ここは某所の温水プール。
望はあびると共にデートを兼ねてここに来ていた。
デートを兼ねて、というのは他に目的があるということでその目的はずばりあびるの運動音痴を少しでも改善しようというものだった。
先週のデートの帰り道。
「ねえ、せ…望さん」
「なんですか?」
「あの…来週の土曜とか空いてます?」
「ええ、大丈夫ですよ」
「ウチの近所に温水プールができたんです。それで私運動苦手だから少しでも良くしようと思ってて…あの、一緒に行きませんか?教えてくれる人がいれば上達も早くなるし…」
「ええ、よろしいですよ。上手く教えられる自信はあまりないですが…」
「ありがとう、望さん!」
望はプールサイドで一人、その時のあびるの笑顔を思い出していた。
運動音痴改善も目的の一つではあるのだろうがプライベートで会える嬉しさの方が大きかったのだろう。
そんな純粋な笑顔を思いだし望はにやけそうになる。
「望さん、お待たせ」
声のする方に振り向くとあびるの水着姿があった。
水に入る為、包帯や湿布、絆創膏等を取り除いている。
剥き出しになって見える傷跡が痛々しい。
しかしその傷跡が霞んでしまうくらいにあびるの身体は眩しいほどの魅力を放っていた。
「キレイだ…」
不意に望が呟く。
その言葉を聞いたあびるの顔がぼっと火を点けたかのように真っ赤になる。
望も無意識に発してしまった正直な気持ちに少し驚いている。
「もう…望さんたら…」
頬を桃色に染めてあびるが照れながら言う。
「あ、え、えと、早速、練習を始めましょうか」
照れて頭を掻く仕草をしながら望はプールの中へと入っていった。
暖かい水が心地いい。
「ふぅっ」
軽く息を吸ってあびるもプールに入る。
「まずはバタ足からですね。私が手を持っていてあげますから、思うように足をバタつかせてください」
「はい。あの、望さん」
「はい?」
「手…絶対に離さないでくださいね」
きゅん、と胸が高鳴る。
あびるの何気ない一言に望の胸はときめいた。
「そうですよ、上手い、上手い」
「んしょ、しょっ」
常に絶望していながらも教師である望の指導で体格に恵まれているあびるは持ち前の要領の良さを発揮しメキメキと上達していった。
「ぷぅ」
「息継ぎもだいぶ上手くなりましたね。さて結構長いこと練習しましたし、今日はここまでにしましょう」
「はい」
帰り道、あびると軽く手を触れ合わせながら歩く。
「望さん」
「はい」
「今日は…ありがとう」
「いえ、大したことではありませんよ。それより今日はあびるさんの水着姿をじっくり見れて嬉しかったです」
あびるは望の意地悪な不意打ちに
「な、何言ってるんですか!私の水着姿なんて…〇×◇□…」
ごにょごにょと小さく何か呟きながら照れていた。
帰り道も中盤に差し掛かった頃、突然、あびるがその足を止める
「あびるさん?」
振り向くとあびるが望の袖口を軽く掴んだままもじもじと身体を揺らしている。
「望さん、あの、そ、の…」
「どうしたんですか?」
「私…今日は帰りたくない、です…望さんと今夜は、一緒に居たい…」
俯きながらもはっきりと想いを伝える。
望は一呼吸すると優しい声で返事を伝える。
「私の家に…来ますか?」
「うん…うん、明日の夕方には帰るから」
あびるは電話を切ると望の正面に向き合った。
「お父さんには奈美ちゃんの所に一泊するって連絡しました」
「はい」
不思議な偶然もあり交は藤吉宅に外泊。
小森さんは別室。
この家には望とあびるの二人きりであった。
あびるは少しうつむきながら望を見ている。
その頬は少し赤い。
先日の浴室での事を思い出しているのだろうか。
「あびるさん」
望の手があびるの肩にかかる。
「はい…」
少し身体を震わせながら顔を上げる。
「ん、ふっ」
触れるだけの優しいキス。
もう一度、二人の唇が重なる。
「んむ、ふぁ…はぁっ…」
今度は甘く、激しいキス。
ぴちゃ、ぴちゃと二人の舌が絡まりあう音が響く。
「ふぁ…ん」
二人の唇が離れる。
「望さんの…しっぽ」
すすっ
あびるが手際良く袴を脱がせるとぴょこんと絶棒が顔を出した。
