『それじゃあ、絶望、してみますか?』
どこからか声が聞こえたかと思うと望は後頭部に強い衝撃を受け意識を失った。
望はひやり、と冷たい空気を感じ目を覚ます。
そこは無機質な資材で作られた殺風景な部屋だった。
身体を動かそうとする。
しかし身動きがとれない。
よくみると木製の椅子に荒縄で身体を縛られている。
望は目の前にいる少女に気づき話し掛ける。
「こんな監禁紛いの事をしてどういうつもりですか?風浦さん」
仮面を被っているが確かに少女は可符香だった。
「やだなぁ、私達が先生を監禁なんてするはずないじゃないですかこれはただの新展開ですよぉ」
「ずいぶん乱暴な新展開ですねタ○ヤもびっくりですよ。ん、私達…?」
「皆、入ってきて」
すると唯一備え付けてあるドアから可符香と同じような仮面を被った少女達が入ってきた。
あびる、霧、まとい、芽留、奈美、愛、真夜、千里。
いずれも望と関係をもっている生徒達だった。
可符香が続ける。
「先生、先生にはもういい加減、私達の中から誰か一人を選んでほしいんです。皆、このままじゃ辛いだけだから…」
「………」
「でも、強制ではありません」
「?」
可符香は淡々と続ける
「もし誰も選ばない選択を選んだ場合は…」
「選んだ場合は…?」
『ここで一生私達の奴隷になってもらいます』
空気が、ざわつく。
可符香の目はまっすぐに望を見つめていた。
確かにこれは新展開ですね
今までと雰囲気が全く違う事を感じ取り、望は身震いをした。
望は選択を迫られる。
ここで私が誰かを選ばなければ私はともかく彼女達のこれからも束縛してしまうことになる。
望は静かに口を開く。
「運命の人を…選びます」生徒達に微かながら動揺の色が走ったのを肌で感じる望。
運命の人、重さを感じさせる言葉を使い、これが絶対の選択であることを皆に、そして自分に自覚させる。
望は静かに口を開く。
「私の運命の人は…」
「待ってください、先生」
可符香が望の言葉を遮り近づいてくる。
しゅる、しゅるっ
可符香が縄を解き、話を続ける。
「運命のその人の仮面を…外してあげてください…」
そういうと生徒達は一列に並ぶ部屋に緊張が走る。
皆、自然と目を瞑っていた。
すっ、仮面が静かに外される…
運命のその人が静かに目を開く。
『せん、せい…』
『私の運命の人は貴女です…木津千里さん』
張り詰めた空気が一気に弛んでゆく。
可符香が先導し、選ばれなかった生徒が静かに外に退出していく。
「先生…何で私を…」
千里が信じられないという表情で話し続ける。
「私いつも皆に迷惑ばかりかけ…て懇親会の時だって皆、自由にすればいいのに私が時間制限なんかつけて皆を束縛して…」
「千里さん」
望は千里の言葉を遮る
「貴女は本当に優しい子です。きっちりしてしまうのも皆を思っての事…そんな優しく、不器用な貴女だから…私は貴女を選んだんです」
望の一点の曇りもない正直な気持ち。
千里の目から涙が溢れる。「先生、せんせぃ、うわあぁあぁん」
千里は望の胸に顔を埋め、声をあげて泣いた。
『ちゅ、ぺろっ』
『あんっ』
千里の頬に微かに残る涙をキスを降らし、舐めとる。
かたんっ、望は椅子に座り千里を迎える。
千里は望の前まで進むと大きく屈み絶棒を取り出す。
絶棒は既に大きく膨らんでいた。
『んちゅ、ぺろ、くちゅ』
小さな舌で絶棒を優しく舐めあげる。
『ずぼっ、じゅる、じゅるるっ』
睾丸も優しく愛撫する。
『ぺろ、ぺろ、ぷぁ』
千里は顔をあげ絶棒をくわえる。
『ぐぷ、ずちゅ、ずじゅるるっ』
上目遣いで望の顔を見やる千里。
気持ち良さそうな望の表情に軽く微笑むと動きをさらに激しくする。
『じゅぶ、ちゅぶっ、ちゅうぅっ』
『せんせい…』
奉仕を中断し千里は望にまたがる形になる。
「愛してます。先生」
「私もですよ。千里さん」
望の口から明確に示される愛の言葉に千里はまた泣きそうになる。
『ん、ふっ』
激しくキスを重ねる。
『くちゅん、れろ、ふぁ』
『ちゅぷっ』
唇を離し見つめあう二人。
千里がゆっくりと腰を沈める。
『あはぁ…ん』
絶棒の先端で千里が濡れていることを感じ取ると望は腰を進める。
『ずちゅ、ずぷんっ』
千里が望を包み込む。
望は腰を動かし、千里に快感を与える。
『あ、はっ、あっ、あっ』
千里も激しく腰を振る。
「くうう…っ」
『ぱん、ぱんっぱん』
『あっ、あっ、ああっ』
望に、千里に絶頂が迫る。
「千里さんっ」
『先生、お願い、なっ、膣内にくださいっ』
ぎゅっ
望は静かに千里を抱き締める。
『せんせい、せ…んせぃっ!』
「くうっ」
望の絶棒から千里の膣内へと精が注がれる。
『あ、せんせぃ…あぁ…』
そういうと千里は望に身体を預け意識を失った。
千里を繋がったまま抱きかかえながら望は眠る千里を見つめて呟く。
『愛していますよ、千里』
桜舞う四月。
望は校門へ続く道を歩く。
日常は騒がしく、いつも通りに過ぎていく。
望はその度に絶望し、場を掻き回す。
受けもつクラスの面々は変わってもそのサイクルが変わる事はない。
「せんせーい」
振り向くと一人の女生徒が望に話し掛けてくる
「珍しいね、こんな早く帰れるんだ」
「ええ、今日は大切な日なんですよ」
桜の花びらがが窓が開きっぱなしの望の部屋に舞い落ちる。
部屋の柱にかけてある
和風の日めくりカレンダー
今日の日付に小さく文字が書き込まれている。
『結婚記念日』
望は女生徒に答える。
「今日くらいきっちりと家に帰らないと奥さんがうるさいんですよ」
「やだー、先生ったらのろけてるー」
女生徒が望を悪戯っぽく茶化す。
校門前までくると髪の長い女性が門の前に立っているのに気づく。
「ほえー、綺麗な人…」
「おや珍しいですね。迎えにきてくれたんですか?」
「望さん」
女性は優しく微笑む。
「え、えー?この人先生の奥さん?」
「ええ、紹介しますよ。私の妻の…」
「糸色千里です。よろしくね」
桜舞う四月。桜の花びらは二人を祝福するかのように静かに空を舞っていた。
HAPPY END