一旧は縛られ顔から涙と白濁を垂らしてうずくまる倫を満足気に見下ろすと今度は障子の影から覗くバッテンの髪飾りに声をかけた
「隠れたって無駄です
私はカフカちゃんの言葉をきっかけに二人婦女暴行をしました
こうなったら貴女にも責任を取って体育会系プロポーズを受けてもらいますよ!」
ピョコンと姿を現した可符香は相変わらず電波的なほどポジティブに口を開いた
「やだなあ一旧さんたら
私に婿入りなんて出来るわけないですよ〜
ポロロッカ星とチャネリングによって共鳴する事の出来た作家フランツ・カフカの魂はおこぼれ神バルボラ三世の意志によってリンカーネーションつまり転生する様に受け継いだ名前が風浦可符香とゆう名なんですよ♪
それに、ん〜そろそろかしら?」
電波発言の後何故か時計を見ながら時間を気にしている
私は2のへでも特に気の強い部類である千里と倫を犯す事が出来たのだ
今ならきっとこの掴み処のない少女も掴む事が出来るはず
「カフカちゃん、
そんな意味のわからない事を言ったって無駄です!
貴女を犯します!!」
一旧は視線を時計に落とす可符香に襲いかかった
そしてその体に触れようとしたその時
シュッ
バラバラバラバラ
突如風を切り裂く様な音が鳴ったと思うと今まで可符香が隠れていた障子が崩れ落ちた
その切断面の一つ一つは磨かれた様になめらか
それをパキッペキッと踏み付けながら現れたのは・・・・・
「一旧さんたら私の初めてを奪ったと思ったら倫ちゃんにまで乱暴して
一度きっちりわからせないといけないみたいね」
昨夜犯したはずの木津千里だ
だが最後に見た時の様な弱々しい面影は微塵もない
一旧が草と血と精液で汚した制服とはうってかわり元は白かったはずが返り血によって赤黒く染まり鉄臭い匂いを漂わすワンピース着ており
手には両手でかわいらしく持っていた学校指定鞄から使い古された肉斬り包丁へ
残酷な真実に潤ませた目はまるで魚の様に平たく冷たい眼に
そして分かれ目を失った髪がはらはらとかかっていた額には憎い男の居場所を特定した千里眼が不気味に見開く
千里は全てを戦慄させる猟奇形態へと変貌していたのだ
「うっうわーーーッ!!!!!」
一旧が悲鳴を上げへたれこむ中
千里はふと倫を見た
柱に手を縛られ着物からあられもなく足や胸をはだけさせ泣いていた
いつも先生や皆をからかっていた彼女がまるで別人の様に弱々しくなった姿は昨夜の自分を重ねずにはいられない
それによって怒りは増し殺気は研ぎ澄まされる
「ち、千里ちゃん落ち着いて下さい・・・・・」
「旧姓が欲しいだなんてふざけた理由でこんな事してるあんたが言える立場ッ!?」
ガタガタと一旧は震えなんとか説得しようとするだが立場が逆転、
いや蛇に睨まれた蛙が如き状況を変えれるはずもなかった
すると再びポジティブ少女は天使の顔で悪魔の囁きを吐いた
「それだけじゃないよ千里ちゃん、
一旧さんたら倫ちゃんを助けようとした先生とセバスチャンを突き飛ばしたんだよ♪」
嬉々と可符香が指差した先
そこには本当の事を告げられてもいまだに愛している男がぐったりと倒れこんでいたのだ
「あ、ああああああああ・・・・・」
自分の大切な処女を無理矢理奪い別の少女の純潔もふみにじり
旧友と言っていたはずの最愛の先生にまで暴力を奮った
その憎しみは千里をさらに変貌させた
千里の毎朝セットし月に一回はストレートパーマをした事によって手に入れた
まるで高層ビルの摩天楼の様に美しく規則的でまっすぐな髪は
「憤怒」とゆう名の原子爆弾が炸裂し爆炎を上げたかのように膨張する