「少し、固くなってる」
「あびるさんが可愛いからですよ」
「もう…んふっ…ぴちゃ、れろ」
あびるが絶棒を優しく舐めはじめる。
「れろ、れろっ…ちゅっ」
「うくっ!」
「ふふっ、望さん、可愛い…ん、むっ」
あびるの口が絶棒をくわえこみ快感を与える。
「んぁ…ん、くむ、んふぅ」
「あびるさん…」
そっ…と望があびるの髪を撫でる。
「…んぅ?ちゅぽっ」
あびるは絶棒から口を離す。
「ありがとう。とても気持ち良かったですよ」
「あぅ…」
あびるは望の優しい労いの言葉にに少し照れているようだった。
「次は私が…」
「あっ…」
優しくあびるの服を脱がせていく。
包帯や湿布等を除けば一糸纏わぬ姿。
思わず感嘆の声が漏れた。
「キレイですよ」
「あっ…」
首筋に優しいキスを落とす。
すっ…
望の指先があびるの胸に優しく触れる。
「ぁん…」
きゅ、さわっ
「ふぅん」
胸を手の平で包み優しく揉む。
むにゅ、くにっ
「望さん…触り方が…何か…んっ…あ…やらしいです…っ」
「でも、気持ち良いのでしょう?」
耳元で囁く。
ぶるっ、とあびるの身体が震える。
「はぁ…はぁ…」
きゅっ…
あびるが望に誘われ、二人は静かに抱き合う。
「望…さん」
「あびる…」
優しく布団に誘導され、望があびるにおおいかぶさる形になる。
「よろしい…ですか?」
「はい…」
望の指があびるの秘所に触れる。
ちゅくっ
「あんっ」
「これだけ濡れていればだいじょうぶですね」
「あ…ゃん」
あびるは真っ赤な顔を隠すようにして手でおおっている。
しなやかな指先から可愛い眼が覗く。
「いきますよ…」
「あ…」
ずぷんっ
あびるの秘所が抵抗無く絶棒を受け入れる。
「くふぅ…ん」
「おや?すんなりと入りましたね?もしかして私の事を想って日頃、自慰をしていたとか?」
望が意地悪そうに言う
「ゃはぁ…望さんの…意地悪ぅ…」
「ふふっ、とっても嬉しいですよ。私の事をそんなにも想っていただけるなんてね」
「ふ…くぅん」
「動きますよ」
「はぁっ!」
優しい挿入から一転激しく腰を動かしはじめる。
「あ、あ、あ、あはあっ」ぱん、ぱん、ぱぁん
「望さっ…激しっ…」
激しく腰を打ちつけ快感をあたえる。
あびるはその快感に堪え切れず絶頂をむかえる。
ぞわっ
「ひぅっ、望さん、もう私、だめぇ…」
「あびるっ」
「望さ…ぁあ…あああーーっ」
びくっびくんっ
次の瞬間、あびるは望の腕に強く抱かれ、果てた
「は――っ、は――っ」
「気持ち…良かったですか?」
「………はい……」
虚ろな目で望を見つめるあびる。
不意に望の顔を引き寄せキスをする。
「ふぁ…愛してます…望さん」
そう言葉を発するとあびるは自然と微睡みの中へと落ちていった。
ちゅん、ちゅん。
「ん、あ…」
あびるは朝日を感じとり目を開く。
自分の隣から視線を感じ取り、身体ごと振り返ると望が笑顔であびるを見ていた。
「あ、せんせぇ、おはようございます」
寝呆けているのか、二人きりにも関わらずいつもどおり先生に挨拶するように話し掛ける。
望は笑顔を崩さずに返事を返す。
「はい、おはようございます。小節さん」
「先生…?」
望の不自然すぎる笑顔に少し違和感を覚える。
「どうしたんですか?何か嬉しそうですね?」
「いえ、朝から良いものが見れたなーと思いましてね」
望の視線が少しだけ下に落ちる。
あびるものその視線を追いかける…
と、瞬間あびるの目がはっきりと覚める。
「っ、きゃああぁぁっ!」
振り返った事でかけていた布団がめくれ、あびるの瑞々しい裸体が望から丸見えになっていた。
「きゃあーっ!せんせっ、あぁ、望さんっ!見ないでぇー」
「何を今更。昨夜はあんなに愛し合ったじゃないですかー」
「それとこれとは別ですーっ!望さんの馬鹿ー!意地悪ー!」
布団で身体を隠し恥ずかしそうに望を睨むあびる。
その可愛らしい仕草に望は珍しく大声をあげて笑う。
その笑顔を見てあびるもまた笑顔になる。
ある晴れた日曜の朝。
二人は幸せであった。
願わくばこの幸せがずっとつづきますように。
あびるは心からそう願った。