直、望は影武者、あびるの件の解決など考えてはなかったが休みの日にわざわざ学校にきた奈美のことは少し気になった。
「あ、えと、相談にきたんですけどこれじゃ無理ですよね」
「宿直室には入れませんからね。私も行き場を失いました」
とその時。
〈うれしい悲鳴が今日も聞こえる〜〉
メールの着信音、奈美の携帯からだった。
相手は芽留だった。
[オマエ、今、家にいるのか?オレは偶然近くまで来てるんだけどよ]
奈美はメールをみて一つの考えに辿り着く。
「せっ、先生?」
「はい?」
「もしよければ私の家で…その…相談、したいんですけど」
「着きましたよ先生」
望はその提案をすんなり受け入れた。
宿直室には入れないし、何より休みの日にまで自分を頼ってくる生徒の想いを無下にしたくなかったのである。
途中で芽留と合流し日塔家に到着する。
「ご家族の方は?」
「あ、今、社員旅行で皆居ないんです」
それを聞いて芽留はニヤリとした。
心なしか奈美は緊張している。
「それで相談とは?」
ここは奈美の部屋。
何の変哲もない普通の部屋だ。
「えっとその…」
奈美はまだ躊躇している。しびれを切らしたのか芽留が望の肩を叩く。
「音無さん?」
振り向く望。
『ちゅうっ』
突然のキス。
望も奈美も目を白黒させている。
芽留が右手で携帯の画面を突き出す。
[なにやってんだよ。バカもたもたしてるとオレがこのハゲとっちまうぞ]
その時奈美の中で何かが弾けた。
「何やってるのよー!」
奈美が勢い良く立ち上がる
がたん
テーブルが揺れコーヒーが望の脳天へと降り注ぐ。
「熱っつうーーーーー」
「わあっ、先生、ごめんなさいー」
お決まりの絶叫。
「絶望した!教え子に弄ばれ、教師らしいことをすればするほど報われない自分に絶望した!」
しゃわああぁー
ここは日塔家のバスルーム望はコーヒーでベタベタになった体を洗うべくぬるま湯に身を投じていた。
「一体何なんでしょう?」芽留からのキスにも驚いたがそれからの奈美の狼狽ぶりにも驚いた。
そしていくら鈍感な望といえど奈美の相談内容にも薄々感付いていた。
「彼女達はなぜこんなにも…」
考えれど答えは出ない。
とりあえずお風呂を出たら今日はお暇しましょう。
しかし、事態は望の思うとおりにはならないもので。
ガラスの向こうに二つの人影がみえた、重ねて聞こえてくる布擦れの音に望は覚悟を決めるのであった。
「お、お背中流しまーす」
明るい声で奈美がバスルームに入ってくるがその声には緊張の色が映る。
その後ろでは芽留がニヤニヤしながら望を見ている。
「それではお願いしましょうかね」
今日の望は何かを達観しているようだった。
あわあわ、あわあわ。
奈美がスポンジではなく、自分の身体にボディーソープを塗りたくっている。
もう何も驚かない。
人間余計なことをしないのが一番です。
望の目下には芽留がいる。防水加工の携帯画面を望に突き付ける。
[前は任せとけ。ハゲ。こんなこともう一生ないかもしんねーぞ]
一週間前に似たような事態に遭遇したことはありますがね。
「ん、しょっと、い、いくよ、先生」
奈美が泡だらけになった身体を望に押しつける。
『ずりゅっ、ぷに、ふに』
と同時に芽留が張り詰めた絶棒に身を寄せる。
『ちゅる、ちゅる、ちゅ』
前後から押し寄せる快感に望は身を任せる。
奈美の動きが激しくなる。『ん、ふぃ、ふぅ、ふ』
息も荒く奈美が言う。
「先生、どう?気持、ち、いい?」
「ええ、とても。奈美さんご褒美です」
望は奈美の顔を引き寄せるとキスをする。
『んんっ、ふむっ、んー』
奈美の口内を望の舌が蹂躙する。
『んくっ、ふっ、ぷはぁ』
唇を放す。
奈美の顔はとろけきっていた。
芽留に目配せをし、フェラを中断させる。
奈美の方を向き直り、話し掛ける。
「奈美さん私はあなたの想いに答えることはできません。できるのはせめてなぐさめっ!?ひゃあ」
望が振り返ると芽留が菊門を舐めていた。
ずいっと携帯の画面を突き出す。
[カッコつけてんじゃねーぞ。ハゲ。さっさとヤッちまえよ]
望の中で何かが弾ける。
どうやらあなたから特別授業が必要な様ですね。
『ずん、ずん、ずんっ』
芽留のちいさな身体が激しく揺れる。
何度も突き込まれ、その目の焦点はあっていない。
『ア、ア、ヴッ、アッ』
芽留の身体は既に脱力しきっており、携帯もその手から離れ、タイルの上に転がっている。
「くっ」
『ア、アッ、ヒッ』
望は絶棒を引きぬき、精を芽留へと向け放出する。
『ア、ア、アツイ…』
芽留の身体が白濁に染まる。
「さて」
望は奈美の方に向き直る。奈美は少し怯えているようだ。
「これでも、しますか」
望の目の色が変わる。
どこか頼りない、でもすごく落ち着ける、優しい目…
奈美はすっと立ち上がり
「お願いします。あの、でも」
「はい」
「優しく、してください」望は微笑み、頷いた。
「んんっ、はっ入りました?」
「まだです。奈美さん本当にいいんですか」
「いいんです、先生なら私…」
望は腰に力を込め絶棒を押し進める。
『ずぷ、ずぷ、ぷ、ちっ』
「あぁあぁあっ、先生ー」
「日塔さんっ!」
『ずん、ずん、ずんっ』
「あ、せあ、痛い、痛い、痛いー、先生、痛いよー」
「日塔さん、もう少しだからっ」
「はっ、痛、先生ー」
奈美の顔が顔前にせまる。「先生、好きっ、好きぃ!大好きっ!普通っていわれたっていいっ!先生のこと大好きなのーーー!」
「くっ」
望と奈美は同時に果てた。
宿直室。
藤吉さんの当番日を終え、交が帰ってきた。
「なんかすげー疲れてんな今日休みだったんだろ?」
望は机に突っ伏していた。「ええ、今日は少し生徒の相談役をしましてね。なれないことをすると疲れるものなのですよ」
「ふーん」
ここ最近色んな事がありました。
もうしばらくはそっとしておいてほしいものです。
<ぶれぶれぶれぶれ>
「おーい、携帯鳴ってんぞー」
「はいはい」
メール着信、相手は芽留からだった。
確か音無さんはあのまま日塔さんの家に泊まるんでしたよね。
メールの内容をみて、望は青ざめた。
[おいハゲ、来週、オマエんトコに押し掛けてお泊り会してやるよ。うれしいだろ。バックレたりしたらわかってんだろーな]
そして本文の最後には参加メンバーの名前が書いてある。
参加者
小節あびる・小森霧・常月まとい・木津千里・加賀愛・日塔奈美・音無芽留
望はもはや絶叫する気力も失せていた。
THE END