そして殺気は毒ガスの様に密度を高めながら充満し頭痛と吐き気を催させ手にしている肉斬り包丁を一層妖しく輝かせ
見開いた第三の眼の不気味さは増すばかり
そして両の眼は普段の三千倍の呪力を持ちネガファルムの様に白黒反転した瞳に変貌する
もしスカウターで計ればスイッチを入れた瞬間爆発しそうな程邪々しい千里の姿を一旧はかつて訪れたインド寺院の宗教画で見た事がある
怒りの炎から生じ
魔神たちをも血祭りに上げる
殺戮の女神カーリーだ
「ひぃ!ひいぃーーーッ!!!!!!!!」
生きとし生ける物全て殺し尽くさんとする狂気の女神
最高神ですら容易に止める事は出来ない姿に一旧は我が眼を疑うばかり
「こっ!!こんな事あるはずありません!!いくらキツい性格の千里ちゃんでも殺戮の女神になるはずありません!!!!!!!」
一旧は必死に目の前に写る光景を否定し現実逃避せんとばかりに
震える手でキセルを取り出し薬物に火をつけた
だが煙を吸っても恐ろしい千里の姿は消えない
そればかりか恐怖心は増し冷汗がこんこんと湧き出る
「うわぁーーーッ!!!!」
思わず口にしていたキセルを千里に目掛け投げつける、だが
「うなあああああーーーッ!!!!!!!」
雄叫びを上げたかと思うとゴツく大きな肉包丁が消えた様に見える程の神速で振り降ろされ
鋼で出来ていたはずの一旧のキセルは唐竹の様に真ん中分けされた
「そ、そんな!そんな!!」
震え怯える事しか出来ない一旧は直視出来ない程凄まじい千里の横の可符香に眼をやった
「カフカちゃん!
貴女はもしやコレを望んであの時あんな事を言ったんですか!!!!」
「一旧さんやっと気づいたんですかあ?
まさかこんなにうまくいくとは思いませんでした面白かったですよお♪」
なんとゆう事だ
彼女は旧自慢をしていた私を見て一瞬でこんな落としめる計画を思いついたとゆうのか?
本当に心の隙間に入り込み囁いて弄ぶだけ弄び
触れようとしたらするりと抜け出した
それでいて悪戯が成功した子どもの様な無邪気さを持っている少女
風浦可符香
あぁ私はずっとこの娘の掌で踊らされていた玩具に過ぎなかったとゆうのか
だがいつまでも踊っている訳にはいかない
このままでは私の人生が終わらされてしまうのだ
そう思うと涙が溢れた
鼻水も垂らし震えながら口を開いた
「ち、千里ちゃん昨夜の事倫ちゃんにも乱暴した事旧友に暴力を奮った事
私が悪かったです
警察に自首します、
一生かけて償います
旧姓も諦めます
だから、
だから許してください・・・・・」
「いやだなあ一旧さん、
貴方と先生は旧友なんかじゃないですよ♪
密使の報告によると入学式の時だけ仲良くしていた1日友ですよお〜」
可符香はとどめを刺すかのような言葉をなんとも楽しそうに口走る
そして千里は不気味な程落ち着いたトーンで口を開いた
許しを必死に乞う一旧にゆっくりゆっくりと近づきながら・・・・・
「あら私はくだらないとは言ったけど旧姓を諦めろなんて一言も言ってないわよ?
来世なら今の名前が旧姓になるわ。
ペ ロ ヴ ゾ ー ロ フ 6 世 」
「うわああああぁあああああーーーッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
―――その後、木津千里と糸色倫は生理も無事起こり
妊娠とその責任取りによる婿入りとゆう事態は避けられた
しかし当事者である一旧の行方は定かではない
ただ一つ言えるのはダム建設によって水底に沈む運命にある某村に咲く
大きな桜の樹の根本が赤みがかって少し盛り上がっていた事であろうか
―旧姓 終劇―